福島原発事故の原因の大半は、事故発生以前にある
2013年10月2日 宇佐美 保
菅さんはご自身のブログに次のように書かれておられます。
| ……福島原発事故の原因の大半は、事故発生の2011年3月11日以前にある。これが私の結論だ。 |
全く同感です。
先の拙文《菅さんは、ベントを促す為福島へ飛んだと言い続けるべきです》に記述しましたように、“ブローアウトパネルですが、……保安院が開かないように改修することを東電に指示したため”とか“（福島第一原発 二〜六号機の）蒸気凝縮系を削除する”、又、菅さんのブログにありますように“事故を起こした福島原発の第一サイトはもともと海面から35mの高さの高台だった。それを海面から10メートルの高さまで土を切り取って建設している。”等と『原発安全神話』の旗印の下、枚挙にイトマガない状態でしょう。
ところが、インターネット放送『デモクラTV：本会議（9月14日）』での「原発事故不起訴、責任はだれに」に於いて、鈴木哲夫氏（政治ジャーナリスト）は次のように発言しました。
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人災という事になると、阪神大地震の時に、村山さんが総理大臣になっていて、そこに、はっせいして、2日後か3日後か忘れたんだけど、後藤田さんがノコノコとやって来てんですって、なんて云ったか “災害が起きるまでは、しょうがない、地震が起きたのは天災だ、でも、そっから先は全て人災だからな！”と後藤田さんは村山さんに云ったようですよ。 “だから、それをやれるかやれないかは、全て人災、あんたの責任になるんだよ”と言い来た。 これはもう「政治の名言」だと思うんですけど、 ですからやっぱり、地震が起きた津波が起きたここまではもうしょうがない、それはどうしようもない、だけどそこから先の対応はこれは全て人災、政治の責任ですよ。 |
おかしくありませんか？
阪神大地震の災害は、ある意味では、“災害が起きるまでは、しょうがない、地震が起きたのは天災だ、でも、そっから先は全て人災だからな！”かもしれません。
（それでも、耐震基準とか、高速道路の工事監督の問題など、政治責任は存在したでしょうから、村山さん以前の「自民党政治」の政治責任はあった筈です。
それを“これはもう「政治の名言」だと思うんです”とは如何なものでしょうか？）
しかし、次の鈴木氏発言には大声を上げて反対します。
| “ですからやっぱり、地震が起きた津波が起きたここまではもうしょうがない、それはどうしようもない、 だけどそこから先の対応はこれは全て人災、政治の責任ですよ。” |
「福島原発告訴団」の告発状には“東電や国は、地震の多い日本で原発を運転するに当たり、事故を予防する措置を怠り、福島第１原発を襲う津波の危険性がたびたび有識者から指摘されていたにもかかわらず、今回の事故を発生させた責任があると指摘した。”
とあるように、東電や国（当時自民党政権）には、今回の原発事故災害発生責任が存在し、阪神大地震の責任問題とは大違いです。
更に、驚くことは、次の発言に至っては、“鈴木哲夫氏よ、大法螺吹くのもいい加減にしろ！”と言わざるを得ないでしょう。
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だから汚染水なんかまさにそうで、直後から“大変なことになるよ”と言っているんだけど、何にもしてこなかった、これは絶対人災。 ここで刑事責任とれないんだったら、行政責任、政治責任で当時の連中はみんな首切るくらいこういう総括を国会でやんなきゃ駄目ですよ。 |
この件に関しては、デモクラTVのアーカイブに登録されている“山田厚史氏（衆議院議員）の『緊急インタビュー「馬淵澄夫議員に聞く」』”に於ける、馬淵澄夫氏のご発言を全く無視されておられます。
鈴木哲夫氏は、このアーカイブを、更には、馬淵氏の著作『原発と政治のリアリズム 新潮新書』も、是非ご覧になって頂きたいものです。
更に、鈴木哲夫氏は不可思議な見解も発しています。
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刑事責任は立証するのはかなり難しいと思います。 でも、行政責任政治責任が全く追及されていない。 これは国会で行うべき。 |
何故、刑事責任の立証がかなり難しいと発言されるのでしょうか？
福島原発告訴団は、原発事故を起こし被害を拡大した責任者たちの刑事裁判を求め、福島地方検察庁へ告訴したではありませんか！
それなのに、福島原発告訴団「不起訴理由報告会＆記者会見」では、“原子力村の人たちの意見を聞き、今回の大津波を予見することは出来なかった云々で不起訴になった……” と検察への不信感をぶつけていました。
国会事故調査委員の田中三彦氏は、
| “原発は津波の前に地震で破壊されていたのでは？” |
との見解を発しておられますが、その検証は全く進んでおりません。（注：1）
こういう状態を当然の如くに放置して、鈴木氏は“刑事責任の立証がかなり難しい” と発言されるのでしょうか？
| 鈴木氏が力説する今回の原発事故の「行政責任政治責任」は、 長年に亘り「安全神話」をまき散らし「原発行政」を続けてきた 歴代の自民党政権にある筈です。 |
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現に、福島原発告訴団は“今回の事故にあたっては、菅さんたちは、それなりに尽力し、菅さんが事故の翌日に福島原発を訪ねた際も、彼らの仕事の邪魔とはならなかったとの証言もある”旨の見解を発し、菅さんを告訴しておりません。
更に、先の拙文《菅さんは、ベントを促す為福島へ飛んだと言い続けるべきです》にも再掲しましたが、菅さんが事故後、格納容器の爆発を心配し、早急にベントを行わせる為、周囲の反対を押し切り、直ちに福島原発に飛び、吉田所長（当時）に直談判したからこそ、吉田所長は“決死隊を組対処します”と答えたのではありませんか！？
更には、撤退を申し出た東電に、菅さんは3月15日未明乗り込み
| “撤退まかりならね！”、 “60になる幹部連中は現地に行って死んだっていいんだ。俺も行く” |
と東電の撤退を阻止したのではありませんか！？（注：2）
なのに、
| その際の菅さんの発言の音声が残っていないとはどういう事ですか！？ |
この背景こそを、鈴木哲夫氏（又、マスコミ）は徹底的に追及すべきなのに、逆に全ての原発事故以降の不手際を菅さんに押し付けるのはどういう事ですか！？
（菅さんこそが、私達の恩人ではありませんか！？）
| 事故後の全国的な災害を救った恩人と認識すべき菅さんに責任を全て押し付け、 菅さんを悪人に仕立て、 「行政責任政治責任」を取るべき歴代の自民党政権は頬かむりを押し通し、 事故の原因が判明していない現時点で、原発の再稼働を企み、且つ、他国への原発の売り込みに奔走する 自民党政権を告発して行くのが鈴木氏らマスコミ人の責務ではありませんか！？ |
（注：1）メルトダウンは津波ではなく地震で引き起こされた！ 元東電技術者・木村俊雄氏講演（2013年10月4日）
かつて東電で原発のプラント挙動解析などを行っていた元東電技術者の木村俊雄氏は、8月にようやく公開された福島第一原発の過渡現象記録装置の詳細なデータを分析した上で、地震による原子炉停止直後に本来循環するはずの炉内の水が止まっていたとし、地震による細い配管の破損が起きた可能性は100％（9分9厘）「メルトダウンは津波ではなく地震で引き起こされた！」と説明されて居られます。
（注：2）私は、自身のホームページに、「恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調」の表題にて12通書きましたが、特に、この件は、“恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調（7）死を賭した菅さんを葬る東電マスコミ”に掲げました。
（この他の11通へも訪ねてください）
（追記）
Iwj（2013/10/29）に、“29日の定例会見で泉田裕彦新潟県知事は、東京電力の安全対策の脆弱性や、規制委員会の対応、国の関与などを改めて批判した。……”と記述され、泉田知事の次の発言も紹介されています。
| ……ヨーロッパの最新型の原発が『メルトダウンが起きる』前提で設計されていることや、 アメリカでは『メルトダウンが起きる』前提で軍が動くことになっている例を提示し、 「日本だけ『メルトダウンが起きない』仮定で体制を組んでいくことは、 いざトラブルが起きた時に対処ができない訳で、文明国として恥ずかしい対応ではないか」と、 日本における事故対策の脆弱性を厳しく批判した。 |
この泉田知事の批判は、菅政権以前に『原発安全神話』を推し進めてきた自民党政権に対しても向けられている筈です。
ですから、自民党政権には「菅政権（当時）の原発事故対策へ、イチャモンを付ける資格」を全く有していないのです。
| 恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調（12） 責任を負う菅さんに責任を押し付ける方々 |
| 恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調（11） 不確かな情報を避けた官邸が「情報隠し」と吹聴された？ |
| 恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調（10） 東電の無責任、決死隊の皆さん有難う御座いました |
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恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調（9） |
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| 恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調（7） 死を賭した菅さんを葬る東電マスコミ |
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