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恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調(4
(英雄レスキュー隊の出動を遅らせたのは石原都知事?!)

2012314

宇佐美 保

 

 先の拙文≪恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調(3≫と同様に、東京新聞(レベル7:番外編その時官邸は 201232日)に於ける元経産副大臣(現地対策本部長)池田元久氏の証言を引用させて頂きます。

 

 

 オフサイトセンターでは十四日午前八時ごろ、東電副社長の武藤が、現地対策本部長の池田に「水が足りません。福島第二の自衛隊や地元消防を第一に振り向けてください」と要請する。

 池田は、すぐに自衛隊の給水車七台と地元消防隊員を配置換えするよう指示した。

 ところが午前十一時一分、3号機が水素爆発し、配置換えしたばかりの自衛隊員や消防隊員の連絡が途絶えてしまう

自分が指示したばかりで。えらいことだ」。池田は、衝撃を受ける。夕方にようやく全員の生存を確認したが、爆発で十一人が負傷した。

 

 

 この池田証言のように、自分の指示した人員が爆発に襲われれば、指示した本人は衝撃を受けるのです。

ですから、命の保証の無い任務を命じるのは誰しも避けたいのです。

なのに、東電に対して、又、直接には吉田所長の「決死隊をつくってでもやります」の任務にも「決死隊」の生命危機の責任を負う菅さんを、池田氏は「指導者の資質を考えざるを得なかった」と語っているのです。

(この件は、前の拙文≪恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調(3≫をご参照ください)

 

 更に引用を続けますと、

 

 

 池田は消防の専門部隊による注水が必要だと判断東京消防庁などに派遣要請するよう、経産省次官の松永和夫に電話で伝えるだが、同庁のハイパーレスキューが福島第一で実際に放水するのは十九日未明になってしまう

 十四日午後五時すぎ、東電の担当者が、2号機も午後八時二十二分に炉心溶融し、午後十時二十二分には格納容器が損傷するという予測を池田に報告する。「ついに来るものが来た」。池田はそう感じる。

 オフサイトセンターの移転に向けた作業を本格的に始めた。

 

 

 このように、池田氏が(14日)「東京消防庁などに派遣要請」をしても、「ハイパーレスキューが福島第一で実際に放水するのは十九日未明になってしまう」ということなのです。

 

 この遅れの背景を民間事故調報告書には書かれているのでしょうか?

(その報告書を購入しようと、本屋さんに行って探したのですが見当たりませんでした)

 

 

 この件で思い出すのは、先の拙文≪石原都知事にさらわれたレスキュー隊の栄誉≫にも引用させて頂きましたが、東京新聞(メンツ争いの先陣 2011.5.22)の記事です。

 

大量に連続放水するには、最新鋭の装備があり、訓練を積んでいる東京消防庁の力が欠かせなかった

 経済産業相の海江田万里(六二)と総務相の片山善博(五九)は東京都知事の石原慎太郎(七八)に協力を打診する。だが、石原は「車は出せるが人は出せないとにべもなく断る。

 

 自民党の元首相、安倍普三(五六)が間に立った。安倍は石原の長男で党幹事長の伸晃(五四)を通じ、派遣を要請。石原は受け入れ、十七日午後十時前、東京消防庁消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)に出動を命じる

 

 

 この時、石原氏がすんなり「車も人も出す」と即答していれば、もっと早く大量に連続放水が原発に注がれていた筈です。

 

 この石原氏の態度はなんだったのでしょうか?

嫌がらせでしょうか?

それとも、部下の命の危険に曝す責任を負うことをビビったのでしょうか?

 

 それなのに、同じ拙文にも引用しました(産経新聞322日:政府から消防隊員に「処分」と恫喝 石原知事が首相に抗議)もあります。

 

 

 東京都の石原慎太郎知事は21日、首相官邸を訪ね、菅直人首相に対し、東京電力福島第1原子力発電所への東京消防庁の放水作業をめぐり、政府側から消防隊員に恫喝(どうかつ)まがいの発言があったと強く抗議した

……

 石原氏は、首相に「みんな命がけで行い、許容以上の放射能を浴びた。そういう事情も知らずに、離れたところにいる指揮官か誰か知らないが、そんなばかなことを言うのがいたら戦(いくさ)にならない。絶対そんなこと言わさないでくれ」と注文、首相は「大変申し訳ない」と陳謝した。

 

 石原氏は記者団に「処分するという言葉が出て、隊員は皆、愕然(がくぜん)とした。(現場の)指揮官は、それが一番不本意だったと言っていた」と述べた。真相は不明だが、都関係者によると、「処分」と発言したのは海江田万里経済産業相だという。

……

 

 

 なんだか変ですよね!?

菅さんこそが、許容以上の全国的な非難を浴びつつも、全生命をかけて奮闘されているというのに!!

それに「離れたところにいる指揮官か誰か知らないが」と文句を言う石原氏ご自身こそが「離れたところにいる指揮官」なのではありませんか!?

ハイパーレスキュー隊の活動が全国的に称賛を浴びるや、注目を浴びる舞台にしゃしゃり出て、「ハイパーレスキュー隊の指揮官」ぶるのは変です。

 菅さんに文句を言う前に、隊の出動の遅れを招いた“車は出せるが人は出せない”発言を陳謝すべきです。

 

 そして、海江田氏は、発言の有無と、ハイパーレスキュー隊の出動要請から出動までの経過を詳らかにして欲しいのです。

(民間事故調報告書には書かれているのでしょうか?)

 

 

更に、東京新聞(201232日)には、ハイパーレスキュー隊員成宮正起さん(42)の証言が記載されています。

 

 

 東京消防庁のハイパーレスキューは宮城県気仙沼市の被災地で救援活動を始めていた。その交代要員になるだろうと思っていたら、十七日になって福島への出動に備えるように言われました。

 第六方面本部(足立区)に招集され、(高さ二十二bから放水する)屈折放水塔車と、(遠距離に大量の水を送る)スーパ−ボンバーを使った放水訓練を繰り返しました。

 夜、新井雄治消防総監(当時)から「国運が懸かっている」と訓示があり、隊員一人ずつと握手していただいた。「危険な現場。でも誰かがやらねば」と覚悟を決めました。

 翌十八日午前三時ごろ第一次派遣隊百三十九人の一人として出発しました。福島県いわき市内で、三つの方面本部のハイパーレスキューが合同で最後の訓練をし、夜十一時すぎに原発に入った。

 

 

 石原氏が、官邸に押しかけ菅さんにいちゃもんを付けるなら「新井雄治消防総監(当時)から「国運が懸かっている」と訓示」は、「新井消防総監」ではなく「石原都知事」であるべきです。

これでは、石原氏は「離れたところにいる指揮官でありパフォーマンスだけの臆病者」です。

でも、都民はこんな石原氏を支持しています。

 

私達都民は、長年、福島原発の恩恵を享受してきたのですから、東京オリンピック準備金などを福島復興の為に使っていただくべきではありませんか!?

 

この件に関しまして、ご参考の為に、先の拙文≪石原知事よ今こそ「お陰さまの心」を≫を再掲させて頂きます。

 

石原知事よ今こそ「お陰さまの心」を

2011530

宇佐美 保

 

 私は、『東京新聞2011527日:「たいまつ消さない」と都知事 20年五輪招致で』

の記事を見て、案の定という思いと共に、がっかりしました。

 

 

 東京都の石原慎太郎知事は27日の定例記者会見で、2020年夏季五輪招致について「やっぱりたいまつの火は消さない方がいいと思う。うまくいって9年先の話だから」と述べた。

 

 招致に前向きとも受け取れる発言だが、知事は「この問題はとても大事。私の責任ある問題だから。所信は(6月17日開会の)定例議会で申し上げる。日本人の機運の問題だ」と明言を避けた。

 

 20年五輪招致の申請期限は9月1日。石原知事は4月、国際オリンピック委員会(IOC)委員に4選を報告するあいさつ状を送っていたことが明らかになっている。

 

(共同)

 

 

 私は、先の拙文≪復興は平和の礎(石原氏と天罰)≫に於いて、都知事は「築地市場から豊洲への移転費用、並びにオリンピック準備金を今回の被災地の復興費用に充てて欲しい」との思いから次のように書きました。

 

東京都の平成23年度予算の歳入六兆二千三百六十億円の内、法人二税は13010億円で、法人二税に関しては、朝日新聞20071029日)には次のように書かれております。

 

 企業が都道府県や市町村に納める地方税で、法人住民税と法人事業税の2税がある。企業の規模や法人所得などに応じて課税され、事業所が複数の都道府県にまたがる場合、従業員数などを元に分割。07年度は全国で9.6兆円が見込まれ、税収の4分の1が多くの企業が集まる東京都に偏る傾向がある。

 

このように、都の税収と言っても、言い方を変えれば「地方へ行くべき税金を都が横取りしている」とも言えるのですから、「築地市場の豊洲への移転」予算は、被災地復興費用への切り替えを、都民の一人としての私は切望します。

 

更には、

都の基金には、「東京オリンピック・パラリンピック開催準備金」の平成23年度末残高として、
千百五十三億円が見込まれております。

(都民の誰がオリンピック東京開催に賛同しているのでしょうか?!)

この基金も直ちに、被災地復興費用に充当して貰いたいのです

 

 何しろ、私達都民は、日ごろ今回の被災地(地震、津波、原発事故)方々から多くの恩恵を甘受してきたのですから、石原氏の心に「ノーブル」な面がありましたら、都議会議員を説得して、これらの費用を被災地の方々に使って頂くようにして貰いたいものです。

 

 何しろ、都の財政と言っても、税制自体が「企業などからの税収が、困っている地方に優先的に振り向けられる」となっていたら、もともと、オリンピック開催準備金など積み立てることさえ出来なかった筈です。

 

 「やっぱりたいまつの火は消さない方がいい」等とオリンピックと聖火を関連付けたような発言されて作家気取りで居られるのかしらと下種の私は勘繰ります。

私としては、「たいまつ」よりも、都のオリンピック準備金を「稲ワラに火」(先の拙文≪私財をなげうって町民を津波から救う(東京新聞より)≫を御参照下さい)として、被災者の方々の復興への道の希望の火として輝かせて頂きたく存じます。

 次は≪恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調(5)≫に続けさせて頂きます。

 

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