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ストップ・ザ・コイズミ(3

2004628

宇佐美

 以下に、拙文《ストップ・ザ・コイズミ(2)》を続けます。

 

 それなのに、江川紹子氏は、次のように書かれています。

 

イラクがクウェートに侵攻して二カ月後、米議会下院の公聴会で「ナイラ」と名乗るクウェート人少女が証言をした。奇跡的にアメリカに逃れてきたという少女は、イラク兵が病院で保育器から赤ちゃんを引き出して床に投げ捨てるなどの蛮行を目撃したと語った。証言はメディアを通じて全米に報道され、当時のブッシュ(父)大統領も「こうした行為を行う者は相応の報いを受けることをはっきり知らせてやらねばならない」と述べた。

 だが、この証言は広告会社ヒル&ノートン社の創作だった。少女はずっとアメリカにいたし、しかも在米クウェート大使の娘だったのだ。この情報操作が判明したのは、湾岸戦争終結の後である

 もちろん、イラクのクウェート侵攻は不当であるし、この証言のみによって戦争が起きたわけではない。が、フセイン=イラクの悪魔性を世界の人々に印象づけ、怒りと共に「こんな連中を放置できない」という正義感に火を灯したとすれば、世論操作という点で大きな効果があった、と言えるだろう。

 

 田岡俊治氏(私には軍事オタクとも思える)は、日頃から“戦争は何でもあり!”と公言していますが、江川氏までが「ブッシュ(父)による情報操作で、“正義感に火を灯したとすれば、世論操作という点で大きな効果があった”」と書いてしまうことに驚きました。

又、「フセイン=イラクの悪魔性を世界の人々に印象づけ」とも書かれていますが、「フセイン=イラクの悪魔」に、育て上げてしまったのは何処の誰ですか?!

ブッシュ(父)自身では?!

 

 さらに“イラクのクウェート侵攻は不当である”と書かれていますが、情報操作や、悪魔の養育を簡単に行う人達の言行を一方的に信じていて良いのですか?!

 

 この件に関して少し長くなりますが、拙文《戦争とマスコミ》の一部を掲載致します。

 

益岡賢氏のホームページ(http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/)には、「マイケル・アルバートによるノーム・チョムスキーへのインタビュー」が掲載されていましたのでその一部を抜粋させて頂きます。

 

……レーガンやその取り巻き、そしてブッシュ一世は、サダムという怪物を、彼が最悪の残虐行為を行っている間もその後も、同盟者として、そして大切な貿易パートナーとして歓迎していたのである。

ブッシュは、サダムがクウェートに侵略するその日まで、貸付保証を与え、大量破壊兵器(WMD)に適用できることが明白な先端技術を売却していた。しばしば、それを阻止しようとする米国議会の努力を乗り越えてである。……

……

今、私達にマスコミから伝えられている情報が、ラムぜー・クラーク氏(1961〜68:米国法務省次官、長官)の著した『湾岸戦争』(地湧社発行)の記述とあまりにも乖離しているのです。

 

……

 ブッシュ大統領がイラクのクウェート侵攻を防ぎたいと思っていたなら、なぜ、その意図をサダム・フセインに伝えなかったのだろうか。ブッシュ政権は、その意図を知らせるのではなく、別のシグナルを送り続けた。国務省のケリー次官補とグラスピー駐イラク米国大使はサダム・フセインに対し、クウェートとイラクの紛争は地域間題だと、すなわち米国の介入はないと、はっきり伝えている……イラクの明白な軍事力増強を目の前にして、なんら侵攻防止を講じようとしないことなど想像できるだろうか。防止する意思がそもそもあったのだろうか。

一方、イラクのクウェート侵攻を知ると、ブッシュ大統領は信じられないほど俊敏に動いた。サウジアラビアへの軍事支援を発表し、米軍を受け入れるようサウジアラビアに圧力をかけ、米軍をサウジアラビアに派遣し、軍事的にも政治的にも使えるものはすべて動員して、紛争の解決に役に立ちそうな交渉を妨害した。

これだけでも、大統領がイラク破壊の意図をもっていたと主張するに足る証拠である。

 

……

この点に関して、中日新聞 1990/09/14を下記に引用させて頂きます。

 

……グラスピー大使は「イラクが戦後再建のため資金を必要としているのは分かっている。イラクとクウェートの国境紛争のようなアラブ国家間の問題にはわれわれは介入しない」と述べ、さらに「米大統領はイラクとの友好増進を望んでいる。彼は知的な人間で(議会が進めようとする)対イラク経済制裁には反対だ」と答えた。……

 

 この件に関しては、より詳しく、ホームページ「THE NEW YORK TIMES INTERNATIONAL SUNDAY, SEPTEMBER 23, 1990」に見ることが出来ます。

http://www.chss.montclair.edu/english/furr/glaspie.html)

(中日新聞の記事に相当する部分を次に引用します。)

 

GLASPIE: I think I understand this. I have lived here for years. I admire your extraordinary efforts to rebuild your country. I know you need funds. We understand that and our opinion is that you should have the opportunity to rebuild your country. But we have no opinion on the Arab-Arab conflicts, like your border disagreement with Kuwait.

……

President Bush is an intelligent man. He is not going to declare an economic war against Iraq.

……

 

 そして、このような背景から次の記事(読売新聞:1990・08・05東京朝刊)を見るとアメリカはクウェートを(そして、全世界を)も騙していたことがはっきりと浮かび上がってきます。

 

……

クウェートのナシル・アツサバハ駐米大使は二日記者会見した中で、イラクの企図について「われわれは疑いを持っていたのだが、米国などから侵攻はないと保証された」と、ぶぜんとした表情で打ち明けた。

……

 

 勿論この件に関しても、田岡氏(軍事オタク?)は、“戦争だから当たり前”とおっしゃるかもしれません。

でも、戦争だから当たり前でよいのでしょうか?

 

 更に、田原総一朗氏は、次のように覚り切ったような御意見を披露して下さっています。

 

 ただしわたしは、いまアメリカを批判するキーワードとなっている″大義なき戦争〃の″大義″という言葉には、いま一つリアリティを感じられない。

 太平洋戦争の敗戦を体験している人間としては、″戦争の大義〃なるものは全て戦勝国が奪い取り、敗戦国の大義は全否定されるのだということを骨身に味わわされているからだ。たとえば真珠湾攻撃のアンフェアさは散々喧伝されたが日ソ中立条約を犯して満州に攻め込んだソ連のアンフェアさは全く問われず、南京大虐殺は大問題となっているが、原爆によって市民四〇万人以上が殺された大事件は極東軍事裁判でも何の問題にもならなかった。だから、わたしとしては〃戦争の大義″なるものは、三〇〜四〇年後に学者たちが研究し、分析してやっと論議されるようになるものだと考えざるを得ないのである

 イラク戦争にしても、もしもブッシュ大統領が宣言した通り、数週間で戦争が終り、三〜四ケ月でイラクが安定していたら、イラク戦争に対する世界の見方は大きく異なっていたはずである。

 

 太平洋戦争に対して、「三〇〜四〇年」以上も立った今、どのような評価がなされているというのですか?

その中には、戦争で亡くなった方々の見解評価が盛り込まれているのですか?!

戦争の為に亡くなった方々の見解評価を無視して、「学者たちが研究し、分析してやっと論議」して、何になるのですか?!

 

 一方、慶応大学教授小林節氏は次のように語っています。

(週間金曜日(2004.6.18))

 

 「イラクが大量破壊兵器を保有し使おうとしている」という戦争の大義が詭弁であり、茶番だった。主権不可侵という国際法の大原則を、米英は石油利権・ドル利権のために破ったのです。

 しかも、武器を普通に使えない自衛隊員が危険にさらされ、オランダ軍に守ってもらい、治安が悪くなると陣地にこもるのでは軽蔑の対象です。

 

 私は、この小林発言に共感します。

更に小林発言の「石油利権・ドル利権のため」の他に、「ブッシュ政権が癒着している軍需産業の為」を、付け加えるべきと存じます。

 

 第34代合衆国大統領ドワイト・D・アイゼンハワーは、2期8年の任期を終える際の退任演説で次の言葉を残しました。

 

巨大な軍部と軍需産業の結びつきは、アメリカにとって新しい現象です。この複合体が我々の自由や民主的なプロセスを危機に陥れることを許してはなりません

 

(補足)

週刊文春(2004.7.1)には、『三菱重工 自衛隊主力兵器に欠陥頻発(パジェロ・トラックだけでなく ヘリ・護衛艦も)』との題目で、次のような記事が載っています。

 

 六月、約十六万台の欠陥隠しが判明した三菱自動車(拙文《ストップ・ザ・コイズミ(2》も御参照)。この瀕死の「企業」の兄貴分といえば、いわずと知れた三菱重工。零戦から戦艦武蔵まで、日本の兵器産業のトップとして、国民の安全に貢献してきたはずだったが、弟企業の体たらくとソツクリな「問題」が報じられていない……。

 ちなみに〇一〜〇三年の三年間で、防衛庁から三菱重工に天下りした課長相当以上の幹部自衛官らは計十八人。そして現在、三菱重工には顧問、嘱託合わせ計五十一人の防衛庁・自衛隊OBが勤務しているという。……

「そもそも今、社会から糾弾されている三菱自動車は、旧三菱財閥の創業百年にあたる一九七〇年に重工の自動車部門が独立してできたもの。

 そして同じく指弾されている三菱ふそうトラック・バスは三菱自動車から分離した会社です。

 逮捕された三菱自動車の河添克彦元社長も、ふそうの宇佐美隆前会長も重工出身者。三菱自動車で起きたことは、三菱自動車特有のことではなく、三菱重工の体質であるという推測は十分になりたつことなのです。特に防衛産業は、『民より官』、『外より内』を向いていても、問題を指摘されることが少ない産業です。……

 

ところが悲しいことに、軍部どころか、ブッシュ政権自体と軍需産業との結びつきは、明々白々です。

ですから、次の「しんぶん赤旗(2003年11月4日付け)」の記事「ソ連崩壊後の過去十年間をみても、欧州主要国はどこも軍事費を削減しています。……ブッシュ米政権は、軍縮に向かう世界の流れを逆転させようとしています」に注目して下さい。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-11-04/07_04.html)

 

 「対テロ戦争」を口実にブッシュ米政権が軍事費増額の圧力をかけても、世界の多くの国々は軍事費削減の努力をしています。ソ連崩壊後の軍縮の流れに逆行し軍事費を増やし続け、世界第二位の軍事費大国に躍り出た日本の異様さが浮かび上がっています

ソ連崩壊で欧州主要国も

 ソ連崩壊を契機に米国を含む世界の多数の国が軍事費を減らし、一九九〇年代は軍縮の流れが続きました。ソ連打倒のためにレーガン米政権が大軍拡をした八五年と比べると、昨年の世界の軍事費総額は63・1%と、四割近くも減っています。

 ソ連崩壊後の過去十年間をみても、欧州主要国はどこも軍事費を削減しています。……

 ブッシュ米政権は、軍縮に向かう世界の流れを逆転させようとしています。一昨年の9・11対米同時テロ以降は「対テロ戦争」の看板を掲げて自ら大軍拡に転じ、その波を世界中に広げようとしています。SIPRI年鑑によれば、〇二年の世界の軍事費は前年比で6%増加しました。

 増加額の75%は米国によるもの。世界の軍事費の43%を占める米国が10%増額したことが、軍事支出全体を押し上げました。しかし世界の多くの国は、米国が吹く軍拡の笛に踊っていません。

 「世界の(軍事)支出の趨勢(すうせい)をみれば、米国以外の世界は、軍事費を増大する米国の見本に従う用意も余裕もないことが示されている」―SIPRI年鑑は結論づけています。……

 

 (注:上記のグラフでは、2002年度は、1993年度の次にプロットされている為、米国の軍事費は減少の一途を辿っているように見えます。

しかし、前年の2001年度に比較すれば、記述通りに、2002年度は、「10%増額」されているのです。)

 

 因みに、毎日新聞(20021024日付け)は、次のようです。

ブッシュ米大統領は23日、過去最大規模となる総額3550億ドル(約44兆円)の2003会計年度(02年10月〜03年9月)国防歳出予算案に署名し、同予算は成立した。対テロ戦争の継続やイラク攻撃への準備を背景に、前年度に比べて370億ドル(約4兆6000億円)、率にして11.8%の増加となった。……

 

田原氏は、このように軍需産業との癒着したブッシュ政権の異常さに当然気が付いている筈なのに、何故“″戦争の大義〃なるものは全て戦勝国が奪い取り”等と「勝てば官軍」的な古くさい発想を持ち出すのでしょうか?

 

そして、毎日新聞(6月21日付け)の次なる記述に引き付けられました。

 

 今年のアカデミー賞の最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞した「フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白」を、見ることが出来た(日本公開は9月)。

 映画は、ベトナム戦争を指揮したマクナマラ元国防長官のインタビューを中心に、「戦争の世紀」20世紀を総決算する。

 氏は、自身の体験から「フォッグ・オブ・ウォー(戦争の霧)」と呼び、戦争の危機が起こると、賢明な政治家でさえ、霧に包まれたように混乱していくと指摘する。……

 「人は何度でも同じ過ちを犯す。3度ミスすれば、4度目には避けられるかもしれないが、核の時代には通用しない

 体験から、氏は11の教訓を映画で紹介する。

 「敵の身になって考えよ」「人は善をなさんとして悪をなす」……。

 

 ブッシュ氏のポチと云われる小泉氏は、全てブッシュ氏の身になって考えているようですが、ブッシュ氏のお父さんに裏切られた(?)フセイン氏の身になって考えては如何でしょうか?

 

 朝日新聞(611日付け)には次の記事があります。

 

 小泉首相は10日夜(日本時間11日朝)、サバナ市内で記者会見し、国連安保理のイラク新決議を受けて編成される多国籍軍に自衛隊を参加させる方針を正式に表明した。……

 イラクの対外債務の削減問題では「日本は世界の中で最大の債権国。イラクの復興に対外債務が足を引っ張ってはならない。日本として柔軟に対応したい」と語った。……

 

 イラクに対して「日本は世界の中で最大の債権国」と云うことは、フセイン氏時代のイラクに対して、と云うよりフセイン氏に対して、日本が最も協力的な国であったことの証拠ではありませんか?!

 

 だからこそ、湾岸戦争前、通称「中曽根ロード」の建設などでイラク(フセイン氏)に多大の貢献をしていた中曽根元首相が、フセイン氏と直談判して、人質となっていた日本人の解放に成功したのではありませんか!?

(拙文《戦争なんかいらない》も御参照下さい)

散々、フセイン氏をバックアップしておいて(自分達が暴君(?)に育て上げておいて)、今更、「イラクを暴君の圧政から救出した」の台詞を吐いていては、イラク国民をバカにするのも程があります。

 

 それにつけても、日本の債務がどのくらいかと申しますと、朝日新聞(20031229日付け)には、次のように書かれています。

 

小泉首相は29日、イラクの対外債務削減問題を協議するため来日した米国のベーカー大統領特使(元国務長官)と東京都内のホテルで会談した。首相は「04年中にパリ・クラブ(主要債権国会議)において、相当の債務削減を行うことを約束する」と、公的債務の削減に応じる考えを表明。……

 日本はイラクに対し、日米欧など19カ国でつくるパリ・クラブの中で最大の41億ドル(約4400億円)の公的債権を持っており、遅延損害金を入れると約70億ドルに上る。日本はすでに、イラク復興支援のために50億ドルの資金拠出を表明しているが、相当額の追加負担が避けられない見通しだ。……

 

 あまりにも理不尽なことではありませんか!?

日本はフセイン氏と仲良くしていたからこそ、イラクに41億ドルも注ぎ込んでいたのではありませんか!?

それなのに、「大量破壊兵器撲滅」、「イラクの民主化」等と訳の判らない大義の下で、イラクに攻め込んだ米国の提灯持ちをした結果、なんだかんだと100億ドル(1兆円)近くも負担しなくてはならないとは一体何事ですか!?

 

 ブッシュ氏の父親には、「湾岸戦争」の際、日本は同じように100億ドルを貢いでいます。

 

 この様な、ブッシュ親子による「マッチ・ポンプ的な戦争」に、併せて200億ドルも貢ぐ程、そんなに日本は金持ち大国ですか?!

朝日新聞(626日付け)は、次のように書いています。

 

 財務省が25日発表した今年3月末現在の国債や借入金の残高状況によると、国の借金は計703兆1478億円で、初めて700兆円を超えた。1年前に比べて34兆円(5・1%)増。社会保障費などの歳出をまかなうために発行する普通国債や、特殊法人向けに財政投融資の原資を調達する財投債(国債の一種)が膨らんだ。

 特殊法人が発行する債券などを国が保証し、「隠れ借金」といわれる政府保証債務が58兆円あるほか、地方の長期債務も約200兆円にのぼる。今回発表になった国の借金と合わせ、1千兆円近くになる計算だ。

……

 

現在、日本の国家予算は年間だいたい80兆円です。

しかし、税収は、40数兆円しかありません。

この差額の30数兆円を国債を発行(借金)して補っているのですから、当然の帰結です。

このままではドンドン国の借金は増え続けます。

小泉氏は、借金してまで、ブッシュ氏に貢いでいる場合ですか!?

 

 こんな借金ドブ浸かりの日本が、何故存続出来てのでしょうか?!

それは、私達が一生懸命に蓄えた「個人金融資産 1,400兆円」を、国がいわば横領しているからです。

(穏やかに言えば、私達の「個人金融資産 1,400兆円」を勝手に国債の支払い費用に回しているのです。)

 

 この件に関しては、拙文《国債音痴の政治家と田原総一朗氏》の一部を再掲します。

 

先の拙文《銀行、郵貯、国債の悪》等にも引用させて頂いた「銀行と株(吉田春樹:東洋経済新報社)」に記載された「日本興業銀行調査部作成」による、2000年末の個人資産の流れを一見すれば、誰しもビックリするはずです。

 

600兆円の国、地方公共の債務の引受先(2000年末時点)を、再度抜粋させて頂きますと以下のようです。

 

1)        郵便貯金の総額:255兆円の98%の251兆円

2)       民間預金の総額:465兆円の40%の187兆円

3)      機関投資家(投信、年金、保険等)から158兆円

 

この第3項の機関投資家の内、年金基金が占める割合は私には不明なのでこの点はさておきまして、先ず郵便貯金は殆ど全て国債地方債に食われてしまっているのです。

更には、銀行預金の40%もが国債地方債に向けられているのです。

 

 それに、国民年金、厚生年金の積立金はどうなっているのでしょうか?

拙文《年金ジャーナリスト岩瀬達哉氏の大罪》等では、役人政治家達の「年金積立金運用に対する怠慢行為」の責任追及をすべしと書いてきましたが、「年金積立金の運用ミス」どころか、「年金積立金が国債、地方債などに化けている」のでは?!

従って、「年金が赤字!」だと云っても、おいそれと「積立金の取り崩しが出来ない」のでは?


この様に国の財政がガタガタの状態で、ブッシュ氏のご機嫌を取る為に、小泉氏は大判振る舞いをしていて良いのですか!?

世界が軍縮に向かっている最中「世界の軍事費の43%を占める米国」を、更なる、軍事超大国へと仕向けるブッシュ氏に尻尾を振ってついて行くのは、世界の平和の為に、そして、日本の財政の健全化の面からも、どうか止めて下さい!

そして、首相の座から下りて下さい。

 なにしろ、小泉氏は首相の座に居座る期間が増える程に、発言の一貫性が失われて行きます。

先ずは、拙文《自衛隊と軍隊 どっちが分かり易い?》の一部を抜粋します。

 

小泉首相は、本年520日の参院有事法制特別委で、自衛隊について次の如く答弁した旨、朝日新聞記載されていました。

 

外国の侵略に対して戦う集団となれば、外国からみれば軍隊と見られても当然でしょう。……私は実質的に自衛隊は軍隊であろうと。

 

 更に、先日、ラジオから、次のような小泉発言が飛び込んできました。

 

 今のままでは、「自衛隊」は、「軍隊」だかなんだか判らない。

小中学生にも判るように、もっとはっきりとすべきである

 

 この様に、「外国」にも、又、「小中学生にも判るよう」に、「いずれ憲法でも自衛隊を軍隊と認め」と発言していながら、今回の多国籍軍の問題になると次のような発言に変わります。(朝日新聞:622日付け)

 

 「時間がかかるでしょうね。理解してもらえるが、時間がかかる」。小泉首相は22日、朝日新聞社などの世論調査で、自衛隊の多国籍軍参加に反対意見が多いことについて、こんな感想を漏らした。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 首相は「多国籍軍ですからね。『』という考え方を誤解しているところがある」と、多国籍軍という名称が武力行使を連想させ、反対意見に結びついているとの見方を示し、「国連決議が全会一致で採択されイラクに主権移譲される。いい傾向に変わってきている。それがわかれば理解してもらえる」と語った。

 

 と、「多国籍」というは、「武力行使」をしないのだとの見解を強引に私達に押し付けようとしています。

自衛隊に比較したら、多国籍軍の方がよっぽどではありませんか!?

なのに、小泉氏は「多国籍軍は軍でなく、自衛隊は軍である」と発言しているのです。

こんな方は早々にお引き取り願いたく存じます。

そして、若し自衛隊の名前を変える必要があるのなら、「人道復興支援隊」とでも変えて下さい。

 

 しかし、こんな小泉氏を“2度目の訪朝は成功だった”等と田原氏は最近盛んに支持するのは何故でしょうか?

そして、戦争に関しては、“″戦争の大義〃なるものは全て戦勝国が奪い取り”等と古い常識にしがみつく田原氏ご自身は、自著『田原総一朗の聞き出す力:カナリア書房』の最後を次のように飾っているのです。

 

 僕の仕事に即して言えば、プロは反常識、非常識の発想が必要である。常識を言っていたのでは、誰にも相手にされない。ただし、反常識、非常識が、次なる常識にならなければ、たんなる変わり者にすぎない

 次なる常識を作るためには、常識の範疇を越えた仮説を立てることだ。そしてその仮説が次なる常識になったときに、その人物はプロとして認められる。そのためにはたくさんの情報を集めることが必要である。情報カ、そして創造力、この両方がないと仮説は作ることができない。……

 おそらくこれからの世の中は、仮説が作れる人間と仮説が作れない人間に見事に大別されるはずだ。仮説が作れる人にとっては、この社会は隙間だらけ、いくらでも事業は起こせるし、組織の中でも好きなことができる。ところが仮説が作れない人間、これはもうこき使われるしかない。

 だから、仮説が作れる人間には、希望がある。

 

 新しい常識となるかは別としまして、吉田司氏は次のような提案をしています。

 

この普通の軍隊とは違う奇型イメージ(非暴力国家ニッポンの軍隊)こそが、アジアに展開した非暴力商人=団塊の世代が築き上げた、決してこわされてはならない大切な世界的価値である。それは、むしろいよいよ広く深く、この世界争乱の時代へのアンチテーゼとなって、苦しんでいる世界民衆の間に流布していることを物語っている。

 団塊の世代と共に育った日本の(平和経済力)もなお有効である。例えば、石破防衛庁長官が言うように、アメリカは日本への石油封鎖をやれるものならやってみるがいい。日本はアメリカの国債を世界一多く買い支えして、アメリカ大赤字経済を裏支えしているその国債を日本が世界市場に一斉に放出したら、一時問も持たず、今のブッシュ政権下の経済は崩壊する。その結果、モチロン日本経済もEU圏経済も大打撃を受け、世界は大恐慌状態におちいるだろう。つまり世界が破滅する。真実を直視すれば、団塊の世代が先兵となって築き上げた日本の、その平和経済が持つ破壊力は、核爆弾何百個分にも相当するだろう。なんで、これ以上の自衛主義(軍事立国)や暴力憲法への改変が必要だろうか?

 

 いわゆる軍隊に、人殺し武器に、平和をもたらす能力がないことが、イスラエル/パレスティナ問題、アフガニスタン攻撃、イラク侵略等で明白になっている今、この吉田氏の問いかけ「これ以上の自衛主義(軍事立国)や暴力憲法への改変が必要だろうか?」を、私達は(田原氏とて)真摯に受け止めるべきではありませんか?

 

 評論家の岡崎久彦氏の口癖である

“日本は、米英(アングロサクソン)と同盟を結んでいれば孫の代まで安全”

との軍事力を背景にした安全確保は、あまりに安易ではありませんか!?

外交は何の為にあるのですか?!

“外交は国家間での手練手管を尽くした駆け引きだ”と真しやかに言われていますが、本当にこんな認識で良いのですか?!

こんな認識(常識)は時代遅れとすべきではありませんか?!
そして、田原氏の唱える新しい常識に塗り替えるべきではありませんか?!
 

 即ち、先ず、私達は“外交は国家間が誠心誠意、理を尽くしての話し合い”との認識(常識)に切り替えるべきではありませんか?!

 国民の運命を預かる人間がいつまでも「詐欺師的人間」で良いのですか?!

朝日新聞(616日付け)には次の記事が載っていました。

 

 与党の教育基本法改正に関する検討会は、16日にまとめる「中間報告」で焦点となっていた「愛国心」をめぐる表現について、自民、公明党案を併記する方針を固めた。自民は「郷土と国を愛し」と表現するよう求めたが、公明が「戦前の国家主義を思い起こさせる」などとして、「郷土と国を大切にし」とするよう主張。調整がつかず併記し、7月の参院選後に先送りした。……

 

 国民を代表する政治家達が「詐欺師的人間」であったら、「愛国心」やら「郷土と国を愛し」等という心が子供達に芽生えますか?!

自国の政治家達を、子供達が尊敬出来るなら、自然と「愛国心」やら「郷土と国を大切にし」等という心が子供達に芽生えて来るのではありませんか?!

 

 それでも“政治家に倫理観を求める程愚劣なことはない”との常識が異論を唱えるでしょうが、こんな常識も打破すべきです。

  

 この常識を覆す「理を尽くして丁々発止と渡り合う外交交渉」の例を、次の朝日新聞(59日付け)の記事に私は見ました。

 

……最後の激しい通商摩擦といえる95年の日米自動車協議でぶつかり合った橋本龍大郎元首相(当時、通産相)とミッキー・カンター弁護士(同、米通商代表)に日米交渉の舞台裏と現在の日米関係を聞いた。

……

 自動車協議では、日本政府は高級日本車に100%の制裁関税をかけようとする米国を発足直後の世界貿易機関(WTO)に提訴。日本側は自由貿易主義の論理を前面に押し出した。

 「米国が日本車へ制裁関税を課そうとした時に我々が一歩も引かなかったのは、日本車の販売が米国でどれだけの雇用を生んでいて、制裁で収益がどの州でどれだけ減るかという数字を全部持っていたからだ。確かに日本の自動車はめちゃめちゃに影響を受ける。しかし、お前のところも無傷じゃないよ、こういうのは相打ちだぜ、と。カンターが顔色を変えて『ひきょうだ』と言ってどなり出した時もある。『なんだい、教えてあげるのがひきょうかい?』って。そんな交渉だった」……

(以上は、橋本氏)

 

以下は、ミッキー・カンター氏)

 

……昨年トヨタ自動車は米国で市場占有率が一時的に2位になり、米国がオープンな市場であることを示した。日本メーカーは米国の部品をたくさん買って、米国の労働者を雇用し、米国に税金を払うようになった。日本の自動車メーカーはこの25年間、米国でよく頑張った

 日本の自動車産業は米国経済の不可欠な部分になりつつあるし、米国経済は日本経済にとって不可欠なものだ。

 米国は80年代に生産性や品質の向上を日本から学んだ。日本は米国から企業統治の手法や株主重視の経営などを学び、お互いに学び合う関係だ。

 日米関係は70年代以降着実にオープンになっている。将来は完全にオープンになる必要がある。

日米間で自由貿易協定(FTA)が結ばれることを望んでいる。

 

 誰でも、両親の背中を見て成長してきたのです。

そして、国民は政治家の背中を見て育つのです。

教育基本法改正」だ、「憲法改正」だと云う前に政治家自身が子供達に、国民に尊敬される人物になるよう心懸けるべきではありませんか!?

(「人生色々」等とふざけた答弁をする小泉氏には即刻ご退場願うべきです!)

 

 そして、私達自身も、日々「子供達の手本となるよう」努力して生きて行くべきではありませんか?!

更には、御自分の、そして又、日本のお子さんでない、イラクの少年モハマド・ハイサム・サレハ君(11)の目(戦闘の巻き添えで左目を失明)の(日本での)治療のために尽力されながら、イラクで殺害されたジャーナリスト橋田信介さんの生き方が、今後の私達の生きて行く道を暗示しているようにも感じられます。


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