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拉致問題の暖簾を掲げる政治家達(1

2009915

宇佐美 保

 野中広務氏と辛淑玉氏の対談を綴った『差別と日本人 発行所:滑p川書店 2009年6月10日発行』に於いて、拉致問題に関しての小泉純一郎氏の北朝鮮との対する悪辣な交渉態度を、野中広務氏が暴露していますが(先の拙文《小泉純一郎氏の裏を語る野中広務氏》をご参照下さい)、野中氏の北朝鮮に対しての態度は、どうだったのでしょうか?

 

先の暴露発言の続きは、次のようでした。

野中氏の訪朝野中氏の
野中 ……僕は一九九〇年に初めて訪朝して以来、もう八回北朝鮮に行ってるんで、よくわかっているけれども、
北朝鮮の外交交渉担当者は実に強(したた)かだ。
なのに、よく五人の大人と、そのあと子どもを帰してくれたなと思ったが、
やはり裏があったんだ
九〇年に訪朝されているということは、金丸・田辺訪朝団の時なんですね。ということは、金日成さんにも会った?
野中 ああ、会っている。
あの人どんな人でしたか?
野中 そりゃあまあ、大した人でしたよ。
野中さんたちは向こうで宿泊されて?
野中 もちろん。百花園に泊まっとったんだけど、急に夜中に妙香山へ連れていかれて、寝台車に乗って、そこにビールやらお茶やら茶菓子やら全部置いてある。一時間半ぐらいかかったかな。着いて、それが妙香山という接待所だとわかった。

もう最高の接待所ですよね。

……
それ以降の訪朝というのはどんな目的で?
野中

最初からいきなり、いま問題になってる核査察を受け入れろという交渉をやらされたんだから。労働党と自民党との第一回会談ですよ。他の議員は芸術交流とか青少年交流とか、口当たりのいい話ばっかり担当しようとするんだ。しかしIAEA(国際原子力機関)の査察を受け入れろっていう話は誰もやらへん。そんな時金丸さんが僕を呼んでいうわけ。「野中、おまえ、悪いけどな、悪い役やってくれ」って言って。「しゃあないですな」ってやった。

 僕の前におる北朝鮮の書記なんて、十人全員、日本語のわかる優秀なのばかり。僕がしゃべっておる最中にバーンと立って、「あんたは日本政府を代表してかー、自民党を代表してかー」って言うんですよ。その横に座っていた人も真っ青になって興奮しとったな。

 ただ、座長役の党中央委書記の金容淳は上座におって、きゅ一つと怒った顔をしとったけども、じいっと黙ってた。しかし僕の言葉が終わるなり、「あなたは一番この中で友好的でない人だ」と。さらに「これだけみんな友好的に話し合ってるのに、南に千の核があるのに、どうしてこちらに来て、あなたはこの会談で核の問題を出すんだ」と言った。

それで野中さんはなんて返したんですか。
野中

あなたの国が世界に開かれた国になろうと思えば、この査察を受け入れるべきだ。

そうでなかったらあなたの国は真の国際国家になり得ない」と言った。僕の隣に外務省の書記官がおったけれども、「もっとやってください」と僕のヒザを叩いて再三言っていた。

お互いに激しくやりあった。

 そうしたら司会役の山村新治郎が、「野中さん、もうここらで、ここらで」と締め括って、金容淳が「あなたは絶対に友好的な人でないから、これから何回も来なさい」って。

何回も来なさいっていうのがおかしいですよね。
野中

ね。「われわれの真意をわかりなさい」って、何回も行かなければならなくなった。

それで一番の友人になった

でもそれが外交の一番の基本ですよね
野中 そうですよ。
拉致問題の解決をアメリカに頼る向きもありますが、その方法は有効だと思いますか。
野中 アメリカほ三十八度線から早く撤収したいんですよ。イラクで失放しアフガンでも失敗している。だから北と南の負担を軽くしたいんですよ。これはもうアメリカの本心なんだ。
だから日本はアジアの中でうまくやってくれよっていうことですよね。
野中

そう。……

 

 この野中氏の発言の中に、「よど号ハイジャック事件」の際、乗客の身代わりの人質になり、犯人らと共によど号で北朝鮮に向かって後に、帰国し、1992年、自民党訪朝団団長として北朝鮮への訪問を翌日に控えた412日、精神疾患を患った24歳の次女に自宅にて出刃包丁でメッタ刺しにされ惜しくも急逝された山村新次郎氏が登場されています。

 

拉致問題の解決は、小泉氏でもなく、安倍氏でもなく、野中氏或いは山村氏に委ねる事が出来ればと思う私には、山村新治郎の死が残念で溜まりません。

 

 なにしろ、2002917日の日朝首脳会談の際、小泉純一郎首相(当時)と共に、平壌に赴いた安倍晋三官房副長官(当時)は、首相の座を小泉氏から引き継いだ後にも、北朝鮮には強硬姿勢(表向き?)を貫き通していました。

(これらの件は、拙文《「安倍氏の美しい国」の先は行き止まり》、《安倍首相の闘う相手は国民ですか?》、《醜い国の首相に相応しい安倍晋三氏》、《曽我ひとみさんをご家族のもとへ帰して(2)》などもご参照下さい)

 

 そして、安部氏は、北朝鮮がらみの奇怪な事件にも関与されているようなのです。

この件を週刊金曜日(2009.8.21号)『国策捜査第17回特捜部が描いた不可解な被害者なき詐欺事件』就いてのジャーナリストの青木理氏の記述を引用させて頂きます。

 

……在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)中央本部の土地・建物の売買をめぐり、公安調査庁長官などを務めた緒方重威氏らが東京地検特捜部に「詐欺」容疑で逮捕・起訴された事件である。

 実際、不自然な点ばかりが日立つ事件だった。

 まず、公安調査庁長官や高検の検事長を歴任した「大物ヤメ検」の緒方氏がなぜ、朝鮮総聯本部の土地・建物の売買取り引きなどに関与することとなったのか。また、法務・検察はなぜ、東京地検特捜部まで動員し、事実発覚から半月にも満たぬ捜査で元検事長を逮捕するという前代未聞の拳に出たのか。そして何より、「被害者」とされたはずの朝鮮総聯側が「騙されたとは思っていない」と訴え続けているにもかかわらず、緒方氏らが「詐欺」容疑に問われるという奇態な事件の真相はいったいどこにあったのか……。

 

 

 「実際、不自然な点ばかりが日立つ事件」で、事件の概要が掴み難いので、青木氏は、事件の概要を次のように纏められております。

 

 

総聯本部の土地・建物をめぐる事件概要

 

 緒方重威氏らが朝鮮総聯本部の土地・建物をめぐる取り引きに関わることになった背景には、バブル崩壊後に総聯が置かれていた窮状があった。

 バブルが崩壊すると、多くの他の金融機関と同様、総聯系の信組も各地で破綻し、RCC(整理回収機構)は債権のうち約627億円が実質的に総聯向け融資だったとして、総聯を相手に債務返還を求める訴訟を起こしていた

 この判決が2007618日に言い渡される予定で、総聯側が敗れれば、組織のシンボルともいうべき本部が差し押さえられかねない状況に陥っていた

 そこで総聯と代理人の土屋公献弁護士は緒方重威氏側に相談を持ちかけ、概略で次のような売買スキームを計画した。

 まず、緒方氏が代表を務める会社が投資家から資金を集め、総聯本部の土地・建物を適正価格(35億円)で買い受ける。

売買代金である35億円はRCCに和解金として支払う一方、総聯側は5年後に本部を買い戻すこととし、買い戻し価格は42億円とする。また総聯側は年間15000万円を「使用料」として支払う──。

 こうしたスキーム自体はバブル期の債務返済に喘ぐ企業などで行なわれた手法であり、違法性はない。しかし、この事実が発覚すると安倍首相(当時)や自民党が激しく反発し、東京地検特捜部がスピード捜査に着手。当初の容疑は「電磁的公正証書原本不実記録・同供用」であり、本部の差し押さえ逃れための強制執行妨害罪を視野に入れていた。

 ところが、最終的に逮捕されたのは緒方氏例の関係者3人であり、容疑は「詐欺」に変質していた。

 

 

 このように

こうしたスキーム自体はバブル期の債務返済に喘ぐ企業などで行なわれた手法であり、違法性はない
と言うスキーム(手法)が何故「詐欺」となったのでしょうか?

何故、事件となったかと言うと、次の記述からも

対北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)政策での強硬姿勢を最大の売り物としていた当時の安倍官邸の影

がはっきりしてきます。

 

 

 しかし、東京地裁は七月一六日、緒方氏に懲役二年一〇月・執行猶予五年の有罪判決を言い渡した。無実を訴えた緒方氏側の主張はまったく顧みられず検察の描いた奇妙奇天烈な絵図のみをほぼ全面的に追認したのである。

……結果、浮かび上がってきたのは、対北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)政策での強硬姿勢を最大の売り物としていた当時の安倍官邸の影と、官邸や与党・自民党の激しい憤りを付度して「組織防衛」に躍起となった法務・検察のグロテスクな姿である。

……

 

 

 

このように、「官邸や与党・自民党の激しい憤りを付度して
「組織防衛」に躍起となった法務・検察のグロテスクな姿」は、
今回の選挙前の民主党小沢一郎代表がらみの「西松建設問題」にも、当然反映されていると思わずには居られません。

全く恐ろしい事です。
(『
従軍慰安婦を扱ったNHKの特集番組(20011』への安倍氏の介入などは日常茶飯事だったのでしょう)
日本は闇です。

(それでも、今回の選挙で自民党が負けた事で、日本の夜明けとなることを期待します)

 

 

 そして、青木氏の記述にもありますが、「本部が差し押さえに遭いかねないという窮状に陥っていた朝鮮総聯に対し、元公安調査庁長官という経歴を持つ緒方氏が、何故救いの手〃を差し伸べようとした」のでしょうか?

 

 

……緒方氏はワークショップ(筆者注:元自民党参議院議員村上正邦氏と、『週刊金曜日』の編集部が運営を担当する「日本の司法を考える会」が不定期的に開催)の中であらためてこう訴えた。

「昭和ヒトケタ生まれの私は、戦後間もない時期に苦労して満州から引き揚げてきた経験があり、祖国や秩序の重要性というものに強い思い入れがありました。だから検事を志し、検察でも公安部門を主に歩んできた。公安調査庁が朝鮮総聯を調査するのも当然だと考えてきました。しかし一方で、総聯本部が日本における北朝鮮の大使館的な役割を果たし、故郷に親族のいる在日朝鮮人の方々にとっては祖国との窓口になっていたことも知っています。祖国や民族を大切に考える在日朝鮮人の方々の気持ちも良くわかる。その総聯本部がなくなってしまえば、彼らを棄民のような状態に追い込んでしまいかねないと思ったのです」

 元公安検事であり、公安調査庁のトップまで務めた経歴を持つ人物の言葉としては、俄には信じ難い部分もある。だが、緒方氏のこの訴えは、逮捕以前の記者会見段階から終始一貫しており、まったくブレを見せていない。また、軽佻浮薄な北朝鮮バッシングの言説ばかりが横溢する昨今の日本の風潮を思えば、緒方氏が発するアンビバレントな感覚こそ、戦中・戦後の混乱期に塗炭の苦しみを味わった世代に刻み込まれたバランス感覚にも思えてくる。

 

 

 更に、緒方氏の行動が、このような「在日朝鮮人の方々」への配慮だけではなかったとも告白されておられます。

 

 

……私の中には公安的な発想″もありました」

……「朝鮮総聯を調査・監視してきた立場から考えても、組織の本拠が消滅してしまうことは決して望ましくないんです。本部がなくなれば組織が散り散りとなり、場合によっては地下に潜ってしまって活動が見えにくくなつてしまう。むしろ、本部があることは調査する立場からも好都合──率直に言えば、そんな思いもありました」

 

 

 緒方氏の言い分は、ここまでは誰からも疑いの目を向けられる点は皆無と思います。

しかし、只一点の難は、次の「胡散臭い人物たちと深い交遊」と言うことになるのでしょう。

 

 

……また、緒方氏が極めて胡散臭い人物たちと深い交遊を持っていたことも事件当時、強い批判の的となった。実を言えば、緒方氏が朝鮮総聯本部の取り引きに関わることになったきっかけをつくつたのも、そうした人物だった。不動産会社「三正」社長の満井忠男氏である。

 東京・千代田区に本社を置いていた「三正」は、バブル期に不動産投資で急成長したが、バブルが崩壊すると多額の負債を抱えて経営破綻した。同社を率いた満井氏は政界等に怪しげな人脈を抱えていることで知られ、一九九八年には強制執行妨害で警視庁に逮捕もされている。いわゆる「バブル紳士」に分類される人物だ。

 緒方氏は検察退官後、そんな満井氏の刑事弁護を担当したことをきっかけに親密な関係となつた

朝鮮総聯本部の案件を緒方氏の元に持ち込んできたのも、総聯幹部から相談を受けた満井氏だった。

結果、緒方氏は満井氏とともに「詐欺」容疑で逮捕きれることになったのである。

 

 

 それにしても、「いわゆる「バブル紳士」に分類される人物」が取引のきっかけを作ったとはいえ、それでその取引に難があるとも、それに乗った緒方氏に難が有るとも言えない筈です。

 

 

 更に、緒方氏の話です。

 

 「満井氏のような人物と深い関係にあったことは、検事長などを務めた人間として軽率な点があった。

この点については真摯に反省しています。また、私が総聯本部の取り引きに関わった動機にも、さまざまな批判があるでしょう。しかし、満州からの引き揚げ体験などが理由だったというのは決して偽りではないし、私は一連の取り引きの中で違法行為などに一切手を染めていない。ましてや『詐欺』などという汚名を着せられることは断じて容認できません

 

 

 このようにして、

違法行為などに一切手を染めていない」人物が、
『詐欺』などという汚名を着せられる」この国は、
「美しい国」なのでしょうか!?

 更には、このような策略を弄する人物が「美しい国」の首相に相応しかったのでしょうか!?

安倍氏の介入がなければ、緒方氏ご自身のこの件への登場がなかった事を、青木氏は紹介してくれます。

 

 

 一寸掻い摘んで書きますと、次のようになります。

 

 たとえば、緒方氏らが総聯本部の取り引きに関与する以前、総聯と土屋弁護士はRCC(整理回収機構)側と和解に向けた交渉を続けていた。……

 これは計七〇億円の支払いでRCCと朝鮮総聯側の和解交渉が進み、金融庁のお墨付きも得られつつあったことを意味する。……

ところが07125日の土屋弁護士メモには、一転してこう書かれている。

(金融庁に会ったが、官邸がダメ 安倍が記者の前で「更地になったら見に行く」)

 つまり、七〇億円の線で進められていた和解案は、強硬姿勢に固執する安倍官邸の強い意向でひっくり返された。この後しばらくして取り引きに登場したのが緒方氏だったのである

(この件に関する青木氏の記述も長くなりますので、(補足)にて紹介させて頂きます)

 

 

 何故、安倍氏は北朝鮮に対してこのように強硬な(強引な、司法への介入と言う違法な)手段を講じるのでしょうか!?

このような強硬な態度を北朝鮮側に見せても「拉致問題」は解決するどころか、暗礁に乗り上げるだけです。

 

 このような安倍氏の姿勢は、「拉致家族の方々へのポーズ」としか私には思えません。

即ち、実質的には、「拉致問題」の解決が全く出来ない(する気もない?)のに、強硬姿勢の演技をすることで、「拉致家族の方々」を欺き通す積りなのかもしれません。

 

 それとも、北朝鮮への強硬姿勢を演技する裏で、「週刊誌」などが書き続ける「安倍氏の北朝鮮との裏取引」を進めようとしていたのかもしれません。

先の拙文《安倍首相の闘う相手は国民ですか?》でも引用させて頂きましたが、『週刊現代(2006.10.28号) 柳在順と本誌取材班 “安倍晋三首相が密約した「北朝鮮ロビイストに5000万ドル」”』の一部抜粋させて頂きます。

 

 本誌は先週号の「安倍晋三は拉致問題を食いものにしている」という記事で、安倍首相が‘03年に行った北朝鮮への「媚朝外交」を暴露した。それは、大略次のような内容だった。

 ‘038月、前年に小泉純一郎前首相が切り拓いた北朝鮮外交の成果を、密かにわがものにしようとした安倍官房副長官(当時)は、朝鮮族の中国人大物実業家崔秀鏡氏(56歳)を頼った。崔氏は北朝鮮の独裁者・金正日総書記や父親の故・金日成主席と20年間にわたって親しくつきあってきた男だ。そんな崔氏を安倍は日本に招待し、自分の別荘がある河口湖畔のホテルで、昼食を交えて約2時間半にわたって、極秘会談を持ったのだった。その約1週間後には、安倍氏の腹心の部下である政策秘書・飯塚洋氏が北京に飛び、崔氏と3度にわたって折衝している。……

 

……今回はさらに、崔氏が本誌に暴露した、もっと許しがたい安倍首相の売国外交を公開しよう。

 崔氏は、次のように語ったのだった。

「実は私は、北朝鮮の食糧事情が悪化した‘90年代半ばに、金正日総書記に頼まれて、大量のコメ、トウモロコシ、肥料などを北朝鮮に輸出しました。その時の代金のうち、5000万j(約60億円)ほどが、いまだに未回収なのです。安倍氏側は、私が安倍氏の望むような形で北朝鮮との交渉を成立させたら、その5000万jを立て替えてくれると提案したのです」

 具体的には、次のような取り決めだったという。安倍氏の外交顧問なる肩書きを持つ朴在斗(仮名・朴広)という韓国人が、安倍氏の保証のもと、日本の銀行から5000万jを借り受ける。そしてそのカネを、年利4%で崔氏に貸す。崔氏は3年(36カ月)以内に返済するものとする。だが、万一完済されなかった場合は、連帯保証人となる日本の中央銀行総裁相当の幹部が連帯責任を負うというものだ。

「表向きは一応、このような取り決めをしました。しかし万が一、私が返済できなくでも、日朝国交正常化がなされた暁に植民地時代の賠償金の代わりとして、日本から北朝鮮に多額の経済援助が実施されるはずだから、そこから5000万j分を抜けばいいというのです」(崔氏)

 これが事実なら、媚朝外交どころか、日本国に対する背信行為である。「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」と口癖のように言い続けてきた安倍首相は、裏では北朝鮮に対して、3年以内の国交正常化を確約していたも同然だ。

 加えて、われわれの血税を5000万jも、勝手に裏金として使う密約を交わそうとしていたとなれば、こんな男が日本の最高責任者たる首相を務める資格などないだろう。

 この時期も含めて昨年3月まで、北朝鮮との交渉を指揮してきた元外務省北東アジア課課長補佐(北朝鮮キャップ)の原田武夫国際戦略情報研究所所長も、驚きを隠せない。

「安倍官房副長官(当時)がそんな裏外交をやっていたなどとは初耳です。それが事実だとしたら、われわれが日々、外交ルートで積み重ねてきた交渉が、意味がなくなるわけで、非常に驚きを感じます。特にあの時期は、6カ国協議を立ち上げて、北朝鮮の核を封じ込めようと、関係各国が協力を始めた頃でした。こんなことがまかり通れば、日本だけの問題ではなくなります」

 

 

 この『週刊現代』の記述が誤りであるとしても、「拉致問題の解決」を標榜してきた安倍氏はどのような解決策を講じてこられたのでしょうか?!

 

 安倍氏が首相の座を投げ出した際には、これで安倍氏は政治の世界から身を引かれるのだと思いました。

ところが今回の選挙でまたもや議員の席を確保されました。

だとしたら、遣り残した「拉致問題」に専念して解決したいが為かと推測して、安倍氏のホームページを訪ねてみましたが、彼が掲げる3つの基本政策のうちの「外交」の部の末尾に次のように記されているだけでした。

 

……

一方、拉致問題の解決が重要な課題であり、日本は拉致問題が解決しない限り、北朝鮮と国交正常化はしないという基本方針は堅持していきます。

私は当初から拉致問題に取り組んで来ましたが、今後も拉致被害者家族の皆様と協力して問題解決に向け、全力をあげる決意です

 

 

 ここに書かれた「今後も拉致被害者家族の皆様と協力して問題解決に向け、全力をあげる決意」では、従来の彼の姿勢と何ら変わりません。

「拉致家族の方々」が、“北朝鮮への経済制裁を!”と訴えれば、先に記述しましたが、緒方氏を生贄にするといった類です。

 

 「拉致問題の解決」と唱えていれば、私達の税金から年間1億円余りの大金が「元祖 安倍屋」との政治屋さんの金庫に納められて行くのですから、「世襲政治屋」の暖簾はいつまで経っても外せないのでしょう。

だとしたら、「拉致された方々」、「拉致家族の方々」が御気の毒でなりません。

更には、帰還事業で北朝鮮に渡った人々(日本国籍を持った日本人妻およそ1600人も含まれる)も御気の毒でなりません。

 

 

(補足)

 

 青木氏の記述を続けます

 

荒唐無稽な事件構図

 

 あらためて振り返れば、東京地検特捜部が緒方氏らに科した「詐欺」の容疑事実は次の二点だ。

@資金調達の目処もないのに、総聯本部の土地・建物の所有権移転登記を行なつて騙しとった。

A資金調達のために必要だとの名目で総聯側から合計四億八四〇〇万円の現金を騙しとった。

 しかし、
@については誰が考えても荒唐無稽な絵図と言うしかない。かりに朝鮮総聯本部などを騙しとったとしても、おそらくは転売すらできないだろう。現に朝鮮総聯が入居しており、固定資産税を支払い続けて抱え込む以外に途がないような物件だ。また、緒方氏は取り引きの最中、総聯側代理人で元日弁連会長の土屋公献弁護士に関連書類や印鑑などをすべて預けており、資金調達が不調に終わったことが確実になるとただちに所有権を朝鮮総聯側に戻している。騙しとるつもりならば、最後まで登記を戻すのに抵抗するだろう。

一方、
Aの現金詐取については、「共犯」の満井氏に朝鮮総聯側から四億八四〇〇万円が渡っていたのは事実だった。本部買収の資金調達に必要なカネということで渡され、このうち一億円が緒方氏の口座に入金されていたのである。

 しかし緒方氏は、総聯側から満井氏に現金が渡っていた事実すら知らなかったと訴え、入金された一億円については、満井氏側への貸し付け金が返済されてきたものなどだと認識していたという。

 この訴えの真偽を軽々に断じることはできない。

 

 

 ここに書かれていますように、「騙しとったとしても、おそらくは転売すらできないだろう物権」を何故、詐取する必要があったのでしょうか?!

 

 又、「「共犯」の満井氏に朝鮮総聯側から四億八四〇〇万円が渡っていたのは事実」に対しては次に「朝鮮総聯側が「緒方氏らに騙されたという認識はない」との立場を示している」と書かれているのです。

(では、先の記述を続けます)

 

 

しかし、これに関する緒方氏の主張も一貫している上、何よりも朝鮮総聯側が「緒方氏らに騙されたという認識はない」との立場を示しているのだ。

総聯側代理人の土屋弁護士も同様であり、私の取材に土屋氏はこう語っているい「私はいまも緒方氏に騙されたとは思っていない

どう考えても緒方氏に詐欺などをする動機も利得もないし、すぐに発覚するようなことをして晩節を汚すはずがない」

 つまり特捜部が描き出したのは、「被害者なき詐欺事件」なのである。ワークショップに参加した元検事の弁護士も「こんな荒唐無稽な捜査は前代未聞ではないか」と言ってうめき声を上げた。

 にもかかわらず、東京地検特捜部は緒方氏らを「詐欺」容疑で逮捕した。それも、半月にも満たぬ超スピード捜査″で逮捕に踏み切ったのだ。

どう考えても無理筋の捜査に突き進んだ理由は何だったのか。

 

 

 実際に

「ワークショップに参加した元検事の弁護士も
こんな荒唐無稽な捜査は前代未聞ではないか」と言ってうめき声を上げた」のは当然です。

余りに酷過ぎるでっち上げ事件です。

何故こんな事件が作り上げられたのでしょうか?!

 

緒方氏が言う。

安倍官邸の激しい憤りを付度した法務・検察の組織防衛です。
北朝鮮や総聯に対する圧力政策を最大の売り物″とする安倍政権の下、
検事長や公安調査庁長官まで務めた私が救いの手を差し伸べるような動きをしたことに官邸と自民党は怒りを爆発させた。
それに法務・検察は強い危機感を感じたんです」

 

 

 こんな手段を用いて「拉致問題の解決」の暖簾を「政治屋 安倍商店」の店先に掲げてもらいたくありません!

 

 

 これは何も緒方氏の妄想ではない。状況証拠″ともいうべきものはいくつも列挙できる。

 たとえば、緒方氏らが総聯本部の取り引きに関与する以前、総聯と土屋弁護士はRCC(整理回収機構)側と和解に向けた交渉を続けていた。この最中、土屋弁護士は交渉経過に関する克明なメモを残しており、061114日の項には次のような記述がある。

(金融庁としては、40億+30億でOKのニュアンス)

 これは計七〇億円の支払いでRCCと朝鮮総聯側の和解交渉が進み、金融庁のお墨付きも得られつつあったことを意味する。また、この直前の同年118日の項にはこうも記されていた。

(官邸の井上という秘書官、当方の案を検討。安倍総理にも相談することになろう)

 井上氏とは、安倍首相の懐刀だった井上義行・政務秘書官(当時)である。

 

 

 このまま、「朝鮮総聯側」と「朝鮮総聯側」が和解していれば何の問題もなかったはずです。

ところが、「拉致問題の解決」の暖簾を掲げる「政治屋 安倍商店」が 次のように横槍を入れたようです。

 

 

ところが07125日の土屋弁護士メモには、一転してこう書かれている。

(金融庁に会ったが、官邸がダメ 安倍が記者の前で「更地になったら見に行く」)

 つまり、七〇億円の線で進められていた和解案は、強硬姿勢に固執する安倍官邸の強い意向でひっくり返された

 

 これでは、「朝鮮総聯側」は窮状に陥ります。

ですから、「戦後間もない時期に苦労して満州から引き揚げてきた経験」をお持ちの緒方氏が登場せざるを得なかったのです。

 

 

この後しばらくして取り引きに登場したのが緒方氏だったのである

 そして、総聯本部取り引きの事実がメディア報道などによって発覚すると、安倍首相は記者らに対して何度も不快感を露にした。また、当時の麻生外相は「ふざけてる」と言い放ち、自民党法務部会では法務・検察を非難する怒号が飛び交い、公安調査庁長官が平身低頭で詫びる姿も見られた。

一方、緒方氏は公安調査庁幹部から何度も事情を聞かれ、取り引きの目的などを懸命に説明した。

すると幹部からは、こう告げられたと言う。

総理秘書官は非常に憤っていました。いっそのこと緒方さんは『利得目的でやった』と説明した方がよかったかもしれません

 再び緒方氏が言う。

「批判の矛先が向きかねないことを恐れた法務・検察は、安倍官邸の看板に矢を向けた私を自力で除去〃しなければならないと考えた。朝鮮総聯本部の取り引きが明らかになった直後、官邸から法務・検察の上層部に『いったい何をやらせているんだ』と圧力がかかり、法務・検察内でも『OBがやったことだからといって放置していると、とんでもないことになる』という声が上がったと聞いています。だから法務・検察は(東京地検)特捜部まで動かし、異例の急ピッチでデタラメな捜査に突き進んだのです」

 

 

 このように「朝鮮総聯側」の窮状を見かねて「バブル期の債務返済に喘ぐ企業などで行なわれた手法であり、違法性はない」と言われる取引に手を貸した緒方氏を、「拉致問題の解決」の暖簾を店先に掲げる手前、「政治屋 安倍商店」の店主が、罪に陥れたとしたら、その店主は「美しい国」ではなく「醜い国」の首相に似つかわしい方と言うことになるのでしょう。(拙文《醜い国の首相に相応しい安倍晋三氏》もお訪ね下さい)

 

 更には、

無実の元の同僚(上司)を救うどころか、
自らの地位保全の為に強引に罪に落とし込む法務・検察は(東京地検)特捜部の方々は人間と言えるのでしょうか!?

(否!悲しい事に、こういう方々こそが人間なのかもしれませんが

その状況は、次のように記されております。

 

 

 これほど歪曲に満ちた捜査だったにもかかわらず緒方氏は取り調べで何度か「自供」したとも伝えられている。これはいったいなぜだったのか。

「私は検事として何人もの被疑者の取り調べにあたってきました。しかし、情けない話ですが、被疑者の立場になってみて初めて、取り調べを受けるのがこれほど過酷なものかと知りました。特捜の調べは想像を絶するほど苛烈で、強引でした

 早朝から深夜まで連日続く取り調べ。何十日にも及ぶ拘禁生活。徹底的に孤独な立場に追い込まれ、取り調べ検事には脅され、激しい罵声を何度も浴びせられた。「検察は面子をかけて捜査している」「否認を続けると、どういうことになるか良く知っているだろう」。そんな脅迫や懐柔の言葉も繰り返し投げかけられたと緒方氏は振り返る。

 そう、取り調べで否認を続ければ、延々と保釈を得られず、未決のまま長期の勾留を余儀なくされる。一方、法務・検察が面子をかけた捜査に臨んでいる以上、特捜部が起訴に持ち込むのは確実だ。裁判も長期化は避けられず、何よりも検察が起訴に踏み切った際の有罪率は実に九九・九%に達する。いくら無実であっても、現実の裁判で無罪を勝ち取れる可能性など皆無に近いのだ……。


 この続き(小池百合子氏に関して)は、次の拉致問題の暖簾を掲げる政治家達(2に記述させて頂きます。
 

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