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醜い国の首相に相応しい安倍晋三氏

2007627

宇佐美 保

 

 先ずは、「拉致問題の安倍」のキャッチフレーズで首相の座を掴んだ安倍晋三氏の著作『美しい国へ』の中から「拉致問題」に関する記述を引用させて頂きます。

 

 小泉首相と金正日国防委員会委員長によるはじめての日朝首脳会談から一カ月たった二〇〇二年十月十五日、蓮池薫さんら五人の拉致被害者が、全日空機のタラップから降り立った。二十四年ぶりに踏む祖国の土であった。

・・・

わたしたちの粘り強い交渉の後、北朝鮮側は「二週間ぐらいなら帰国してもよい、と本人たちがいっている」というようにしだいに変化し、ようやく帰国が実現することになったのである。

 帰国後は、家族による必死の説得が行われた。その結果、五人は「北朝鮮には戻らず、日本で子どもたちの帰国を待つ」という意志を固め、中山恭子内閣官房参与とわたしに、その旨を伝えてきた

 わたしは、「かれらの意志を表に出すべきではない。国家の意志として、五人は戻さない、と表明すべきである。自由な意志決定ができる環境をつくるのは、政府の責任である」と考えていた。

 マスコミや政界では、五人をいったん北朝鮮に帰すべきという意見が主流であった。しかし、ここでかれらを北朝鮮に戻してしまえば、将来ふたたび帰国できるという保証はなかった。

十月二十三、二十四日の二日間にわたって、官邸のわたしの部屋で協議をおこなった。

さまざまな議論があった。

「本人の意志として発表すべきだ」、あるいは「本人の意志を飛び越えて国家の意志で帰さないといえば、本人の意志を無視するのはおかしい、とマスコミに批判されるだろう。

家族が離ればなれになれば、責任問題にもなる」という強い反対もあった。

しかしわたしたちは、彼らは子どもたちを北朝鮮に残しているのだから、彼らの決意を外に出すべきでない、と考えた。

何より被害者が北朝鮮という国と対峠しようとしているとき、彼らの祖国である日本の政府が、国家としての責任を回避することは許されない。

最終的にわたしの判断で、「国家の意志として五人を帰さない」という方針を決めた。

ただちに小泉総理の了承を得て、それは政府の決定となった

 日朝平壌宣言にしたがって開かれる日朝国交正常化交渉の日程は、十月二十九日と決まっていた。政府が「五人を帰さない」という方針を北朝鮮に通告したのは、その五日前のことであった。

 その日、ある新聞記者に「安倍さん、はじめて日本が外交の主導権を振りましたね」といわれたのを鮮明に覚えている。たしかにそのとおりだった。

 

 この記述を一読すると、安倍晋三氏の適切な決断行動の素晴らしさを賞賛してしまいます。

 

 でも一寸待ってください!

このような内輪話は、「拉致問題」が全て解決した時点でなされるべきではありませんか?

なにしろ、「拉致問題」は未解決の状態にあるのです。

今の時点でのこのような内輪話を(北朝鮮側にも)披露する安倍氏の心底では、「拉致問題」を解決するよりも、「拉致問題」をとことん利用して自分の人気を稼ぎたいとの思いが沸騰しているように見えてなりません。

(私の記憶では、“五人の方々は、日本に二週間滞在した後、北朝鮮に戻る”と発表されていたのに、いつの間にか不思議な事に、“五人の方々の滞在日数が二週間と限定などされていない”との説が政府筋から流れていたように思っていますが?

それにしましても、何故、お子様達の帰国が、曽我さんのご主人が日本に来る事が、可能になったのでしょうか?

小泉氏の説得のみで金正日氏が決断したのでしょうか?)

 

本当に、安倍氏が『拉致問題』を解決しようとしているのなら、
小泉前首相と共に
20029月に平壌を訪れた後、のこのこと帰ってくるのではなく、
「拉致問題」が全面的に解決するまで、平壌に一人ででも残って
金正日と膝詰め談判を繰り返しているべきだったのではありませんか?!

 

 人一倍「拉致問題」に熱心な安倍氏が直接交渉に打ち込んでいたら、五人の方々に長期の苦しみを与えることなく、短期間に解決していたのではありませんか?!

それに、横田めぐみさんも、娘さんのキム・ウンギョンちゃん共々、何年も前から、ご両親との幸せな日々を日本で送っていたのでは?!

 

 

首相の座についても、平壌に飛んで、
金正日氏と膝詰め談判に挑まない安倍晋三氏が、
私には大変奇異な人物に思えてなりません!

 

 そして、この安倍晋三氏の奇異さ加減は、「拉致問題」の件だけではなく、すべての面で表れています。

 

 今回の「消えた年金問題」にしても、安倍氏は奇異です。

(しかし、安倍氏の行動基準が、国民の為の政治ではなくも、自らの人気取りだあるとしたら、ちっとも奇異ではありません。)

 

 先の拙文《醜い国の首相に君臨する安倍晋三氏》の一部を再掲します。

2007年214日の衆議院予算委員会に於ける民主党長妻議員の下記の質問に対して、

 

・・・潜在的な被害者が大変多いのではないかと危惧するところでございますので、
緊急事態宣言をして、
社会保険庁は、被保険者と受給権者の皆様全員に納付記録を郵送して、
抜けがあるかどうか緊急に点検してください

わかりやすい納付記録を郵送して、緊急に点検してください。・・・

 

安倍首相は、次のような驚くべき答弁をしていたのです。

 

ただいま御提案がありました緊急事態宣言をすべての被保険者に出す、
これは年金そのものに対する不安をあおる結果になる危険性があるのではないか、
私はこのように思うわけでありまして・・・

 

 ところが、安倍氏は、この問題が大きくなり支持率が低下し、7月の参議院選挙が不利となってくるや、昨夜のテレビ(「報道ステーション」)は、長妻氏の提案通りの納付記録の郵送を行うと伝えていました。

 

 

 その上安倍氏は、当初

システムをつくった時の厚相は、いま口を極めて自民党を攻撃している菅さんだ

と民主党代表代行の菅直人氏へと責任転嫁を図ったのです。

 

そして、旗色が悪くなるや、24日のNHK報道番組で、年金記録管理をめぐる責任について

政治的には私が一番大きな責任を背負っている

と述べたりするのです。

 

 

 更には、東京新聞(2007626日)には次のように記されていました。

 

 安倍晋三首相、塩崎恭久官房長官、柳沢伯夫厚生労働相は二十五日、社会保険庁による年金記録不備問題の責任を取り、今夏のボーナスのうち首相、閣僚として受け取る分を国庫に全額返納することを決めた。 

 

 首相と全閣僚は行財政改革の一環として、既に給与・賞与の一部を自主返納しており、今回新たに返納するのは、首相が七十三万円(全額二百三十四万円)、塩崎氏が五十四万円(同九十四万円)、柳沢氏が五十一万円(同九十万円)となる。

・・・

 安倍晋三首相は二十五日夜、自らの賞与の返納を決めたことについて「国民が、社会保険庁の対応などに大変怒りを感じている状況がある中で、私も率先垂範という意味で、けじめをつける判断をした」と述べた。

 

 今頃何を言っているんだ!と思います。

少なくとも2月の長妻氏の質問の際に今の発言を行っているべきです!

何が“私も率先垂範という意味で”ですか!

責任は自分にあると発言していながら、率先垂範もあったものではありません!

 

 そして、更におかしいのは、東京新聞(2007627日)の次の記事です。

 

 塩崎恭久官房長官は二十六日午後の記者会見で、社会保険庁による年金記録不備問題で社保庁全職員にボーナス返納を求めたことに関連して、返納に応じない職員に対しては、社保庁廃止後の二〇一〇年に新設される「日本年金機構」への再雇用を拒否する可能性を示唆した。

 

 何故、社保庁全職員がボーナスを返納しなくてはならないのですか!?

(なんだかこれでは、昔の隣組連帯責任みたいです!)

 

平成15年度までの累計で約8億円の赤字を出していたグリーンピアなど、2004年(平成16年)、年金福祉還元事業(グリーンピア・年金福祉施設・年金住宅融資)が大問題になった際、政府は、年金問題を根本的に見直すべきでした!

 

そして、同じ2004年の「菅直人氏の国民年金未納」問題は、その後、菅直人氏はしっかりと納入していたのに、社会保険庁側の過失と判明したのに、政府側は菅氏の失点を喜んでばかりいました。

今にして思いますと、菅氏に対する過失と、今回の国民に対する過失と同根ではありませんか!?

ですから、当時、社会保険庁側の不備を徹底的に究明していれば、今までに多くの手が打てていたはずです。

 

 そんなことも怠っておいて、今更、“社保庁全職員にボーナス返納を求めた”というのでは呆れてしまいます。

これでは、又、国民の怒りを「社保庁全職員」に押し付けようとしているのが丸見えです。

 

 そして、「社保庁全職員」に八つ当たりする安倍氏、塩崎氏らは、「年金NAISグループ」(根本匠(N)、安倍晋三(A)、石原伸晃(T)、塩崎恭久(S)の4氏によるグループ)

http://www.s-abe.or.jp/topic/newnekin.htm

を形成し年金問題に取り組んでいたはずです。

一体何をやっていたのですか!?

 

そして、安倍氏は、1999年には、衆議院厚生委員会理事に就任しておられ、いわゆる厚生労働族ではありませんか?!

(不思議な事には、612日に先の拙文を書いて際には、安倍氏ご本人のホームページには、1999年ではなくて2003年:衆議院厚生委員会理事と書かれていたのですが、今回再度訪ねたら、この年号(2003年)も消えていました。

でも、首相官邸のホームページでの安倍氏の経歴では、1999年衆議院厚生委員会理事と記載されていました。)

 

この安倍氏、厚生労働族の件では、先の拙文《醜い国の首相に君臨する安倍晋三氏》に引用させて頂いた「まだあった!年金不払い毎年300億円」との記事で『週刊ポスト(2007.6.22号)』が糾弾しています。

 

しかし、安倍氏は“週刊誌など信用できない!”と言い張られるかもしれません。

この件に関して、拙文《安倍首相の闘う相手は国民ですか?》の一部を再掲いたします。

 

 『週刊現代(2006年10月28日号)』〈安倍晋三首相 が密約した「北朝鮮ロビイストに5000万ドル」〉の記事です。

 

 「(拉致問題を)食いものにしてきたなどと、予算委員会で言うことは失礼じゃありませんか!!

 

 普段は紳士然として冷静沈着な安倍晋三首相(52歳)が、首相就任以来初めて、公の場で取り乱して激昂した1011日の参議院予算委員会の上である。

 

 質問に立ったのは、民主党の森ゆうこ議員。森議員は、本誌先週号(1021日号)のコピーを掲げて、安部首相にその真相を迫ったのだった。

 

・・・

 

 11日の予算委員会で、森議員は安倍首相に対して、次のように質問した。

 

「『週刊現代』を総理はもうご覧になったでしょうか。総理が中国朝鮮族の崔秀鎮という方と会談された時のことが詳細に書いてありまして、こういうくだりがあります。

 

『金正日総書記が謝罪したということは、生存している拉致被害者、及び家族は全員帰国させる決定を下したということです。だから8人の帰国に関してはご安心ください。しかし、8人を帰国させた時点で、これ以上生存している拉致被害者はいないのだから、北朝鮮と国交を正常化させるというお考えでよろしいのですね』

 

 これに対して安倍総理は、『それは8人の家族さえ帰国させれば、北朝鮮としては、やることはすべてやったということでしょう』

 

 と答えたと書いてあります。この記事に関する事実関係についてお聞かせください」

 

 安倍首相はたちまち顔を紅潮させ、左手で森議員を指差しながら激昂したのだった

 

「よく分かっていないことを質問しないでいただきたい! 私はいちいちそうした記事は読んでいません。

 

そもそも『週刊現代』は、(拉致被害者の)有本恵子さんのご両親が、言ってもいないコメントを載せたことがあります。だから、その程度の話なんですよ。その程度の話について、私はいちいちコメントするつもりはまったくありません!」

 

 そしてこの後、すっかり興奮した安倍首相は、「失礼じゃないか!」という冒頭の暴言≠吐いたのだった。

 

 だが、失礼千万なのは、本誌の記事を「その程度の話」とこき下ろした安倍首相のほうだ。有本さんの母親・嘉代子さんのコメントは、取材テープも存在する

・・・

 

更には、次のような記述もあります。

 

「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」と口癖のように言い続けてきた安倍首相は、裏では北朝鮮に対して、3年以内の国交正常化を確約していたも同然だ。

 加えて、われわれの血税を5000万jも、勝手に裏金として使う密約を交わそうとしていたとなれば、こんな男が日本の最高責任者たる首相を務める資格などないだろう。

 

 そして、安倍氏のホームページを訪ねますと、『「週刊現代(1118日号)」に対する通告書を公開』というページがあります。

------------------------------------------通告書の内容-----------------------------------

株式会社講談社

代表取締役 野間佐和子殿

 

平成18年11月10日

衆議院議員安倍晋三事務所

 

とありまして、その4項には次のように記述されています。

 

(4) 本通告書第4項では「加えて、貴社は一向に反省することなく、17日付FAXで北朝鮮外交に関する質問を一方的に送りつけてきました。しかし、貴社の北朝鮮問題に関する報道については、すでに、貴社が北朝鮮から渡された資料をもとにした貴誌平成1793日号の記事に対し、平成17829日付通告書で『くれぐれも北の走狗などと揶揄されぬように』と忠告しました。すなわち、貴誌(平成17年9月3日号)掲載記事について、有本嘉代子さんが『救う会全国協議会ニュース』で『週刊現代(9月3日号)』に引用された私の発言は事実無根です。」との談話を発表して貴社の上記記事に抗議を表明し、また、『週刊新潮』(2005年9月1日号)が李正一氏を取材したところ、李氏は『安倍さんが北に対して、甘い発言をした記憶もないね。5000万ドルの貸し出し保障の話も出ていませんよ。」と記事内容を正面から否定するなど、掲載記事が「ほとんど何の検証もなしに北朝鮮の情報をタレ流した』記事であることが判明したと報じています。このように記事が事実無根であることが明らかになる中、貴社は、次号においてもあらたな証拠を示すこともできず、合理的な反論をすることもできず、挙げ句の果てには『安倍はこの会談を公表したことはない。本誌が報じなければ、会談があったことは永久に公にならなかった。それを『極秘』ではないとする安倍の非常識に驚かされる。』などと妄言を述べ、『弁明があるならば連絡していただきたい。本誌はいつでも貴殿の反論を掲載する用意がある。」などと言う開き直る始末です。」と貴誌の取材態度・姿勢に懸念を覚えたことから忠告したことを書いたわけですが、貴誌編集部はまさに「自分の"媚朝"ぶりは棚に上げて」、現政権の外交を「媚朝外交」などと言う始末です。

 

 という具合に、『週刊現代』の非難を否定しつつも『週刊新潮』の記事で自らを正当化しています。

 

 ところが、この『週刊新潮』を『週刊現代2007.7.7号)』は、“『週刊新潮』がコムスンを批判できない理由”として次のように非難しています。

 

 コムスン問題は、各メディアで大々的に報道された。本誌をはじめとした週刊誌も、特集記事で追及している。そのなかで唯一沈黙を守っているのが『週刊新潮』だ。日頃、この手の問題には徹底的に迫る同誌が取り上げないのはなぜか。その理由は、『週刊新潮』をめくれば一目瞭然。

 モノクログラビアページに、「シリーズ介護最前線」と題する2ページの連載記事がある。全国各地のヘルパーと、介護を受ける人たちの触れ合いを描く、心温まるレポートだ。けれどもよく見ると、毎回登場するヘルパーは『COMSN』と名前の入った服を着ている。さらに、ページの左端にはコムスンの広告が掲載されており、広告料の見返りに記事をつくるタイアップ企画であることは明白だ。

・・・

 この連載のスタートは、’02年の新年合併号から。今年4月に過大請求が発覚したときも、連載は継続されていた。だが66日に発表された行政処分については、さすがに新潮社もバツが悪かったのだろう。処分が発表されて8日後の614日発売の「621日特大号」では、ヘルパーの着るトレーナーから『COMSN』のロゴが消え、広告も自社の出版物に変更。さらにその翌週発売の「628日号」では、記事自体が姿を消した。5年以上続いたこの連載は、269回でストップしてしまったのだ。

「週刊新潮のこのページの広告料の実勢価格は2ページで80万円。そのうちの2割が代理店の手数料で引かれ、そこに60万円程度の記事制作費が加わり124万円。そこから2割程度、長期連載による割引があるでしょうから、新潮社に入るのはl100万円というところでしょう。新潮社には、広告費を稼げる目立った女性ファッション誌がないので、週刊新潮の広告費減少は痛いはずです」(広告代理店関係者)

 概算で、新潮社がコムスンから得た収入は26900万円。それが国民の介護保険から支払われたかと思うと……。

 

 そして、この問題のコムスンと安倍氏の黒い関係を『週刊ポスト(2007.6.29号)』「折口会長と安倍首相の蜜月」との記事にしています。

 

・・・

 安倍首相と折口会長の蜜月ぶりを物語るのが、コムスンの広報誌『コムスン通信 第10号』(035月)に掲載された対談だ。ガッチリ握手した2ショット写真も掲載されている。

 当時の安倍氏は、自民党社会部会長として介護保険を推進した後、小泉内閣の官房副長官に出世し、次期総理の呼び声高くなっていた時期である。

 対談で2人は介護制度の将来像をこう語り合った。

(今まではそういう制度は全部、国が税金でやっていた。そうなるとやはり悪い意味での親方日の丸になります。(中略)そういう中で、コムスンは一生懸命やっておられる)

・・・

 安倍首相の後援会幹部が慌てている。

「総理と折口氏の関係は、単なる若手ベンチャー経営者の取り巻きの一人というだけではない。総理が若手議員の頃から取り組んだ介護保険で結びつき、厚生労働省の首脳と三位一体で介護事業を進めてきた。それが表沙汰になると総理にとってさらなる逆風になる

 ちょうど、社会保障制度の大改革といわれた介護保険制度導入の前年(99年)、当選2回の安倍氏は若手厚生族の登竜門といわれる自民党社会部会長に抜擢されると、介護制度の設計という大役を任された。

「これからは介護の安倍″になるよ」

・・・

「安倍社会部会長」がいなければ、コムスンの不正請求事件は起きなかったといっても過言ではない経緯がある

 99年当時、介護保険の実施は迫っていたが、国民から負担の大きな欠陥制度だという批判が強まると、当時の連立与党・自由党からは、保険方式ではなく税方式に変える抜本的見直しを迫られ、自民党内からも凍結論や延期論が出た。

 折口氏との対談でも、安倍氏は当時の立場をこう振り返っている。

(党内にも大変大きな批判がありました。一部の割とラジカルな人々の中には、もう家族でやるものではない、社会が、国が、やるものだという方もいました)

・・・

 しかも、介護保険報酬の支払い方式についても、介護サービス利用者を通さないで国から業者に直接支払われる「レセプト方式」に批判が強く、利用者に渡して自由に業者を選べるようにすべきだという声があがっていた

「自民党は最終的に高齢者からの保険料徴収を半年間延期するといった一部見直しで実施を強行した。その立役者が若き部会長の安倍さんだ。省内や業界では、」レセプト方式を守り通した安倍さんの評価が高まり、介護関連の業界に睨みをきかせるようになった(厚生労働省OB

・・・

 だが、そんな中で真っ先にコムスンの老人ホームの買収に名乗りをあげたのが、05年に介護ビジネスに進出したばかりの居酒屋チェーン『ワタミ』だった。渡辺美樹社長は、安倍内閣の教育再生会議委員であり、安倍応援団の一人だ。・・・

 

 なんだか変ですね〜〜!

この件の責任は、冬のボーナスの返上ですか?

なにしろ、今回も再掲しました先の拙文《安倍首相の闘う相手は国民ですか?》の冒頭に引用させて頂いた毎日新聞(12月14日)の記事は次のようでした。

 

 

<給与返納>野党指摘にムッ、安倍首相「失礼ではないか」

 

タウンミーティングの「やらせ質問」問題の責任を取り、首相給与3カ月分の返納を決めた安倍首相が14日の参院教育基本法特別委で、「お金で済ます問題ではない」との野党議員の指摘に「失礼ではないか」と気色ばむ一幕があった。首相は「(公務員のけじめのつけ方は)減給などの処分方法が決まっている」と反論した

 

 しかし、「やらせ質問」のとき同様に、今回の場合も“(公務員のけじめのつけ方は)減給などの処分方法が決まっている”には到底納得できません!

(安倍氏は、今回の年金問題、介護保険問題に対してどのような政治的活動をしてきたのかをはっきりさせて頂きたいのです。)

若し、安倍氏がお金で責任を取るなら、何億円か何十億円かを支払っていただきたく存じます。

なにしろ、安倍氏は他人に要求する金額は自分が責任をとる手段として返納する金額よりも桁外れな金額を要求しているのですから。

 

 例えば、「週刊金曜日(200768日号)」の「大藤理子の政治時評」には次の記述があります。

 

安倍晋三首相の公設秘書二人と元公設秘書は、長崎市長射殺事件の被告が所属する暴力団と首相秘書との『関係』を掲載した雑誌『週刊朝日』(朝日新聞社発行)の記事と新聞広告で名誉を傷つけられたとして同社などを相手取り、総額約五二〇〇万円の損害賠償と謝罪広告の掲載などを求めて東京地裁に提訴した」

「テレビ番組のコメントで、日興コーディアルグループの上場維持に安倍首相の事務所が関与したかのような発言をし、誤った印象を一般視聴者に与えたなどとして、首相の公設秘書二人と元公設秘書の計三人が、朝日新聞社と同社の山田厚史編集委員を相手取り、謝罪広告の掲載など総額約三四〇〇万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴していたことがわかった」

一国の首相、最高権力者の公設秘書が、「誤った印象を一般視聴者に与えた」ということを理由に記者個人や新聞社を訴える、数千万円の損害賠償を求めるなんて、前代未聞ではないだろうか。・・・

 

 損害賠償を求めているのが安倍氏本人ではなく秘書としても、そんな賠償を求めるのを引き止めるべきではありませんか!?

 

 同じ「週刊金曜日(2007616号)」には“土井たか子さん、月刊誌「WiLL」の記事で提訴”との次の記事が載っていました。

 

 月刊誌『WiLL』(ワック・マガジンズ梶A花田紀凱編集長)二〇〇六年五月号が、社民党元党首で元衆議院議長の土井たか子さんが朝鮮半島出身とする記事を掲載した。土井さんは四月一八日、発行元の会社や編集長、筆者を相手取って、名誉毀損で神戸地裁に民事訴訟を起こしたが、当の花田編集長が土井さん側に詫び状を送っていたことがわかった。記事の該当部分を取り消して同誌〇七年五月号にお詫び文を掲載するという内容。約束″は果たされなかった。

 記事を書いたのは、『産経新聞』元論説副委員長の花岡信昭さん。

花岡さんは、『WiLL』に掲載した「拉致実行犯辛光洙釈放を嘆願した社民党名誉党首″」と題する記事でこう書いた。《土井氏は知る人ぞ知ることではあるが、本名「李高順」、半島出身とされる》

・・・

 まさか、『産経新聞』の元ベテラン記者が確たる裏付けを取らずに書いたとは思いたくないが、花岡さんは裁判中を理由に取材を断ってきた。訴状によると、記事の誤りを証明するため戸籍謄本などを提出している。第一回口頭弁論は六月一四日に予定され、長引く裁判ではないとの見方がある。

 その理由の一つが冒頭にも書いた花田編集長の詫び状だ。土井さんの弁護士にあてた手紙では、先ほど引用した部分を取り消し謝罪するとしたうえで、《具体的には小生が直接、お伺いいたした上で、土井たか子氏にお詫びし、小誌5月号(326日発売)で以下のように取り消しの上、お詫び文を掲載したく存じます》と、明記している。

 お詫びを掲載しなかった理由を花田編集長は「物的証拠を提示できなかったので(あのような)手紙を出した。ただ、《掲載したく存じます》とあるとおり、掲載を約束したわけではない。手紙が着いたころ、文面や大きさなどを相談しようと土井さんの弁護士に電話したら、それまでの対応と打って変わって『失礼だ』と言われた(ので掲載方法を詰められなかった)」と語った。

 なお、この訴訟で土井さんが求めているのは、全国紙への謝罪広告の掲載のほかは、損害金わずか一万円のみ。安倍晋三首相の公設秘書らが朝日新聞社などに連発している損害賠償請求額(同社と『週刊朝日』などに五一五九万円、同社と編集委員に三〇〇〇万円)と大違いだ。

「土井さんは、いわゆる高額請求による言論萎縮を狙ったのではなく、事実を明らかにしたいということでしょう。編集部が普通に対応すれば訴訟になる事例とは思えない」(服部孝幸・立教大学教授)

 

 

安倍氏も、このような土井氏を見習って、前掲の『週刊現代』の“拉致問題を食いものにした媚朝外交”記事に対して『「週刊現代(1118日号)」に対する通告書を公開』などではなく、「損害金わずか一万円のみ」で訴訟を起こしたら如何ですか?!

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