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お陰様を忘れた日本人(2

(お金様の大企業)

200924

宇佐美 保

 悲しい事ですね〜〜!

朝日新聞(200918日)の次の記述を見ると悲しさは倍増して行きます。

 

 ――総理は先月、高額所得者がもらうのは「さもしい」と発言されていますが、この発言を撤回するお考えはありますか。

 「私の言っている趣旨は、ずっと一貫していると思っています。基本的には、いつも言うように、この定額給付金の目的っていうものは、いわゆる低額の所得の方々に対する給付、これが最初、私どもが強く申し上げたところ。で、消費の刺激と、いうものと二つあったんですが、あの当時と今と大きく情勢が変わったのは、石油、灯油の値段を見るまでもなく、非常に大きく情勢が変わりましたから、その意味では、消費の部分が非常に大きくなってきたんだと思っています。そういう意味では、景気刺激の部分で行けば、ぜひ使っていただきたいということを申し上げているんであって、言っていることは終始一貫、頂くのは個人ですから、個人で決められるべきが正しいんであって、政府が何に使えとか、どうしろとかいうのを言うのはいかがなものかと、ずっと同じことしか言っていないと思います」

 ――さもしいという発言は撤回されないということでよろしいんでしょうか

 「いや、撤回するもしないも、言っていることはずーっと同じことです

 

 「ぶれる麻生」を「ぶれない麻生」との看板の付け替えに拘る為としか思えない、屁理屈答弁を吐き出す麻生太郎氏ご自身こそが“さもしさ”の元祖、本家であると思えてなりません。

そして、麻生氏がわが日本国の首相なのですから、悲しみの奈落に落ち込み、パソコンに向かう力も失せていました。

(でも、何とか今立ち向かっています)

 

 勿論、“さもしさ”の元祖、本家が麻生氏であっても、その分家の方々を麻生氏の周囲には沢山居られるようです。

 

 テレビから、鳩山邦夫総務相の次のような言葉が流れていました。

 

“私は、定額給付金を貰ったら、そのお金を持って美味しいものを食べに行く”

 と。
麻生氏同様に大金持ちの鳩山邦夫氏がこのような発言をするとは“さもしさ”が麻生内閣には蔓延しているようです。

 

 麻生氏が“あの当時と今と大きく情勢が変わった”のは、「非正規雇用者の解雇」に始まる失業者の増大、更には、それに続くであろう賃金カットによる低所得者の増大では有りませんか?!

 

 ですから、万が一にも「定額給付金」を実施するなら、高額所得者への給付分を定額所得者に振り向けるのが為政者の務めではありませんか!?

 

 更に、麻生氏は、

「定額給付金の目的」が「消費の部分が非常に大きくなってきた」との見解をお持ちなら
高額所得者である麻生氏、鳩山邦夫氏、麻生内閣の全員が(給付を拒否する)
定額給付金」の何十倍、何百倍の消費を実行し、
日本国中の高額所得者に高額消費を訴え、率先垂範すべきではありませんか!?

 

 

現状での「高額所得者の矜持」とは、
定額給付金」を受け取るか否か、或いは、それを消費に向けるか否か、ではなく、
定額給付金」を拒否し自腹を切って大量消費に励む事ではありませんか!?

 

 「金は天下の回り物」、鳩山郁夫氏にしろ麻生太郎氏にしても、彼らが手にしている膨大な財産の大部分はご自身で稼いだお金ではなく、ご先祖様のご遺産ではありませんか!?

 

 その上、ご先祖様が築かれた莫大な資産とて、ご先祖様ご自身の手だけで築かれたのではありません。

麻生氏の場合は、麻生炭鉱で多くの方々が血と汗を流したお陰ではありませんか!?

 

 なにも、麻生内閣の方々だけではなく、財界人の方々も然りです。

彼らの莫大な報酬は、従業員の方々の尽力のお陰です。

週刊現代(2009.1.31号)には、ソニーのハワード・ストリンガー会長の年俸は約10億円と書かれています。

 

 しかし、次のようにも書かれています。

 

 

昨年の株主総会で出された個別役員報酬の開示を求める議決は、反対多数で却下された。

 

 この状況は他社でも同様なのでしょう。

私はキャノンの会長の御手洗富士夫氏の年俸を知りませんが、多額の報酬を得ていることでしょう。

 なにしろ、週刊ポスト(2009.2.6号)には次のように書かれています。

 

 御手洗氏はキャノンの内部留保を023月の約9000億円から、089月は29000億円へと3倍に増やす経営手腕を発揮したが、それでも子会社の生産調整で多くの非正規労働者が職を失った。

 

 内部留保金を3倍に増やす経営手腕を発揮したのだから、御手洗氏が高額年俸を手にするのは当然と思われるでしょうが、一寸待ってください。

なにしろ、儲けられる時は、安いコストの非正規雇用者の力を借り、不況になれば、彼らの真っ先に首を切るのが経団連会長でもある有能な経営者なのでしょうか?!

 

 否!否!彼らは殊更有能とはいえないのです。

『世界経済危機 日本の罪と罰 野口悠紀雄著 発行:ダイヤモンド社』には、輸出産業の高収益は、実質は“1ドル60円程度”であるべき為替レートを、政府、日銀の介入によって円安に導いた結果と、次のように記述されておられます。

 

 

 為替レートはまだ円安

・・・

 たとえば、九五年頃までは目立った介入がなく、為替レートはほぼ金利平価式どおりに推移した。そこで、介入前のレート(九五年の1ドル90円程度)が正常だと考えよう。すると、日米の物価上昇率の差を反映して、年率三%の円高が続かなければならない。これが三年間続けば、現在では1ドル60円程度にならなければならない。現実のレートはこれより大幅に円安であるから、為替レートの調整はまだ終わったとは言えない。

 言うまでもなく、以上のような計算の結果は、どこを基準時点とするかで異なる。ただし、介入で歪んでいないどの時点を基準にしても、現在の円ドル/レートが均衡値とは思えない。いまよりドル安にならないと、長期的な均衡には達しないと考えるのが自然だ。

 

 ビッグマック指数では一ドル八〇円になる

 

 為替レートの適正な水準を判断するもう一つの材料が、「ビックマック指数」だ。

 この指数は、もともとはイギリスの経済誌『エコノミスト』が考え出したものだ。ビッグマックは全世界でほぼ同一品質のものが販売されているので、購買力の比較に使いやすいのである。ビッグマックのような単一商品だけで為替レートが判断できないのは言うまでもないが、わかりやすい指標なので、よく用いられる。

 〇八年七月時点の指数は、次のように算定できる。東京都内で販売されているビッグマックの価格は、税込みで280である。他方、ニューヨークのマンハッタンでは、課税前価格で3.41ドルだ。日米の価格が同一になるような為替レートを求めると、1ドル82.1となる。これがビッグマック指数による為替レートである(ただし、税の問題を無視する)。

・・・

 ここで、さまざまな財やサービスの価格の比率(相対価格)は、日本でもアメリカでも同一であると仮定しよう。たとえば、「日本でもアメリカでも、自動車はビッグマック1万個分」というような関係が成立しているとしよう。そうであれば、日本で280万円の自動車がアメリカでは34100ドル(筆者注:マック価格の“2803.41ドル”より)になる。したがって、日本で製造した自動車を外国に輸出して売れば、右で述べたメカニズムによって利益が発生する。3万ドルでも飛ぶように売れ、しかも利益(筆者注:介入による為替レートがその時点で“1001ドル”とすると“3万ドル=300万円 従って利益は20万円=300280万円”ところが、“80円=1ドル”となれば34100ドルで売っても、7万円の赤字272.8280万円)が発生する。このため、日本の自動車産業の利益が増加し、それによって株価も上昇する。

この数年間に現実の経済で生じたことの基本は、このようなことだったのである。

 そして、異常な円安が是正されれば、こうした「濡れ手に粟」的利益は消滅する。第1章の2で述べた輸出関連企業の激しい利益の落ち込みは、このようなメカニズムで生じている。

・・・

 

 それでも、私達日本人は、わが国土には資源が乏しいので、輸出産業に外貨を稼いで頂いて、その外貨で海外から必要な資源を購入するのだから、輸出産業には協力を惜しみませんとの思いから、このような円安誘導政策をなんとなく支持してきました。

 

 ところが、「円安誘導政策」は為替の介入だけではなかったのです。

野口悠紀雄氏は次のようにも書かれておられます。

 

200l年に導入された量的緩和政策(筆者注:低金利政策)は、デフレに対処するためと表向きは説明されたが、真の目的は、為替介入による貨幣供給量の増加を放置することだったと考えられる。「デフレ脱却のために金融穏和を行なう」というのは、単に正当化のための説明にすぎなかったのだ。

 そして、過去一〇年以上の期間にわたり海外との間に大きな金利差があったにもかかわらず、為替レートは円高にならなかった。

 

 

私達国民は、この「低金利政策」のおかげで、
毎年約30兆円(従来の銀行利息から受け取るであろう利息)もの損失を蒙っているのです。

そして、この政策は更なる悲劇(サブプライム・ローン問題)を導いたと野口氏は続けられます。

 

 アメリカ住宅バブルと無関係でない円キャリー取引

 円安が継続すると円から外貨への転換が金利差による利益を生み続ける。そのため、円で借りて高金利通貨の資産で運用するという取引が増える。これが「円キャリー取引」と呼ばれるものだ。

 BIS(国際決済銀行)の『クオータリー・レビュー』(20076月)によると、円キャリー取引は2004年半ばから顕著になり、05年第4四半期に顕著に増加した。

 貸し手は日本の銀行であり、借り手はイギリス、シンガポール、ケイマン諸島)などの金融機関だ。それがヘッジファンドなどの投機取引の資金になったと考えられる。

 正確な取引規模は把握されていないが、IMF(国際通貨基金)の074月の報告によると1700億ドルだ。イギリスの経済誌『エコノミスト』(072月)の推計では、1兆ドルである

 このように、推計値には大きな幅があるものの、次のことが注目される。すなわち、アメリカのサブプライム・ローンの残高は1兆ドル程度と言われているが、右で述べた円キャリー取引の規模は、それに匹敵する規模のものなのである。

 これらはたまたま一致しているわけではない。円キャリーで調達された資金が直接にサブプライム関係に投資されたのでないとしても、円キャリーによって流入した資金が、回りまわってサブプライム・ローン関連金融商品に回った可能性は十分ある。

 日本の低金利政策のために円での調達コストが低いため、こうしたことが生じるのである。

・・・

 サブプライム・ローンが顕著に増加したのは04年から06にかけてであり、すでに述べた円キャリーの拡大とほぼ同時期だ。したがって、日本の金融緩和は、アメリカの住宅バブルと無関係とはいえない。

 

 

 このような悲惨な結果を招いてしまった「円安誘導」「低金利政策」を実施した政治家官僚達、そして、その恩恵を貪り続けた大企業の経営者達が優秀であったとはとても思えません。

否!少なくとも、巨額な報酬を得るに値した方々とは思えません。

(なにしろ、今回の破局を読みきれていなかったのですから!)

 

 ところが先に掲げたソニーのハワード・ストリンガー会長の年俸約10億円をはじめ彼らは高額年俸を懐にしていたのです。

 

 その額を知ろうとインターネットを検索しましたら、「リハ医の独白」とのホームページに次のように記載されておりました。

 

 ・・・直近の有価証券報告書(四半期、半期含む)に記載された内部留保(利益剰余金)や、現金、定期預金、流動性のある有価証券の金額は、兆円単位の数字がずらりと並ぶ。今でこそ各社が業績の下方修正や赤字を連発しているが、思い返せば、その多くは、08年3月期決算で過去最高益を上げるほど(略)だったのだから当然だ。好業績に合わせて、役員報酬もどんどん膨らんだ。

 もちろん内部留保は、新たな設備投資など企業の成長に充てる大事なカネではある。キャッシュだって手元に置いておけば安心だろう。が、一方で、年収300万円程度の派遣社員は住む家まで奪われる。この世はどこか矛盾していないか?

企業名 内部留保 現金、定期預金など 役員報酬(平均)
キヤノン 2兆9050億円 8873億円 5004万円
トヨタ 12兆6658億円 2兆5845億円 1億2200万円
日産 2兆8204億円 5039億円 3億5583万円
ホンダ 5兆3629億円 9544億円 6057万円
ソニー 2兆850億円 1兆1761億円 2億8986万円
シャープ 8341億円 3270億円 1億1030万円
東芝 7166億円 2667億円 6087万円
コマツ 7911億円 774億円 1億3571万

日刊ゲンダイ20081218日掲載

 このような(政府の政策の恩恵を一身に浴びた)大企業の幹部達の高額報酬に驚き呆れると共に、それら企業の内部留保金額の膨大さに驚くのです。

 

 先に引用させて頂いた週刊ポスト(2009.2.6号)には次のようにも書かれています。

 

 

 では、023月末以前では銅経ったのでしょうか?

「しんぶん赤旗」には、次のグラフが載っていました。

グラフ

 

 

 この表の2002年の「大企業内部留保」と、先の16023月末の17兆円と見比べますと、この16社の内部留保の約10倍が「大企業内部留保」と看做せますから、(一寸強引かもしれませんが)この表を089月末に延長すると約330兆円に達する事になります。

(なんと、バブル崩壊後から3倍に、その前のバブル時期からでは、4倍以上に増えているのです)

 

2001年以降小泉内閣の一員として経済問題で豪腕を振るった

竹中平蔵氏は、景気回復の遅れを指摘されると、
“景気の回復は、飛行機の前輪(大企業)が浮上した後に
後輪(中小企業)が浮上する飛行機の離陸に喩える事が出来る”旨を力説していました。

 

 しかし、この表などを見ますと、前輪は浮上しても、後輪が浮上するのは不可能です。

なにしろ、

前輪たる大企業の景気浮上の恩恵は、大企業の内部留保を高める為だけ(それと、役員報酬)に使われ
一般勤労者には全く施されていなかったのですから!

(大企業を支えている中小企業に内部留保が存在しますか?!)

 

 そして、この10数年で大企業がしこたま溜め込んだ約300兆円(私の推論も含めて)は、一体誰のお金ですか!?

私達国民のお金そのものではありませんか!?

私達日本国民は「低金利政策」のあおりで、毎年「30兆円」の預金利息を失っているのですから、
私達はこの10数年で約300兆円(=30兆円×10年)失った事になります。
従いまして、
10数年間で、大企業が溜め込んだ内部留保の300兆円
私達が全額負担したのだといえます。

 

 大企業が大企業然として居られたのも、又、役員が高額報酬にありつけたのも、私達国民の犠牲のお陰なのです。

 

 なのに恩人たる非正規労働者をどんどん解雇しています。

そして、“労働者派遣法に則っているのであるから非難される筋合いはない”との態度です。

その結果、国民に、いつ自分達も解雇されるかも分からないという不安感、それに従っての不景気感を植え付けているのです。

 

その上、

麻生首相は次のように発言して、非正規労働者の低賃金を肯定しています。

 

“労働者派遣法は悪い事ばかりではない。

この法律のお陰で優秀な企業が安い労働力を求めて海外に脱出する事が防げたのだから“

 

 開いた口が塞がりません。
非正規雇用者の賃金は安くて当然との見解なのですから!

(その内、私達日本人全員の口は開いたまま曲がってしまうかもしれません)

 

 トヨタ御自慢の「看板方式」(トヨタの指定日時に指定数量の部品類を下請け会社が納入する)は、あくまでも下請け会社の犠牲によって運営されているのではありませんか?!

 

 なのに、大企業だけが膨大な内部留保を抱え込み、大企業だけの存続を企てています。

おかしいですね!?

こんな状態では、いつの日か日本国民に購買力が回復した時に、日本人は大企業の製品を買うでしょうか?!

 

 私は、消費活動の活発化の一助になればと思い、CDプレーヤーの購入を考え、オーディオ販売店の方に相談を持ちかけたら、ソニー製品を薦められました。

でも、先に記述しましたソニー会長の高額年俸を思い、“ソニーは絶対嫌だ!”と拒絶して、中小メーカーの製品に決めました。

 

 

大企業は、
今こそ「円安政策」など国民の負担なくしては成り立たない輸出産業から脱皮して、
内需の掘り起こしに莫大な内部留保をそして、人材を投入すべきではありませんか!?

 

 野口悠紀雄氏は次のようにも書かれています。

 

・・・消費者の考えが経済政策に反映するような成熟国であれば、自国通貨安に批判が起こり、自国通貨が強くなって輸出産業の競争力は落ち、経常黒字は縮小するはずだ。その半面で、消費者は外国からの安い輸入品によって、豊かな生活を実現できる。しかし、日本や中国のように生活者の意識が低い国では、そうはならないだろう。

・・・

 日本人は、貯め込んだ経常収支黒字を国内のインフラストラクチャ整備に回せば、アメリカ並みの住宅環境を実現できたはずだ。あるいは、円高を実現することで、豊かな生活を享受できたはずである。そのような潜在的な経済力を持ちながら、経常収支黒字を生活の豊かさを実現するためには使えなかった。その理由は、経済政策が貧困であったことだ。

・・・

 

 しかし、この私達国民の犠牲(低金利)の恩恵を、輸出に依存する大企業の他に、当然銀行がそのザブザブと浴びていたはずです。

ところが、私達の800兆円(個人資産1400兆円の50%強)ほどの預貯金を銀行は何に使ったのでしょうか?!

企業の発展に使ったのでしょうか?!

内需拡大に振り向けたのでしょうか?!

 

 この件に関しては、先の拙文《「軍事ケインズ主義」と「道路ケインズ主義」(3)(「ガソリン税」は「環境税」)》の一部を再掲させていただきます。

 

 

 例えば、日経新聞の記事(2008.9.9)は次のようです。

 

 国内景気の減速を背景に、企業活動や株式市場に資金が向かわない傾向が鮮明になってきた。日銀統計によると、7月末の民間銀行の預金残高は貸出金を150兆円弱上回り過去最高水準となった。リスクを敬遠するお金が銀行に集まり、「貯蓄から投資へ」の流れが停滞。一方、預金に対する貸出金の比率を示す「預貸率」は約7割に低迷している。株式市場や企業の設備投資にお金が回らなければ、日本の経済成長の足を引っ張りかねない。

 

 全国の銀行の預金は7月末で549兆円。これに対し貸出金は404兆円にとどまり、預金の超過額は最高だった6月末に比べやや減少したが、145兆円に達する。2000年に20兆円程度だった預金超過額は02年からの金融危機後に増え続け、預貸率は100%前後から70%台に低下した。

 

 何も、日銀が1万円札を刷らなくても、銀行預金が企業融資に向かえば、企業にはお金が回るのです。

 

 そこで、主要銀行の貸借対照表(平成20331日現在)を見てみますと次のようです。

主要銀行の貸借対照表(平成20331日現在)

主要銀行名

資産の合計、
負債等の合計

資産の部

負債の部

有価証券

貸出金

預金

三菱東京UFJ銀行

各々約140兆円

33兆円(国債:約14兆円)

70兆円

102兆円

三井住友銀行

各々約100兆円

23兆円(国債:約9兆円)

57兆円

66兆円

みずほ銀行

各々約68兆円

15兆円(国債:約10兆円)

34兆円

54兆円

りそな銀行

各々約26兆円

4兆円(国債:約2兆円)

17兆円

19兆円

 

 

 このように、貸出金に対して、有価証券の占める金額がその50%程度もあるのに驚かされます。・・・

 

 ですから、我が国の銀行は、企業に融資して国民に貢献するよりも、ゼロ金利で手にしたお金を有価証券(株や国債)に注ぎ込んでいたのです。

 

 こんなぼろい商売がありますか?!

 

 その上、今回のように銀行が持っている株の価格が低下すると、又、救いの手が差し伸びて来るのです。

朝日新聞(20092月4日)の記事は次のようです。

 

 日本銀行は3日、銀行が持つ株式の買い取りを約4年半ぶりに再開すると決めた。10年4月末までに1兆円分を買い取る。株価下落で銀行の財務が傷むのを食い止め、企業向けの貸し出しを促す狙いだが、現時点で銀行側に強い需要があるわけではなく、日銀の財務の健全性を損なう懸念もある。しかし、政府の買い取り法案の成立が見通せない中で「奥の手」を打ち出さざるを得なくなった格好だ。

 

 

 全く、日本の政治経済のトップの方々は滅茶苦茶すぎはしませんか!?

 

それでも、読売新聞(200923日)には、茂木賢三郎氏(キッコーマン副会長)の次のような提案をされておられます。

 

一部の非正規労働者にしわ寄せが集中するのを避け、痛みを分かち合いながら乗り切る努力が求められている・・・

 「国や自治体には、雇用保険の適用拡大や職業訓練の充実など、雇用の安全網強化を望みたい。企業は、まず経営者の報酬をカットすべきで、やむなく労働契約を打ち切る場合でも、社員寮の継続使用や休業補償など、再就職までの経過的措置を考えるべきだ。勤労者にも、正社員も含めたワークシェアリングなど、仕事と賃金を分け合う工夫を求めたい

 

 

 一方、奥田碩氏(トヨタ自動車相談役)は、081112日に首相官邸で開かれ、氏が座長を務める「厚生労働行政の有り方に関する懇談会」にて、次のようは発言をされたそうです。

 

“新聞もそうだけど、特にテレビが朝から晩まで、名前を言うとまずいから言わないけど、23人のやつが出てきて、年金の話とか厚労省の話に関する話題について、ワンワンやっている。あれだけ厚労省だけ叩かれるのは、ちょっと異常な話”

・・・

“なんか報復でもしてやろうかな。それくらいの感じは、個人的に持っている。例えばスポンサーにならないとかね”

 

 このような奥田発言を、ジャーナリストから提灯持ちに成り下がってしまったような田原総一朗氏は、「朝まで生テレビ」で、

“資本主義社会なんだから当然”

と言ったような発言をして擁護していました。

 

 おかしいですよね。

新聞やテレビを見ているのは、トヨタのお客様でもあるのに〜〜〜!

そのお客様への配慮が奥田氏には欠けているようです。

 

 (電気自動車の時代になったら、日本人はトヨタの車を購入せずに、小規模なベンチャー企業の車を購入するかもしれません)

 

 

日本の政治経済のトップの方々は、
日本人の大事な心である“お陰様の精神”をお忘れになって、
お金様の精神”に取り付かれてしまったようです。

 

 悲しい事です、残念なことです。

このような方々に“愛国心”などという言葉を、口にして頂きたくありません。

 

 

(補足:1)プリンターはインク商売

 

 プリンター事業はキャノンの利益に多大な貢献を果たしているでしょうが、このプリンター商売は私には詐欺的行為に思えてなりません。

私はプリンター(キャノンではなくエプソンの6色印刷タイプ)での印刷は殆ど黒文字だけです。

それなのに、黒インクだけではなく、カラーインクもいつの間にか無くなってしまいます。

販売店の言い分は

“インクヘッドの目詰まりを防ぐ為に、
使用する黒インク以外のカラーインク用のヘッドもクリーニングするので、
印刷に使用しなくてもカラーインクもなくなってしまうのです”

でした。

 だとしたら、黒インクも使わないで、長期間プリンターを放置しておくと全部のインクが目詰まりしてしまうのでしょうか?!

私のプリンターは放置した後も黒インクは目詰まりしません。

 だとしたら、カラーインクを使用する際だけヘッドクリーニングを行えばよい筈です。

1社だけは、黒インクを独立して使用できるプリンターを提供しているそうですが、CD表面への印刷が出来ないので購入を諦めています)

 それに、カラー印刷といっても精密な写真印刷をしないので、カラーも3色でよいのに、6色とかに増えています。

更には、カラーインクがなくなった際に、プリンターを「カラー印刷」から「黒印刷」に切り替えると印刷が出来なくなります。

 

 キャノンはエコロジーを広告で謳っています。

だとしたら、こんな無駄なカラーインクの消費を避けるように業界を引っ張って言って欲しいものです。

 

 

(補足:2)変な形の“お陰様”

 

 先の拙文《賞味期限切れの日本人(1》、《賞味期限切れの日本人(2)〈週刊文春と「赤福」の関係〉》更に《賞味期限切れの日本人(3)(週刊文春の堕落)》に記述しましたように、「消費期限切れの商品の偽装販売」で問題を起した菓子メーカー「赤福」を、「週刊文春」は擁護記事を何度か書きました。

なにしろ、「赤福」は「週刊文春」に毎週広告を出していたからです。

 

 そして、忘れ易い日本人が、この赤福問題をすっかり忘れた今では、「赤福」は「週刊文春」に毎週広告(問題発生後は暫く控えていた?)を出しております。

 

 このような“お陰様”を私は好きにはなれません。

“お陰様”というより“もたれあい”ではないのでしょうか?!
それよりも、「週刊文春」が“お陰様”から“お金様”に堕落してしまったのかもしれません?!

 
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