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ファラデーの電磁誘導の法則は誤解です(2

 

2016626

宇佐美 保

 

 先の『第10話 ファラデーの電磁誘導の法則は誤解です(1) 』に於いては、下記の「ファラデーの電磁誘導の法則の数式」を、発電原理は「ファラデーの電磁誘導の法則」に関係ないとの実験から否定しました。

 

 

 式:1

   

但し、kは比例定数、又、一連の拙著では磁束を磁界と表記しております。

 

 今回は、電気信号を流した線(『第3話  電気は2本の電線をプラスマイナス同時進行』に於いて表題通りの事実を実証しましたので、入力側の2本の線:入力伝送路)の横にセットした隣接線(隣接伝送路)にも、同一波形の電気信号が流れることから、「ファラデーの電磁誘導の法則の数式」を否定します。

 

 これらの伝送路系を「写真:1」のように、4本の直径5mmで、1b長の銅の丸棒で汲み上げます。

 

 

 

 

そして、差動プローブを「写真:2」のように用い、入力伝送路、並び、隣接伝送路の始点側から、033.366.7100cmの地点での電圧波形を測定しますと、なんと驚くべき事に、入力伝送路に周波数:500MHz1V/0V)の矩形波信号の1波長分を入力すると、次に掲げる「測定結果:1」のように、入力伝送路で測定した電圧波形と、隣接伝送路で測定した電圧波形が同一形状であることが分かるのです。

 

 

 

 

 何しろ、隣接線に流れる電流は「ファラデーの実験」では、入力伝送路に電気信号をオン/オフした時のみに流れるであって、このファラデーの実験結果から「ファラデーの電磁誘導の法則の数式(式:1)」が導かれているのですから、両伝送路で観測される電気信号波形は同一である筈はないのですから、この測定結果から直ちに、「ファラデーの電磁誘導の法則の数式(式:1)」は否定されなくてはならないのです。 

 

 


:一般的に、隣接伝送路に於いて、入力伝送路の入力側を近端、入力伝送路の末端側を遠端と称しますので、前章末尾図のように、本著でもその呼称に準じております)

 

 この測定結果に於いて、注目すべき点は、空気中に設置した1b長の入力並び隣接両伝送路を、同一形状の電気信号が、空気中の電磁波速度で同時進行していることです。

更には、隣接伝送路では遠端部で、遠端クロストークが符号を逆転して近端側へマイナス信号として逆流する点です。(往復時間:約6.7ナノ秒=3.3ナノ秒×2

(隣接伝送路の末端(遠端)では、プラス/マイナス信号が相殺しています)

 

更に、入力信号の周波数を変化させ同様な測定を行っても、この状況は変わらず“隣接伝送路では遠端部で、遠端に向かう信号波形の正負が逆転して近端側へマイナス信号として逆流する”現象が次々観測され「ファラデーの誤解」に至る過程が明らかになります。

(この件は、此処では省略して、詳細は、、何故、隣接伝送路に入力伝送路と同形の電気信号が流れるか?、更に、何故、隣接伝送路の末端からプラス/マイナスが逆転した電気信号が流れるかは『コロンブスの電磁気学』(新増補改訂 カラー版 1巻)或いは新『コロンブスの電磁気学 第3巻 縦列接続の登場』をご参照下さい)

そして、更に、波長の長い1MHzの場合となると、「ファラデーの電磁誘導現象」そのものと見紛うような観測結果が得られます。

 

 

 

 

 

更に、次は1KHzの場合です。

 

 

 

こうなりますと、「ファラデーの電磁誘導現象」によって隣接伝送路に電流が勇気されたと思わざるを得ないような波形です。

しかし、実態は、入力信号と同一の波形が、隣接伝送路の末端から逆流してくる逆符号の電流によって、大部分が相殺されてゼロボルトとして観測されているだけなのです。

 

そこで、この件を、更に、ご納得頂けますように、測定した各波長が全て納まるように、(省略した部分も合わせて)各々の波長に対する時間軸を変えて測定しますと、次のようになります。

 

 

 

(尚、250MHzの場合は、波長が短いので、隣接伝送路を末端へ向かう入力信号と同形の波形が、末端から逆流してくる逆符号の波形が、観測している伝送路ではで会うことがないので、両者の相殺関係が観測されておりません)

 次は、上掲の「測定結果:4」を得た場合と同様に、但し、隣接伝送路を取り除き入力伝送路単独(末端がショート状態)で入力伝送路の入力部に於いて測定した結果を掲げます。

 

 

 

 

この結果は、末端がショート状態の入力伝送路のみの場合の「測定結果:5」(ゼロボルト波形である紫の矢印区間でも常に電流は流れている)と全く同じなのです。

(尚、250Mhzの場合は、マイナス波到来の前に発信が終了してしまいますので、相殺区間は存在しません)

 

このように一般的伝送路(入力伝送路単独)に於いても、その末端がショート状態の場合では、信号のON/OFF時に、入力伝送路の影響を受ける隣接伝送路同様な波形変化が観測されるのですから、隣接伝送路にて、ファラデーが「電磁誘導」の結果と誤解した電気信号波形が観測される現象の原因に関して、何ら新たな理屈を考え出す必要はありません。

 

 ただ、偉大なる天才で、実験の名手でもあったファラデーがこのような実験を行おうとしても、今回の実験のように、ナノ秒単位で、電流をオン/オフすることは不可能でしたから、とても今回の実験結果を得ることが出来ませんでした。

従って、ファラデーの実験としては、せいぜい今回の実験の「測定結果:4」に於ける51KHzの場合(100μ秒/目盛)程度の結果しか得ることが出来なかったのでしょう。

 

 しかし、いくら現在の優れた測定機器を用いても、今回の実験に用いた伝送路系を組み立てることなくして、通常測定に、又、実際に電気機器類に用いられる「プリント配線板 (printed wiring board)」を用いての実験では、今回の結果は絶対得ることはできないのです。

そして、「プリント配線板 (printed wiring board)」を用いての測定結果は、ほとんどファラデーの実験結果と同様になってしまうのです。

(この件もここでは省略しますので、詳細は、『コロンブスの電磁気学』(新増補改訂 カラー版 1巻)或いは新『コロンブスの電磁気学 第3巻 縦列接続の登場』をご参照下さい)

 

 更に、今回の空気中に特性インピーダンス値が一定(真直ぐな線と、線間が一定)であり500MHzとかの高周波信号を流す為の伝送路を得るのに、従来的な発想では、突飛すぎると思われる直径5mmの銅の丸棒を用いた点こそは、拙著『コロンブスの電磁気学』の名称の由来である「コロンブスの卵」であると自負しているのです

そして、この「コロンブスの卵」である伝送路から、次々と新たな電気理論が生まれて来たのです。