第15話 |
コイルの理論も誤解されております
2016年6月13日 宇佐美 保
トランスは、一般的に、1次側と、2次側の2つのコイルを組み合わせで成り立っております。
そのトランスを形成しているコイルの理論からして誤解されているのですから、トランス理論も誤解の産物であって当然なのです。
例えば、
……革新的な技術やソリューションの創出により、エレクトロニクス社会の進展に貢献しています。材料から製品までの一貫生産体制を構築し、小型、高機能、薄型化などエレクトロニクス業界のトレンドをリードしています。……と書かれている村田製作所のホームページでコイルに関するページを訪ねますと、
しかしで、前の『第3話 電気は2本の電線をプラス・マイナスで同時進行
そうしますと、「図:2」のように、プラス・マイナスの電流は、コイル入口部まで一緒に来た後、プラス電流がコイル内をぐるぐると長い時間かけて移動する間、マイナス電流は、コイル出口で足踏みして待っているのでしょうか?
図:1 | 図:2 |
そんなことはないと存じますので、「図:3」のように市販コイルの入口/出口を1b長の入/出力用の同軸ケーブルの信号線間に接続し、出力ケーブルの末端を50Ω抵抗で整合終端処理を行い、電源(パルスジェネレータ)から、200MHz(1V/0V)の1パルスの矩形波信号を出力し、各部での時間に伴う電圧変化を電圧測定器(差動プローブ)を用い測定し「測定結果:1」を得ました。
このように電圧変化を、インダクタンス値が異なり、それに伴い巻き数が異なる(コイルの電線長が異なる)各コイルの入口部出口部で、又、各コイル出口部の先に接続された1b長の同軸ケーブルの末端で約5ナノ秒後に同時に観測していますから、従来から言われているような、(そして、村田製作所のホームページにあるアニメーションのように)螺旋状のコイルの電線を、入り口から出口へと順次グルグルと伝わって電流が流れて行くのではないのです。
(∵ 同軸ケーブルを進む電流速度:約20cm/ナノ秒)
では、電流はコイルを、どのようにして流れるのでしょうか?
この件は後の話で説明させて頂きますが、「縦列接続(筆者の命名)」によって流れてゆくのです。
この「縦列接続」の概略は、「新『コロンブスの電磁気学』(第3巻)「縦列接続の登場」へのご案内」
を先ずは、訪ねてみて下さい。
更には、「測定結果:1」に於いて、「コイル入口部から電源側への反射波」との「吹き出し」を書き込みました。
この件に関しては、次の「図:4」の状態で「コイル、或は、コンデンサ」に、矩形波信号を1パルス送ると、次の測定結果を得ます。
このように、「入力部側」と「出力部側」での各測定結果を、足し合わせると、「(3)(1)+(2)」が矩形波、又、ゼロ状態になるのですから、「コイル、或は、コンデンサ」から、入力側/出力側の伝送路へ絶対値は等しく符号が逆の電流が排出されている現象が明確化されます。
そして、このような結果は、電源のプラスからマイナスへと、一方通行的に電流が流れると解釈している従来のコイル理論からでは考えられない事象です。
従って、この簡単な実験並びその結果から、従来のコイル理論が崩壊することは明らかです。
勿論、コンデンサの理論に関しても、同様です。
何しろ、従来は、「マクスウェルの方程式」で有名なマクスウェルによって導入された「変位電流」によって、コンデンサを介して電流が流れると解釈されていたのですから、このコンデンサに関する従来説も崩壊します。
この件は、後に記述いたします。
それでは、コイルに対する新たな理論は何か?とは後々に、記述したく存じますが、先ずは拙著「新『コロンブスの電磁気学』(第4巻) 新たなコンデンサとコイル理論」、或いは、「『コロンブスの電磁気学』(新装改訂カラー版 第1巻)」をご高覧頂きたく存じます。