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新『コロンブスの電磁気学』(第3巻)
「縦列接続の登場」へのご案内

 

201581日 宇佐美 保

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『ファラデー 電気実験(上) M.Faraday 監修者:田中豊助 (株)内田老鶴圃』に於いて、ファラデーは次の記述を残しています。

 

……私はこの時までに得ていた磁石に関する諸結果に基づいて,1本の針金を通る電池電流は,実際に他の針金の中にも同じ電流を発生するが,わずか一瞬しか持続しないものであり,ヴォルタ電池の電流というよりも,むしろ普通のライデンびんの衝撃によって通過する電気の波といった性質を帯びているから,検流計には辛うじて作用するくらいではあるが,鋼針を磁化させることはできるに違いないと信じたのである。

 

 このファラデーの記述にあります「他の針金の中にわずか一瞬しか持続しない電流」を、一般的には“クロストーク”と称していると私は教わりました。

 

 しかし、ファラデーが使いたくても使えなかった現在の電気測定機器を用いて、「コロンブスの卵」的な発想での実験を行えば、2本の電線間の電流の流れ状態」が、全く異常ではなく、理に適っていることが判明するのです。

即ち、更に実験を続けると、入力線の横に存在する隣接線にも、入力線を流れる電流同様の電流が流れていることが判明するのです

そこで、銅の丸棒を用い、5mmφの1b長の銅の丸棒を4本用いて「図:1」並び「写真:1」のような入力伝送路、並びに、隣接伝送路を作成しました。

 

   

但し、各伝送路の特性インピーダンス値も50Ωとなるように導体間隔を調整して、各伝送路(各伝送路のZ50Ω)の末端を50Ω整合終端処理しました。

尚、隣接する隣接伝送路の後部(入力信号の進行方向と反対側)を同軸ケーブルで約4cm延長し、その末端を50Ω整合終端処理した状態として、隣接伝送路へ誘起される電流を、差動プローブ(「写真:2」)、オシロスコープを用いて測定致しました。


 

 

  この入力伝送路に、パルスジェネレータから500MHzの矩形波信号を1パルス入力し、その進行状況(電圧変化)を、入力伝送路の各部(033.366.7100cmの地点)に於ける電圧変化を測定し「測定結果:1-1」を得ました。

 

更に、隣接する隣接伝送路の後部を同軸ケーブルで約4cm延長して(−4cmの地点)で得られる近端方向()へ向かう電気信号、更に遠端()へ向かう電気信号を033.366.7100cmの地点で差動プローブを用いて測定し、次の「測定結果:1-2」を得ました。
 

:一般的に、隣接伝送路に於いて、入力伝送路の入力側を近端、入力伝送路の末端側を遠端と称しますので、本著でもその呼称に準じます)

 

 

この測定結果に於いて、注目すべき点は、空気中に設置した1b長の入力並び隣接両伝送路を、同一形状の電気信号が、空気中の電磁波速度で同時進行していることです。

更には、隣接伝送路では遠端部で、遠端クロストークが符号を逆転して近端側へマイナス信号として逆流する点です。(往復時間:約6.7ナノ秒=3.3ナノ秒×2

(隣接伝送路の末端(遠端)では、プラス/マイナス信号が相殺しています)

更に、入力信号の周波数を変化させ同様な測定を行っても、この状況は変わらず“隣接伝送路では遠端部で、遠端に向かう信号波形の正負が逆転して近端側へマイナス信号として逆流する”現象が次々観測され「ファラデーの誤解」に至る過程が明らかになります。

例えば、250MHz1V/0V)の場合で、測定状況は、勿論、500MHzの場合同様です。

 


 


次には、10MHzの場合での測定結果を次に掲げます。

 


 この結果(隣接伝送路での信号の進行)に見る波形形状はファラデーが誤解した「ファラデーの電磁誘導現象」に、少し似てきます。 

更に、波長の長い1MHzの場合となると、「ファラデーの電磁誘導現象」そのものと見紛うような観測結果が得られます。

 

 

 更に、次は1KHzの場合です。

 

 

 

このような、全く「ファラデーの電磁誘導現象」そのものと見紛う観測結果が得られますが、その近端で観測される波形を同一時間軸で観測すると、すべて同じ波形なのです。

これらの場合と全く同様な波形変化を、末端がショート状態の入力伝送路単独の場合の入力部での電圧波形変化にも観測するのは当然です。

そして、ここまでの測定結果から、「ファラデーの電磁誘導説」は誤解の産物であることが分かります。

では、何故、隣接線(隣接伝送路)は、入力線(入力伝送路)と同じ電気信号が流れるのでしょうか?

 それは、別冊『新『コロンブスの電磁気学』第1巻 新たな電流理論』の「第4章 電流の担い手は電荷でしょうか?」に於いて、次の「図:2」(写真:3)の伝送路系の各伝送路に同形の電気信号が流れる事から、その「図:2」に書き込みましたように”電流の担い手は電荷ではなく、電磁波の流れ、即ち、電磁子集団の流れ”であって、それ等各伝送路は、縦列接続(pile connection)の関係にあるからです。

 


   

では、何故「縦列接続(pile connection)」の関係にある伝送路には同形の電気信号が流れるのでしょうか?
この件は是非とも本著を御高覧下さい。

 ご参考の為に、本著の目次を以下に掲げさせて頂きます。

 

目次

 

まえがき      1

1章  ファラデーの誤解を現在の測定器で解きます   3

2 隣接線に誘起される電流         5

3 隣接伝送路にも入力信号と同形の信号が流れます          7

補足 隣接伝送路の近端側を延長した場合  10

4 隣接線には入力信号と同形の信号を相殺する信号も流れる     11

補足:1 「隣接伝送路」の末端状態を変えた場合           16

補足:2 矩形波以外の入力信号の場合        17

5 一般電線を用いて「ファラデーの誤解」を解きます      18

補足 特性インピーダンス値が50Ω以外の伝送路の計測(マッチング抵抗)           19

6章 縦列接続の登場 22

7 縦列接続の誕生   23

補足 縦列接合を活用して直流用トランスの開発    25

8 縦列接続の展開   26

9 縦列接続伝送路の合算特性インピーダンス           28

補足 抵抗の直列接続は、縦列接続と等価  31

10 縦列接続伝送路に流れる電流は同一値     32

11 隣接伝送路へのマイナス反射波の発生に関する考察    35

補足:1 入力伝送路との関係を疎遠にすると逆符号の電流が逆流する          38

補足:2 縦列並び並列接続された伝送路の特性インピーダンス値     41

補足:3 入力並び隣接伝送路の末端状態を変化させた場合      43

12章 変位電流も誤解の産物です 47

13 「ファラデーの誤解」に長年気が付かなかった理由    50

1節 先進波と後進波に分裂する原因      54

2節 先進波と後進波に分裂する原因の検証(1      57

3節 先進波と後進波に分裂する原因の検証(2      59

あとがき      61

使用した主な測定機器類ほか    62

 

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