目次へ戻る

 

中川経産相らを辞職させ、年金問題の膿み出しを徹底すべし

2004425

宇佐美 保

 

 「国民年金」、「厚生年金」共々、本来の『積立金方式』で十分に運用出来たのに、インチキな政治家や役人が、この大事な『積立金』を食い潰してしまったのです。

 

その挙げ句、年金は『積立金方式』では無理で、『世代間扶養』であるべきと、或る意味での情報操作をしてきました。

(愚かなマスコミは、この情報操作にまんまと乗せられてきました。)

 

 それでも、天下り役人達の無駄使いなど、又は、株価維持対策として大事な『積立金』を投入したりとの飛んでもない無駄使いのお陰で「国民年金」、「厚生年金」が瀕死状態になるや、訳の判らない年金改革案などを提出したりしています。

 

 この様な状態で、若者達の年金不信、年金離れが進んでいると云われています。

 

 そんな折りに、3閣僚の国民年金の未納事件が発覚しました。

次に、朝日新聞(424日)の記事を抜粋致します。

 

 国民年金の未納・未加入期間があったことが明らかになった中川経産相、麻生総務相、石破防衛庁長官の3閣僚は23日夜、衆院厚生労働委員会に出席し、改めて経緯を説明したうえで陳謝した。野党側は「国民の年金不信を高めた」などと引責辞任を求めたが3氏はそろって拒否保険料を納めないという意図はなく、単純なミスだったと釈明した

……

 小泉首相は23日夜、記者団に対し閣僚も気づかない、払わないことがあるんだから、どういう改善策があるか、考えていかなきゃいけない。国民だって分からない、払ってないという方も多いと思いますよ」と述べ、複雑な制度に問題があるとの認識を示した。

……

福田官房長官も「今まで起こったことをとやかくいってもしようがない。自分の60歳までの納付履歴は「個人情報だ」と連発して公表を拒んだ。

 

 何故、この3閣僚の議員辞職者の不祥事を、“保険料を納めないという意図はなく、単純なミス”で済むのですか!

年金制度が「積立金方式」ではなく「世代間扶養」であるなら、(私は認めてはいませんが)、年金の納付は、自分の為ではなく、自分の前の世代に対する国民全体の義務ではありませんか!

その国民の義務を、閣僚たる者が蔑ろにしておいて、“単純なミス”で済まされるんですか!?

 

 なんと言っても、中川経産相は21年もの長期間、彼の前の世代の扶養を怠っていたことになるのです!

 

 特に、中川経産相は、今回イラクで不幸にも人質になられた方々に対して、

 

「人によってはまた行きたいと言っている。万一のときは自己責任を負ってください。政府、関係者、(北海)道庁、外国、イラクの方々に迷惑をかけないで自己完結でやっていただきたい

毎日新聞 2004年4月16日 東京夕刊

 

と発言している位の方ですから、自ら率先して「政府、関係者、国民に迷惑をかけないで自己完結で」議員辞職して頂きたいものです。

 

ところがおかしな事に、閣僚を引責辞任するだけではなく、議員を辞職すべき中川氏をはじめ3氏とも、野党の引責辞任に対して、

 

“任命権は小泉首相にある”

 

と、「自己責任」を回避しています。

(何故か、この朝日新聞記事には、記載されていません。)

 

 その上、この3閣僚から下駄を預けられた小泉首相は、次のように「うっかりミス」として、何ら彼等の責任を問う意志がないようです。

 

 ……3閣僚が国民年金保険料を納めていなかったことについて「今後、直せばいいでしょう。みんなうっかりして(家族に)任せていたんじゃないですか」と問題視しない考えを示した。……

(毎日新聞 2004年4月23日 東京夕刊)

 

 その上、前掲のように、

 

閣僚も気づかない、払わないことがあるんだから、どういう改善策があるか、考えていかなきゃいけない……」

 

と、3氏の未払いは、従来の年金制度の欠陥との問題のすり替えをして、全く他人事のような発言をしています。

 

 そもそも、彼等3人の未払いの根底には、今大問題になっている「年金」なんて、自分達には関係ないどうでも良いこととの認識が存在しているからではありませんか?!

なにしろ、彼等には誠に優遇された「議員年金」が存在しているのですから。

そして、この存在こそが、彼等3人の国民年金不払いの原因である訳です。

 

なにしろ、その議員年金たるや、次のように国民年金とは雲泥の差です。

ホームページ「フリー百科事典『ウィキペディア (Wikipedia) 』」より抜粋させて頂きます。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%B0%E5%93%A1%E5%B9%B4%E9%87%91

 

受給資格:在職10年

在職時掛金:年間126万6000円。

受給額:最低でも年412万円(在職年数10年)。在職1年増える毎に年額8万2400円増える。

備考:国会議員互助年金は約70%が税金からつぎ込まれている。

その他:受給資格が得られない場合、在職3年以上であれば掛け金の8割が戻る。

 

 従って、年間1266000円の30%、即ち、379800円を支払い、10年間の合計支払いが3798000円でもって、年間412万円も貰えるのですから、1年でその支払い分が戻ってくるのです。

 

 こんな恵まれた年金が何処にあるのですか?!

こんな恵まれた年金が貰えるご身分だからこそ、国民年金の支払いを、馬鹿馬鹿しい!と感じ未払いを決め込んだり、又は、この様な悪意ではなくても、小泉氏の言い訳である「閣僚も気づかない」或いは、「みんなうっかりして……」となってしまったのでしょう。

従って、小泉氏は国民年金の改革の前に、率先して議員年金の廃止を、実行すべきです。

 

 今朝(425日)のテレビ朝日「サンデープロジェクト」に於いて、共産党の小池晃議員は、自民党と公明党が作成した、今回の年金問題に関するパンフレットをかざして、次のように発言していました。

 

 このパンフレットには、改正案(の記述)の前に、3つの誓いが書かれている。

その2つ目に、「国民年金の未納問題を徹底的に取り組みます」と記されている。

ですから、改正案云々の前に、この第2の誓いを実行すべき。

 

 従って、先ずは3人の辞任すべきです。

ところが、この小池議員の発言を受けて、自民党税制調査会長の津島雄二氏は、

 

そんなこと云っても、野党側にも未払い者が沢山いるでしょうよ。

 

 と薄ら笑っていました。

 

 しかし、津島雄二氏は、

 

26日に全閣僚の国民年金保険料の納付状況を明らかにすることを約束した。

 

 と云うのですから、先ず全閣僚の支払い状況を明確に示して下さい。

 

なにしろ、福田官房長官は、60歳までの納付履歴について質問されて、

「個人情報だ」と連発して公表を拒んだ。

 と云うのですから。

自分達が創ったパンフレットの2つ目の誓いに、「国民年金の未納問題を徹底的に取り組みます」と書きながら、この様な態度が許されるのですか!?

福田氏自ら率先して、支払い状況を公表すべきです。

 

 何故今頃「国民年金の未納問題を徹底的に取り組みます」なんて事態が発生するのか?

 

 この背景の端的な例を、朝日新聞(424日)に記事に見ることが出来ます。

(この記事のようにマスコミは、自ら勉強することなく、政府見解を鵜呑みにし続けてきたのです。)

 

 制度の複雑さに加えて強制加入と言いながら「任意加入」の実態を放置してきた社会保険庁の運営のずさんさもある。社保庁が国民年金の保険料徴収に本腰を入れたのはごく最近。それまでは「払わなければ、本人の老後の年金が減るだけ」という自己責任論を隠れみのに、まともに取り組んでこなかった。

 

 この記事の無責任さを追求します。

否!私が追求するまでもなく、「国民年金」、「厚生年金」とを、単純に「共済年金」と比較して来れば良かったのです。

 

「共済年金」が“制度が複雑だ”等と云われてきましたか?

強制加入と言いながら「任意加入」の実態を放置してきた社会保険庁の運営のずさんさもある……それまでは「払わなければ、本人の老後の年金が減るだけ」”と朝日は書きますが、「社会保険庁の運営のずさんさ」ではないのです、あくまでも「年金は積立金方式」であって、「積立金方式」であれば、単に「払わなければ、本人の老後の年金が減るだけ」であって、なんら「社保庁がまともに取り組んでこなかった。」と云うのではないのです。

 

 ですから、“「払わなければ、本人の老後の年金が減るだけ」という自己責任論”は“隠れみの”でもないのです。

真実なのです。

だって「共済年金」が、そうではありませんか?!

 

 ですから、マスコミは自分達の不勉強さ愚かさ、更に「まともに取り組んでこなかった」マスコミの“自己責任”を全て“社会保険庁の運営のずさんさ”という“隠れみの”とし、回避しているのです。

 

 サンデープロジェクトで、民主党の古川勝久氏は、次のような票を提示して政府案を扱き下ろしていました。

政府案 古川氏の反論
出生率 1.39 2002年時点で、1.32
賃金上昇率 2.1 現状ほぼ0
物価上昇率 1.0 5年間連続下落
運用利回り 3.2 現状1%前後


 この様な古川議員の見解から、役人達に皆騙されているのです。

「共済年金」に老後を託す役人達にとって、出生率、賃金上昇率、物価上昇率が民主党の言い分通りだって構わないんです。

なにしろ、「共済年金」は、「積立金方式」で今まで立派に運用されてきているのですから。

拙文《インチキ評論家が年金は黒字と嘘を言う》に書きました、私の概略計算では、運用利回りが、3%あれば(41年間積み立てて、26年間支給を受けるとして)、年金の受取額は、年間の積立額の4.17倍となるのですから。

 即ち、現行の年収の13.58%の支払いに対して、その4.17倍、即ち、年収の56.6%の年金を受け取れるのですから。

 

(勿論、現在の1%前後の運用利回りでは、苦しくなります。

しかし、「共済年金」は、「厚生年金」と違って、(本来は、現状の低金利時代に備えて備蓄しておくべき)予定利回りの5.5%以上の収益を、運用代行している企業の取り分にするなどと馬鹿なことはしていないのです。

ですから、「共済年金」バブル時の備蓄で、この低金利時代を乗り切れるのです。
拙文《
一元化の前に共済年金の実態を明らかに!》も御参照下さい。)

 

 マスコミや、野党がもう少し利口なら、「年金改革案云々」の前に、“年金の大事な『積立金』を食い潰してしまったインチキな政治家や役人の責任を追及”すべきなのです。

 

 こんな事を看破出来ないマスコミや、野党ですから、政府関係者がどのように発言しようと、なんら彼等を咎めることが出来ないのです。

 

 だってそうではありませんか?

福田官房長官も「今まで起こったことをとやかくいってもしようがない。と云うのですから、小泉氏も福田氏も、年金の大事な『積立金』を食い潰してしまったインチキな政治家や役人の責任を追及する姿勢など全くないことを如実に示しています。

 

 マスコミや、野党よ、もっとしっかりして下さい!

 

少なくとも、坂口厚労相は、26日に全閣僚の国民年金保険料の納付状況を明らかにすることを約束したのですから、マスコミや、野党も頑張って、しっかりと役人政府などの責任を追及して下さい。

 

 しかし、サンデープロジェクトに於いて、野党議員達に向かって、

 

調べたらあなた方のお仲間にも、年金未払い者の存在が判明しますよ。

 

 と云って、薄ら笑いをしていました。

 

 どうかそんなことに恐れずにこの際すっかりと年金の膿を出し切って下さい。

 なにしろ、拙文《バカの壁と世論》に引用しました養老氏の御見解によりますと「政治家は、人間は何処までバカかと読み切って仕事している……」というのですから、役人や、政治家達は私達をバカにし放題に年金を食い尽くしてしまっているのです!

 

 

 

(補足)

 

 私は、常々、中川昭一議員には、ダーティーさを感じ続けてきました。

今回の、国民年金未払い然り、

先の、イラクで人質になられた方への発言然り、

そして、又、次の記事(朝日新聞424日)もあります。

 

 府肉連をめぐる偽装牛肉事件で、詐欺容疑で逮捕された府肉連副会長の浅田満容疑者(65)と、浅田容疑者が実質的に経営するハンナングループの企業が、国会議員とその経験者計6人の政治団体や政党支部に献金したり、パーティー券を買ったりしていたことがわかった。資金の提供額は95年から02年までに計1058万円。……

 父親の故・中川一郎元農水相が浅田容疑者と親交があった中川経産相の政治団体は200万円。……

 

 更に、18日付の記事は、

 

浅田容疑者は鈴木元議員ら農水族議員を中心に政治家を資金面で支えてきた。関係者によると、浅田容疑者は故中川一郎元農水相の支援者だったが、中川氏が83年に死去した後、中川氏の秘書だった鈴木元議員がその関係を引き継いだ。

……

 今回の事件で悪用された「国産牛肉買い上げ制度」は鈴木元議員と松岡利勝元農水副大臣が01年、農水省に実施を迫っていた。当時は牛海綿状脳症(BSE)の影響で牛肉の売り上げが激減していた。「国が引き受けますと言えばいい。簡単なことなんだよ」。鈴木元議員は農水省幹部に詰め寄った。

 

 中川議員が、今まで何かにつけて強圧的な態度をとり続けることが出来た裏に、浅田容疑者と云うとてつもなく強面な方がバックにいたからでは?と下種の私は勘ぐったのです。

 

又、別の気になる事は、週刊新潮(2004.1.18号)の記述です。

 

 さる1212日夕刻、有楽町の東京国際フォーラムで、日本と東南アジア諸国連合

ASEAN)との交流を記念したレセプションが開かれた。

 その会場での出来事だった。……

田中審議官が何気なく言い放った次の発言が、中川経産相の逆鱗に触れたのである。

大臣、北朝鮮のような小さな問題ではなく、もっと大きなことに関心を持ってくださいよ

 中川氏は「拉致議連」の顧問を務めており、そのセリフは聞き捨てならないものだった。

「もう一度言ってください」

 と中川氏が聞き返すと、田中氏は同じ言葉を繰り返す。中川氏が畳みかけるように、

 「あなたには子供がいるのか」

 と尋ねると、田中氏は、

 「いますよ」

 とシレッと答えた。そこで中川氏の怒りが爆発した。

 「北朝鮮による拉致で、子供や家族が26年間も帰ってこない人たちがいる。それでも小さい問題なのか!」

 周囲にいた出席者が振り返るような大声だったという。続けて、中川氏は拉致問題の重要性を説く。田中氏はただ聞き入るばかりだったのだが、中川氏の、

 「あなたみたいに北朝鮮のスパイのようなことをしていては駄目なんだ

 という発言に、今度は田中氏が色をなして噛みついた。大声で、

スパイという発言は取り消してください

 と中川氏に迫ったのである。……


 私は、以前、朝日ニュースターの番組「パックインジャーナル」での「拉致問題からの田中均氏降ろし問題」に対して、テレビ朝日コメンテーターの川村晃司氏が、

 

中国には、“井戸を掘った人の恩を忘れるな” との諺がある。

拉致問題の関係者が、田中均氏を外すのは、如何なものか?

 

 と発言されていた事を覚えています。

 

 実際、インターネットで“井戸を掘った人の恩を忘れるな”を見ましたら、

 

「人民網日本語版」(200246日)に次のような記述がありました。

http://fpj.peopledaily.com.cn/2002/04/06/jp20020406_15975.html

 

 日本を公式訪問している全国人民代表大会常務委員会の李鵬委員長と朱琳夫人は……最初の地方視察地に富山を選んだことについては、「中国には『水を飲む人は井戸を掘った人のことを忘れるな』という言葉がある」と述べ、富山が中日国交正常化に貢献した松村謙三元代議士の出身地であることをあげた。……

 

 そして、川村氏の発言に納得したのです。

更に、朝日新聞(312日)には、次の記述があります。

 

小泉首相はなぜ、田中氏を切らないのか。伊豆見元・静岡県立大学教授は言う。

 「田中氏は北朝鮮との水面下交渉で、お互いに蹴飛ばし合うようなやりとりを1年間重ね、信頼関係をつくった。新しい窓口をつくるにはそのくらい交渉を重ねないと無理です。圧力路線が強まれば交渉を重ねるのは難しくなり、後継者も出てこない。当面、田中氏に頼らざるを得ません」

 

 私は、この様に苦労を重ねて拉致問題の井戸を掘った田中均氏を「周囲が驚く程の大声で怒鳴った」という中川議員の心を信じることが出来ないのです。

(たとえ、田中均氏の苦労が、出世目的であったとしても。

田中均氏の苦労がなければ、私は、又、私の友人達も、拉致事件の存在さえも信じることは出来なかったのです。)

 

北朝鮮による拉致で、子供や家族が25年間も帰ってこない人たちがいる。それでも小さい問題か

 

と激怒されたそうですが、本当に中川議員は、この様に思われているのですか?!

だとしたら、拉致議連の会長役に全力を注ぐべきではありませんか!?

 

拉致被害者の方々を親身に心配されておられるのなら、拉致議連の会長役を辞めて、「経産相」に就任すべきではない!と思います。

更に驚くことは、小池百合子氏は、拙文《曽我ひとみさんをご家族のもとへ帰して(2》にも記述しましたが、舞い上がるが如くに、拉致議連の副会長役を放擲して環境相に収まっています。

その上、現会長の平沼氏は、次期首相候補などとの記事が出たりすると、国会議員達は、拉致被害者の方々の苦しみを本当に感じていないのかしら?!

そして、お気の毒な方々を踏み台とされているのかしら?と疑わざるを得ません。

 

 特に、“井戸を掘った人の恩”を忘れる方に、拉致被害者の方々の苦しみを共有出来るとは到底思えません。

 

北朝鮮は、ある意味では、イラクと同じ、或いはイラク以上に危険な場所ではありませんか?!

 

北朝鮮に残して来られたご家族への思いを何度も綴っておられる曾我ひとみさん、「親と子がなぜ一つになって暮らせないのか。外交カードのようなことに利用されるのは我慢できない」と、進展のない状況にいら立つ心情を吐露した蓮池さん達の複雑な心の苦しみを、今回の人質被害者の方々に対する冷酷な発言をされた中川昭一氏、又、小池百合子氏らが理解出来るとは到底思えません。

 

他人の心の苦しみを理解出来ない方々は、どうか政治の場から、即刻、身を引いて頂きたいものです。

目次へ戻る