一元化の前に共済年金の実態を明らかに!
2004年3月30日
宇佐美 保
小泉首相は、3月27日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」にて、国民年金、厚生年金、共済年金の一元化が望ましい旨を発言しました。
この際、残念ながら、司会の田原総一朗氏、又、背後に控えるコメンテーターからも、小泉氏への突っ込みがありませんでした。
今朝の新聞(朝日)に於いても然りです。
以下に、その記事を抜粋致します。
…… 発端は27日のテレビ朝日の番組収録だ。首相は「一元化が望ましい」と国民年金、厚生年金、共済年金まで含んだ統合に言及した。 現行制度は、自営業者の国民年金、サラリーマンの厚生年金、公務員の共済年金など職業別で仕組みが異なる。今回の法案で地方・国家公務員の共済年金を財政部分に限りようやく一元化しようという段階だ。 29日夜、首相は記者団に「今、いろいろ職種によって制度が分立してますから、これを一元化すべきだという意見が前からあります。そうなると、制度の変革を含んだ大改革になりますね」と説明。今国会で政府案を成立させ、その後1〜2年の与野党協議で抜本改革の方向性を示す、との段取りを描いてみせた。…… |
更には、
「我が主張」勢いづく民主 一方、独自の年金法案取りまとめが難航する民主党にすれば、首相発言は一種の「敵失」。反転攻勢の大きなきっかけと勢いづく。「昨年の総選挙のマニフェストで年金一元化を主張したのは民主党。政府案は一元化には全く触れていない。民主党案の方が良いと認めるなら、こちらに(政権を)任せてもらいたい」。菅代表は29日夕のCS放送・朝日ニュースターの収録で力説した。…… |
私達が、田原氏やマスコミに、小泉氏や政府役人達に、問い質して欲しいのは、「共済年金の実体」なのです。
「共済年金」こそは、我が国の「積立金年金制度」の優等生なのです。
なにしろ、可哀相な「国民年金」、「厚生年金」などと違って、次のように虐待を受けることなく大事に育てられてきたのですから(拙文《年金と株と国会議員》も御参照下さい)。
1 | 厚生年金会館、グリーンピアなどの箱物に、駆り出されていない。 |
2 | 代行制度などで、予定運用益以上の利益(低金利時代の将来への蓄え)が、箱物などに駆り出されていない。 |
3 | 公務員宿舎の建設へも駆り出されていない。 |
4 | 株式市場という賭博場に殆ど駆り出されていない。 |
5 | 株価の下支えなどの荒仕事を免れている。 |
6 | 天下り役人の餌食になっていない。 |
等々 |
これから育てるというどんな「年金制度」でも、以上に掲げた「国民年金」、「厚生年金」が受けてきた虐待は、絶対に避けられるべきです。
そして、この虐待を免れた「共済年金」の成熟度をしっかりと、把握すべきです。
巷間云われているように、この「共済年金」が黒字なら、「積立金年金制度」が問題なのではなく従来の役人政治家の無責任な運用が、私達の「国民年金」、「厚生年金」無茶苦茶に破壊してしまったことが明瞭になる訳です。
(拙文《インチキ評論家が年金は黒字と嘘を言う》も御参照下さい)
そして、「世代間扶養」等という言葉が、これら役人政治家の責任逃れの「目眩まし」である事が判明するのです。
更に、「共済年金」が黒字なら、役人政治家達によって大穴をあけられた部分を、今後の高速道路の建設費を充てるなどで、補修して、「国民年金」、「厚生年金」を再起してあげればよいのです。
また、万が一この優等生の「共済年金」が赤字だとしたら、何が原因で赤字になったのかをはっきりさせるべきです。
いずれにしても、今後の年金制度を考える際には、
優等生の「共済年金」の徹底解明が不可欠なのです。 |