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「押し付け憲法」ではなく幣原総理案

201638

宇佐美 保

 

  225日のテレビ朝日「報道ステーション」の“特集「安倍総理憲法改正の原点」”は、「平和憲法」は、GHQの押し付けではなく、幣原喜重郎総理(当時)の発案であったとの素晴らしい事実を伝えてくれました。

 

 

 

  ジャーナリストの鈴木昭典氏が、国立公文書館で「憲法調査会」に於ける議論の音声テープを発見し、
コピーして貰った
CDの中に、憲法調査会が開いた公聴会での、
憲法制定当時中日新聞の政治部長だった小山武雄氏の以下の証言が残されていたのです。

 

 

 第9条が誰によって発案されたのかという問題が、当時から政界の問題となっておりました。
そこで、幣原さんにオフレコ(非公表)で、お話を伺ったわけであります。

その9条の発議者という限定した質問に対し、
幣原さんは“それは私であります、私がマッカーサー元帥に申し上げて、第9条の条文になった。”とはっきり言った。”

 

 

更に、調査会は、マッカーサー元GHQ最高司令官から調査会会長高柳健三氏への書簡で直接、次の証言を得ていたのです。

(放送ではその書面も映し出されておりました)

 

 

 

戦争を禁止する条項を憲法に入れるようにという提案は幣原総理が行ったのです

私は、総理の提案に驚きましたが、私も心から賛成であるというと、
総理は明らかに安堵の表情を示され、私を感動させました。

 

 

そもそも「憲法調査会」では、59年前、1957年、安倍総理の祖父である、
当時の岸総理は憲法改正を目指して、具体的な検討を始めていたのでした。

 

 

 そこでの議論の肉声の一部を放送で紹介されました。

 

 先ずは、今もご存命の当時衆議院議員であられた中曽根康弘氏の発言を掲げさせて頂きます。

 

 

“異常な状態で作られた世界でもまれな占領下での憲法という特殊事態を知らん連中の話です。

何のために憲法調査会が作られたか因縁が分かりもしないで、この憲法をどうするかという議論が始まる筈がない。”

 

 

 この中曽根発言は、英米法学者で、この調査会の会長の高柳健三氏に次のように窘められます。

 

 

 

“憲法改正は、子孫に長く伝わる問題で現在に住んでいる人だけでもって軽々しく決めるととんだことになる恐れもある。

あなたは学者というものを軽んじて、政治家の道具みたいに考えているけれど、あなた間違い。”

 

 

 高柳健三氏のお咎めを中曽根氏が、どのように受け止めたのでしょうか?

 

 

 「憲法調査会」に関して、放送では次のように説明されました。

 

 

憲法調査会は占領終了から5年後にスタート、A級戦犯となった岸信介氏を初め
戦時中大臣などを務め追放された政治家が次々政治に復帰していたころでもある、
こうした公職追放組が成立過程を問題視し、押しつけ論を展開。

 

 改憲派の狙いは、戦争放棄を定めた憲法9条だった。

朝鮮戦争を期に、日本は、警察予備隊を創設、そして、1954年自衛隊が誕生した、
時は、米ソ冷戦の真っただ中、改憲派は「非武装中立」では現実に対処できないと主張
したのだ。

 

 

 この「憲法調査会」が発足した時代背景を見ますと、
中曽根氏は、憲法の時代背景を占領下」から「米ソ冷戦の真っただ中に変更しろ!と喚いているだけのようです。

 

 

 更には、中曽根氏の身近に情報機関(CIA並びFBI)の影が存在するのが気がかりです

日本に原発を一緒に導入した読売新聞の社主を務めた正力松太郎氏は、コードネームとして「podam」としてCIAに協力しています。

 

又、インターネットでは、以下の記述を見ます。

 

Carlos Rodriguez@fever7777

 

 

 

中曽根康弘は1947年に衆議院議員となり、
1953
年夏に「ハーバード大学夏季セミナー」に招聘されております。
そのセミナーの責任者がキッシンジャーでした。
そしてこのセミナーのスポンサーが、ロックフェラー財閥、
CIA系団体だったのです。

 

おそらくキッシンジャー主催の「ハーバード大学夏季セミナー」で、
中曽根は米国の核戦略の薫陶を受け、
その一環として日本に原発を配置したいという米国側の意思を受入れた筈です。
そして帰国後
CIAのエージェントであった正力松太郎(ポダム)に急接近し、正力派の結成に動きます。

 

 

その上「ロン・ヤス」との相性で呼び合うほどに親密な関係であったロナルド・レーガン大統領(当時)は、コードネームT-10で呼ばれるFBIのスパイでした。

 

 

 そして、また、「憲法調査会」の頭目たる岸総理ご自身にもCIAの影が付きまとっております

 

(岸氏、正力氏とCIAの関しては、先の拙文《CIAの秘密工作 》にも掲げましたが、共同通信(2006719日)の以下の記述をご参考ください)。

 

 左派弱体化へ秘密資金 米CIA、保革両勢力に

【ワシントン18日共同】

米中央情報局(CIA)が1950年代から 60年代にかけて、日本の左派勢力を弱体化させ保守政権の安定化を図るため、当時の岸信介、池田勇人両政権下の自民党有力者と、旧社会党右派を指すとみられる「左派穏健勢力」に秘密資金を提供、旧民社党結党を促していたことが18日、分かった。……

 

その岸氏も次の発言を行っておりました。

 

 占領下でできた憲法を改めて、日本にふさわしい自主憲法を作りたい。”

 

 

 これでは、改憲派の方々は“「GHQ支配下の憲法」を「CIAの支配下の憲法」に改訂しよう!”と唱えていたと思えてなりません。

 

 

 更に、改憲派木暮武太夫参議院議員の以下の発言です。

 

 

現在の国際情勢より見れば、固有的と共に集団的自衛の必要性がある。

9条は改正して、自衛のための軍隊を保有し、
国連平和警察軍への参加を認めるように国民に分かるように明確に規定すべき。

 

 

 中朝連合軍と国連軍とが争った朝鮮戦争は1953727日に休戦協定が署名されたとはいえ、いつ勃発するかもしれない状況下で、木暮氏は「国連平和警察軍への参加を認めるように9条は改正」と唱えているのでしょうから、この発言から、彼がその時期に、追放が解除された理由が明確にわかります。

 

 

 そして、番組の終わりの部分で、古舘氏は“今とあの59年前が合わせ鏡になっている”と語りました。

 

 

 先に掲げました岸信介氏の発言

 

占領下でできた憲法を改めて日本にふさわしい自主憲法を作りたい。”

 

 

 そして、アベ氏の発言は次のようです。

 

占領時代に作られた憲法である。私たちの手で憲法を変えるべきだ。”

 

 

 誠に古舘氏の指摘通りです。

 

しかし、岸氏の発言は、占領下でできた憲法であるが日本にふさわしい自主憲法である。”と、改められるべきです。

 

又、アベ氏の発言の“私たちの手”とはどんな方々の手なのでしょうか!?

口利き疑惑を追及されるや“美学”とかわけのわからない言葉を残し内閣府特命担当大臣を辞し、
急に「睡眠障害」とて国会からトンずらを決め込む甘利明氏、
下着泥棒疑惑の高木毅復興相、
更には、言論弾圧を行う高市早苗総務大臣、
福島第1原発事故後に、国が除染に関する長期努力目標として「年間
1ミリシーベルト」と定めていることに関し「何の科学的根拠もない」「反・放射能の人がワーワー騒いだ」と発言した丸川珠代環境大臣、
歯舞群島の「歯舞(はぼまい)」という漢字を読めなかった島尻安伊子沖縄北方担当相、
“日本がアメリカの第
51番目の州になれば……”などの暴言を吐いて自民党参議院政策審議会副会長役を退いた丸山和也氏等々、
とてもとてもこのような方々の手は、憲法のみならず、政治自体に触れることをご辞退頂きたく存じます。

 

 

 アベ氏に関しては、日刊ゲンダイ(2015115日)の「米国の“戦争屋”2人に旭日大綬章…安倍ポチ政権の恥知らず」に記事(一部を下記に引用)をご覧ください。

 

 

 

……大義なきイラク戦争を主導したラムズフェルド元国防長官アーミテージ元国務副長官にまで、日本は勲章を贈るのだ

 ……

  ラムズフェルドはイラク開戦直後から自衛隊に再三「イラクの治安維持」への参加を打診。
日本政府に集団的自衛権の行使をたき付けた人物だし、
日本を飼い慣らす「ジャパンハンドラー」として知られるアーミテージは、もっと露骨だ。

 

 9.11テロ以降、「ショウ・ザ・フラッグ」「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」と恫喝し、
日本政府に軍国化を迫ってきただけではない。
3年前に公表した
第3次アーミテージ・リポート」では、
日本の原発再稼働やTPP参加、特定秘密保護法の制定、武器輸出三原則の撤廃を要求。安倍政権は言われるがまま、実現してきた

 

 

 「安倍政権が強引に成立させた安保法制も、リポートの中身を実現させたものです。
アーミテージは『集団的自衛の禁止が日米間の障害』
などと断定的に記しています。
今や自衛隊は米軍の下請けとなり、安倍政権も元請けのオバマ政権への従属を隠そうとしない。
叙勲制度を利用してまで、米国にゴマをするとは、独立国としての誇りを完全に失っています」
(政治評論家・森田実氏)

 

 

 この「安保法制」に関しては、参議院議員山本太郎氏の国会質問「2015.8.19安保特「今回の安保法案は、第3次アーミテージ・ナイ・レポートの完コピだ!

 

 又、IWJ【岩上安身のニュースのトリセツ】集団的自衛権という「暴挙」と危険な子宮頸がんワクチンの接種継続という「異常」とに共通する「米国からの圧力」(中編) ~現実化するジャパンハンドラーの「指示」

もご参照下さい。

 

 従って、古舘氏が指摘する「合わせ鏡」では、
岸氏、アベ氏の後ろで彼らを操っている影が、
岸氏の後ろに
CIAアベ氏の後ろにジャパンハンドラーが映っているのです。

 

 

 これら「軍産複合体」に対抗して、米国の大統領J.F.ケネディは、次のように演説しました。

 

 

 
“我々は核という〝ダモクレスの剣〟の下で暮らしています。

その剣を吊るす細い糸は、事故や誤算や狂気でいつ切れるともかぎりません。

我々が滅びる前に核を廃絶するべきです。”

 

この件は、先の拙文《ケネディ大統領の話し合いによる平和(1 》をご参照下さい。

 

 

 ところが、恐ろしいことは、アベ氏は操られるが儘に、日本中に、又、アジアにも「原発」というダモクレスの剣〟を吊るしまくるのです。

 

 

 それも米国の「軍産複合体」のみならず「日本の軍産複合体」の意に沿うべく政策決定を行っているように思えてなりません。

 

 自衛隊が自衛のための戦争を行うのであれば、その戦場は日本国土でしょう。

それでは日本の兵器工場も痛手を負います。

日本の軍産複合体」にとっては、戦場はあくまでも外国であって欲しいのです。

 

 その為には、「集団的自衛権」の名目で、自衛隊を外国に派遣して戦争したいのではなかろうかと勘繰りたく存じます。

 

更には、辺野古基地の建設にあくまでも拘るのは、「米軍の基地」よりも、
将来「日本軍の基地」として活用せんと企んでいるとも思えてなりません。

 

 

アベ氏には、「平和憲法」の原案を作成した幣原喜重郎総理(当時)の思いを読み直して頂きたいのです。

 

 

この続きは、次の拙文《幣原総理の平和への願い》に移らせてさせて頂きます。

 



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