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ペンは剣より強く金より弱し(金で煙草を擁護する輩)

2008721

宇佐美 保

 私のホームページを見てくださった方が、“マスコミが真実を伝えない結果、世界はどんどん奈落の底に沈んでゆく、この現状を少しでも食い止めるためにも、私は命がけで闘う・・・”との電話を掛けてきて下さいました。

その際、私は“悲しい事に「ペンは剣より強し、然れども金より弱し」ですから・・・”と答えました。

 

 なにしろ、毎週「新聞不信」とのコラムで新聞のだらしなさを揶揄嘲弄している『週刊文春』は、誌の広告主(毎週掲載)の「赤福」が消費期限の不正表示等で、非難されている最中「赤福」の提灯持ち記事を書いたのですから。

(そこで私は、拙文《賞味期限切れの日本人(1》&《賞味期限切れの日本人(2)〈週刊文春と「赤福」の関係〉》で非難の声を上げました。しかし、他紙はこの『週刊文春』を非難もしなかったようです)

 

 ところが又、『週刊文春』(2008626日号)は、毎週「喫煙室」と命名した広告を掲げる煙草会社「JT」の提灯持ち記事を書いたのです。

それも、先の「赤福」の提灯持ち記事を書いた一人、ジャーナリスト徳岡孝夫氏が「お上がごちゃごちゃうるさいぞ!」のコラムで「JT」の提灯持ち記事を書いているのです。

(直ぐには、JTの太鼓持ちをせず、「後部シートベルト着用」、「メタボ症候群該当者(および予備軍)への「特定保健指導」」、「傘をさしたりケータイを使いながらの片手乗りはダメ」などに関して、お上にごねたりしています)

そして最後には、次のように記述して「JT」にエールを送るのです。

 

・・・

 民の一挙手一投足に口出ししょうとするお上の行為は、煙草において極に達した感がある。民に煙草を喫わせないよう、遠からず一箱を千円にするという。私の住む横浜市では、市役所が「ハマルール」というのを作って、市役所の近所などでの路上喫煙とポイ捨てを監視するようになった。

また市民税が上がる。

 書斎で(書斎の中だけで)煙突のように朝から晩までパイプをふかして過ごす私は、医者に訴えた。

「チャーチルは葉巻を放しませんでした。英国をヒトラーのドイツから守りました。九十まで生きました。

マッカーサーは厚木で飛行機から降りるときも、パイプをくわえていました。マッカーサーは長生きし、偉大な仕事をしました。毛沢東は紙巻きのチェーンスモーカーでした。世界長大の国を建国しました。長生きしました。煙草のどこが悪いんですか?」

 医者は軽蔑の日で私を見て、答えた。

「サンプル数が少ない」

 
 徳岡氏は、

 

煙草を吸って発病しなかった有名人だけでなく、
同じ有名人を喩えに出すなら煙草の害で亡くなった方々も紹介すべきです

こんな徳岡氏の記述では、とてもJTのタイコモチにはなれないと誰しもが思うかもしれません。

ところが、煙草の広告が見当たらない雑誌「AERA2008721日号)」には、「内田樹大市民講座」とのコラムには次のように書かれていました。

 

先日、ある新聞が「たばこの値段を『11000円』に引き上げることに賛成」という論説を掲げた。「愛煙家をいじめるつもりはない」と結んではいたが、この「煙草=悪」論の非寛容さはいささか度が過ぎると思った。

 おっしゃるとおり、煙草は体に悪い

だが、アルコールもジャンクフードも体に悪いことには変わらないだろ。

 煙草を吸ったせいで人生の重大な判断を誤るということはまずないが、泥酔したせいで人生を棒に振った人、酔漢に人生を台無しにされた人は無数にいる。この論説委員が国民の安全と健康に真剣に配慮しているというのがほんとうなら、「煙草11000円」よりも「ビールl2000円」により飲酒習慣の抑止を求める方が先だろう。なぜ、そうしないのか。酒造会社が新聞広告の大口出稿者であることは無関係だと、この委員は言い切れるのか。

 敗戦直後に、喫煙が国民に残きれたわずかな愉しみであった時代にも、この論説委員は「国民の健康のために煙草を1000円にしろ」と書けるのか。

「喫煙者いじめ」が政治的に正しい意見として通るのは、喫煙者が少数者に転落し、社会的影響力を失ったからである

理由はそれだけである。

ある社会集団の数が多いうちは黙認し、ひとたび少数派になったら叩く。それが当今の良識らしい。

 

 このように、「煙草は体に悪い」と書きつつも、煙草の害とアルコール、ジャンクフードの害を同列に扱う内田樹氏はいかなる方かとWEBで検索しますと、「ブログ内田研究室」に辿り着き、そのブログのヒット数が1400万以上であることに驚かされます。

(内田氏は何処かの大学の先生のようです)

こんなコラムを書く内田氏は、当然愛弟子たちに「禁煙」を指導することはないのでしょう

 

 先の拙文《偉人達の喫煙と破れ窓理論》にも書きましたが、内田氏は(徳田氏も)、

煙草の害」を「アルコール、ジャンクフードの害」と同列に扱うことなく、
石綿(アスベスト)の害」と同列に考えて頂きたいのです。

 

 徳田氏は、ご自身も、チャーチル、マッカーサーも毛沢東も煙草を吸っていても長生きして・・・と書かれていますが、

「石綿」を吸い込んだ方々でも、中には肺がん(原発性)や中皮腫等を発症しない方も居られるそうです。

 

私は、40年ほど前、ニチアス梶i旧名:日本アスベスト)で、石綿(アスベスト)を利用した保温材、断熱材、建材の研究に打ち込み石綿を肺一杯に吸い込み、大事に貯め込んでいますが、是非とも発病しない少数の一人となりたいと、祈り続けています。

しかし、悲しい事に最近は、健康を失っていると感じざるを得ない状況に陥っています。

 

そこで、厚生労働省のホームページを見ますと次のように書かれています。

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/roudousya2/index.html

「石綿にさらされる作業に従事していたのでは?」と心配されている方へ

 

3 日常生活における症状はありますか?

石綿にさらされる作業に従事した方に、次のような日常生活における症状が認められるときには、医療機関等にご相談されることをお勧めします。

○息切れがひどくなった

○せきやたんが以前に比べて増えた

○たんの色が変わった

○たんに血液が混ざった

○顔色が悪いと注意された

○爪の色が紫色に見える

○はげしい動悸がする

○風邪をひいて、なかなか治らない

○微熱が続く

○高熱が出た

○寝床に横になると息が苦しい

○食欲がなくなった場合や急にやせた

○やたらに眠い

 

 これらの症状のうち、「息切れがひどくなった」「せきやたんが以前に比べて増えた」「やたらに眠い」等の症状が私を悩まし始めました。

 

 私の小学校時代の一番の親友は祖父の代からの会社の社長を務めていますが、彼は若い時期アスベスト(私と同じ時期、私同様に、特に有害と言われている青石綿)がもうもうと立ち込める仕事の現場に出入りしていましたので、彼の肺はアスベストに犯され、中皮腫を発症しています。

彼は、健康を失っています。

 

 

私と私の友人が石綿を吸い込んだ時代でも、「石綿が有害」である事は認識されていました。

ですから、会社はマスクなどを用意していました。

(勿論、そんなマスクをしていたら仕事研究は進みません。誰も使っていなかったと思います。

なにしろ、仕事中マスクしていても、周囲は石綿が舞っていますし、ロッカーは木製でしたから作業着を着替えて私服に着替えても私服にも石綿が沢山付着していたはずです。

昔の同僚達は、今どうしているのでしょうか?)

 

 残念ながら、私達人間はいい加減なものです。

法律で強制的に禁止でもされなければ、私達は、石綿と絶縁することはできなかったのです。

 

 そして、

 

"「喫煙者いじめ」が政治的に正しい意見として通るのは、喫煙者が少数者に転落し、社会的影響力を失ったからである

理由はそれだけである。

ある社会集団の数が多いうちは黙認し、ひとたび少数派になったら叩く。それが当今の良識らしい。"

 

と書く内田氏は(徳田氏共々)、石綿を使用した建築物等の解体現場に(愛弟子共々ボランティアで)進んで赴き、肺一杯に石綿を吸い込んで頂きたいものです

 

 石綿を吸い込むのが嫌だったら、徳田氏も内田氏も、煙草擁護論を吐く事を控えて頂きたいと存じます。

(御自分の書斎で、煙草の煙を吐き続ける事はご自由に!

石綿をフィルターに使うと良いかもしれませんよ!

なにしろ、石綿は耐熱性がありますから、煙草の火がフィルターに至るまで存分に吸えると存じます)

 

(補足)

 

 先日、拙文《賞味期限切れの日本人(2)〈週刊文春と「赤福」の関係〉》などを御読みくださった方から、次のようなメール(赤福が営業停止処分になった時のその方の日記)を頂きました。

そこで、私も“なるほど!”との感を抱き、ご了承頂きましたので、此処に、掲載させて頂きます。

まさに、「驕る者久しからず」とはこの事です。

 

 つい5ヶ月前、赤福の会長さんは地域住民の足である参宮線を廃止して駐車場にしろと。環境保全が言われてるこのご時世にデリカシーのかけらもない発言。「阻害要因」とはよく言えたもの。もう少し言葉を選んでもらいたい。

 どうせ無期限営業停止処分だろ。お宅の会社の工場や販売店を壊して、その跡地を全部駐車場にしてください。それで伊勢神宮のお祭りに貢献できれば本望ではないですか?

 

ソースは以下のとおりです。

赤福の会長で、伊勢商工会議所会頭の浜田益嗣氏(当時)が、ことし5月にこんな発言をされています。

 

「参宮線廃止、駐車場に」 赤福会長、式年遷宮控え提案

 

200705260724分(当時のasahi.comより引用)

 

 JR参宮線を廃止して1000台規模の駐車場を整備――。13年の伊勢神宮(三重県伊勢市)式年遷宮を前に、和菓子製造販売会社「赤福」会長の浜田益嗣(ますたね)・伊勢商工会議所会頭(70)が、予想される交通渋滞の緩和策として、こんな提案をしている。実現可能性は低いとみられるが、地元市議がJR東海の松本正之社長に「存続」を訴えるなど波紋が広がっている。

 

 伊勢神宮では正月などに観光客が押し寄せ、伊勢自動車道伊勢西インター周辺が渋滞する。前回の式年遷宮があった93年には通常より100万人以上多い約550万人の観光客が内宮を訪れた。

 

 そのため、浜田氏は森下隆生・伊勢市長や地元選出国会議員らとの2月の会合、同商議所の常議員懇談会に提出した文書などで、参宮線(多気―鳥羽、約29キロ)を廃止し、同線伊勢市駅で列車の検査や清掃などをしている車両施設の用地に1000台分の駐車場整備を提案。観光客受け入れには「参宮線が大きな阻害要因」と指摘している。


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