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朝まで生テレビ「昭和天皇と靖国神社」を見て(
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2006813

宇佐美 保

 では、先の拙文《朝まで生テレビ「昭和天皇と靖国神社」を見て(1》の続きを書かせて頂きます。

 

田原氏

責任は一つマスコミにあると思う。マスコミは戦意高揚で行け行けと言っている。

今になって弾圧だと言っている。弾圧なんか無かった

一番分りやすいのは日露戦争。

日露戦争が始まる前は、みんな反戦ですよ。

これが戦争の直前になって全部参戦に変わってゆく。

 

小森氏

そのきっかけは朝日新聞が作った。

朝日新聞が、東京帝国大学の国際政治学の7博士の“やっぱり戦争すべきだ”をリークした。

 

田原氏

いやそれも有るけど、一番問題なのは反戦では売れなくなったんですよ。

幸徳秋水らは辞めざるを得なくなった。

この前の朝日新聞を見て思った、朝日新聞が戦争が始まる前より後ではグーンと伸びている。

 

香山氏(精神科医)

売れたと言う事は読む側国民もそれを期待した。

 

田原氏

だから今マスコミは大事な正念場に居る

 

 

 マスコミ人の田原氏は、御自分で仕切っている、この「朝まで生テレビ!」や、「サンデープロジェクト」の視聴率の高さを誇っています。

その視聴率を支えているのは何なのでしょうか?

 

 田原氏は、“弾圧なんか無かった”と語っていますが、朝日新聞(2006年7月14日)には、次の記述があります。

 

満州事変に先立つ大正デモクラシーの時代。長州閥で陸軍出身の寺内正毅政権を新聞は非立憲的と攻撃、大阪朝日は特に手厳しかった。
 1918年、米価暴騰から「米騒動」が全国に広がり、各紙は無策を批判、政府は報道禁止で対抗した。8月には言論弾圧を糾弾する「関西新聞社通信社大会」が開かれた。
 
それを報じる記事の中で、大阪朝日は「『白虹(はっこう)日を貫けり』と昔の人が呟(つぶや)いた不吉な兆が……」と書いた。
 「白虹貫日」は中国の古典で兵乱が起こる兆候とされる。政府はこれをとらえ、発売禁止にするとともに、筆者の大西利夫記者らを起訴。将来にわたっての発行禁止を求めた。村山龍平社長は、右翼の暴漢に襲撃された。朝日は危機に追い込まれた。
 約2カ月後、村山社長は辞任。朝日新聞は1面で、「近年の言論頗(すこぶ)る穏健を欠く者ありしを自覚し、又偏頗(またへんぱ)の傾向ありしを自知せり」と、全面的に謝罪するに至る。判決では発行禁止は免れた。
 立教大学の門奈直樹教授は「言論機関の使命より会社の存続を重視した萎縮(いしゅく)と自省が言論界にひろがるきっかけとなった」と指摘する。
 白虹事件で政府が弾圧の根拠とした新聞紙法は1909年に制定された。内務大臣の発売・頒布禁止権を定め、陸軍、海軍、外務各大臣も、掲載禁止を命令できた。大日本帝国憲法下で臣民は、「法律の範囲内において」のみ言論の自由が認められていた。
 満州事変が突発すると、新聞紙法の下での差し止め件数は急増した。
 37年、日中全面戦争が始まり、軍に関する報道は陸軍省令などで規制された。38年には国家総動員法もできる。
 戦争がアジア・太平洋全域に拡大する41年には、国防保安法、言論、出版、集会、結社等臨時取締法もつくられた。

 

 

 この記事に見られるように「村山龍平社長は、右翼の暴漢に襲撃された」り「軍に関する報道は陸軍省令などで規制された」状態に陥っていても、田原氏は、“マスコミに弾圧なんか無かった”と言い切れるのでしょうか!?

 

 朝日新聞の記事だけでは、田原氏は不満でしょうから、読売新聞戦争責任検証委員会が編著者であり中央公論社から発行された『検証戦争責任T』には、次の記述があります。

 

日中戦争前の言論統制の法的根拠は、明治以来の「新聞紙法」と「出版法」だつた。内務省や検事局、警視庁検閲課、府県特高課などは、これに基づいて新聞等の検閲を行い、発売禁止などの措置をとることができた。例えば、内務省警保局は、「満州における自衛的軍事占拠を日本帝国の侵略行為なりとなすもの」などの差し止め基準を列挙していた。

一九三七年(昭和十二年)に日中戟争が始まると、政府は軍機保護法によって規制を強化し、内務省警保局が各府県の特高課長に対し、「主要日刊新聞通信及び主要雑誌発行所の責任者と懇談せよ」と命じた。マスメディアの「内面指導」を狙ったのである。

三八年に制定された国家総動員法によって、各メディアは事実上、政府・軍部の下部組織に組み込まれた。用紙統制がその強力な道具になつた。四〇年五月から用紙の割り当ては内閣直轄となり、三八〜四〇年に七百三十九紙あった日刊紙は「悪徳不良紙の整理」などを理由に四一年には百八紙にまで減らされた。同年九月以降は「一県一紙」方針に基づいて五十四紙にまで減った

 

 更には次のような記述もあります。

 

 満州事変の直前まで、新聞の多くは、軍縮推進を提唱し、軍部に批判的だった。三〇年にロンドン海軍軍縮条約締結をめぐって「統帥権干犯」問題が生じた時も、新聞は条約の成立を支持して条約派を支えた。満州事変の時点をとれば、軍部もまだ、「新聞が一緒になって抵抗しないかということが、終始大きな脅威」(緒方竹虎・元朝日新聞主筆)と受け止めていた。その意味で、この時こそ、メディアが戦争を押しとどめられる最後の機会だったかもしれない。

 しかし、事変拡大を機に、主要紙は戦場に大勢の特派員を派遣し、戦況を刻々と伝えることで、部数を飛躍的に伸ばしていった。反対に軍部に批判的な記事を掲載した新聞には在郷軍人会などを中心に不買運動がおきた。評論家の清沢例は当時、「ジャーナリズムの営業心理」は、外に向かっては日本の「絶対正義」を、内には「日本精神の昂揚」を極説し、確信させたと分析した。

 日米開戟の導火線となる日独伊軍事同盟締結や南部仏印進駐などのたびに、各紙の紙面は礼賛記事で埋め尽くされた。新聞界の代表も、独伊両国大使館での祝賀会で「三国同盟成立万歳」を三唱した。

 日中戟争の収拾を論じるなどして異彩を放った自由主義者の馬場恒吾の読売新聞コラム 「日曜評論」も、軍部の圧力により四〇年十月には、翼賛体制を支える別の筆者のコラムに代えられた。新聞紙上には「断乎一蹴」「無敵陸軍」などの勇ましい言葉がおどった。

 時事新報の編集局長から評論家に転じた伊藤正徳は、自著に「軍部に出入する若い記者連の、一戦論に駆り立てられた勢を、編集局の幹部は最早制することが出来なかった」と記した。新聞は、国民に真実を伝えることなく、無謀な対米英戟へと国民を駆り立てていった。

 

 

“「一県一紙」方針に基づいて五十四紙に”

又、

“軍部に批判的な記事を掲載した新聞には在郷軍人会などを中心に不買運動

の為に、新聞の発行部数は、朝日、毎日、そして読売に集約して行ったこともありましょう。

 

 そして、“新聞は、国民に真実を伝えることなく、無謀な対米英戟へと国民を駆り立てていった”の記述の如く、新聞自体の反省は絶対に必要です。

 

 それでも、このような記述があっても、田原氏は“マスコミへの弾圧は無かった”と断言できるのでしょうか!?

村山龍平社長は、右翼の暴漢に襲撃された

りする、テロの恐怖には、次のようにも記されています。

 

一九三二年(昭和七年)二月に前蔵相の井上準之助、三月に三井合名理事長の団琢磨がそれぞれ殺された血盟団事件。この事件の捜査で、警視庁は、襲撃の目標となった人々のリストを入手した。そこには、犬養毅や若槻礼次郎ら政党人、池田成彬ら財界人、さらに西園寺公望、牧野伸顕ら元老や重臣の名前が載っていた。

 ・・・

 警視庁は、血盟団事件の背景と計画をほぼつかんでいたが、計画の共謀者である海軍将校には捜査の手を出しかねていた。逮捕に踏み切っていれば、同年の五・一五事件は防止でき、首相の犬養が暗殺されることはなかったろう

 ・・・

テロへの恐怖が各方面に広がっていた。血盟団の指導者、井上日召は公判で、「支配階級全部に、だれそれが襲われたという恐怖心が起きる。‥‥‥生命に対する危害より彼等は恐るべき何物も持たぬ。‥‥‥恐怖によって彼等は何とか自らの道を打開していくだろう」とテロがもたらす恐怖の効用を語っている

 

 戦前、戦中の反省を踏まえて、今の時代、田原氏をはじめとするマスコミ関係者は、真実を伝えようと努力しているのでしょうか!?

(戦前は「弾圧なんか無かった」と言い放った田原氏、今は弾圧はあるのでしょうか?!)

 

nikkansports.comでは、次の記事を見る事が出来ます。

http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20060421-21763.html

 

出版社の鹿砦社社長に1年6月求刑

 出版物で阪神タイガース元職員やパチスロ製造会社役員らを中傷したとして、名誉棄損罪に問われた兵庫県西宮市の出版社「鹿砦社」社長松岡利康被告(54)の論告求刑公判が21日、神戸地裁(佐野哲生裁判長)であり、検察側は「表現の自由を乱用して私利私欲を図る被告に厳しい非難が向けられるべきである」として、懲役1年6月を求刑した。

 閉廷後、松岡被告は会見し「不当な求刑。こんな判決が出れば言論は死滅する。次回公判で反論したい」と話した。

20064211454分]

 

 これに対して、「鹿砦社」のホームページには、次の記述が見られます。

 

 戦後数件しかない、言論・出版活動に対する「名誉毀損」刑事事件───そのひとつ、私たちの出版社「鹿砦社」へのその適用について神戸地裁(刑事2部・佐野哲生裁判長)は、7月4日、鹿砦社代表・松岡利康に「懲役1年2月、執行猶予4年」もの重罪判決を下しました。

 

 これは、戦前の「一県一紙」方針に基づいて、小さな出版社(身を挺してでも権力に立ち向かうであろう)を潰した風潮に似てはいませんでしょうか?

そして、大手のマスコミは、次の記事(朝日新聞:812日)に見るように、簡単に権力に頭を垂れてしまいます。

 

安倍氏写真放映問題で総務省、TBSを厳重注意

 

TBSの報道番組が旧日本軍731部隊の映像を扱った特集に、報道内容とは関係のない安倍官房長官の写真パネルが数秒間映った件で、総務省は11日、「放送番組の適正な編集を図る上で遺漏があった」として、TBSに対し、放送法に基づく厳重注意の行政指導をした。  竹中総務相が同社の井上弘社長を同省に呼んで注意文書を手渡し、再発防止を要請した。

問題の番組は721日放送の「イブニング・ファイブ」。記者が電話取材する場面で、部屋にあった安倍氏の写真パネルが映った。安倍氏は「私の政治生命を傷つけようということであれば大変大きな問題だ」と記者会見で語り、総務省が事実関係を調査していた。

 ・・・

TBSは「決して意図的ではなかったが、視聴者に誤解与えかねない映像だったことを反省し、再発防止に努める」とのコメントを出した

 

 TBSは、このように権力には従順ですが(そして、どんどん萎縮してゆくのでしょうが)、私達には、疑惑だらけのボクシングの世界タイトル戦を垂れ流して知らん顔です。

TBSの如き大手マスコミは、ジャーナリズムとしての使命感よりも、視聴率を稼ぎ、自分達がお金を稼げれば良いようですから、権力は彼らを手なずけるのは容易でしょう。

そして、権力者達は、マスコミに圧力は掛けなかったというでしょう。

 

でも、又、討論内容の抜粋を続けます。

 

姜氏

今、若年層で、2人のうち1人は非正社員でしょ。これは大体正社員の60%の位しかお金貰っていない。

こういう人達に、さっき武見さんが言ったように“国を愛して命を捨てろ”といわれても実際今の自分達の生活が200万以下の人が10人に1人の状態になってきている。

 

 このような状態を田原氏は伝える事もせず、次の愚問を発しています。

 

田原氏

姜さんに聞きたい、やっぱり日本人はみな国のために命を捨てるべきだと思う?

 

 

 「日本人はみな国のために命を捨てる」前に「生活が200万以下の日本人を救うべき!」だと私は思います。

 

 でも、又、抜粋を続けます。

 

姜氏

 いやそれは、明々白々に外部から侵略戦争(全ての国が認める侵略行為)があれば、僕だって何かやらざるを得ない。

 

田原氏

じゃ聞きたい。湾岸戦争のときに日本は参加すべきだった?

 

姜氏

それはね、日本国憲法がある以上、それは平和憲法があるということだから・・・

 

田原氏

じゃ憲法変えればいいじゃないか!?

 

姜氏

僕は反対だ、憲法があるから。

 

田原氏

国連の安保理の決議があって、満場一致でやるべきとなった。

その時タックスヘブンが出来た。

私は参加しませんでは、湾岸戦争反対もいえないではないか!?

ドイツやフランスがイラク戦争に反対して参加しないと言うのも、もしもあれがアメリカが国連安保理の決議を通せれば、そこで賛成ならば、ドイツもフランスも参加するんですよ。

参加するから反対と言える

日本は、安保理の決議が通っても参加しないですよ、なのに反対と言ってもリアリティーが無いよ。

 

 

「戦争に参加しないのに、戦争に賛成する」だとしたら、その「賛成」に「リアリティーが無い」といえるかもしれません。

 しかし、「参加するから反対と言える」との田原氏の論法は支離滅裂です。

それに、「イラク戦争」の大儀であった、“イラクに大量破壊兵器がある!”という言いがかりを、米国を間違いだったと認めている現在、“アメリカが国連安保理の決議を通せれば、そこで賛成ならば、ドイツもフランスも参加するんですよ”と、暗に、日本までも参戦すべきだったと平然と言ってのける田原氏の異常さに驚きます。

本来なら、“アメリカが国連安保理の決議が通っていれば、ドイツもフランスも参加して(その上、日本までも参戦していたら)とんでもないことになっていた。”

そして、“日本は、米国の戦争を止める事が出来なくて、イラクの人々(死傷された方々)には本当にすまないことをした”と発言すべきではありませんか!?

 

 

 更に、おかしいのは、田原氏は、少し前までは「護憲論者だったのです!」

そして、おかしな発言がどんどん続きました。

 

宮崎哲弥氏(評論家)

防衛力とか軍事力とかでなくて外交力とおっしゃる方が多いんだけど、私はやっぱり外交力の裏付けになっているのは軍事力、軍事的オプションが欠かす事が出来ない

私一寸驚いたんだけど、今回の北朝鮮のミサイル危機で政治学者の藤原帰一さんが、はっきりとそのようにおっしゃいました。

軍事的なオプションを最終的に考えなければ駄目だと。

 

山本一太氏(自民党・参議院議員)

つまり圧力が無ければ対話できない!

 

宮崎氏

その通りです。

・・・

 

 一体全体、この人達の頭の構造はどうなっているのでしょうか!?

先の拙文《戦争に嵌っている人は精神》に紹介させて頂いた聖路加病院の日野原先生に

”あなた方は重度の精神病ですよ”

とのご診断を頂いてこられては如何なものでしょうか!?

 そして、このような(戦争)精神病に陥っている方々が、子供達の

”何故、他人を殺してはいけないの!?”

の疑問に答える事は不可能と存じます。

 現在最強の軍事力を有している米国の外交はどうなっていますか!?

山本氏は“つまり圧力が無ければ対話できない!”と語っていますが、

イラクの場合はどうだったのですか!?

米国は「圧力の下での対話ではなく」「圧力の下での脅迫を行い」最後には、軍事力を行使しました。

そして、問題は解決していますか!?

勝手にイラクに侵略して破壊して、“イラク人をフセインの圧制から解放した!”とイラク戦争を正当化していますが、軍事力を使う必要はなかったではありませんか!?

「湾岸戦争」前(イラクがクウェートに侵攻する前)でも、米国の駐イラク大使エイプリル・グラスピーは、フセインと会談していたではありませんか!?

だったら、何故、そういう際、フセインの圧制を咎めていなかったのですか?!

(フセイン政権下のイラクに、多額の援助の手を差し伸べていた日本は、そのフセインの圧制に苦言を呈した事があったのですか!?)

更には、核開発、ミサイルで問題の北朝鮮との外交に、最強の軍事力を有している米国は勝利を収めていますか!?

 

姜氏

僕は4つのオプションがあると思う。

一つは、今の平和憲法で頑張る

憲法第9条第2項を守る

守るだけでなく、それがイラク戦争で日本が傷つかずにすんだと解釈するのか。

2番目は日米安保条約の集団的自衛権に踏み込むか?

3番目は、小沢一郎さんの言う通り、一切国権の発動としては軍隊を外に出さない、少なくとも国連軍の名の下には、こちら側の実力阻止を外に出す。

 

僕自身は、国連憲法と日本国憲法との根本的違いは第9条の第2項があることですよね。

先制攻撃になれば第1項ですら駄目になってしまう。

 

田原氏

敢えて言いますけど、あの憲法9条を造ったのはアメリカなんですよ

それは日本を弱体国にしたかった。

その弱体国にしたかったことを日本は利用しながらうまくアメリカと同盟を結んでやってきた。

それがそろそろ限界に来たかなと思っている。

 

 

 ここでも田原氏は、先の拙文《朝まで生テレビ「昭和天皇と靖国神社」を見て(1》に引用した朝日新聞の記事での、昭和天皇が米国のニューヨーク・タイムズ記者とUP通信(現UPI)社長への回答(終戦直後の45年9月25日)を無視されております。

 も一度、その部分を掲げさせていただきます。

 

 日本の将来についての質問には、
平和的な貢献により日本がやがて国際社会で正当な地位を再び占めることを望む」と回答。
「銃剣によって、または他の兵器の使用によって恒久平和が確立されるとは思わない
とも述べている。

 

 何故、田原氏は、昭和天皇のご発言を無視されるのでしょうか?!

平和的な貢献により日本がやがて国際社会で正当な地位を再び占めることを望む」との昭和天皇のお心が「平和憲法」に注ぎ込まれているのではありませんか!?

 

 更には、「銃剣によって、または他の兵器の使用によって恒久平和が確立されるとは思わない」とのお言葉を、米国も真摯に受け止めるべきです。

米国並びにイスラエルも然りです。

 

 次の姜氏の意見には賛成ですが、まだまだ、奇奇怪怪なご意見が続いていました。

 

姜氏

もう一つ、さっき天皇制についてファジーだとおっしゃいましたよね(宮崎氏に向かって)

これは僕に言わせれば、戦前の天皇機関説の戦後版ですよ。

それでこれだけ繁栄した。

じゃ平和憲法だってファジーですよ。

ファジーだけど抱きしめて日本の国民は此処まで来た。

結局今これをどちらか白黒はっきりさせようと言ってる訳だけど、僕に言わせれば、ファジー自体が日本の国柄になっているのだから、これでどうして悪いの?!

 

山本氏、武見氏は、日米安保に対する日本の貢献の必要性を迫る・・・・

 

田原氏

抽象論ではなくて、具体論を言います。

日本の中で集団的自衛権が必要だといっている人は、台湾ですよ。

中国と台湾が戦争になったと、当然アメリカは台湾を守りに来ますよね。

そのアメリカの船なりアメリカが、中国に攻撃された時、さあ日本はどうするか?!

此処なんですよ、此処で台湾と中国の時は多分国連の安保理は無い、その時日本は知らん顔しているのか、アメリカを助けに行くのか?と、此処が集団的自衛権の最大の問題なんですよね?岡崎さん!(岡崎氏に同意を求める)

後は無いんですよ。

そこをどうする。

 

姜氏

台湾海峡で若し有事が起きた時、それは例えば台湾がミサイルで中国大陸に届くようなされだけのものを準備するとなった場合、それは非常に可能性は薄いと思う

コミンター政権が、おそらく次期は出来ると想定すれば、だからそれは僕は前から第3次国共合作といっているけれど、まあそれはおいておいても。

そうであっても、それは今までの日米安保の周辺事態の中で、日本が集団的自衛権に踏み込まなくても、一応それは想定しているわけでしょ?

 

田原氏

していない!

 

姜氏

していると思いますよ。

 

田原氏

台湾海峡はしていない

 

姜氏

僕はね、少なくとも日本の役割を考えるのならば、沖縄にこれだけ基地を置いて、実際に中国が日本の米軍基地を叩くという事になれば、これは自動的に日本も日米安保を通じて当然迎撃するわけでしょ?

でも、少なくとも集団的自衛権のレベルと今の日米安保のレベルは、レベル的には違うのですよ。

だから、そこで集団的自衛権に踏み込むと内閣法制局では「集団的自衛権は憲法違反」だと言っている

 

山本氏

日本だけですよ、集団的自衛権を行使しないなんて国は日本だけですよ

集団的自衛権の歯止めは日本の民主主義なんですよ。

 

姜氏

違いますよ、憲法第9条第2項でしょ!

 

 

 山本氏のように、“集団的自衛権を行使しないなんて国は日本だけですよ”との、常に、他国と同様な態度や制度を日本もとるべきとの姿勢では、日本という国の主体性が失われます。

(このような山本氏の論調の先には、“日本だけですよ、「平和憲法」等と言っているのは!”更に、“日本だけですよ、大国で軍隊持っていないのは!?!”が見えてきます。)

 更に、山本氏は、「歯止めは日本の民主主義」と発言していますが、戦前だって、民主主義でした

そして、その民主主義は、戦争の歯止めとなりましたか!?

ここに、月刊『紙の爆弾 20069月号』中の、「月刊『Will』東条英機論に異議あり」での高田欣一氏の記述を抜粋させて頂きます。

 

憲政の神様″の異名で呼ばれた尾崎咢堂(行雄)は、東条政権を批判したために天皇への不敬罪で逮捕されている。・・・

尾崎の行なった演説を抜粋すると……。

 ・・・民主主義はデモクラシーの翻訳語で、民本主義、民衆主義などと訳す人もあるが、要するに世論公議を尊重する政治形体、すなわち独裁専制の反村で、明治天皇が御即位の初めにあたり万機公論に決すと誓わせ給いたるわが皇道政治と異語同質のものであります。これをとやく言うものは、文字の末に拘泥して、基本義を解し得ない人でしょう。

・・・

・・・当時の議会政治の擁護者は、帝国憲法を遵守することが、自由主義や民主主義の道だと考えていたことが分かる。そして、こうした考えは昭和天皇の考えとも同じだったと山本七平は論じ「誠に皮肉なことに東条政権下の日本では、天皇と同じ考え方をすると不敬罪になる」と述べている。・・・

 

それに、その民主主義の現状は如何ですか?!

その民主主義の結果どのような政権を私達は選択しているのでしょうか?!

そして、現政権下では、東条政権下と同様な事が起こっているとも考えられます。

(山本七平氏の論調に於いて、「帝国憲法」と「平和憲法」を、そして、「東条政権」を「現政権」と、付け加えるなら、「不敬罪」を「売国奴」と置き換えて考える事が可能なようです。)

「憲法第9条第2項」を破棄しようとする「民主主義」が歯止めとなりますか!?

 

 

 私は、姜氏の「歯止めは、憲法第9条第2項」説に賛成ですが、朝日新聞(2006年5月3日)には、次のような記事が掲載されています。

 

評論家の田原総一朗が「護憲派」をやめた直接のきっかけは、01年の9・11テロと、アフガニスタン、イラク戦争だった

 

 ●9・11が転機

「自衛隊派遣は戦争への参加であり、明白な憲法違反。このままでは憲法がボロぞうきんにされてしまうと思った」

自衛隊の存在は認め、国外での活動には厳しく縛りをかけた上で武力行使も禁ずる、という9条改正を構想する。「いわば護憲的な改憲案」だ。

伊勢崎賢治・東京外語大教授(平和構築)は逆に、イラク戦争を見て「改憲」から「護憲」に転じた。国際紛争処理のプロ。東ティモールではパキスタン軍などを統括管理した経験を持つ。

イラク派遣は、日本に自主的判断と文民統治の能力が欠けている事実を露呈させた。この状態で改憲すれば自衛隊は一般市民を殺す活動に突き進みかねない。誤った政治判断への歯止めを、当面、9条に期待するほかない。いわば現実的護憲だ」と語る。

 

 此処での田原氏の見解も奇異です。

「平和憲法が歯止め」であるなら、それがどんなにボロ雑巾にされようと、歯止めは歯止めなのです。

そして、又、そのような状態でも、「歯止めの役割を果たさせるのが、歯止めです」

ところが、「ボロ雑巾にされる前に歯止めを変える」と言うのであれば、「その歯止めは常に新しい歯止めに変えられてしまい」歯止めの訳を果たさなくなります。

 

 ですから、私は、伊勢崎氏の見解に賛成です。

更に、伊勢崎氏の「イラク派遣は、日本に自主的判断と文民統治の能力が欠けている事実を露呈させた」のご指摘は、単に「イラク派遣」にとどまらず、田原氏の変節の動機となった「9・11テロと、アフガニスタン、イラク戦争」そして、先に田原氏が姜氏に“湾岸戦争のときに日本は参加すべきだった?”と問うたその「湾岸戦争」に対しても、「日本に自主的判断」は無く、全て米国の判断に日本が従っているだけです。

 

 第1に、「9・11テロ」では、”アルカイダが犯人”と言って「アフガニスタン」を攻撃しましたが、「アフガニスタン」が、或いは、「アルカイダ」が、テロに関与したと言う証拠がどこにありますか?!

それよりも、先の拙文《やっぱりおかしい9-11同時多発テロ事件》にも書きましたが、日本は、又、日本のマスコミは、「9・11テロ」は、「アルカイダ」が、関与したと云う前に、「陰謀説」を綺麗に払拭できる論証を行うべきと存じます。

 米国国防省(ペンタゴン)へ、5メートル位の穴から、左右の翼の先端間が38メートルもあるジェット旅客機が突っ込む事がどうして出来たのでしょうか?

ジェット旅客機全体が建物内部に入り込めなかったとしたら、建物の外部に、何故、ジェット旅客機の残骸が無いのでしょうか?

 

 そして、世界貿易センターの2棟のタワービルと共に近隣の42階建ての第7ビルまでが、まるで、予めダイナマイトをセットされたビルの解体作業のように崩懐した理由は何なのでしょうか?

事件の当日、タワービル2棟に航空機が突っ込んで煙を上げている状況をテレビで見ていた世界中の誰一人として(但し、そのような崩壊を仕掛けた人がいたら、その人以外は)、あのようにタワービルが2棟とも崩壊するとは誰も思わなかった筈です。

 

 このような疑念を解消せずに、米国の「これはアルカイダによるテロ」との主張を日本は、ブッシュ大統領のポチと云われている方は兎も角、マスコミまでも鵜呑みにして良いのでしょうか?

イラク戦争の場合には、米国の「イラクは大量破壊兵器を持っている」との主張(後に米国は間違いだったと訂正)を、日本は疑いませんでした。

 

 更に驚くべき事は、「湾岸戦争を正義の戦い」として田原氏をはじめとして「朝まで生テレビ!」の出席者達は(一部の方を除いて)認識しているようなのです。

 

 例えば、5月放映の「朝まで生テレビ!」(日本はアメリカの属国なのか?!)では、次のような暴論が飛び交っていました。

 

田原氏

(小池氏に対して)湾岸戦争で金出したのは良い?

 

小池晃(日本共産党・参議院議員)

あれは支持できませんよ、多国籍軍というあの形態は・・・

 

田原氏

国連軍じゃなきゃ駄目?

じゃ湾岸戦争のときはどうすれば良い?

イラクがクウェートを侵略した、
あの時にあの時に貴方はどうすれば良いと思う?

 

小池氏

軍事力に対してお金を出すしか出来ませんから、
そういうことはやるべきではありませんね。

侵略行為に対して反対の声を上げる。

 

田原氏

日本で、デモしてればよいの?

 

村田晃嗣(同志社大学教授)

あれほど明確な侵略行為に対して日本は何をすべきか?

国連決議まであった、きわめてクリアーなケースに対して、
平和憲法の精神にてらして日本は何をすべきかと聞いている。

 

小池氏

軍事的にはコミットすべきではない

 

村田氏

では何をすべきか?!と言っている。

 

 

 村田氏は、「湾岸戦争に参戦しない国は国にあらず」的な発言をして声高に、小池氏を非難していました。

しかし、「湾岸戦争の開始前」では、米国議会、米国世論ですら「ナイラの偽証」なくしては、「湾岸戦争開始に反対」だった筈です。

そして、この「ナイラの偽証」が、米国を一気に「湾岸戦争に賛成」に突き進ませたのです。

 

この件は、先の拙文《暴君はフセインですか?米国ではありませんか!》に於ける、ラムぜー・クラーク氏(1961〜68:米国法務省次官、長官)の著した『湾岸戦争』(地湧社発行)からの引用を再掲させて頂きます。

 

 この期間を通じ最も人々の注意を引いて話題となった虚報は、「保育器の報道」である。一九九〇年十月十日、人権に関する議会コーカスにおいて「ナイラ」とのみ紹介された十五才の少女は、イラク兵士が嬰児を保育器から取り出して、「冷たい床の上に置き去りにして死なせる」のを目撃したと主張した。この話は、戦争に向けて突き進むブッシュ政権によってすぐさま利用された。ブッシュはこの話をいくつものスピーチで繰り返し引用し、このようにして三百十二人の赤ん坊が死んだと訴えた。・・・

 戦闘が終ってみると、保育器の話はまったく信用できないことが分かった。

・・・

 

 

最近では、テレビ放送で、自由クウェート市民との団体が、アメリカの大手広告代理店「ヒルトン&ノートン」に依頼して「駐米クウェート大使の娘」ナイラと名乗らせ作成した「宣伝工作」であったと放映されていました

 

 

 更に、「アメリカによる情報操作」に関して、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』は、次のように紹介しています。

 

ペルシャ湾への重油流出

この戦争でペルシャ湾に大量の重油が流出した。これについてアメリカ側は「イラクがやけになって重油を流出させた。」と主張し、海鳥が重油まみれになっている映像をたびたびテレビで配信し、世論の同情を買おうとした。一方、イラク側は「アメリカによる空爆により重油が流出した」と主張した。しかし、後にイラク側の主張が正しいことが判明し、アメリカによる情報操作が明らかとなった。

 

CM会社の暗躍

戦後の調査で、油まみれの鳥の映像を、巨額の報酬で宣伝していたCM会社が明るみに出て問題となっている

 

 更に、私は、『湾岸戦争』自体が「米国の陰謀」では?と思わずにはいられません。

この件は、先の拙文《暴君はフセインですか?米国ではありませんか!》や、《戦争とマスコミ》をもご参照頂けましたら幸いです。

 

 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の「湾岸戦争」の項では、「概説(1 概説)」並び「陰謀説(4 陰謀説)」等に関しても、分りやすく記述されていますので、抜粋させて頂きます。

 

 

この戦争についていくつかの事例から「アメリカによって仕組まれた戦争でイラクはのせられた」とする考え方がある。そのような説の根拠はおおよそ以下のようなことだが、・・・

・・・

イラクは、イラン・イラク戦争でイスラム革命からアラブ君主国家を守ったと自負していたが、クウェートが戦時債務の即時返済を要求。それをイラクが断るとイラク・クウェートの国境地帯にあるルメイラ油田から大量採掘を開始。

 

米国政府は戦前・戦中にかけて、ことさらイラク軍の脅威を誇張し、世論を武力制裁やむなしと言う流れに変えた。しかし地上戦になると、実際のイラク軍は装備も貧弱で士気もまるで無く、多国籍軍の猛攻から逃げ回るばかりだった。

 

1990年7月25日にイラクがクウェートの併合を示唆した際、アメリカの駐イラク大使エイプリル・グラスピーは「国境問題に介入するつもりはない」と発言[1]

 

1990年7月31日のイラク・クウェートによるジッダ会談において、クウェート側がフセイン大統領が私生児であることを揶揄するなど侮辱的な態度を取った。

 

1990年10月、クウェートの少女が米国議会において、イラク兵が病院で赤ん坊を床にたたきつけたなどと涙ながらに惨状を証言戦争に疑問を抱いていた米国世論は一挙に反イラク色に染まったが、後に少女は駐米クウェート大使の娘で、現場にさえおらず、証言は虚偽であった事が発覚した

 

 又、クウェートが大量採掘を行ったルメイラ油田に関しては、次にように記述されています。

 

 この油田については、イラクも領有を主張しており地下でイラク・クウェートの油田が繋がっていると考えられた)、クウェートの行為は盗掘だと非難した。また、クウェート国内では石油利益の配分を巡って対立が起こっており、政府がイラクに無償援助した約100億ドルを返済させる運動が起こったため、クウェートはイラクに返済を働きかけたが、当然ながらイラクには返せる財産はなく、反対に更なる援助を要求され、両国は外交的衝突に至った。

 

 

 アメリカの駐イラク大使エイプリル・グラスピー氏の件は、中日新聞( 1990年9月14日)を下記に引用させて頂きます。

 

 

・・・・・・ワシントンポスト紙が13日付で報じたもので、それによると、フセイン大統領がエイブリル・グラスピー米大使とバグダッドの大統領官邸で会談したのは7月25日。

その席で大統領は「われわれは(石油価格の維持に協力しない)クウェートの経済政策を一種の軍事行動とみている。もし、解決策が見つからない場合、自らの死を受け入れることはできない」と、対抗手段としての軍事力行使の可能性を示唆した。・・・

これに対しグラスピー大使は「イラクが戦後再建のため資金を必要としているのは分かっている。イラクとクウェートの国境紛争のようなアラブ国家間の問題にはわれわれは介入しない」と述べ、さらに「米大統領はイラクとの友好増進を望んでいる。彼は知的な人間で(議会が進めようとする)対イラク経済制裁には反対だ」と答えた。・・・

 

 「湾岸戦争」が、「陰謀」ではないとしても、米国民も私達日本人も、アメリカの大手広告代理店の情報操作にあしらわれていた事は確かです。

そして、その情報操作が無かったら、「湾岸戦争」は起こらなかったか、別の形をとっていたかもしれません。

 

 このような経緯を有する「湾岸戦争」、そして、「01年の9・11テロと、アフガニスタン、イラク戦争」をしっかりと自分達で検証することなく、簡単に田原氏のように「護憲」から、「改憲」に態度を変えてしまってよいのでしょうか!?

 

 更には、asahi.com200608110100)から次を引用させて頂きます。

 

ロンドンで旅客機爆破テロ未遂 21人を逮捕

 

 ロンドン警視庁は10日、英国発米国行きの複数の旅客機を同時爆破するテロを計画したとされる容疑者21人を逮捕したと発表した。・・・

 ロンドン警視庁によると、10日未明、警察当局は情報機関MI5と協力し、ロンドン市内をはじめ、英国第2の都市バーミンガムなどで大規模な家宅捜索を行い、少なくとも21人を反テロ法違反の疑いで逮捕した。容疑者の大半はパキスタン系英国人のイスラム教徒だったとの情報もある。昨年7月にロンドンで50人以上が死亡した同時爆破テロの容疑者4人のうち3人はパキスタン系の移民2世だった。

 AP通信によると、米当局者は、米国のユナイテッド航空、アメリカン航空、コンチネンタル航空が今回のテロの標的となっていたことを明らかにした。

 

 

 私は、「昨年7月にロンドンで50人以上が死亡した同時爆破テロ」の真相も分らない今、そして、前述の9.11事件の謎が解明できない今、今回の事件も「陰謀説」を拭い去る事は出来ません。

 

 

 そして、これらをはっきりと検証することなく、世界的な対テロ戦争を最大の目的とすると言う米軍再編の渦の中に日本は飲み込まれて良いのでしょうか?!


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