目次へ戻る

 

 

フセインはオズワルドの二の舞?

20031215

宇佐美

 

 イラクの元大統領フセイン氏は、アメリカ軍などによって身柄を拘束されました。

アメリカの放送では、“戦う事もせず、自らの命を絶つ事もせずに、捕まった、フセインは、結局は臆病者だったのだ!”とのコメントを流していました。

 

 このコメントを発していたアメリカ人は白人でしたから、キリスト教徒では?

キリスト教では、自殺を勇気ある行為とみなしているのでしょうか?

 

 フセイン氏は、これから進んで、法廷の被告席に立ち、「フセイン(イラク)がクウェートへ侵攻した理由」、「毒ガスによるクルド人殺害の真相」などを、はっきりと証言すべきと存じます。

 

と申しますのは、拙文《暴君はフセインですか?アメリカではありませんか!》にこれらの件等々、多くの部分を引用させて頂いたラムゼー・クラーク氏(アメリカ元司法長官)の著作「湾岸戦争(地湧社発行)」に目を通すと、これらの裏には、アメリカの影がちらついているのですから。

 

 ですから、ラムゼー氏などの主張が正しいとしたら、ブッシュ政権の人々は、フセイン氏が法廷で証言されたらどうするのでしょうか?

 

 彼等の本音は、フセイン氏を生きたまま拘束せずに、フセイン氏の息子達同様に射殺してしまう事を期待していたのではないでしょうか?

 

 となりますと、ケネディー暗殺事件の際に、単独犯として逮捕された、オズワルドの件を思い出します。

 

なにしろ彼は、暗殺事件の2日後、多くの人の目があった場所でルビーなる人物に射殺されてしまったのですから。

そして、ケネディー暗殺犯は、今もってオズワルド単独犯となっているのです。

 

 ところが、1125日のテレビ朝日:ニュースステーションでは、ニューヨーク支局の内田忠夫氏によって「ケネディー暗殺はジョンソンの陰謀」を裏付ける衝撃的な事実を、バー・マクレラン氏へのインタビュウーと、マクレラン氏の告発本《BLOOD,MONEY&POWER(血と金と権力)》に基づき紹介してくれたのですから。

(拙文《ケネディー暗殺はジョンソンの陰謀》を御参照下さい)

 

 今後、フセイン氏はどうなるのでしょうか?

本来ならば、国際刑事裁判所(ICC)にて、裁かれるべきでしょうが、イラクはICCを批准(アメリカもそして、日本も)していません。

 

となりますと、国連主導で、ユーゴ元大統領ミロシェビッチを裁いている旧ユーゴ国際戦犯法廷のような国際戦犯法廷でしょうか?

しかし、国連に於いては又、大国(アメリカのみならず、フランス、ドイツ、ロシア等、多くの大国はフセインと何らかの裏取引があるのでしょうから)の横車が気になります。

旧ユーゴ国際戦犯法廷においては、ミロシェビッチは裁かれていますが、一部のNGOから非難されているNATO諸国のユーゴ空爆は、結局裁判の対象にならなかったというのですから。

 

 では、次の朝日新聞の記事に見るように「イラクの特別法廷」で裁くのでしょうか?

 

 スペインを訪問しているイラク統治評議会のハキーム議長は14日、マドリードで記者会見し、フセイン元大統領について「旧政権の人権侵害を審理する特別法廷で裁く」との意向を明らかにした。……

 

 しかし、国家体制が整っていない現在のイラクでは困難ではないでしょうか?

(フセイン氏の身柄の安全さえも心配です。)

 

 となるとアメリカが彼の身柄を保護するというのでしょうか?

となりますと、次の毎日新聞(1111日)の記事が気になります。

 

 国際テロ組織アルカイダとの関連を疑われ、キューバのグアンタナモ米海軍基地に約600人の容疑者が2年近く拘留されている問題で、米最高裁は10日、容疑者に米国の司法権が及ぶかどうかを調べる審理を開くことを決めた。審理の対象となるのはオーストラリア人2人を含む16人で、法廷は来年開かれ、6月までに結果が出る。

 基地にはアフガニスタンなどで拘束された42カ国の容疑者が収容されている。ブッシュ米大統領は「彼らは戦争捕虜ではない。戦闘員だ」と述べ、戦争捕虜の処遇を定めたジュネーブ条約の外に置いてきた。……

 

 そして、これらの収容所の中で、フセイン氏は自殺したとか、他の囚人に殺害されたとかの記事が出てくるのではないかと気掛かりです。

 しかし、アメリカが民主主義の国であり、そのアメリカがイラクを民主化しようとしている事が事実なら(私がここに書きました事は、小人の妄想であって)、フセイン氏は公正な裁判が受けられるべきと存じます。

 

 

目次へ戻る