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ブッシュ元大統領と国防関連企業

2003年10月5日

宇佐美 保

 

 NHKは、衛星放送テレビ(10月2日)で、「イラク戦争後を担う アメリカ巨大投資会社(制作:VPRO(オランダ2003年))」という驚くべき番組を放送してくれました。

(このようなブッシュ政権の闇を暴く番組を放映して、アメリカから圧力がかからないのかと私は心配になりました。そして、NHKに感謝しました。)


 この番組は冒頭で、NHK解説委員大島春行氏の次なる解説で始まりました。

 これは、世界的な規模でビジネスを展開しながら、その事業内容については多くの謎に包まれています巨大投資会社カーライル・グループの実態に迫ったドキュメンタリーです。

この会社は、冷戦後、経営の苦しくなった国防関連の企業を買収した上で、独自の経営ノウハウを注ぎ込んで業績を向上させるといったやり方で急成長しました。

今では、通信・航空・不動産にも投資先を広げておりまして、運用総額は160億ドルにも達すると言います。

この会社の最大の特徴は、ジョージ・ブッシュ元大統領、ベーカー元国務長官、イギリスのメイジャー元首相など世界中のリーダーが顧問格で加わっている事です。

まさに、ドリーム・チームと言うべき錚々たる人脈は、現実の商談にどう結びついているのでしょう。

同時多発テロを指揮したとされるオサマ・ビン・ラディン氏の一族とブッシュ元大統領との交際や、イラク戦争後の復興ビジネスとの関わりもあって、最近カーライル・グループが脚光を浴びているだけにタイムリーな内容です。

番組はカーライル・グループの設立に関わり、90年代半ばまで経営に関わった実業家をはじめ、ジャーナリスト、外交官、学者などのインタビューだけで全編が構成され、番組を見る人に判断を委ねようと試みています。

皆さんは、この番組を見てどうお考えになるでしょうか?


“皆さんは、この番組を見てどうお考えになるでしょうか?”と問われるまでもなく、この番組を見る事によって、世界はブッシュ等の個人的利権によって破壊されている事が明らかになってきます。

 

更に驚く事に、今朝(10月5日)のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」にて、『ブッシュ政権と戦争利権〜失われた「大義」と副大統領疑惑〜』が放映されていました。

それは、チェイニー副大統領がイラク戦争の情報操作の鍵を握る最重要人物である事と、共に、イラク復興事業(戦争中も)を独占している企業(KBR社)の親会社がハリバートン社であって、その経営にはチェイニー氏が副大統領就任前まで携わっていた事を暴露していました。


 ですから、この2本のテレビ番組から、今回のイラク戦争はアメリカ政権幹部の利権獲得の為の「マッチポンプ的戦争」であった事がはっきりと伺われます。

これでは、戦争の犠牲になられた方々がお気の毒です。


 更には、拙文《暴君はフセインですか?アメリカではありませんか!》を書く際引用させて頂いた、ラムゼー・クラーク氏(1961〜68:米国法務省次官、長官)の著した『湾岸戦争』(地湧社:1994.8.15発行)を読みますと、「湾岸戦争もアメリカのマッチポンプ」である事を痛感します。


 そして、こんな戦争に盲目的に率先して賛意を示し、その上アメリカ利権集団の失敗の後始末の為に、無条件に自衛隊を派遣したり、お金を差し出そうとする小泉氏を首相に戴く私達が情けなくなりました。


 そして、これらの番組での紹介された事柄(アメリカ政権と企業の癒着)は、『ぬりつぶされた真実(ジャン=シャルル・ブリザール ギヨーム・ダスキエ 共著 山本知子訳:褐カ冬社、2002年9月10日発行)』の記述と良く合致しています。


 そこで先ずは、カーライル・グループ関係の記述を抜粋致します。

 投資資産管理会社カーライル・グループの投資財団は、その顧問として、元アメリカ大統領のジョージ・ブッシュまたは、その息子の現大統領ジョージ・W・ブッシュを取り巻く多くの人物を擁している。

 取締役会は特に、ブッシュチームの有力者たちで構成されている。たとえば、ジョージ・ブッシュ政権時の国務長官だったジェームズ・A・ベーカー三世、ロナルド・レーガン大統領時代に国防長官を務めた、フランク・C・カールッチ(CIA副長官も務めた)。一九八九年から一九九三年までジョージ・ブッシュ大統領の下で行政管理予算局長官だったリチャード・G・デーマン、そして同じく父ジョージ・ブッシュ時代のホワイトハウスの首席大統領補佐官ジョン・スヌヌである。

 さらに、ファハド国王の甥に当たるサウジアラビアのアル・ワリード・ビン・タラール王子は、この財団に資本参加しているといわれているが詳細は知られていない。

 アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュは、一九九〇年から一九九四年まで、カーライル・グループの子会社の一つケイタレア社の取蹄役会のメンバーであった。


 そして番組中では、驚くべき事に、コリン・パウエル国務長官までもが、このカーライル・グループと関連がある事を示唆しています。


 また、チェイニー副大統領とハリバートン社との関係は、先の本『ぬりつぶされた真実』に下記のように記述されています。

 副大統領ディック・チェイニーからして、石油産業関連のサービス会社では世界第二位のハリバートン社を長い間経営していた。チェイニーは大統領選を機に同社を離れた。

 すべての諜報機関を統括する安全保障の最高機関、国家安全保障会議の責任者であるコンドリーザ・ライスは、シェブロン社で九年間を過ごした。この巨大石油企業で、一九九一年から二〇〇一年一月まで社外重役を務めていたのだ。

 彼女は、有能な旧ソビエト研究家としても、中央アジア、中でもシェブロン社が重要な拠点を置いているカザフスタンの問題に取り組んできた(彼女は、かつて、ブッシュ(父)の下で、国家安全保障会議のソ連・東欧担当上席部長だった)。

 W・ブッシュの親友でもある商務長官ドナルド・エバンスは、エネルギー長官のスペンサー・エイブラハムと同様に、天然ガス及び石油を扱うトム・ブラウン社の社長として、それまでの経歴のほとんどを石油業界に捧げてきた。経済問題担当の商務副長官キヤサリン・クーバーは、世界的企業エクソン社のチーフエコノミストであった。

 さらに大臣官房にも似たような経歴の者たちがたくさん見られる。このように目立って政治的な人事は、エネルギー政策を思うがままに動かそうという野心に基づくものであることがしだいに明らかになっていく。


 以下暫く、NHKのテレビ番組での各氏の発言を(発言順に)、一言一句書き綴って行きます。

先ずは、ジャーナリスト:ダン・ブリオディ氏の次のような話から始まります。


 カーライルは巨大なエクィティー会社です。

プライベート・エクィティーとは投資形態の一つで、未公開企業や不動産に投資する事です。

裕福な企業や個人から資金を集めて、未公開の株を購入して、それを転売して利益を得るのです。


 ジャーナリスト:ティム・ショロク氏

 先ず潰れかけた会社の株を買い占め経営権を握ります。そして、会社を建て直し株価が上がったところで、売却するのです。

買うのは未公開株、しかも買収するのが個人所有の会社ですから、このやり方はアメリカでは、証券取引法の適用外になっているのです。

実際の価値よりもはるかに安い値段で買った企業を転売し、莫大な利益を得る、これをバイアウトと言います。


 次は、カーライルの関係者の方と思われる方の説明です。

 数多くある投資会社の中でも、宇宙防衛の分野に精通している投資会社は限られています。

投資家である皆さんはもうご存じだと思いますが、ここワシントンDCを本拠とするカーライル・グループは宇宙防衛分野に精通する数少ない投資会社の中でトップの座に着いています。

 


 CPI理事:チャールズ・ルイス氏

 軍事産業に投資する大手の中で、カーライルは現在11位か12位くらいにつけていると思います。

年間数10億ドルの事業を驚く程高い利ざやで動かしているんです。


 フランク・フィネリソンです。ではどうぞ。との司会者(?)の声の後、先のカーライルの関係者の方

 先ほどご紹介がありました通り、ここワシントンDCに本社を置くカーライル・グループは、世界的なプライベート・エクィティー会社です。

軍事産業と通信分野に於けるバイアウトとベンチャー・キャピタルの投資額はおそらく世界一でしょう。

軍事産業の評価が上がるのは、主に二つの要因があります。

先ず一つは、軍事産業全体の規模が拡大する事、そして、もう一つは、軍事産業のある特定部分が成長する事です。


 ダン・ブリオティ氏

 カーライルが投資する軍事産業や通信分野は政治や政策によって大きく影響を受ける分野です。

カーライルは投資活動を効果的に行う為、世界的に著名な政治家を雇っているんです。


 カーライルの関係者

 資金は何処へ流れるか?国防予算はどんな状態か?国防総省の監査官が見るのは、大抵このような点です。

先頃提出された国防予算は大凡3800億ドルです。


 番組はこのように続けられて行きました。


 そして、カーライル・グループ創始者の一人のスティーブ・ノリス氏もたびたび発言していました。

その一つは、次のような発言です。

 先ず手始めに、フェァチャイルドという会社の株を買い付けました。かなり安値が付いていたんです。

国防関係の衛星機器を扱っていました。

この魅力的なビジネスが過小評価されていると感じ投資に踏み切りました。


 ダン・ブリオディ氏は

 ワシントンを会社の本拠地にした事は、当時としては実に変わった決断でしたが、それがまさしく成功の鍵となったのです。彼等は元政治家を次々に顧問格で迎え、その人脈を利用して道を切り開いていったのですからねえ。

 

 レーガン政権で国防長官を務めたカールーチは、レーガンの任期終了と共に退職し、カーライルに参加しました。

 これを機に、カーライルは国防の分野に進出して行きます。

当時攻防関係の資産は殆ど価値がないとみなされていました。

冷戦が終わり、80年代に進められてきた軍備の増強が突如必要とされなくなったんです。

国防長官として軍事情勢を直接見てきたカールーチは、その事を熟知していました。

彼はカーライルをそれまでと全く違う方向へと持っていったんです。

カールーチが、カーライル・グループに参加した2年後湾岸戦争が勃発しました。

戦争となれば当然軍事産業は俄に景気が来ます。

その結果カーライルが投資した企業の資産が再び急騰し、カーライルは莫大な利益を得たんです。

 彼等は実にうまくビジネスを展開し、3〜4年の間に大儲けをしました。

ほかでは知り得ない情報を握る政治家を会社に引き入れたからこそ出来た事です。

 実際カールーチは国防長官時代に定めた政策をカーライルの会長として利用しています。

抜け目のない手口ですよ。

自分で政策を定め、政権を抜けて実業家になったと思ったら、今度は自分で定めた政策を利用して金を儲けているんですからね。


 再び、カーライル・グループ創始者の一人のスティーブ・ノリス氏

 カーライル・グループが登場する迄は政府の高官は退職した後、研究機関に入る事が多かったんです。

ところが大統領首席補佐官、財務長官、国務長官を歴任したジェームス・ベーカーのようにアメリカの権力の中枢に10年以上いた人物にとっては、ロビーストや弁護士は、それほど興味をそそる仕事では無かったんです。

 

 ダン・ブリオディ氏

 例えば、ベーカーのような共和党員は、民主党が政権を握っている間、ホワイトハウスを出てカーライルに籍を置き、一定期間働きます。

そして、民主党政権が去ると同時にホワイトハウスへ返り咲くわけです。

 2000年にクリントンが大統領の座を降りた時に現在の国務長官であるコリン・パウエルが執った行動がこれでした。パウエルはカーライルで暫く顧問をしていたので内部の人間をよく知っていますし、カールーチとも非常に親しい間柄です。

国務省で昇進してきたパウエルにとってカールーチは良き指導者的存在でした。

パウエルとカーライル・グループの関係はカーライルにある疑惑を象徴していると言っていいでしょう。

 カーライルで働く大物の中には正式に雇われていない人がいるんです。

雇われているように見せかけている人もいれば、給与の支払いが極めて曖昧なものもいます。

この為どんな時期に誰が働いていたかを正確に把握する事が出来ません。

カーライル側が公表しない為に誰にも判らないのです。

 つまりブッシュ大統領が会社の為に働いたとしても、その実情は全く掴めないんですよ。

カーライルはブッシュ元大統領の役割は基金収集の為の広報活動と言っていますが、実際はそれだけではありません。

 よく調べてみると韓国やサウジ・アラビアの政治指導者達とブッシュが一対一で会っていた事が判ります。

そこで一つの疑惑が浮かび上がって来るわけです。

ブッシュはカーライル・グループに対して単なる広報活動を遙かに超えた貢献をしているのではないか?とね。


 ティム・ショロック氏

 ブッシュは大統領の座を下りてからは、カーライルの仕事で何度もアジアを訪れています。彼はアジア部門の顧問ですからね。

タイや韓国に投資のチャンスを求めていたカーライルは結局韓国に腰を据える事になりました。

ところがカーライルの韓国進出は、外貨危機にに陥った韓国に対して国際通貨基金(IMF)が救済融資を始めた時期に重なるのです。

アメリカはIMFの救済融資を利用して韓国政府の規制緩和を推し進め、外国資本よる企業の合併、買収に関する規制を変えさせました。

 25年から30年にわたる貿易政策で果たせなかったこれらの変革はIMFの緊急処置の元、僅か数ヶ月で成し遂げられてしまったのです。

 海外の銀行による韓国の銀行の経営権の取得、そして、株の支配を認めるようになりました。

カーライルは待ってましたとばかりに大手銀行の一つコラム(?)銀行を買収しています。

勿論、ブッシュが直接契約を結んだわけではありませんが、政権を離れたばかりの元アメリカ大統領がやってきて話をすれば、それだけで太鼓判を押されたようなものです。

 しかもブッシュは副大統領時代に韓国を訪れ国会で演説もしています。

投資グループの素性を訝しく思う人々にも、かって国会で演説までしたアメリカ元大統領が後ろに付いているのなら大丈夫だろうと納得してしまう。

ブッシュはそれほど大きな影響力を持っているんです。

(番組中、カーライルの顧問には韓国の元首相パクテジュン氏の名前も挙がっていました)

 

 チャールズ・ルイス氏

 私はこれをもっとも質の悪い利害の抵触であると非難してきました。

現在の大統領である息子が戦争をはじめ重大問題について各国首脳と話をする一方で、父親の方は彼等にカーライルの投資話を売り込んでいるというわけです。

呆れてものが言えませんよ。


 ダン・ブリオディ氏

 カーライルに関しては様々な疑惑が持ち上がっていますが、特に物議を醸したのがクルセーダという兵器の製造です。

 カーライルの所有する軍事関連会社ユナイテッド・ディフェンスが製造するクルセーダは155mmの砲弾を1分間に10発発射する重装備の兵器です。

 

(更に)

国防総省の防衛支出を見直す為に設置された国防委員会はクルセーダについて検討を加えました。

その結果、この兵器は重装備で動きが緩慢な為、近代戦には向かないと判断し導入の取りやめを勧告しました。


 この曰くありげな兵器(テレビ画面中では、戦車もどきの砲身を有した車)の問題を暴いたのは、元下院議員のシンシア・マッキニーでした。

彼女は、次期国防予算の認可についての聴聞会で、4000億ドルとかってない国防費が計上されるのに驚いて調査を始めたと語っています。


 このシンシア・マッキニー元下院議員の発言の合間に、次のブッシュ演説が画面に流れていました。

 我が軍の兵士は、最高の兵器と最高の訓練を受けるに値します。

だからこそ、480億ドルを超える年間予算拡大を議会に求めたのです。

更に、

我々は高い機動性を求めています。最新鋭の装備を備え、自由を守る体制を執らなければなりません。


 そして、シンシア・マッキニー元下院議員は語り続けます。

 国防総省の人間もクルセーダの製造は必要のないものだ、我々の優先事項に当てはまらないものであると議会で証言していました。

クルセーダは冷戦用に用いられた時代遅れの兵器で、配備に時間がかかり過ぎる上に値段が極めて高額です。

つまり今の時代に全く必要とされていないものなのです。

ところが、181億ドルも増額された予算の一部と大統領から出された4000億ドルの国防費の中に組み込まれていたんです。

そこで私は調査を始めました。

そして、クルセーダを製造しているのがユナイテッド・ディフェンスという会社で、この会社がカーライル・グループの傘下にあると知ったのです。

 カーライル・グループを調べ始めた私はカーライルの顧問の中に現大統領の父親であるブッシュ元大統領の名前を見つけました。

これは議会内での倫理ガイダンスの中で、個人の行動として慎むものに当て嵌まります。

黙って見過ごすわけには行きません。

委員会の評決で私はこの納得行かない国防予算に反対票を投じると共に異議表示を提出しました。

その中で、カーライル・グループの背後にある人脈とクルセーダの関係に言及したんです。

これをきっかけに全てが崩れ始めて行きました。

 

(更に、続けて)

 おそらく彼等はそこまで綿密に予算を調べ上げられるのは思っていなかったんでしょう。

現職の大統領である息子と、元大統領であった父親、そして軍事用品を製造する会社、それに投資する会社。これらの関係にほんの一寸光が当たっただけで、大騒ぎになったのを見て彼等は、この件からは手を引いた方が良さそうだと判断したんです。

結局、クルセーダ計画は打ち切られました。


 ダン・ブリオディ氏はこの発言を補足する意味もあって(?)次のように語っています。

 マッキニーが提出した異議表示をきっかけに議会と国防総省内でクルセーダに対する反感が高まって行きました。

そんな事態になる事を予測していなかったカーライル・グループは慌てて主要な政治家や議員の下に人を派遣して激しいロビー活動を展開したんです。

その甲斐あって風当たりが強くなったにもかかわらず、クルセーダ計画は一度は何とか生き延びる事が出来ました。

 

(更に)

 

 

 抗議の声が余りに大きくなった為、最終的にこの計画は中止になり、ラムズフェルド国防長官が公の席で発表しました。

しかし計画が生き長らえている間にユナイテッド・ディフェンス社は上場を果たし、株価は一気に跳ね上がりました。

カーライルは初日だけで、2億3700万ドルの収益を上げました。


 そして、この疑惑を暴いたこの民主党のマッキニー元下院議員は、その後、共和党側からの前代未聞の選挙妨害の末、政治生命を絶たれてしまったそうです。

更に彼女は次のように語りました。

 裏で怪しい取引を行うと同時に、一人の政治生命を叩き潰す程の力を持った組織が存在するのです。

世界的な規模で取り締まる新たな手段を講じる必要があります。

 

 この彼女の発言を裏付けるように、CPI理事:チャールズ・ルイス氏は次のように語っています。

 カーライルとブッシュ元大統領との関係に疑惑を持つ議員は沢山いるでしょうが、みんな我が身可愛さで、その事に触れようとしません

誰も議会から追い出されたくないんですよ。

そもそもカーライル・グループは民間会社なので全ての情報を公開する義務はありません。

その為、その実体の多くは謎に包まれています。

見えない相手と戦っているようなものですよ。


 更に、ダン・ブリオディ氏は次の話を聞いて、またまた、私は驚愕しました。

 2001年9月11日、同時多発テロが発生したその日、カーライルはワシントンのリッツ・カールトン・ホテルで投資家を集めて会議を開いていました。

その会議に出席した人から直接話を聞いたんですが、その場に居たのは、ブッシュ元大統領、フランク・カールーチ、ジェイムス・ベーカー、ルベルト・ルーベンスタインといったカーライルの幹部達、そして、ビンラディン一族の代表者サフィーク・ビンラディンも投資家としてその会議に出席していたそうです。

ビンラディン一族ハ、カーライル・パートナーというファンドに200万ドル投資していました。

 
 事実、米ニュースクール大学世界研究所のウィリアム・ハータング氏は次のようにkたっています。

 9月11日の同時多発テロをきっかけにビンラディン一族の建設会社がカーライル・グループに出資している事が発覚しました。

それだけでなく、サウジ・アラビア訪問の際、ブッシュ元大統領がビンラディン一族と会っていたんです。

 
 創始者の一人のノリス氏は、サウジとの繋がりはブッシュ元大統領の前に、アル・ワリード・タラール王子との繋がりに始まると語っていました。

 

 そして、ダン・ブリオディ氏は語ります。

 世界で有数な資産家である王子は、とても派手好きで親米派としても知られています。

ですから、アメリカ投資にも積極的だったんです。

 90年代の初頭、シティバンクが経営危機に陥った際、ノリス氏は5億9000万ドルの銀行への援助出資を王子から引き出している。

 

 こういった一連の動きは、1991年にアメリカが湾岸戦争によってイラクの暴走を止めた事から始まっています。

 サウジの王室は、中東を再び安定化させたアメリカに深く感謝していたんです。

 
 ティム・ショロック氏

 ブッシュが政権を去った後も、サウジの王室に近い人々には、自分達をイラクの脅威から守ってくれたブッシュやベーカーの力になろうとしました。

彼等はサウジの事業家達にカーライルへん投資を促したのです。


 ウィリアム・ハータング氏

 カーライルの提案で始まったサウジ国内に契約金の一部を環流させる計画は、膨大な腐敗の温床となりました。例えば、王室の誰かを担ぎ出して、小さな会社を設立し、その資金をアメリカのボーイング社が持つとします。その場合、ボーイング社は武器の売り上げの一部をもう一度環流しているに過ぎません。つまりキックバックですよ。

 カーライルはこの仕組みを合法化する役回りを担っていたのだと思います。

 

 湾岸戦争の後、アメリカ軍をサウジ・アラビアに駐留させていたのは、大きな失敗だったと考える人がいますが、オサマ・ビンラディンにとってアメリカ軍の駐留は、イスラム教の人々を挑発する道具に過ぎませんでした。

今や、アメリカはサウジ・アラビアを背後で支配している事を隠そうとしなくなったと訴えて組織の拡大に利用したのです。

 
 弁護士:ローレンス・クレイマン氏

 テロ支援国としてアメリカがやり玉に挙げた国は幾つかありましたが、テロに最も関与し、資金源となっているのは、サウジなんです。

 しかしこの国はまるでテロには無関係なように扱われてきました。

それはカーライルのようなグループが莫大な投資でサウジの利権を握っているからです。

 そして、今の大統領の父親であるブッシュ元大統領がカーライル・グループの一員として、ビンラディン一族と親しい関係にあるからです。

 これは利害の定食にあたるのではないでしょうか?


 ウィリアム・ハータング氏

 ブッシュ元大統領をはじめとする著名な政治家がサウジ・アラビア王室や起業家と密接な関わりを持っている事をアメリカ国民が知ったら、そうです、テロを資金的に支えたという点で、イラクを遙かに凌いでいます。

若しこれが暴露されたら、2004年にブッシュは再選される事はないでしょう。

 

 ブッシュ政権のイラク戦争に関する主な戦略の中には、ペルシャ湾に於ける各国の力関係を変えると言う狙いが間違いなくあると思います。

 バクダットにアメリカに協力的な政権を打ち立てる事が出来れば、石油の利権も優先的に確保できるでしょうし、サウジ・アラビアとイラクの関係もずっと安定するでしょうからね。


 ティム・ショロック氏

 若しアメリカの支配下で、思い通りにイラクを作り替える事が出来たらサウジよりずっと従順な政権が生まれるでしょう。

そうすれば、中東で今よりも自由な活動が出来る事になります。

今までのようにサウジに大きく依存する必要が無くなりますからねえ。

 今アメリカは戦後のイラク復興に取りかかっています、国を立て直すには通信システムの再建は避けて通れません。

もう一つ誰もが集まると見られるのは防衛関係です。ユナイテッド・ディフェンスは既にトルコとサウジに大規模なジョイントベンチャーを立ち上げています。

イラクに親米政権を作れば、イラクにアメリカの軍事産業が食い込んでくるに違いありません。


 そして又、元カーライル・グループのノリス氏も“通信、道路・橋の再建が急務” と語っていました。


 この番組を見ていると、先の拙文911の同時多発テロを今思うとに於ける次の記述を思い起こされます。

そして、タリバンを壊滅させた今、アメリカは問題の証拠を世界にそしてアメリカ国民にさえ提示していません。

以下は、2003726日付けの朝日新聞記事の抜粋です。

……01年9月の同時多発テロをめぐる米議会の報告書は、情報公開を拒む政府の強い横やりで、あちこちが空白のまま公表された。……

 外交配慮から発表を伏せられたサウジアラビアとの関係と並んで、「大統領は何を知っていたのか」も機密解除とならなかった。ホワイトハウスは、議会側の再三の要請にもかかわらず、事件前の8月6日のCIAによる大統領ブリーフィング資料の提供をかたくなに拒んだ

 このブリーフィングは、ハイジャック機を使った対米テロの可能性にまで踏み込んでいたとされる。「現政権特有の過剰なまでの秘密主義」(共和党のマケイン上院議員)の表れだけではなく、政治的に極めて微妙な問題をはらむだけに大統領を守らなければならない、という意向が、強硬な姿勢の背景にあったとみられる。……

サウジ疑惑

 米政府関係者によると、96年ごろからサウジアラビア政府がビンラディンに関して協力しないことがはっきりしていた。米政府高官〈非開示〉は、どうすれば9・11を防げたかを問われた時、もっとサウジの協力があれば、と述べた。

 2人のハイジャック犯を支援したアルバユミは学生だったが、サウジから無限に資金調達できたと思われる。FBIの有力な情報源は、アルバユミはサウジか他の外国の秘密情報員にちがいないとFBIに告げている。……

 以上からは、テロリスト達のつながりは、タリバンよりもサウジアラビアの方が強い事が伺われます。

そして、ブッシュ大統領が何かを知っていた事を、そしてその事実を隠蔽している事が匂っています。



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