いつも偉そうで弱腰な筑紫さん
2003年11月19日
宇佐美 保
今年の3月までは、TBSのnews23を見ると、筑紫さんの意見が煮え切らないので「いつも偉そうで弱腰な筑紫さん」との表題でnews23のホームページへメールを送っていましたが、全く反応もないので、拙文「平和憲法は奇跡の憲法」を書いたのを機に、自分のホームページを立ち上げたのでした。
そして、今、雑誌『週間金曜日』(484号)に掲載された、筑紫さんのコラム「自我作古(不動如山の如し)」を読み、“ああやっぱり筑紫さんは、「いつも偉そうで弱腰な筑紫さん」なんだなあ!”の感を強くしました。
そこで、筑紫さんのコラムの後半部分を抜粋させて頂きます。
戦後二番目の低投票率に終わった。 「投票率がもう5、6%高ければ与野党は逆転していたろう」という小沢一郎氏(民主党)の読みは単なる負け惜しみではない。そうなればイラク派兵は止まっていたろう。 「だれがやっても同じ」「政治は何も変わらない」「自分にやれることは何もない」 ――棄権を正当化するために繰り返し語られる口実がいかに愚論であるかがこれから証明されることになる。その結果は、おそらく今回も三人に一人しか投票に行かなかったであろう若者たちと未来の世代により大きく降りかかることになるだろう。「変わらない」と思う者が多いから「変わらない」のだし、一方では「変わらない」と思い込んで責任を放棄することが、自分だけでなく他者の行く末や運命も「変えてしまう」。何もしないことが、何かをしたことになるのがとりわけ選挙というものなのだ。 ただ一票の権利を得るために血を流して戦ってさた人たちが、過去にも、たった今も、この地球上にはいる。 そんな簡単な道理もわきまえない人たちがこんなにも多いさまを眺めながら、「日本人には民主主義は向かない」と断言する友人がいる。 「思いのほか、日本人とはつまらない民族なんだな」と選挙結果を″総括″したジャーナリストもいた。 そうは思いたくないが、「選挙に行こう」という一点にしぼって、手を替え品を替え、番組をやってきた結果への無力感、徒労感は深い。 何を言っても届かない。挺でも動かない山を目にする思いである。この先、それほど生きられるわけではない身としては、もう何もかも投げ出したいという衝動にも駆られる。「人生のホイッスルが鳴る前のしばしのロスタイム」のことを考えるか、「及ばずながら一太刀」をまだ続けるのか、個人的にも分かれ道にさしかかってきた。 |
この文面からは、“「与野党は逆転」の為、「「選挙に行こう」という一点にしぼって、手を替え品を替え、番組をやってきた」、しかし、「戦後二番目の低投票率に終わった」ので、所期の目的を達成する事が出来ずに残念で「無力感、徒労感は深い」”との筑紫さんの気持ちが伝わってきます。
この筑紫氏の気持ちが「いつも偉そうで弱腰な筑紫さん」になってしまうのです。
投票率を上げて政治を変えようというのは、今問題となっている日本テレビの視聴率不正問題にどこか似ていませんか?
テレビ番組にとっては、視聴率なんかよりも、本来は番組の質が問題なはずです。
視聴率重視で番組制作を行ってきた結果、現在の番組の質になったわけです。
(そして、高視聴率の番組はどのような方々がご覧になっているのでしょうか?
筑紫さん貴方ですか?)
「そんな簡単な道理もわきまえない人たち」が筑紫さん達の呼びかけで、投票に行って(喩え、その事によって政権が変わろうが)何になるのですか?
だって、新しくできた政権は、筑紫さんが「そんな簡単な道理もわきまえない人たち」と認識する人達に支えられているのですから。
之では、“番組の内容はともかく(低俗でも何であれ)、高視聴率ならばCMが高く売れて放送局は業績向上で大喜び”と同じ姿勢ではありませんか!?
筑紫さんは「そんな簡単な道理もわきまえない人たち」に投票所へ行けと訴える以上に、筑紫さんの番組を見る方々、そして、投票に行かれる方々に、筑紫さんの思いをはっきりとぶつけるのが先決と思います。
イラクへの自衛隊派遣に反対ならば、その旨番組で主張して、視聴者を納得させるべきと存じます。
私がnews23を見ていた3月頃までは、このような重要な問題では筑紫さんはご自身の見解を披露せず、ゲストに語らせていました。
それでは「山は動かない」のではないでしょうか!?
やはり、テレビキャスターも旗色を鮮明にすべき(Show the flag)と存じます。
ゲストに意見を述べさせ、横で、ただ「フム、フム」と頷いているキャスターなど不要なのではありませんか?
いつも自分は安全な場所に居座り続け「山よ動け!」と念じていても空しいだけではないでしょうか!?
かって、オーム事件(拙文『TBS問題について』を御参照下さい)の際、筑紫氏は“TBSは死んだ!”と宣言しながら今の席に座り続けているのも可笑しくはありませんか?!
今度は、自らが死んだ気になって「及ばずながら一太刀」をふるわれては如何なものでしょうか?!
従来、選挙前のマスコミは、毎回“各党間の政策、公約の相違は何か?”“それにしても与党と野党の公約の違いがはっきりしない!”と唱えているだけでした。
しかし今回は、政策公約の代わりに、民主党が「マニフェスト」なる文言を使い始めたら“自民党と民主党のマニフェストの相違がはっきりしない!”等を垂れ流しているだけです。
今回の選挙で、民主党に投票した人の大部分は、「何十年にもわたって自民党政権が続いた結果、政官業の癒着が激しくなり、族議員の跋扈が目に余る事態となってきたので、何としても、もう政権交代をさせてこれらの癒着を断ち切るべき」との思いを抱いていたはずです。
(私だってそうです。)
何故これらの思いをマスコミは取り上げないのですか?
当然政権交代を声高に発すれば、現政権からの圧力が掛かるからですか?
しかし、このような圧力を怖がっているマスコミの発言が、無関心層の心を揺さぶりますか?
この見地から申しましても、京セラの会長の稲盛氏をはじめとする「真の政権層択を考える国民会議」(主に関西の財界人)の方々は素晴らしいと存じます。
週刊「アエラ」(2003.11.10)には、“『京セラ稲盛の仕掛け 関西発「政権交代」 総選挙』の記事で、「政権交代が可能な国をつくろう!!」 大見出しでそううたった意見広告が10月16日、朝日、読売、日経の朝刊に載った。(編集部・山田厚史)”と紹介されています。
(残念な事に10月16日の当日は、その新聞紙面での広告には気が付きませんでした。
この山田氏の記事を見てから16日付の新聞を一面から見直してもなかなか見つけられず、3度目にやっと紙面半分のこの大きな「意見広告」を見つけました。)
この広告に関しては、山田氏は次のように紹介してくれています。
……「実質的な呼びかけ人は京セラの稲盛さん。賛同者は稲盛人脈に連なる人たちで、私も趣旨に共感して名を連ねた」 賛同者の一人、大前研一はそう明かす。東京・虎ノ門にある国民会議の事務局も稲盛がスポンサー。約二千万円近くの広告料のかなりを稲盛が負担したといわれる。 京都市伏見区にある京セラ本社に稲盛名誉会長を訪ねた。 「私はバカなもんですから、一途に思い詰めて……。勇気をふるって、仲間を募りました」…… 「今度の選挙で、政権交代が行われることが、日本にとって必要だと私は考えています。天地がひっくり返ることではない。政権を担う政党が代わるだけです。しかし実現すれば、主権者である国民が自分たちが政権を選んだ、と実感できる。政治への関心を高め、政界に緊張感を与える唯一現実的な方法だと思っています」…… 政権交代への思いは、民主・自由の政党合併にも絡んでいた。菅直人と小沢一郎を裏で取り持ったのが、稲盛だった。…… 稲盛は27歳でサラリーマン技術者を辞め、京セラを起こした。いつ倒産してもおかしくない零細企業から売上高一兆円の世界企業に育てた。それだけでも偉業であるが、通信自由化と電話携帯化の流れをいち速く読み、畑違いの通信事業に乗りだし第二電電を軌道に乗せた。 「事業は成功しました。しかしこの先日本はどうなるのか。滅亡への道を転がり落ちているように、私には思えます」 政府は700兆円の借金を背負っているのに、財政を健全化する対策さえない。政治的なリーダーもいない。 「小泉さんが登場した時は、非常に期待しました。これで日本は変わるんではないかと。ところが全く期待はずれでした」 最大の公約だった「郵政民営化」も、自民党が郵政公社案を担ぐと、さしたる抵抗もなく通してしまった。民営化反対と主張する議員も各地で公認されている。 「自民党を壊すか、自分が潰れるかだ、と言うことは勇ましかったが、体を張って仕事しない。『済まない、抵抗勢力に阻まれて』というならまだしも『改革は進んでいる』などと平気でいう。そんな人は信用できない」…… |
私は、この様に自らの態度をはっきりとさせる方々を尊敬します。
そして、この方々への敬意を込めて以下に、広告を掲載された方々のお名前を掲げさせて頂きたく存じます。
「真の政権選択を考える国民会議」賛同者 堀場雅夫(竃x場製作所会長)/梅原 猛(哲学者)/中條高徳(アサヒビール竃シ誉顧問)/中坊公平/広中平祐(京都大学名誉教授)/稲盛和夫(京セラ竃シ誉会長)/福川伸次(樺n球産業文化研究所顧問)/屋山太郎(政治評論家)/常盤文克(前・花王渇長)/堀田 力(弁護士市民団体代表)/鳥羽博道(潟hトールコーヒー社長)/下村満子(ジャーナリスト)/佐和隆光(京都大学)/大前研一(経営コンサルタント)/寺田千代(アートコーポレーション且ミ長)/沢田秀雄(潟Gイモアイ・エス社長)/神蔵孝之(イマジニア且ミ長)/植草一秀(早稲田大学教授)/天野信二(潟Aマノ社長)/柳瀬公孝(都市綜研インベストバンク且ミ長) |
そして、この方々の中には、ジャーナリストの下村満子氏、経済評論家としてテレビに頻繁に出演された植草一秀氏のお名前も見られます。
筑紫氏もどうかこれからは、旗色を鮮明に(Show the flag)し、ご活躍願いたいと存じます。
(「それほど生きられるわけではない身としては、もう何もかも投げ出し」とのことですから)