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世界的な発電量は、自然エネルギーが原子力を抜いた(2

2011年6月11日

宇佐美 保

 先の≪世界的な発電量は、自然エネルギーが原子力を抜いた(1≫に於ける北澤氏の素晴らしい御見解が如何なる経緯で生まれて来たのかは、次の北澤氏のお話から分かります。

 

これまで原子力をやめたら電力料金が上がり、製造業の国際競争力が低下して日本は大変なことになる、と言われてきた。地震後に多くの日本人は原子力発電所をすべて止めたら安心だと感じる一方、原子力発電所がなくなると日本社会は大変なことになる、と恐れている。しかし、原発をすべて止めたらどうなるかについては誰もきちんと説明していない。どこかがきちんと考える必要がある。日本学術会議に委員会をつくって検討すべきだ、と提案したら言い出しっぺとして委員長にされた

 

日本学術会議東日本大震災対策委員会の「エネルギー政策の選択肢分科会」は511日に第1回の会合を持ち、「従来の枠にとらわれずエネルギー政策を抜本的に見直すきっかけをつくる。活動期間は2カ月」を申し合わせた。以下の4つの選択肢案を設定し、検討を始めた。

 

1.直ちにすべての原子炉を停止する。民生と産業への影響の大きさを推測、今後5年程度の社会変化を予測する。

 

2.)電力の30%を再生可能エネルギーと省エネで賄い、原子力による電力を5年程度で代替する。国民生活のシナリオを考える。

 

3.20年程度で電力の30%を再生可能エネルギーでまかない原子力電力を代替する。国民生活のシナリオ変化を考える。

 

4.)原子炉を国民に受容される安心・安全なものとして再提起し、将来における中心的な低炭素化エネルギーに位置づける。その発電コストの変化を考える。

…… 

 

「エネルギー政策の選択肢分科会」の役目は、検討結果を示し、国民にどれを選ぶか選択してもらうことだ。ただ、個人的な見通しを聞かれたら、菅政権の現在の対応からみると、選択肢1(直ちに脱原発)と選択肢2(5年で卒原発)の中間のスピードで動き始めているようにみえる。

 

 

 それでも、自然エネルギーに依存すると、風力発電では風が吹かないと駄目、太陽光発電では夜は無理なので、供給が不安定になる事が懸念されますが、北澤氏は次のように語っておられます。

 

 

 現在では、原発は24時間フル稼働させて、火力、水力発電が、供給力を調節している。

更には、夜間には、余剰電力を用いて、水を上のダムに汲み上げて、昼間必要な時にその水を下のダムに落として発電する「揚水発電」を逆に、昼間の太陽光発電の電力で揚水する方法も考えられる。

更には、余剰電力は、蓄電池への貯蔵、電気分解で水素を取得するなどの手段がある。

更に余剰電力が増えれば、この綺麗な(地球を汚さない)電力でリサイクル産業の発展が望める。

 

 又、電力も輸入(先の拙文に記述しました「直流送電による」)も考えられます。

 

 

 そこで、SEEGoTo」のホームページで「研究室訪問 科学技術振興機構 理事長 北澤 宏一 氏」を訪ねますと次の記述を見ます。

 

 

高温超電導ケーブルで地球をぐるりと巻くような直流送電網を構築する計画だ。格子状に電線が配置されていれば、一か所にトラブルがあったとしても、他の電線を経由することで電力を供給できる。これを提唱者の元三洋電機社長桑野幸徳氏の命名にしたがって、「GENESIS計画」 (Global Energy Network Equipped with Solar cells and International Superconductor grids)と呼んでいる。

 

なぜ、地球全体をつなぐ必要があるのか。例えば、太陽光発電は昼間しか発電できないが、地球規模で送電システムがつながっていれば、夜間のエリアがあっても昼間のエリアに位置する太陽光発電が電力を供給すれば良い。風力発電でも、風が吹いて発電できる発電所が電力を供給すれば良い。自然エネルギーの供給の不安定さを克服できる。 この地球規模のGENESISシステムには、あらゆる発電源と消費者とがつながれるだろう。石油などの化石エネルギー、原子力、そして太陽光発電をはじめとする自然エネルギーの発電は、それぞれがメリットとデメリットを持っている。それらすべてが、GENESISに接続されれば解決される。

 

……

 

超電導電線であれば、送電ロスがないので、どれだけ電線が長くても電力を無駄にすることがない。また、大電力を遠距離に送電するには最もコストの低い技術になってきている。地中にケーブルを埋めて大電力を送電することが可能である。

 

 

 何と壮大で素晴らしい計画でしょうか?

しかし、余りに壮大過ぎて夢物語と思われる方も多いと存じますが、北澤氏は次のように話を続けられておられます。

 

 

GENESIS計画に向けた具体的な計画として、サハラ砂漠に巨大な太陽光発電システムを作る「サハラ・ソーラー・ブリーダー計画」が提唱されている。これは、2009年3月にローマで開催されたG8学術会議において、日本学術会議から提案されたものだ。  サハラ・ソーラー・ブリーダー計画は単なる太陽光発電システムの提案ではない。サハラ砂漠に降り注ぐ太陽エネルギーによって、太陽電池そのものを原料から製造し、初期に持ち込んだ太陽電池よりも多くの太陽電池を生み出そうとするものである。サハラ・ソーラー・ブリーダーシステムの周辺には、シリコン工場や科学研究施設ができるだろう。工場では雇用が生まれ、科学研究施設では、アフリカの国々と日本の科学者が集まり技術交流が生まれるだろう。それを元に砂漠緑化を進めたり、自国の産業、科学人材を育成したりする側面を含んでいる。

 

外から持ち込まれた太陽電池よりも、自分達で作った太陽電池の量が上回る日がくるだろう。そんな時が来たら、「アフリカ・ソーラー・ブリーダー元年」と呼ぼうとされている。

 

資源の搾取の歴史を重ねてきたアフリカの大地に、自分達自身の力でエネルギー資源を作り出す歴史的な日が来るのを期待したい。光溢れるアフリカの大地は、エネルギーの宝庫なのだから。将来は、「サハラ・ソーラー・ブリーダーシステム」がGENESISに接続され、膨大な太陽エネルギーをアフリカから世界に供給するのだ。  日本は超電導、太陽光発電システム、シリコンなど、この計画に必要な最先端の技術をすべて持っている。技術的にも実現性は高い計画であり、G8学術会議でも高い評価を得られている。

 

 

 サハラ砂漠へ降り注ぐ太陽の光が日本にまで、いつの日か届けられるとの希望を持つことで、原発事故で暗くなってしまった私達の心に明かりが射してくる思いがします。

 

 

 611日の朝日ニュースター「パックインジャーナル」で、ゲストの田中優氏(文筆家、未来バンク事業組合理事長)が、次のような貴重な発言をされました。

 

 ゼネコンのおいしい収益は発電所だった。

その発電所の受注の際、93年のゼネコン疑惑の際、新聞に “紹介した政治家は受注額の13%を受けとった”と、1基5000億としたら、その政治家に150億円も入ったことになる。

 

 東電の利益は、掛けた金額に3%上乗せして取れるの仕組みになっているので、一杯高い発電所をつくればつくるほど儲かる。

それに加えて、PRの費用も、更に、金融機関に払った金利も、3%上乗せして料金として徴収できる

これで、金融機関を支配した。

この仕組みを排除する必要がある。

 

 この背景から、電力会社がメディアに払っているお金は、豊田の1.5倍くらい

(東電だけで、広報費が年間550億円くらい:二木氏談)

このスポンサーに立ち向かっての報道などメディアは出来ないでしょう。

こんなわけで、「電力会社帝国」と思っています。

 

私達が使用する電力は1/4でしかなく、電力の3/4は企業が消費している。

2003年に東電が原発事故隠しの為、原発が全て停止していた時でも、電力不足する時間は8760時間(1年間)の内10時間(0.1%の時間)でしかない。

夏場、平日、日中、午後2時から3時にかけて気温が31度を超えた時しか、東電の供給能力をオーバーしていない。

ですから、この時間の使用を産業界が控えれば原発を全て止めても凌ぐことが可能である。

 

家庭の電気料金は、使えば使うほど高くなるようになっている。

ところが、事業者の電気量気は、使えば使うほど安くなるようになっているので、例えばスポットライトでもLEDにすれば電気消費が1/10以下に下がるのに、使えば使うほどコストが低くなるという概念を有しているので、LEDに交換する意味がないと考えている、ところが、逆に使えば使うほど高くなるようにすれば、省エネすればするほど得になるので、企業の消費電力は今の半分にもなるだろう

 

これの素晴らしい提案に対して、司会の愛川欽也氏は、次のように発言しました。

 このような電力体系にすると電力会社は損するという事で実施しないだろうから、「発送電分離」を実施する為に菅さんが、“私が止める前に、この点で総選挙する”と打って出ると良い。

 

 日本の電力使用量はドイツ、北欧に比べて大きな波を打っている(最大使用時と最小使用時の差が大きい)。

これをドイツ、北欧並みのなだらかな使用状態にすれば、(使用時が大きくなる場合に備えての発電所が不要になるので)日本の発電所は、1/4不要になる。 

 


愛川氏談

ドイツで原発派だったメルケル首相は、福島の原発事故を受け「反原発」になった。

日本の菅さんも、見習ってほしい。

 

 

 北澤氏は、番組の最後で次のように話されました。

 

 

世界で発生するマグニチュード6以上の地震の20%は日本で発生している。

日本には各所に断層が存在しているので、日本は原発を最小限に抑えて「再々可能エネルギー」を最大限に取り入れて行くことを考える事によって、世界に日本の姿を積極的に見せて行く事が望まれる。

ですから、東北の大震災を日本としては是非積極的に生かしていって欲しい。

 

 

 山田氏談

 

“この震災で、こういう原発の事が分からなかった、世界でこんなにも沢山自然エネルギーが動いているなんて、皆ピンとこなかったでしょうね。”


(補足)
 直流送電の交流送電への有意性に関しては、次の≪『コロンブスの電磁気学』の要旨(18) 直流送電の交流送電に対する優位性≫をご参照ください.
尚、そこでは、「超伝導材料」を用いた送電に於いても「直流送電の交流送電への有意性」が変わらないことも記述いたしました。



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