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筑紫哲也氏と植草一秀氏と大きな力(
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20061031

宇佐美 保

 911日に放映された『筑紫哲也氏の「NYテロ 5年目の真実」(TBS特番)』を大きな期待を抱いてみました。

なにしろ、筑紫氏は、私の愛読している雑誌『週刊金曜日』の編集員に本多勝一氏、佐高信、石坂啓、落合恵子、椎名誠氏と共に納まっておられる方ですから。

そして、最近、同誌の編集委員の成澤宗男氏が『「911」の謎』(発行:葛燉j日)を世に送り出したのですから。

この書の帯びには、次のように書かれています。

 

世界はだまされた

FBIはビン・ラディンを9.11の容疑者と見ていない!

自爆テロリストのうち少なくとも6は生きている!

世界貿易センターには巨大な爆発物が仕掛けられていた!

ハイジャック機の乗客名簿にはテロリストの名前がない!

衝突機のブラックボックスは政府が密かに回収していた!

9.11を事前に知っていた何者かが株の大量取引をしていた!

ブッシュ政権は事前に9.11知っていた!

 

 そして、この本の序章には、次のような記述があります。

 

 だが「911」に関して公式発表と異なる見解を持つことが「陰謀史観」とか「陰謀論者」 といったレッテル貼りを免れないのであれば、米国がベトナム戦争を一挙にエスカレートさせ、北爆まで実施する口実となった19848月の「トンキン湾事件」こそ陰謀ではなかったのか

 また、湾岸戦争前にワシントンで何があったのか。イラクがクウェートに侵攻して二カ月たった一九九〇年一〇月に、米議会下院の公聴会でナイラ」と名乗る戦火のクウェートから逃げてきたという一五歳の少女が涙ながらに「証言」した。内容は「自分がいた病院にイラク兵が乱入し、保育器から生まれたばかりの赤ちゃんを一人ずつ取り出し、床に投げ捨てて殺した」というものだった。

 この証言はブッシュ大統領(当時)によって何度も繰り返してイラク批判に使われ、全米のテレビでも大々的に放映されて一気にイラクへの憎悪が煽られた。そのムードが議会の参戦決議を引き出したことはさまざまな場で指摘されているが、それから1年後、この少女は在米クウェート大使の娘でイラクの侵攻当時病院にいたこともなく、当然イラク兵についての証言はすべてウソであることが判明した。実際は裏で広告会社が演出していたが、こうした行為こそ陰謀と呼ぶべきではないのか。

 米国という国家は、これを仕掛けた下手人を追及し、利用した為政者の犯罪性を問う内在的力などそもそも欠如している。だから親の真似をして二〇〇二年九月の国連総会で 「イラクの核兵器構築のインフラ保持」なるものを非難し、地方での遊説で「生物・化学兵器を積んだイラクの無人飛行機が米国本土を襲う」などとおよそ現実性を欠く恐怖心を煽って、戦争を始めた現大統領が苦もなく再選されてしまう。

 戦争を仕掛ける前にこの種の陰謀を常とする低劣極まる国が、なぜ日本ではかくも「好感度」や権威を保てるのか奇怪至極だが、こと「911」に関しては無批判にかつ疑いを持たず米国現政権の発表を信じなければならない理由があるのだろうか。求められるのは 「性善説」に象徴される予断や偏見からの解放である。それによって見えてくるのは、911」が「世界を変えた」のではなく、「世界を変え」るために「911」が用意されたという可能性の確かさであろう。それが仮説にとどまるか否かは、本書が列挙した事実によって判断されるに違いない。

 

 更に、成澤宗男氏、同じ“「911」の謎”との題目で、16回もこの雑誌で、上記の内容やそのほかの驚くべき事実を訴え続けておられるのですから!

週刊金曜日(2006.10.13号)には、『「911」の謎 ビン・ラディンの「テープ」』成澤宗男氏は、次のように記述されています。

 

・・・

ことし七月四日に配信されたAP通信の記事によると、この一〇年あまりにわたってビン・ラディンを捕捉するために活動していた「アレック・ステーション」というコードネームを持つCIAの部局が、昨年にひっそりと廃止されていたという。

未だその所在も生死も定かにできないまま、なぜ今になって建国史上最大の惨事を引き起こした「首謀者」から世界最強の諜謎報機関が手を引くのだろうか。

 しかも、事件から五年たっても司法省は未だビン・ラディンを公的に告発する手続きを取ってはいないFBIに至っては、ビン・ラディンを現在二六人いる最重要指名手配の「テロリスト」の一人に加えておきながら、その容疑として明記しているのは「一九九八年八月七日にタンザニアのダル・エス・サラームとケニアのナイロビで起きた米国大使館爆破事件」(FBIのホームページより)のみである。なぜか、「911」は除外されている。

 その理由については、何と「FBIビンエフディンと『911』を結びつける確たる証拠を有していないから」(注1)だという。この唖然とするような事実を、「911」の六年目を再び「テロリスト」 への憎悪と恐怖を呼び覚まされて迎えた米国民の何割が知っているのか。・・・

 

 更には、次のように書かれています。

 

 ビン・ラディンが「911」後に初めてメッセージを発したのは、パキスタンの『Ummat』紙〇一年九月二八日付に掲載されたインタビュー記事においてである。そこでは、以下のような内容が含まれていた。

 「すでに言明しているが、この件に関して私は何もしてはいない。私はイスラム教徒として、ウソをつかないあらゆる努力をしている。これらの攻撃について知っていることはないし、罪もない女性や子ども、人々を殺すことなど考えたこともない」

 なぜかこの報道は、「米国では概してまともに報道されなかった」(注2)というが、二一月一三日になって、今度は本人が「事件の関与を認めた」とされるビデオテープが出現する。発表したのは国防稔省で、「一一月末に(アフガニスタンの)ジャララバードで人手した」という。

画像・音質共に良好ではなかったが、ドナルド・ラムズフエルド長官は、「ビデオが発見される前にビン・ラディンが『911』攻撃の責任者であったことは疑いない」と発言した。

 だが、以後出現する「告白テープ」のさきがけとなつたその内容は、当初から次のような疑問が指摘されていた。

 @顔の特徴や体格が、すでに報道されていた本人のそれと異なる

 A本人は左利きなのに、画面では右腕で何かを書いている−−等。

 そのため今年七月、米国のインターネットサイト 『マックレイカーレポート』は国防総省に対し、情報自由法に基づき@発見からメディア公表までのテープの一連の管理プロセスを示し、かつ政府が信憑性ありと断定する根拠も示している公文書A翻訳者及びその所属団体への依頼書と契約書−−等、このビデオテープに関連する資料の公開を求めた。ところが、同省が九月一三日に発送してきた回答によれば、何と「要求されたような記録はない」という(注3)。

 額面どおり受け取るなら、国防総省はビン・ラディンと「911」を結びつけるにあたって「疑いない」と断言したビデオテープについて、その信憑性を客観的に実証するいかなる関連資料も有してはいないことになる。これではかりに司法省が当人を告発したとしても、このテープの証拠能力はないはずだ。

 ところが「確たる証拠を有していない」はずの米国政府が、その後出現する類似のテープに「信憑性あり」とお墨付を与え続けているのはなぜなのか。

 

すべては「イカサマ」?

 

 傑作なのは〇二年二月に登場し、「911」との関連を本人が認めたと「告白」したというビデオテープだ。CIAは「信憑性あり」と断じたが、スイスの人工的な知覚を研究する機関・IPAIに「九五パーセントの確立で本人の声ではない」と認定されてしまった

 ・・・

 のみならず「信憑性」を論議する以前に感じるのは、これらのテープが出現する際の、あまりに出来過ぎたようなタイミングだろう。

・・・

 もう、多言は要すまい。これらのテープは、「『911』 はテロリストの犯行であるという公の神話を政府が強調する必要があると判断されたらいつでも製造され」(注5)、かつ 「政治目的に利用するため定期的に世の中に現れるお化け」(注6) のような存在に思える

 もし違うのであれば、FBICIAは口先だけではなくこれらを「信憑性」ある証拠として、ビン・ラディンの訴追手続きに「証拠」として正式に碇供すればいいだけの話ではないか。

 

 

 成澤氏が、これだけ(いや!これ以上に)、9.11とアルカイダの関連性に疑問を呈しているのですから、筑紫氏の報道に大きな期待を抱いたのです。

私の期待は無残に打ち砕かれました。

筑紫氏は、成澤氏の奮闘を全く無視していました。

マッド・アマノ氏も「TBS特番「NYテロ 5年目の真実」は真実を伝えていない」と氏のホームページで次のように記述されておられます。

http://www.parody-times.com/join/col_new/col_new.html

 

・・・だが肝心の「ホワイトハウス自作自演説」には触れないどころかビルの全崩壊の謎にはほとんど納得のいく説明はない。すでに問題になっている9.11事件に対する米政府の隠蔽体質への批判は全くないペンタゴンに激突されたとする旅客機の残骸が見あたらないことやピッツバーグ上空でテロ犯と乗客がもみ合いになり飛行困難となり墜落したとされる機体も見つからない。というより当局は捜査を隠蔽してしまった。番組はこうした重要な事にはほとんど触れずじまいだ。いや、それよりもテロの首謀者はアルカイダNO3のハリド・シェイク・モハメッドである、と断定する。これを挿入したのはどこかの国の強い要請があったからでは、と勘ぐりたくなるほど唐突だ。

・・・あの崩壊の時間がたった9秒ということは常識ではあり得ない。各階に強力な爆薬を仕掛けてあった、と言う推測は信憑性が高い。そのことを解明してこそ「真実」に迫ることになるはず。 107日から全国ロードショーの嘘っぱち映画「ワールド・トレード・センター」の前宣伝になってしまったことは罪深い
 わざわざニューヨークまで足を運んで取材したキャスターの筑紫哲也さんにあえて伺いたい。「5年目の真実を解明出来たと自負しますか?」。

 

 なにしろ、筑紫氏の放送では「タワービル(高さ:417メートル)崩壊のメカニズム」を次のように報じていました。

 

米商務省のサンダー博士は、崩壊のメカニズムの新事実を明らかにした。

タワーの中心部には47本の柱がある、その周囲を240本の柱が支えていた。

衝突のシミュレーション:150万個のパーツで出来たタワーのモデルに、75万個のパーツで出来た旅客機を突入させる。

外側にある59本の柱がナイフの刃のような働きをしてその間を通過した旅客機は粉々に砕け散りました

中心部分に柱が集中する構造であったため多くの柱がいっぺんに切断されることになった

まるで足の折れた椅子の様にかなり不安定な状態になります。

旅客機に積まれていた1万ガロンのジェット燃料の3分の2が内部で燃え上がった。

だがそれも5~6分で燃え尽き、その後は、オフィス内の物や建材が燃えていた。

この時の温度は摂氏1000度近くです。

炎はこのように建物の中を移動して行きました。

衝突の衝撃で耐火材が剥がれた鉄骨を炎は1時間に亘って熱し続けた。

床の鉄筋も柔らかくなり始める。

炎の熱で床が下に下がります。

これが炎です、柱が内側に引っ張られてゆきます。

1 熱で床が落ち

2 周りの柱が内部に引っ張られる

3 限界まで曲がった柱はついに折れてしまいます

巨大な思い塊が下に落ちてくる、こうなると下の部分はないも同然でした

 

 この報告の「床の鉄筋も柔らかくなり始める。炎の熱で床が下に下がります。・・・限界まで曲がった柱はついに折れてします」を、認めるとしましても、その結論の「巨大な思い塊が下に落ちてくる、こうなると下の部分はないも同然でした」は納得行きません。

 

 「外側にある59本の柱がナイフの刃のような働きをしてその間を通過した旅客機は粉々に砕け散りました」ということなのに、「中心部分に柱が集中する構造であったため多くの柱がいっぺんに切断されることになった」という事はどういうことなのでしょうか!?

「粉々に砕け散った飛行機の破片」が、「中心部分の柱」を切断したのでしょうか!?

旅客機は、エンジン以外は殆どアルミニウムでしょうから、そんな柔らかな金属の破片がビルの鉄骨の柱を切断するのでしょうか?!

 

それでも、シミュレーションをひとまず信用するとしましても、このシミュレーションに於いて、折れた柱は飛行機が衝突して直接破損された数階部分の柱だけではありませんか!?

 

なにしろ「衝突のシミュレーション:150万個のパーツで出来たタワーのモデルに、75万個のパーツで出来た旅客機を突入させる」と言われるとそのパーツの数量で圧倒されますが、タワーのモデルのパーツが150万個で、旅客機のパーツが75万個という事は、タワーのモデルは、タワー全部ではなく飛行機が衝突して直接破損された数階部分と見られます。

この150万個を大雑把に分解しますと、平面(床部分)を、1000×1000に分解して、数階分の高さを150に分解すると、150万個(=1000×1000×150)になります。

ですから、驚くほどの数ではありません。

 

 そして、このシミュレーションは「衝突では存された数階分に関して“限界まで曲がった柱はついに折れてしまいます”」だけであって、「巨大な思い塊が下に落ちてくる、こうなると下の部分はないも同然でした」はシミュレーションしていない筈です。

(いわば、あてずっぽうです。)

 

 「下の部分はないも同然」は、いかにも嘘です。

なにしろ、下層部の柱は傷ついていないのですから、
ビル崩壊後に(少なくとも)何本かの柱は、
その長さをある程度まで残していて当然と思います。

でも、全ての柱はその長さを保つことなく、ビルの残骸に埋もれていたようです。

 

 そして、放送で「下の部分はないも同然」と言わなくてはならなかったのは、崩壊時ビル周辺に飛び散った破片の落下速度にあわせるがごときスピードでビルは、下部へ向かって崩壊して行ったのですから!

 

 シミュレーションを行うのでしたら、この件についてもシミュレーションすべきです。

それに、最初に崩壊したビルの先端部は、崩壊途中で若干斜めに傾きましたから、通常ならそのまま横に傾いてゆき、ビルの外側に転げ落ちて、それより下層部を押しつぶす事は無かったはずでは?

 

 中途半端なシミュレーションで、筑紫氏は、部下の成澤氏の奮闘を無にする結論を導き出して心が痛まないのでしょうか?!

(でも、やっぱり筑紫氏も、「虎の尾(タブー)を踏む」ことを恐れたのでしょう!?

そして、部下の成澤氏に「虎の尾(タブー)を踏む」ことを押付けているのでしょうか?!)

 

 マッド・アマノ氏は、先のページの最後を次のように結んでいます。

 

わざわざニューヨークまで足を運んで取材したキャスターの
筑紫哲也さんにあえて伺いたい。
5年目の真実を解明出来たと自負しますか?」。

 

 私も同感です。

 

 それにしても、筑紫氏は何故このような骨抜き報道をしたのでしょうか?!

 

このような件に関して、先の拙文《北朝鮮と大きな力(2》で、フルフォード氏の記述を引用させて頂きました。

 

 日本でも大手新聞、通信社、民放テレビの記者やディレクターたちは、私に「911の疑惑を取り上げたいが、上の命令でできない」という。その上≠ニいうのは、日本政府の意向だというのだ

 アメリカ政府は私たちの指摘に正面から反論するのではなく、裏で大メディアにプレッシャーをかけて疑惑を封印しようとしている。

日本政府もアメリカ政府の意向に従って同じことをしているというのか?

 

 やはり、この世界には「大きな力」が存在していて、筑紫哲也氏もその「大きな力」に恐れおののいたと思わずに入られません。

 

 本当に怖い世の中なのですね〜〜〜!

 冷戦が終わり、平和に向かいつつあった世界を一転、戦争の世界に大変換させてしまった重大な契機である「9.11事件」の疑惑が徹底的に究明されない今の世の中には、この先にはどんな闇が待ち構えているのでしょう
か!

 本当に恐ろしい世の中に変ってゆくのですね〜〜〜〜〜!!


筑紫哲也氏と植草一秀氏と大きな力(2》へ続きます。

 

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