第6話

交流直流も同じ電気(電気は近接作用

 

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201661日 宇佐美 保

「電気の父:ファラデー」の偉大なる見解である“電気は、近接作用(近接効果)である”は、電気の本質を理解する上での最も大切な法則であると私は確信しております。 

M.ファラデーの偉大なる見解である“電気は、近接作用(近接効果)である”は、電気の本質を理解する上での最も大切な法則であると私は確信しております。 

 電気の件から少し距離を置いて、“近接作用”に関し、もっと簡単な例として、目を瞑ったままボクシングの真似事をしてみて下さい

 


目を瞑った状態では、相手のパンチは自分の体に触れるまでは分りません。

二人とも目を瞑ったままでは怪我するかもしれませんので、殴り役は目を開け、パンチをスローモーションで、ゆっくりゆっくり、じわじわと繰り出して貰います。

その時、そのパンチは、すぐ引っ込めるだけではなく、劇画のように、長い間相手の体に打ち込んでみたりもして下さい。

 

 そのパンチを受ける側(私達としましょう)は、当然どのようなパンチが来るかは私達の体にパンチが到達するまでは分りません

又、そのパンチがどの程度の時間、(劇画的に)私達の体に食い込んでくるかも、また、どのような周期で繰り出されてくるか等は到底判りません。

(当然そのパンチに対するそれ相応の前もっての対応は出来ず、パンチが来た時点で私達の体が反応するだけです)

 この状態は、相手が繰り出すパンチの速度が、光の速度と同じであったら、私達は、目を開けていても、瞑っていても同じ状況となります

(光速が最高速度ですから、そのパンチより先にパンチの状態を知ることが出来ません)

 

 従って、電気に対する、電気機器、電気測定器も、まるで、目を瞑って相手のパンチに対応する私達と同様です。

電気が来てから、対応するだけです。

その電気の到達時点では、(いわんやそれ以前に)その電気(電磁波)が、直流なのか交流なのか、又、その周期などは分る筈はありません。

 

 残念ながら“波の例としては、劇画的パンチでは、一寸、如何なものか”と思われるお方も居られるでしょうから、更には、海の波を例にとってみましょう。

 

私達は、海の波を見れば一瞬にして(勿論、海面から私達の目までの光の進行時間のズレは存在しますが)その波が小波なのか大波なのかを判断する事が出来ます。

しかし、私達が(ボートに乗って)目をつぶって海面に浮かんだ状態でいますと、波が来たら自分の体が上に上がって行きます。

でもいつまで上がり続けるのか、又、当然いつ下がるのかも分りません。

(若しかしたら、波ではなくて、海面が持ち上がった結果、いつまでも上に上がった状態でいるかも分りません津波かもしれません


 

 

そして、私達は一波が通り過ぎた後に、“ああ!今のは、ゆったりとした波だったなあ!”と思ったりして波の大きさも、又、波長をも認識するのです

 そして、この状態は、海の波の速度が、光速であれば、(先のパンチの場合同様に)目を開けていても、海の波が、私達の体に「近接作用」として作用してくるのです 

 ですから、電気の流れを計測器で計測しても、その計測器は「目をつぶって海面に浮かんだ私達同様」(更には、「図:2」の海の波の速度が光速の場合)と同じです。 

 何しろ、私達が日頃使用している電気は、50ヘルツ(以前は、ヘルツではなくサイクルという用語でした)の交流です。

この50ヘルツの交流というのは、「図:2」の波の周期が、50ヘルツ(1秒間に、山谷が50回)ということです。

そして、電気は、1秒間に30万キロメートルも進みますから、この1周期分の波の長さは、6千キロメートルもありますから、「図:2」のボートに乗って波に浮かんでいる私達は、今どんな電気が来ているのかは分かりません。

(直流が来ているのか、交流としても、その周期などわかる筈がありません) 

波に浮かんだボートでなく、計測器でも今どんな電気を計測しているか、又、電気機器も今どんな電気に対処しているのか、直流(「図:2」の津波状態)であるか?交流であるか?その周期は?そんな事は、瞬間・瞬間には分りません。

結果論として分るのです。

 

誰もがご存じのように太陽電池に光を当てると、直流の電気を得る事が出来ます

しかし、太陽の前を雲が次々と走って行くと、太陽電池の発電電圧は微小とはいえ変動するでしょう。

日の出から、日の入りまで太陽光の強さは一定とは言えないでしょう。

この状態では、直流といえども、「超超・・・超低周波の交流」とも考えられませんか?

そのたびごとに電気は流れ方を変えるでしょうか?

こんな事を考えつつ次の実験を行いました。

 

「図:3」のように、2枚の太陽電池(AB)を、その背面同士を貼り合わせた状態で、回転軸に取り付け暗箱中で回転させます。

更に、これら回転する2枚の太陽電池(AB)に、懐中電灯の光を暗箱に開けた一か所の穴を通して当て、太陽電池にあたる光の角度を、周期的に変化させます。

 

 

 

「図:3」は概略的ではありますが、太陽電池を回転することによって、太陽電池にあたる懐中電灯の光の量が周期的に変化する事はお分かり頂けると存じます。

この状態で太陽電池Aの出力電圧と太陽電池Bの出力電圧を、電圧測定機器(オシロスコープ)にて測定します。(但し、Bの出力端子は、Aプラス/マイナス端子とは逆接続)

それら太陽電池A、並び、太陽電池Bの単独出力を「測定結果:(1-1)ののグラフ」に、又、その太陽電池ABの各出力の合算出力((1-1)ののグラフの合算、即ち、太陽電池A&B(逆相出力)の各出力を足し算した形)を「測定結果:(1-2)」を示します。

 

の測定結果(「測定結果:1-1-2」)に見ますように、全くの直流電源(太陽電池)から、単純な機械的変換によって、実に綺麗な交流出力波形が得られます

 この結果からわかりますように、直流、交流には、電気的に本質的な相違は、全く無い事が明白となります。