第3話 |
電気は2本の電線をプラス・マイナスで同時進行
2016年5月17日 宇佐美 保
私達は小学校時代から“電気は、電源のプラスからマイナスへ電気が流れ、その逆に、電子が電源のマイナスからプラスへは流れる”と教わってきました。
この教えから「電子」はマイナスを運ぶとしても、「プラス」を運ぶと思われる「電気」とは何なのでしょうか?なんだか変ですよね?
そこで、次の「図:1」のような実験を行いますが、今回の実験は、簡単と申しましても、電気に関する多大な業績を残された「電気の父」とも敬われるM.ファラデーが活躍された今から200年ほど前では、全く実験不可能な実験なのです。
なにしろ、1秒間で地球(直径が4万キロメートル)を7周り半する電気が、1メートルの電線を伝わって行く時間を測定するのですから!
その為には、電気の動き(電流の流れ具合)を、1ナノ秒という短い時間で測定しなくてはならないのです。
(この1ナノ秒間は、最近では「ナノの世界」でお馴染みの10-9という10マイナス9乗、即ち、小数点以下9桁目が1となる、0.000000001秒間のことです)
この1ナノ秒という短い時間では、流石の電気も、なんとなんと30センチメートル程度しか動けないのです。(但し、電線を取り巻く材質で、この速度は変化します)
ですから下図(図:1)のように、電源に2㍍の電線を接続し、その中間点(電源から、1㍍の等距離)の信号線(赤色の線)/グランド線(黒色の線)、更には、末端部に、各々50Ωの抵抗を設置した状態で、その電源から1ボルトの直流を5ナノ秒間出力して、その電源の出口部電圧と、各50Ω抵抗の両端電圧をテスターの1種である差動プローブの測定端子(図では、プラス側の端子:→、マイナス側の端子:→)を接触し、その個所での電圧変化を測定し図示します。
ここに示された「電圧変化」は、次のように箇条書きできます。
1 | 電源の出力部で、0ナノ秒から5ナノ秒間プラス電圧が観測されます。 |
2 | その約5ナノ秒後に、1メートル先の信号線とグランド線にセットされた抵抗間で同時に電圧変化が5ナノ秒間発生します。 信号線側では「プラス電圧」、グランド線側では「マイナス電圧」 この変化部分をそれぞれ☺印/☺印で表示しており、前者はプラス、後者はマイナスであり上下が転倒しております。 |
3 |
その後さらに約5ナノ秒後(当初から約10ナノ秒後)に末端の抵抗部で、 同じく5ナノ秒間の電圧変化を観測しています。 |
この観測結果(特に(2)の結果)から、今回の表題(電気は2本の電線をプラス・マイナスで同時進行)通りに、電気は信号線とグランド線の2本の電線を「プラス電流」/「マイナス電流」として、同時に進行して行くことが分かります。
今から200年ほど前のM.ファラデーの時代(現在の電気理論の確立の基礎となった)では全く不可能であっても、現在の測定機器を用いれば、こんなにも簡単に判明する事実を、誰も確認せずに、今以って“電気は、電源のプラスからマイナスへ電気が流れ、……”などと、「原発安全神話」の如く、教え信じているのでしょうか?
それは、「マクスウェルの方程式」などで数式的にあまりにも見事に確立された電気理論を誰もが疑わなかったからでしょう。
それに加えて、「図:1」の電線末端部の抵抗部の電圧測定を「電圧測定器」で行うと、電源も、電圧測定器もグランド線側は、一般的に(洗濯機同様、又、先の「地球はゼロボルトの嘘:地球はアース棒間の結合線」に見ますように)アース処理されておりますから、次の「図:2」となります。
従って、「プラス電流」は、信号線を流れても、「マイナス電流」は「抵抗の少ない」「実験室共通アース線」を流れてしまうので、“「グランド線」には電流は流れない”、更には、“グランド線はゼロボルト”との神話が語り継がれているのです。
(この件の詳細(例えば、高周波信号を電源から送り出せば、グランド線にも電流が流れるが、この「共通アース線」がコイルとしての役割を果たしてしまい……)は、次に出版予定の『第7巻 アースへの誤解が誤った電気理論の根源』をご参照下さい)