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ファラデーの法則を生んでしまった

ファラデーのコイル発電実験

201667日 宇佐美 保

ファラデーご自身の著作『ファラデー 電気実験(上) M.Faraday 著 監修者:田中豊助 (株)内田老鶴圃』に於いて、次の記述を目にします。

「図4」のコイル内に磁石を通過させると、そのコイルに電流が流れ、途中で電流は止まり、最後には最初とは逆向きの電流が流れる。   


そこで、このファラデーの実験同様の実験を次のようにして行いました。

「写真:1」のように、塩ビパイプ(外径:15φ、内径:10.5φ)に、エナメル線(1.6φ)を、最下部(オシロスコープの信号側端子へ接続)から上へ向けて時計回りに50回巻き付け、電圧測定器(オシロスコープ)へ接続したコイル(高さ:14cm)を形成します。

(コイルの下部は、オシロスコープの信号端子へ、上部は、オシロスコープのグランド側の端子へ接続しています)

 

 

このコイル内部の塩ビパイプ内を、ネオジウム磁石(10φ、長さ:30mm)を(N極を下側にして)パイプ外のクッションへと落下させます。

 

尚、この際、磁石1個の場合以外に、24個連結させても落下させて、その際にコイルに発生する電流をオシロスコープで観測し、次の「測定結果:1」を得ました。

 

  

この結果は、ファラデーの実験の通りに、初めに発電現象が観測され、途中で中断して、その後、磁石が、コイルから出て行くに従って、先と逆相の電流が観測され、それも磁石が長いほど長い時間観測されています。

 

このようなファラデーの実験結果を見れば、磁石がコイルに入って行くことで、コイル内の磁界強度が増大し、コイル内に磁石全体が入ってしまうと、磁界強度が一定となり、発電現象は中断し、最後に、磁石がコイルから出て行くとコイル内の磁界強度は減少して行くと解釈され、この状態を数式化して、いわゆる「ファラデーの電磁誘導の方程式」が設立されてしまったのでしょう。

 

『電磁気学の考え方 砂川重信:著 岩波書店:発行』には“実はファラデーは数学が不得意だったので,法則をこのような形式で表現したのはノイマンという人である.”と書かれております。

 

 若し、ファラデーが数学を得意としていたら、この方程式を打ち立てたでしょうか?

何しろ、先に挙げたファラデーの著作では、“銅円板を磁石の前で回転する際に発生する電流を、銅円板は、1本の針金の集合体(例えれば、自転車のスポークが何本も何本も重なり合って存在すれば、自転車の車輪全体が、金属板となるような状態)と考え、銅円板に発生する電流は、1本の針金に発生する電流と同じである。”との見解を記述されておられるのですから!

 

この発電現象の中断期間に関しては、磁石が、1個よりも、2個、3個、そして4個と、磁石全長が長いほど短い時間となっていることから分かります。

 

しかし、「測定結果:1-1」のように、観測上では電流は止まりますが、発電現象が止まったのではなく、落下して行く磁石の下方に影響でコイルに発生するマイナス電流と、磁石上方の影響で発生するプラス電流が相殺して、観測上では電流がゼロとして観測されるのであって、「測定結果:1-4」のようにコイル長に対して、磁石長が長くなると(磁石4個の場合は磁石の全長は12cm(=3cm×4)で、コイルの長さは14cm)この相殺期間が減少します。

 

唐突ではありますが、この件の概念的説明図として、次の「図:13」を掲げます。

(尚、作図の都合で、磁石が、コイルや塩ビの円筒内部に入っていず、外部に図示されている点はお許しください)

 

 

(このような発電に関する概念は、『第1巻 新たな電流理論』の「第8章 導体が堤防として働く実証」をご参照下さい)

 

 従って、「ファラデーの電磁誘導の法則」に準拠して、コイル状態であるが為に発電現象が発生しているのではなく、先のファラデーの円板に対する考察通りに、コイルも又、1本の針金の集合体として発電に寄与しているのです。

(この件は次に続けます)