新『コロンブスの電磁気学』(第7巻)
「アースに対する誤解」へのご案内
2016年7月23日 宇佐美 保
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まえがき
『コロンブスの電磁気学』は増補改訂を繰り返し5版出版し、又、先の『第6巻 交流理論は砂上の楼閣』まで出版してきました新『コロンブスの電磁気学』シリーズ等をご高覧下さった方々の一番のご反応は、本シリーズで申しますと、『第1巻 新たな電流理論』の『第1章 電気は2本の電線をプラス・マイナスで同時進行』の表題通りの現象に対して、“こんな事は今まで知らなかった”です。
(それ以降の章、又、シリーズ各巻までもご高覧下されば、もっと驚いていただけるのに!と思っております)
しかし、このご反応の背景には、その方々が、電気の知識を習得なさった時代には、現在の差動プローブ(もっと優れたプローブが存在するのかもしれませんし、そうであって欲しいのですが、私が日頃使用させて頂いているプローブが差動プローブなのです)が存在せず、専ら、抵抗プローブをご使用されておられたのだと存じます。
なにしろ、私の学生時代、物理の教科実習に於ける、電気に関する実験では、抵抗間等の電圧測定は、「抵抗プローブ」を専ら用いており、その他のプローブの存在を全く知りませんでした。
そして、表紙の裏面に掲げました「差動プローブ、抵抗プローブ、更には、オシロスコープによる測定結果の比較」を、一目ご覧いただけましたら、多くの方々が、“電気は2本の電線をプラス・マイナスで同時進行するとは、今まで知らなかった”と思われるのは当然のことなのでしょう。
(注:このホームページでは、次に掲げます)
従いまして、本著は、本来ならば、本シリーズの『第1巻』として、ご紹介させ得て頂くべきだったとは存じますが、
他にも、別の要素が盛り込まれており、それらを実験考察するにあたっては、コイル等に関しても、従来理論を崩し新たな理論構築が必要であった為、本巻の出版が、後回しになった理由でもあります。
と申しますのは、「“電気は2本の電線をプラス・マイナスで同時進行する”結果、それらの内一方の線長が長いと、その長い方の線は「コイル(擬似的コイル)」として動作する」を是非ともご理解いただいた上で、本巻をご高覧頂きたいのです。
本著により現在の電気理論が『電気は2本の電線をプラス・マイナスで同時進行』を無視して構築された理論であり砂上の楼閣であることが明らかとなります。
(尚、本文中では“新『コロンブスの電磁気学 第○巻 ○○○○』”を“別冊『第○巻 ○○○○』”と略記させて頂いております)
それでは、先の「まえがき」に(注)として「このホームページでは、次に掲げます」として記述した部分他をご高覧下さい。
グランドはゼロボルトとの誤解
先ずは、次の「図:1」或いは「図:2&3」のように、信号線と共にグランド線に(「図:1&3」では末端にも)抵抗体(50Ω)をセット(「図:2」の場合は、オシロスコープに直結)し、電源から矩形波信号(1V/0V)を供給し、各抵抗間の電圧変化を、差動プローブで(「図:1」では、差動プローブに、加えて抵抗プローブでも)測定しました。
この測定結果をご覧くださった方々は、“差動プローブの測定がおかしい!”と思われるかもしれませんが、次の異なる測定結果の原因に関しては、本文をご高覧下さい。
更には、次の実験結果もご覧ください。
フェライトボビンにエナメル線を27巻したコイルを信号線に、コンデンサ(1cm幅 2㍍長の2枚の銅箔を両面粘着テープで張り合わせ)をグランド線へと接続して、各種周波数のサイン波(1V)を流し、各々の場合の出力波形を次の「図:3~5」の状態で測定した結果(各 500mV/目盛 5μ秒/目盛)を以下に掲げます。
尚、「図:3」は、出力の末端を50Ω抵抗で整合終端しプローブ(差動プローブによる測定と、抵抗プローブでの測定)で出力波形を測定した場合で、「図:4」は出力ケーブルを直接オシロスコープへ直結して測定した場合、更には、「図:5」は、「差動プローブのマイナス端子部に、長さ1㍍の銅線の一端を接続し、その他端をオシロスコープのグランド端子へ導いた」場合です。
この結果の内「「図:3」の状態 抵抗体で整合終端し差動プローブ で測定」以外の結果のみを見たらば、“グランド線は常時ゼロボルトであるのに、そのグランド線に、素子(今回はコンデンサ)をセットしてもその影響力は皆無であって当然!”と思われましょうが、「「図:3」の状態 抵抗体で整合終端し差動プローブ で測定」の場合は、はっきりと、「グランド線にセットしたコンデンサの影響力が示されている」のです。
何故、このような結果になるか(グランド線は、常時ゼロボルトは誤解である!)の解明のヒントは、「「図:5」の状態アース線を伴う差動プローブによる測定」であることは明らかです。
更に、本文のあとがきを転記いたします。
今以って、次のような「グランド線が0ボルト」であるとの認識に基づく解説を目にしなくてはならないのです。
シングルエンド伝送方式 信号線とグランド線の2線で接続して、グランド(0ボルト)からの電位差で伝送する方式。 差動伝送方式 2本の信号線と、1本のグランド線(0ボルト)の合計3本線で、互いに逆相の電流を2本の信号線へ流し、信号線間の電位差で伝送する方式。 |
しかし、本著をご高覧頂いた皆様方は、今まで、グランド、並びに、アースに対しての曖昧模糊とした概念が明確化されたと存じます。
又、拙著に於いて、常々「グランド線が0ボルトは誤解である」と記述してきましたが、ご納得頂けたと存じます。
更には、本著「まえがき」に記述しましたように、一連の拙著をご覧になられて“電気は2本の電線をプラス・マイナスで同時進行するなんて今まで知らなかった”
と(半信半疑で?)驚かれた方々も、何故、この事実に今まで気が付けなかったかの背景(グランド線が0ボルトとの誤解)をご確認頂いた現在、十分にご納得頂けたと存じます。
そして、伝送路(伝送線路)を形成する、2本の線(1組の導体)を信号線、グランド線(あるいはグランド面)との呼称することは、大いなる誤解を生むこととなりますので、それらの名称を別途考える必要があります。
例えば、M線、W線といった具合に。
なにしろ、従来の信号線、グランド線(即ち、新たな呼称では、M線、W線)の各1本による伝送こそは、本来は、差動伝送であって然るべきなのです。
従って、根本的な性格をはっきりと認識した上でのグランド線(W線)の新たな活用方法を開発されて行くことを期待してやみません。
勿論、「グランド線が0ボルトであるとの認識に基づく従来の電気理論」は、当然破棄されなくてはならないでしょう。
(詳細は、本文「新『コロンブスの電磁気学』 第7巻 アースに対する誤解」をご参照下さい)