目次へ戻る

 

喫煙禁煙実体験者のメールから

2004年9月6日

宇佐美 保

 禁煙実行者の方が、拙文『偉人達の喫煙と破れ窓理論』をお読み下さって、ご自身の喫煙並び禁煙体験をメールして下さいました。

 そこで、禁煙成功の秘訣、又、その秘訣を如何に入手されたのか等を、質問させて頂いたところ、改めて長文のメールを送って下さいました。

そして、感動しました。

 私には、喫煙体験が皆無ですから、拙文『偉人達の喫煙と破れ窓理論』を補う意味でも、是非このメールを私のホームページに転載させて頂きたいとお願いしました。

そして、ご承諾頂けましたので、私が戴いたそのメールを、大いなる感謝の念を抱きつつ、次に(原文のママ)掲げさせて頂きます。

(尚、赤字、青字処理は私が施させて頂きました。)

 

 

小学校1〜2年までは父親が吸っていました。

父親が、うっかりタバコを落とし、木製の食卓テーブルにタバコのこげ跡をつけていたのを覚えています。

やがて、父親はタバコを吸わなくなりました。

父親は、仕事の関係でよくヨーロッパやアメリカに行っており、『あちらのインテリ?はタバコなど吸わない』といった事を家族にも話していたような・・・そんな意識もあってやめたのでしょうか、真意の程は聞いていませんが。

それ以来、私の周りにはタバコを吸う人間はひとりもおらず、子供心に、タバコを吸うことは『良くないこと』というイメージが定着していました。

 

私は、高校卒業までずっとスポーツをしていましたし、高校生になって周りで吸いはじめる人がちらほら出てきても、タバコにはまったく興味が無かった。

喫煙の害について、学校でビデオを見せられたような気もしますが、なにせ自分とはまったく無関係と思っていたので内容など覚えていません。

 

そして、美術大学に進学

とても馬鹿馬鹿しいのですが、『芸術家とは、何か退廃的ムード=普通の人とは違う、特別な存在!』いったいどこから仕入れたのでしょうね、

当時の私は、そんなへんてこなイメージを描いていたようです。

そして、『らしく』ならなきゃ!との気負いもありました

そんな隙だらけの私は、友達から『吸ってみる?』と誘われるままに一本吸ってみたわけです。

おいしいわけはないのだけれど、このまずさに慣れる事が大人なのだと、確かにそのとき思いました

 

そして、その時はまさか、

『自分がやめたい!と思っても、止められないという恐ろしい事態に陥る!=依存性

については、まったく考えなかったのです。

タバコに依存性があって、止める事が困難であるなんて・・・父親がやめた時は、そんな話聞いた事もないし、高校時代に学校で見せられたタバコの害についてのビデオではそんな話も含まれていたのかも・・・
しかし、当時タバコに興味が無く、ビデオもいい加減に見ていたせいか覚えていませんでした。

 

そして、なにより『タバコは法で認められており、世の中にこれだけあたりまえのようにタバコが売られている。
自動販売機も、あちこちにあって、たくさんの人が吸っている。
さわやかなCMも放映されている。
だから、そんな悪いものではないはず!』・・・無意識に、そういう認識をしていたと思います
実際、簡単に手に入ります。

ですから、若気の至りで、とても簡単に吸いはじめられてしまうのです。

 

だって、若気の至りで『ちょっと悪ぶれたいから、覚醒剤やってみたい!』なんて思う人はどれくらいいるのでしょうか?

まず、覚醒剤は簡単に手には入りませんし、覚醒剤のイメージ・・・非合法で、関わる事は犯罪である!
依存性があって、自分という人間の人格が崩壊してしまう!
それはおそろしい薬物で、闇の世界で密売されており・・・云々!

それとくらべて、タバコにはそれほど危険なイメージはありません

むしろ逆に、広告やCM(今は放映されていないですが)などみていると、またドラマや映画などみていると、むしろ『かっこいい!』だとか『自由』なイメージの方が目立っているようです。

 

そして、大人になろうと、一生懸命まずいタバコをがまんして吸って、慣れた頃、当の本人が自覚もないまま、中毒患者(JTのお得意さま)の一丁上がりです。

びっくりしたのは、数カ月後、学内でライブをやるので、ボーカルの私は、声の為にライブの前の数日間だけ吸うのをやめよう!と思った時に、なんと1時間ももたないのです

たった2〜3日やめるだけ・・・と思うのですが、前のタバコから1時間も経てば、もう我慢出来なくなって吸ってしまう。

 

とても変な気分でした。『どうして1日、いや半日たりともやめていられないのだろう』でも、私はこう思う事にしたのです。『それほど私はタバコが大好きなんだ!』と。

大好きなのだから、無理矢理やめることないわ』と。

そして、『タバコを吸っている歌手だってたくさんいるのだから!』とも思いました。

 

それ以来、10年近く・・・

『今日はひどい風邪をひいて、高熱で、のどが痛いから、今日こそは一日吸わずにいよう』と思っても、吸ってしまう!

夜中にタバコが切れたら、遠い自動販売機まで買いに行く。

半日でもいいからやめてみよう!そう思うとより一層たくさん吸ってしまう、人と接するとき、特に初対面の人と会う時など、タバコなしでは不安でいられない・・・

こういう経験がなんどもなんども降り積もって、自分はタバコなしには生きられないんだと思い込んで行きました

そして、健康を害するなどタバコのデメリットなどは百も承知で、それでもかまわない!好きなタバコを吸って早死にできるなら本望!と思い込んでいました

 

そして、妊婦時代は、とてもラッキーな事にとてもつわりがひどく、妊娠したとたんたばこが大嫌いでたまらなくなり(なれ?)ました。これには本当に助かりました。

世の中には、妊娠中なのに、やめたいのに、やめられなくて自己嫌悪に陥らねばならないという、本当に可哀想な女性がいるのです。

私もつわりがなければやめられなかったはずです。

 

しかし、私は出産と同時に、喫煙を再開するのです。乳飲み子がいる生活なのに!どうして再開したのかといえば、自発的にやめたくてやめたのではない!(妊娠していたから吸えなかっただけだ)という意識があり、出産して母親になったからといって、わたしは変わりたくない(=自由でいたい?)といった気持ちからだと思います。

そう、タバコ=自由というイメージです。これは、喫煙者の大半がこれを思っているではないでしょうか。
いったいどこから仕入れてくるんでしょうね、この厄介な『イメージ』とやらは!

 

出産後、それまでなかった喘息までもが出るようになってしまいました。(タバコだけが原因かはわかりませんが)そして恐ろしいことに喘息の発作が出て、苦しくてたまらないのに、吸ってしまうのです!!
さすがに恐ろしくなってきました

自分なのに、まるで自分ではない何ものかにコントロールされているような気がしました。
そして、やめたくてたまらなくなってきましたが、やめられない!

 

そんな生活の中で、自分の『歌』について大きな挫折がありました。

自分は歌がうまいと思っておりました。

でも、実は、まったくなっていなかったということがわかったのです。

私は人様の前で歌う資格がない人間。

どん底に堕ちた気持ちで、でも一から出直そうと思い、ヴォイストレーニングの塾に通いはじめ、体を鍛える必要性を感じ、高校時代からゆうに10年近く遠ざかっていた運動を再開することになりました。

当然ながら、息がとても苦しく、運動や発声練習どころではないのです。

私は、歌う資格どころか、歌を学ぶスタートラインにすら立てていなかったのです!

 

まず、タバコをやめて健康(普通の体)にならないとスタートラインにすら立てない!

でも、タバコをやめたくてもやめられない!焦っていた頃ヘビースモーカーの友が、インターネットの禁煙マラソンというのに参加して、はじめて2日吸わずにいられている!と教えてくれました

当時、私はネットを利用しておらず、そんな世界を知らなかったのですが、なにせその友人はかなりのヘビースモーカーでしたし、そんな彼女が2日もやめられているのなら!と勇気をもらって、そしてその情報を得た日、たまたまひどい頭痛だったのでさっそく決心してはじめたのです。

そして生まれて初めて一日禁煙できたのです!吸わない方にはわからない世界だと思いますが、一日止めることが本当に難しかったので、それはそれは嬉しかった!

ただ、その時の私は、おばあさんになって、もう死ぬ間際となったらもう一度タバコを吸いたい!と・・・

そんなことを考えていました。

 

そして2日、3日と記録を伸ばしていくわけですが、私は当時、禁煙にともなう禁断症状についての知識はゼロでした

タバコをやめたら、とたんに健康に快適になると思い込んでいました

それが、すごく痰がでてせきがひどくなったり、頭痛がしたり、なにか物忘れがひどくなったような気がしたり、集中できなかったり・・・

必死に努力してタバコをやめているのもかかわらず、体調がすごく悪くなり不安でした

そして、タバコをやめたメリットをすぐに感じられない中で、たばこが欲しくなる欲求をなんとか押さえ込む、かなり精神的につらい日々でした

 

3ヶ月くらいなんとか粘ったのに、ある日パートナーとの大喧嘩がきっかけで『もうどうにでもなれ!』と自暴自棄になって吸ってしまいました

そして、ニコチンの恐いところなのですが、3ヶ月もがまんできたのに、一本吸ってしまうと、またもう一本、もう一本と・・・一瞬で元の木阿弥なのです

そして、再び禁煙しようとしても、また出来なくなっているのです。

それからまた二年間、一日たりともタバコをやめられないまま、諦めて喫煙者として暮らしました。

たばこを吸っては自己嫌悪、吸わなかったら、たばこが欲しくてたまらなくなる・・・

八方ふさがりで精神的にかなりの辛さでした。

 

喫煙しながら体を鍛えていました。

体を動かし、自分の体に意識を持つと、自分の体を大事に思う気持ちが芽生えるようでした

すると、自分の体に汚い毒の煙りを入れるのが、どうしても堪えられなくなってきて、再びチャレンジしました

ネットで喫煙や禁煙についての情報を調べたり、禁煙にチャレンジしている方々の書き込みを見て、一人ではないと励まされたり・・・

そうして知識を得る事で、助かりました。

そして一日やめられた!二日目に挫折、今回は三日止められた!そして挫折・・・

何度も何度も挫折を繰り返しながらも、ほんの少しづつ禁煙できる日数が伸びて行くものの、何度も失敗をくり返す。

これが3ヶ月ほど続きました。

簡単な日記を付けていたので、『今度こそは一生死ぬまで吸わない!』と誓いを立てては挫折する、の繰り返しが記録として残るので、本当にみじめで情けない気分でした

一生喫煙者として暮らす!と諦めてしまえば、こんな情けない思いしなくてもいいのに・・・何度もそう思いました

 

けれども、喫煙者として表向きは開き直ったとしても、心の奥底ではずっと自己嫌悪の暗い影を引きずらねばならないという事は経験済みでした

せっかく生きるのに、馬鹿馬鹿しい!

では、なんとしてでもやめるしか道はない!

そうした決意がだんだんはっきりと強くなっていったのです。

もう、声の為だとか健康の為だとかいうのではなく、『こうして生を受けてこの世に生まれたからには、やらねば!』といった、気持ちでした。

だって、自分の心とからだを薬物に乗っ取られながら生きるなんて、生きると言えないじゃないですか!

 

喫煙についての理解も進み、心は100パーセント禁煙成功(死ぬまで一本たりとも吸わないという事)を望んでいるのに、どうしてまた吸ってしまうのか?・・・

それは、「ニコチン大魔王」がなかなか手強い敵であるからです。

(初めて一本吸ったその日から、体を巣くっているニコチンの事を、禁煙者のあいだではしばしば「ニコチン大魔王」と呼んでいます。)

ニコチン大魔王は自分の存続を懸けて、あの手この手でタバコを吸わせようとしかけてきます

 
心から禁煙を望んで頑張っている者の耳もとで

こんなに頑張ったのだから、一本くらいいいじゃないか!
『もう2ヶ月やめられている、だから一本くらい吸ったって大丈夫。またすぐやめられるって!』
『本当にタバコが嫌いになったかどうか、ためしに一本吸ってみたら?』などなど・・・

 

それはそれはしつこく!騒ぎます。

こういう現象を、禁煙者の間では『一本だけおばけ』が出る!と言います。
そのしつこさたるや!


そうして「一本だけおばけ」の誘惑に負けては、何度も禁煙を失敗するのですが(先述のとおり、一本吸えば元の木阿弥なのです)、だんだん打たれ強くなって、誓いを立てて、挫折したら、新たに誓いを立てて今度こそは!と挑む、これをくり返して行きました。

そして少しづつ禁煙日数が伸びて、ついには・・・もうその時から吸っていません

 

ネットや本から得た情報で役にたったのは、次の情報です。

 

1.タバコが吸いたい!という欲求はニコチンの叫び

タバコが吸いたい!という欲求は、自分自身の欲求ではなく、うっかり一本吸いはじめてしまってから自分の体内に住みつきのさばっている「ニコチン大魔王」の叫びであるという事。

ニコチンが体内で生き延びるためには、体内のニコチンの量が減れば補充せねばならないそうです
ニコチンが補充されなければ、体内のニコチン大魔王は死に絶えます。

ですから、30分〜1時間もすれば「ニコチン大魔王」が存続を架けて叫ぶわけです、ニコチンが欲しい〜!

そしてあたかも自分自身がそう思っているかのように錯角してしまうのです。

自分が好きで吸っていたのではなく、ニコチン大魔王にそう思い込まされて吸わされていたのです

 

先述の、学生時代の話で、歌を歌うためにタバコを中断したいのに、半日たりともタバコをやめていられないことに気付いた時に、「それほど私はタバコが大好きなんだ!」「大好きなのだから、無理矢理やめることないわ」「タバコを吸っている歌手だってたくさんいるのだから!」と考えたのは、「ニコチン大魔王」の洗脳でそう思わされていたわけです。

このからくりがわかっていないと、禁煙はまず無理であったと思います

実際、初めて禁煙に成功し3ヶ月で挫折した時、先述のとおり、私は禁煙に成功している期間中でも“おばあさんになって、もう死ぬ間際となったらもう一度タバコを吸いたい!”と感じていました。

しかし、その願望が自分自身のではなく、「ニコチン大魔王の未練」であることを理解していませんでした。



2.  喫煙者のいうストレスは
その体内に住みついているニコチンによって引き起こされるストレスであって、
吸わない人には起こり得ない特有のものである

そして、喫煙する理由としてよくあげられる、『ストレス解消』について。これはブームにもなっていた、イギリスのアレン・カー氏の著作禁煙セラピーに書かれてあり、とても的を得ていると感じた表現なのですが、喫煙者のいうストレスは、その体内に住みついているニコチンによって引き起こされるストレスであって、吸わない人には起こり得ない特有のものである、ということ。

喫煙者が『一服すると心が休まる』と言っているのは、まるで鳴り続けてやまない耳障りなブザー音(ニコチン大魔王の叫び、ニコチンへの渇望)をニコチン摂取するとブザー音が消えるのでほっとするのだ!と言うようなもの。

吸わない人には最初からブザー音など聞こえないのです。

ですから、ブザー音を消すための喫煙も必要無い。

また、喫煙者はわざとサイズの小さいくつを穿いて自分の足を痛めつけておいて、それをぬいだときにとてもほっとしてストレス解消になるのだ〜!と言っているようなもの、ともありました。

とてもわかりやすい表現だと思います。



3.  ニコチンを渇望する大魔王が大騒ぎする実際の時間は、1分にも満たない!

あと、もう一点私の禁煙に有効だった知識は、そのニコチンを渇望するニコチン大魔王が大騒ぎする実際の時間は、1分にも満たない!ということ。

45秒か?たったそれくらいの時間、強烈に吸いたくなる。その時間をなんとかやりすごすと、大魔王は一旦騒ぐのをやめます。

よって、強烈に吸いたくなる欲求がおさまる、この、45秒間のニコチン大魔王の大騒ぎは、一日のうちに何度も何度もやってきます。

禁煙しはじめは特に!しかし、その45秒さえどんな手段を使ってでもしのげば、45秒後には楽になるのです

それを知らぬまま禁煙していると、あたかも24時間、ひっきりなしに強烈に吸いたい欲求と戦いつづけねばならない!と感じます。

そうではないのだ!たった45秒をなんとかしのぐ!すると、楽になる。そしてまた強烈に吸いたくなったら45秒!たったの45秒!しのぐ・・・これを根気よくつづけていれば、45秒と45秒の間は確実に開いて行きます。時間はかかりますが、でも確実に。そして、強烈に吸いたくなる感覚も弱くなって行きます

これもほんの少しづつ、でも確実に。45秒も短くなっていく、少しづつ、でも確実に!

こうして、体内の憎きニコチン大魔王は、餌を得られすにどんどん弱っていき、最後には滅んでしまうのです。

 

結果、タバコが全く欲しく無くなります。

いや、タバコに近付くことが恐ろしく、タバコが大嫌いになれます。

ですから、禁煙が苦痛なことではなく、とても快適になります。

 

 

 ただし、喫煙についての理解ができ、
「自分の人生を懸けてもやめるべきだ!」との信念があることが前提です


 信念というと大層に聞こえますが、タバコやニコチンが、どれだけ自分にとって不必要かつ、心身共に害になるかについての情報を得たり、自分の素直な気持ち(生き物として当たり前の、快適に生きたいという気持ち)を認める事で、その信念は自然に固まっていくものだと思います。

私が初めて禁煙に成功した時には、禁煙したいという願望を持ちつつも、ニコチンについての知識が浅く、よって、『なんとしてでも、憎きニコチンと縁を切りたい!』という信念が、まだまだ弱かったのです。
そして、人間関係の摩擦でイライラがつのった時、こちらがすきあらば罠を仕掛けてくるニコチン大魔王に、まんまとやられてしまい、再びタバコを吸うはめになったのです。


この「自分の人生を架けてもやめるべきだ!」という信念が無い(あるいは弱い)場合
いくら禁煙が出来ていたとしても心のどこかにずっと未練を残すこととなり
なにかの拍子に爆発して再喫煙してしまいます


執念深いニコチン大魔王は、禁煙者に再びタバコを吸わせるために、わざわざそうした状況(やけになって、タバコを吸ってやる!と思ってもいいと思えるような状況)を無意識につくり出させたりするくらいなのです!

 

ですから、

 禁煙のこつは、
第一に、自分の素直な気持ち(生き物として当たり前の、健康に快適に生きたいという気持ち)を認める事

第二に、タバコやニコチンについて、依存性について理解すること。
第三に、自分が
ニコチン中毒であることを認めること。

 

ただ、上記の3点について、「そんなこと、どうだっていいよ。それより自分の人生にはタバコが必要なんだ!」と思わせるのがニコチン大魔王です。ニコチン大魔王の大声にかき消されそうになりながらも、かすかに聞こえてくる「タバコを吸うと息が苦しいよ!体がだるいよ!本当は吸いたくないのに吸っている自分なんて嫌だよ!」という自分の本当の心の声を聞き取ってあげられるのは、自分しかいないのです!それを無視して生きるなんて、あまりに悲しいことではないでしょうか。

これが一番大事なことだと思います。

 

45秒を凌ぐ方法は、ひとそれぞれ、なんでもいいでしょう。
いろいろ情報を得てあれこれためしつつ、自分独自の方法を模索するのがよいと思います。
一般的に言われている方法が自分にあてはまらないこともありますから。

私は、一般的によくいわれるガムや歯ブラシをくわえてまぎらわす、というのでは駄目でした。
また、ニコチンガムやニコチンパッチも少し使ってみたことはありましたが、私の性格上合わないと思い、続けて使いませんでした。

 私には、家から出て自転車に乗ったり、体を動かす方法がよかったです。スポーツクラブに行ったり、サウナに行ったりして、自分の中から毒素を出すのだというイメージを持ちながら禁煙すると、やりやすかったです。

 あと、水筒に熱いお茶を持ち歩き、ふと、吸いたくなったら熱いお茶を飲むと気が紛れました。

更には、気管支系の疾患によいというユーカリのオイルをつけたマスクを一日つけっぱなしにしておく、などの方法もよかったです。

 周りで禁煙に成功した友人の方法としては、先述の「インターネット禁煙マラソン」というのに参加して初めて禁煙できたという人がいます。

ただ、彼女もその後挫折します。

そして私のように行きつ戻りつしながら、最後ニコチンパッチで成功しました。

その他、禁煙とダイエットを同時に行うという荒行で、成功した友人もいます。

禁煙と断食を同時に行うと、禁煙の苦しさより断食の苦しさが勝ち、まぎれたそうです!

(私は断食は未経験ですが、やり方によっては大変危険と聞いておりますので、勝手な判断でされぬよう御注意ください)

 

「禁煙は、一発で成功するほうがよく、なんども失敗する癖が付くとどんどんやめにくくなる!」と私は聞いたことがありました。

ですから、なんども失敗した私は、とても不安になりました。

このままでは本当にやめられなくなるのかしら!?

しかし、仕方がないのでめげずにやっていると、禁煙に失敗してから、短い期間(一週間くらい)で再度禁煙に復帰できるようになってきたのです

そしてまた失敗します。でもまたスムーズに禁煙に復帰できる・・・禁煙失敗から再び禁煙するまでにかかる期間は、一週間が5日間となり、3日間、2日間と、多少行きつ戻りつしながらも、確実に短くなっていき、禁煙できる期間は逆に長くなっていきました。しかし、この禁煙と失敗をくり返す期間が1ヶ月、2ヶ月・・・と続くので、「禁煙が上手になってきた!」という感覚があるものの、失敗するたびに強烈な自己嫌悪に襲われ、いつまでこれが続くのだろうと大変不安でした。

 そして、失敗するたびに、日記や本を読み直したりして「人生を懸けてもやめるべき」という信念を何度も自分に問いただしました。

そして、

私は何度失敗しても、『とにかくあきらめない』ということだけに集中しました


 すると、最後にはきっぱりニコチンと縁を切る事ができたのですから。

こういうやりかたもあり、というわけです。

知り合いには、本当にすぱっとやめてしまう人がいて、とてもうらやましい!のですが、やはり人それぞれです。

とにかく最後にやめられたらそれでいいのですから。

 

ですから、

禁煙のこつの第四に、「決してあきらめないこと」を加えたいと思います。

 

禁煙(断煙)後、黙々とタバコのない生活を続けていくうちに、タバコの事を考える時間はどんどん減って行き、知らぬ間にバラ色の生活になっていたという感じです

バラ色の生活というのは、特に生活が大きく変わるわけではないのですが、タバコを吸っていた時のように、心のどこかに常に影をひきずっているような、後ろめたさだとか、不安感、自己嫌悪といった、無駄なものがなくなって、(新たに良い事が加わるというより、害になるじゃまなものが無くなったという感覚)とても気分がいい・・・

そういえば、子供のころ、こんなふうに自然に生きていたなあという感覚

常にライターを手放せなかったり、あとタバコが残り僅かだと、早く買いに行かねば!と焦ったり、吸わない人の前で、罪悪感にかられながらでも吸わずにいられずに吸ったり・・

そんな馬鹿馬鹿しいことに神経をすり減らさなくても済む、

そしてなにより、普通に呼吸していて、それだけで気持ちがいいのです

今でも、たばこを吸っていたころの、四六時中だるい体の感覚と、息苦しさを覚えていますが、二度と味わいたくないです。)

それがバラ色の生活です。経済的であるとか、寿命が伸びる、という事より、もっとあたりまえの、ありがたい事です

 

ニコチンは、禁断症状で幻覚が見えるわけでもないし、体がふるえるわけでもなし、表面的には、日常生活に大きな支障をきたす、というわけではないように見えます。だからこそ!大変恐ろしいと思います。

 

JTのホームページの『喫煙と健康に関するJTの考え方』という項目の『依存性』のページを見ると、言葉巧みに、タバコには弱い依存性があるということは認めるが、その他の依存性のある物質にくらべれば軽く『心配には及ばない』と思わせるような、書き方がされています

そしてしめくくりには『実際に禁煙に成功された方々がたくさんいらっしゃるのも事実であり、個々人の決意次第で禁煙することは可能です

また一方で、喫煙しようとする方々は、禁煙することは容易ではないとおっしゃる喫煙者が多数おられる、ということを理解しておく必要があります。』などと、優し気に自己責任をうながしています!)

 

表面的には日常に大きな支障をきたしているわけではなさそうに見えても、精神と肉体の奥底に、少しずつ、確実に、ひどいダメージをあたえるのです。

ニコチンに体も心もハイジャックされ、ニコチンの奴隷と化し、自信を失い、希望を持てなくなる

タバコの発ガン性のデータを突き付けられても『大好きなたばこを吸って死ねるなら本望!』と言う喫煙者は、
ニコチンに、そう思い込まされている
のです

 

そして、これらは『無意識下』の出来事なので、なかなか本人は気付けない。

そして『好きだから吸っている!』と言う(ニコチン大魔王に言わされる)わけですから、悲惨な状況なのです。

でも、表面的にはわかりにくいダメージなのです。

そこが本当に恐ろしいのです。自分の気付かないうちに、水面下で自分の精神と肉体を腐らせている・・・

私はこう表わして、大袈裟だとはちっとも思いません。

だって、実体験済みですから。

こんな(自分の精神と肉体を腐らせる)薬物が合法なのですから世の中って!!

 

自販機はあちらこちらに点在し、

かっこいい白人モデルさんが、かっこよくタバコをくゆらせるポスター!
自分らしく、自由に生きてるって感じ!?

タバコを吸えば、あんなふうになれそうですものね!

今となっては、ああいう広告を目にするたび、世の中の恐ろしさを感じずにいられません

妊娠の可能性のある若い女性をターゲットに『ファッション性』や『自立』のイメージをすりこんでタバコを売りつけようというのは、本当に恐ろしいことと思います。

 

 最後に、禁煙中でイライラや不安感に悩まされておられる方、禁煙したいけれど一歩が出ない方・・・ほんの少しでも「禁煙できれば・・・」と思ったことがある方は、ニコチン大魔王の大声にかきけされそうになりながらも、けなげに訴えている「自分の本当の心の声」を聞いたことがある方です。その声に耳を傾けてあげられるのは、自分しかいません!禁煙は楽ではないけれど、理解して、納得して取り組めば、誰にでもできることです。そして、乗り越えたさきには、心身共に快適な生活と、苦しみながらも大仕事をやりとげたことで自信を手に入れることができます。

よって、その先のさまざまな物事に対してより一層前向きに取り組む事ができるようになります。私のまわりの禁煙成功者は、口をそろえて「本当にやめてよかった!」と言います。

是非とも、諦めずに、頑張って下さい!

歴史上には、喫煙しながら偉業をなしとげられた方はたくさんおられるでしょう。

でも、その方々は喫煙していなかったら、もっとやれたかもしれません

勿論わかりませんが。

そして、偉業をなすことより、四六時中行う呼吸が自然にできるという、あたりまえのことが、ありがたいなあと、私は自分の喫煙の経験と禁煙の経験を通じて、そんなふうに感じているのです。

 

 ご質問への回答として、次の3件を補足致します。

 

1 わたしの禁煙に成功するまでの期間

初めて禁煙に成功したのは、2001/2月〜/6月(4ヶ月)で、この頃はニコチン中毒についての知識がなく、禁煙しつつもニコチンへの未練が残り、ふとした拍子に再び吸ってしまって挫折

 

挫折して二年後、2003/6月より再び禁煙にチャレンジ。

この時はネットや本からニコチン中毒の知識を得ることで、恐ろしくなり、前回の禁煙の時よりよりいっそう『絶対タバコをやめたい!』という意識が芽生えた

9月まで(3ヶ月間)は、一週間禁煙できて、挫折、10日禁煙できて挫折、とくり返した。

 

日記をたどると、このようでした。

 

そして、気付けばこの一年間、タバコを吸わず生活しています。そして、『吸いたいな』という未練はまったくなく(ですから禁煙にともなう不安感イライラともまったく無縁です)、逆に、『本当にやめてよかった!』と心底思う日々です



2 わたしの禁煙に有効だった本

KKベストセラーズ 禁煙セラピー アレン・カー著

ブームになった本です。これを読んですぐやめられた知り合いもいるし、私は、これを読んですぐ成功したわけではないのですが、ニコチン中毒という現象をイメージしやすかったです。



3 わたしの禁煙に有効だったホームページ

環境といのちを守る会http://www.coara.or.jp/~wadasho/main.htmlのなかの『恐怖の動物実験』http://www.coara.or.jp/~wadasho/doubutu.htmlというページ

 禁煙に関するページではありませんが、いろんな意味で考えさせられるページです。
「たばこを吸わされて中毒症状を強いられる、さるとねずみ」イコール「喫煙する自分」です。

 

 なるほど禁煙法http://www.geocities.jp/takaro_u/no_smoking.html

私が『45秒耐えれば、強烈に吸いたい欲求はおさまる』という情報をどこかで(忘れました)得たのだけれど、同じ事が書いてあります。

 

その他、禁煙者の掲示板を見ていたページを、特に禁煙し始めの、禁断症状が不安な時期に見ていましたが、どのページか忘れてしまいました。探したけれど出て来ません。

 

その他、禁煙についてのページは大量にあるので、片っ端から、むさぼるように見ました
喫煙の害、依存性の恐さについての理解が深まれば、それだけ、なんとしてでもニコチンと縁を切りたい!という意志が固まりますから、禁煙しやすいのです。
逆に、それらについての理解が浅いと禁煙はたいへん苦しい修行のようなものになり、失敗しやすくなります。

 

 

 

(補足:宇佐美 保)

 このメールを読ませて頂きますと、拙文偉人達の喫煙と破れ窓理論に引用させて頂いた「偉人達の喫煙肯定論」が、偉人達ご自身の本音ではなく、偉人達の身中に居座っている「ニコチン大魔王」が、偉人達の口を借りてしゃべっているのだ!と思わずにいられません。

 

そして、お気の毒にも、偉人達はその事実に全く気付いていないと思わざるを得ません。

なにしろ、先の拙文にもご登場頂きました作家・演出家の久世光彦氏は、次のようにも発言されていました。通販生活2003春号

 

普通、テレビのスタジオは禁煙だけど、僕だけは喫煙が許される。
仕方がないよね、僕が仕事をするのには絶対に必要なんだからさ。
どうしても身体が煙草を要求するんだ

 

久世氏の体内に巣くっている「ニコチン大魔王」は、この久世氏の発言を耳にし、抱腹絶倒し大喜びしたのでは?

なにしろ、「ニコチン大魔王」自身の煙草への要求を、久世氏を騙して、久世氏自身の身体が要求しているように仕向けている事実に久世氏は気づかず、「(自分の)身体が煙草を要求」していると世間に吹聴しているのですから!

 

更に、その偉人達の中でただ一人、「“私は、意志が弱いから禁煙出来ない”との脱偉人宣言をされておられたジャーナリストの大谷昭宏氏が、「自分の意志が弱いからではなく、「ニコチン大魔王」が身中に巣くっているだけである」事に気づかれて、「ニコチン大魔王の45秒間の誘惑」に打ち勝つ日の近からんことを祈らずには居られません

 

 そして、勿論のこと、このページを御覧下さった喫煙者の方々が、更に又、お友達、又、お子様達にご紹介下さって、一人でも多くの方々が「自分の本当の心の声」を聞き取ってあげ「ニコチン大魔王の45秒間の誘惑」に打ち勝って頂けたらと思わずに居られません

目次へ戻る