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私は天木直人氏を支持します

2004116

宇佐美

 

 天木直人氏(前レバノン大使、イラク戦争に反対する意見具申の公電を小泉首相、川口外相に送った為、外務省を事実上、解雇された)は、昨年末(12月28日)テレビ朝日放映の『田原総一朗スペシャル(今年最大の不可解を斬る)』に於いて、今回の自衛隊イラク派遣が国益になるか否かに対して、次のよう語っていました。

 

1)             今回の自衛隊派遣は憲法を逸脱しており、この既成事実を契機に憲法改正に進む。

2)             アメリカの力の外交は、イラク以外の他の国にも適用され、それに追随する日本は「普通の国」と化してしまう。

3)             日本の国の良さは、「日本製品の優秀さ」と共に「平和憲法の国」(原爆被害国)であった。

4)             それが、自衛隊が「軍隊」となっては、日本の良さが無くなる。

5)             日米関係の重要性は否定しないが、安保は昭和51年に結ばれ、冷戦が終了した、特に、今のブッシュ政権の安全保障政策は無茶苦茶。

6)             国益に関しては、国民の平和と経済の繁栄を考慮しなくてはならない事は確かだが、今のブッシュ政権について行けば、この2つを必ず失う。

7)             小泉首相が、320日にアメリカを支持した時点で、今回の結論は出ていた。

8)             国民の大多数がイラクへの派遣に反対しているから、アメリカに反対だといって、それが直ぐ、日米同盟破棄とはならない。

9)             (安保は、ギブアンドテイク)アメリカの気に入らない事を言えばアメリカが怒り出すからといって、それ以外の選択肢はないというのは外交の怠慢

10)       アメリカに苦言を呈して駄目であっても、日本独自の見解を世界には発信すべき。

11)       短期的だけでなく長期的にも見るべきである。今のアメリカは、核兵器までも実用化に踏み切っているし、安全保障については、「先制攻撃が当たり前」だといって、今までの国際安全保障を無視している

12)       こういう国(アメリカ)に付いて行く事で、間違いなく、日本は損をすると思う

 

天木氏の上記の見解に、私は全面的に賛同致します。

そして、敢えて付け加えさせて頂くなら、今のアメリカ・ブッシュ政権に追随する事は、逆に世界に背を向ける事だと思います。

フランス、ドイツが、アメリカから様々な嫌がらせを受けながらも、今回のアメリカイラク戦略に反対している理由は、日本のマスコミがまき散らす、「フランスもドイツも結局はイラクに対する利権を確保したい為だ」というだけではないと思います。

 

 フランスもドイツも、EUを軸にして、平和と繁栄の世界を作る道を歩き始めたのです。

(拙文《ドイツはEUの一員として生きる、しかし日本は?》も御参照下さい)

貧しい国々も多いEUに於いて、今更、軍事費に注ぎ込むようなお金はないのですし、あったら、EU各国の経済基盤発展に使いたいのです。

軍需産業に癒着したブッシュ政権の進める新たな軍拡主義には同調出来ないし、絶対反対なのです。

 

 日本がアメリカに追随してMD計画に参画すれば、周辺国も当然それに対応すべき軍拡を強いられてしまうのですから、日本の責任は重大です。

安易なアメリカ追随は、絶対に避けなくてはいけないのです。

そして、ブッシュ政権に追随する事は、ブッシュ政権のアメリカでの基盤の増強、その結果、政権の延命に寄与するのです。

従って、ブッシュ政権に反対する多くのアメリカ国民に対して、誠に申し訳ない事でもあるのです。

 

更には、ベルリン在住ジャーナリスト梶村太一郎氏は、「アメリカとの軍事同盟国ながら主権を行使して派兵を拒否するドイツのシュレーダー首相は、ただ自国の憲法を遵守しているだけなのだ。」と、雑誌『週間金曜日(2004.1.9)』に力説されています。

(この梶村氏のご見解を文末に抜粋させて頂きます。)

 

 

 ところが、岡崎久彦氏(元サウジアラビア、タイ大使)は、次のように反論していました。

1)             国益とは国民の安全と繁栄を考えなくてはいけない、しかし、日本は北朝鮮からも安全ではない。(安全の事を考えたら、日本の評判などずっと下の方になる。)

2)             日本は、海洋国家だから、七つの海を支配するアングロサクソンと仲良くやって行くのが一番で、日米同盟を続けたら孫の代まで安全

3)             国民の安全は100%保障すべき、妥協は不可。

4)             (国家間といえども)友情は信頼関係の積み重ねである。偶に、一度くらい裏切っていいだろでは済まない。例えば、リビアは本来フランスと親しい間柄であったのにも拘わらず、イギリスへ行ってアメリカと交渉した。(アメリカに袖にされた国(今回の例では、フランス)は駄目)

5)             今回のアメリカの動きに反対したカナダも、カナダはアメリカの一部との見方もあるが、カナダも少し傷を負っている。

6)             テロの続いている時、トヨタがアメリカの市場で2位になったのに、今の日米関係では、排斥問題など起こらなかった。しかし、湾岸戦争当時(筆者注:金は出しても人は出さず)当時なら大変な問題になっていたろう。

7)             アメリカは勝つまでイラクから退かないだろう。(アメリカ世論はイラクからひけとの意見はゼロ、勿論、世論が退けと言ったら退くだろうが。)

8)             イラクに自衛隊を出した以上、この事を日本の国益につなげるべきで、援助も注ぎ込み、日本の遅れている中東外交の柱とするよう、前向きにこのチャンスを生かすべし。

9)             兵隊を出す事は、世界のどの国でも大変な事。しかし、民主主義では、(兵隊を出した事を)議決して決めたらどの国でも一致してそれを支持し、それを如何にプラスに持って行くかが一番大事。

10)       一旦決めて出してから過去の決め方の善し悪しを論じたり、説明しろと言うのは可笑しい。

 

岡崎氏は常々、今回の発言通りに“日本は、海洋国家だから、アングロサクソンと仲良くやって行くのが一番”と語っていますが、私には、この論理はさっぱり判りません。

その上、“日米同盟を続けたら孫の代まで安全”、“(国家間といえども)友情は信頼関係の積み上げである”と言われますが、日本にとって、アメリカがそんなにも信頼出来る友人でしょうか?

拙文《憲法の前文を理解出来ないポチ小泉》にも引用させて頂きましたが、毎日新聞(12月6日)には、次のように書かれています。

 

1941年12月7日(米国時間)の旧日本軍によるハワイ・真珠湾奇襲攻撃から62周年となるのを前に5日、ブッシュ米大統領は7日を「国民パールハーバー(真珠湾)英霊記念日」と定める宣言文を発表した。……

大統領が今年9月、「9・11」を「愛国の日」と定めた際の発表と酷似している。大統領をはじめブッシュ政権高官は真珠湾攻撃と同時多発テロを同列に扱うことが多く、今回の記念日宣言も同じような形態となった。

 

 若し、アメリカが日本の真の友人であるなら、この様な仕打ちをするでしょうか?

 

 更に、『ルーズベルト秘録(上)』(産経新聞「ルーズベルト秘録」取材班:扶桑社発行)には、『リンドバーグの第二次大戦日記』から次のような驚くべき事実が引用されています。

(リンドバーグ:大西洋単独横断飛行に成功、映画「翼よあれがパリの灯だ」でも有名)

四四年六月、太平洋のニューギニアで日本軍を掃討する米軍の残酷な戦いぶりについて、次のように書いている。

「米兵は死者への尊厳を一切持たなくなったようだ。敵兵の勇気についても考慮しない。遺体の歯を足で蹴って金歯を取り出し、土産にする。武器も食料もなく、降伏しようとする日本兵を容赦なく射殺する。われわれは果たして本当に文明国家を代表しているのだろうか」

 

 太平洋の島々で絶望的な玉砕戦を展開した日本軍に対する米兵の残虐な仕打ちについて、一九四四年(昭和十九年)夏、戦地にいたリンドバーグは『第二次大戦日記』に数多く書き残している。例えば七月十三日付日記にはこう記されている。

 

米兵の一部が捕虜を残虐に拷問していることは誰もが知っていた。捕虜を射殺したり、手を挙げて降伏する日本兵を即座に、まるで動物のように殺すことに何の躊躇もない。降伏してもどうせ殺されるのだから(日本軍には)玉砕しか残された道はなかった。この点において米国が日本よりモラルの点で高いとはどうしても思えなかった」

 

 リンドバーグはこのほか、捕虜を定期的に飛行機から突き落としながら「日本軍が玉砕した」と報告していたオーストラリア兵士の集団行為を飛行士の目撃談として紹介した後、「戦争中のことでもあり、日本軍の残虐性に対する復讐だったのだろう」と説明している。

 だが、戦争中のこととはいえ、こうした残虐な仕打ちは果たして欧州戦線で起こりえただろうか。日記のあちこちに出てくる「黄色い猿」という表現は、当時の米兵の心に潜む人種差別が残虐な行為に駆り立てたという側面を強く示唆している

 
 又、同じ『ルーズベルト秘録(上)』の中には、次のようにも書かれています。

戦後日米経済摩擦が起きた時にも代表的なチャイナハンズの一人で、タイム誌の元重慶特派員だったセオドア・ホワイトが八五年七月二十八日付のニューヨーク・タイムズ・マガジンで「ジャパン・バッシング(日本叩き)」ののろしを上げている。

「日本人が自由貿易を守ろうと訴えているのを聞くと、売春婦が〃愛〃を語るのを聞くようだ。日本は米国がつくり、維持してきた平和にただ乗りしているが、いつかは米国の堪忍袋の緒が切れ、真珠湾からミズーリ号(日本の降伏文書調印)に至った歴史を繰り返す可能性があることを心にとめるべきである

「日本からの危険」というこの論説は、貿易摩擦に怒る米国で予想以上に大きな反響を呼んだ。ホワイトはこの一本の論説で日本の同盟国イメージを変え、新たな日本脅威論を今もくすぶり続けさせている。

 

 万が一、北朝鮮が日本に核爆弾で攻撃しようとした場合に、この様なアメリカ、アングロサクソン人達が、日本を支援すると岡崎氏は信じているのですか?

彼等が日本支援を行えば、アメリカにも核爆弾が飛んで行く危険性が大となるのにですよ。

 

 そして、拙文《ドイツはEUの一員として生きる、しかし日本は?》に紹介させて頂きました元西ドイツ首相ヘルムート・シュミット氏は次のように語っています。

 

アメリカとの同盟関係に対するドイツの依存度は、ますます小さくなり、EUに頼るようになっている

遅くとも今世紀の半ばにはEUは完全に機能するようになる。……ドイツの将来はEUの将来によって決まる

 

 更には、次のようにも。

 

1945年に日本は敗北し、以来、日本は和解を求めているが、それには謝罪することが必要だ。

だが、今のところ謝罪していない。それが事を難しくしている

……アメリカに頼っているが、それは健全ではないし、日本の利益にならない

 

 岡崎氏は、“民主主義では、(兵隊を出した事を)議決して決めたらどの国でも一致してそれを支持し、それを如何にプラスに持って行くかが一番大事。”等の、「一度決まったら、後は反省することなく、行け行けドンドン!」的発想では、“今回の自衛隊派遣は憲法を逸脱しており、この既成事実を契機に憲法改正に進む。”との天木氏の心配通りに事が運ばれてしまうでしょう。

 

 それにしましても「イラクへの自衛隊派遣」は、どのように議決されたと岡崎氏は云うのでしょうか?

116日に自衛隊の先遣隊が、イラクに向けて出発してしまいましたが、これはあくまでもイラク復興特別措置法に基づいての派遣であるのです。

そして、この特別措置法では、非戦闘地域への派遣となっているのですから、今の時点での自衛隊のイラク派遣への議決はないはずです。

 

 更に、岡崎氏は“イラクに自衛隊を出した以上、この事を日本の国益につなげるべきで、援助も注ぎ込み、日本の遅れている中東外交の柱とするよう、前向きにこのチャンスを生かすべし”と語りましたが、日本の中東政策はアメリカの意向を離れて独自の外交を打ち出すのですか?

 

天木氏は、問題の小泉首相への意見具申書には、第一項で“国連決議なしの対イラク攻撃は何があっても阻止すべきである”と記すと共に、次の点も記述されているのです。
(天木氏の著作『さらば外務省!(講談社発行)』より)

 

二、中東和平交渉の一日も早い再開が必要である。

 不幸にして対イラク攻撃が避けられなかった場合、その不幸を補って余りある唯一の希望は、中東和平の実現をおいて他にない。思うに、九・一一事件から今回のイラク問題に至る一連の中東情勢は、パレスチナ和平問題と不可分である。「テロとの戦い」を最優先に据えた米国の外交は、抵抗運動を激化させパレスチナ問題の悪化を招いた。さらにまたここ数カ月、世界の関心がイラク問題に集中したその隙に、イスラエル政府は連日のようにパレスチナ人を殺している。無季の市民はおろか妊婦、赤ん坊が犠牲になっても、誰もイスラエル政府の非を咎めない異常な事態が続いている。

 自爆テロしか術のない抵抗運動と、それを非人道的な圧倒的軍事力で抑え込もうとするイスラエルとの際限なき暴力の悪循環を前にして、もはや当事者問の話し合いはあり得ず、国際社会が直接介入して平和を実現していく他はない。その場合最も重要なことは公平、公正さである。

 米国の中東政策が、パレスチナ抵抗運動を弾圧する一方でイスラエルの拡大政策を容認するような不平等なものであるならば、中東の真の平和は望めない。ポスト・イラクの混乱を最小限に抑え、中東情勢のこれ以上の悪化を防ぐには、中東和平交渉が誰の目から見ても公平な形で進められるよう、国際社会の確固とした決意と努力が不可欠である。そして中東地域に手を汚していない日本、唯一の被爆国として戦禍の悲惨さを世界によく訴えることのできる日本こそ、もっと積極的に中東和平の実現にイニシアチブを発揮すべきである。


 斯くの如くに天木氏は「中東和平交渉が誰の目から見ても公平な形で進められるよう、国際社会の確固とした決意と努力が不可欠である」と指摘していますが、岡崎氏の描く中東外交はアメリカの方針に反対しても、パレスチナに対してもイスラエル同等な平等政策をとるというのですか?とれるというのですか?

 

 

 かくして私は、岡崎氏には全く賛同出来ず、天木氏に全面的に賛同するのです。

 

 ところが、塩川正十郎氏(前財務長官、元官房長官)は、興奮して次のように怒鳴り始めました。

 

 これを聞いていると子供の議論だ。もっと大人の議論をしなきゃね。

そりゃ天木さんの言っているのは子供の議論ですね。

理想主義ですよ。そんなことで実際に日本が生きて行けるのでしょうか!?

国際協調して誰が日本を保障してくれるのですか!?

保障してくれる手立てがあるのですか?

国連が保障してくれますか?
理想ばかり行って食って行けますか?

 

 天木氏は塩川氏に次のように反論しました。

 理想を求めるのが政治家ではないのですか?!

理想を自ら捨てて良いのですか?!

 

 この点でも天木氏に賛成です。

そんな理想を捨てた政治家に、若者達は、自分の未来を託せますか?

そんな政治家が若者の手本になるのですか?

 

土台、塩川氏ご自身は(番組冒頭にも、問題の場面が流れていましたように)、外務省の機密費問題に関して、2001128日サンデープロジェクトの番組中、次のように発言しました。

 

(機密費を)野党対策に使っていたのは事実です。

ゲンナマを渡すか、一席設けて費用を負担する……

 

 そして、ご存じのように、その3月に財務大臣に就任した後の515日の衆議院予算委員会で、穀田恵二氏(共産党議員)から「サンデープロジェクトで、機密費について発言されています。この発言は事実ですね」と質問されるや、塩川氏はご存じのように、「発言した事を忘れました」と答弁したのです。

 

 こんな国民をバカにした態度はありません。

なのに、当日のサンデープロジェクトの司会者田原総一朗氏は、そのご当人の塩川氏をまえにして、咎めるどころか、「この答弁で一躍時の人になった」と持ち上げている始末です。

 こんな議員、こんな国が、大人であり、大人の国なのですか?

 

 天木氏の著作『さらば外務省!』には次のように書かれています。

 

外務省機密費が官邸に上納されていたという厳然たる事実を、政府関係者が徹底的に否定し続けたという欺瞞である。

 そもそも「上納」は、佐藤栄作政権にその端を発している。一九六〇年代半ば、日本と韓国の国交樹立に向けて日韓交渉がヤマ場を迎えていた頃、官邸が用意していた機密費が底をついたので、佐藤首相が椎名悦三郎外相に命じて、外務省から内閣官房に融通させたのが上納の始まりと言われている。

 以来、外務省の報償費として予算化された機密費のうち、毎年二〇億円を内閣官房に還流させるのが慣例となった。関係者ならみな知っている。歴代官房長官はみな当事者であり、知らないはずはない。官房長官経験のある塩川正十郎財務相も、「やっていた」と口を滑らせた後、「忘れてしまった」ととぼけて見せた。旧大蔵省や会計検査院も知らないはずがないのだ。

 この点については決定的とも思える証拠が出てきた。二〇〇一年三月の衆議院予算委員会で共産党の筆坂秀世議員は、「報償金について」と題する文書の筆跡と古川貞二郎官房副長官の直筆の筆跡を並べたボードを掲げ、疑惑を追及したのだ。この文書は専門家による筆跡鑑定でも、古川官房副長官の筆跡とされたシロモノである。これほど堅い物証を突きつけられたにもかかわらず、事実を否定し、シラを切りとおした。認めてしまえば、上納という財政法違反行為があったことを認め、国民を長年にわたり欺いてきたことが公になってしまうからだ。

官邸の機密費は、マスコミに対する工作費や懐柔費として使われていたことも明らかにされた。だからマスコミは政府・外務省を本気で追及できないのだ。これでは国をあげて犯罪を闇に葬っているようなものである。

 

 機密費の存在を一度は認めて、大臣になると「忘れた」と臆面もなく否定する、こんな塩川氏が大人なのですか?こんな人を褒めそやす国が大人の国なのですか?
外務省の改革は、その後、どうなったのですか?

 不思議な事に、前掲の天木氏の著作には、氏への事実上の退職通知は「本年夏に帰朝命令をさせていただく。勇退をお願いすることで取り進める。川口順子外務大臣の下で外務省改革を断行しており、若返りを図る人事の必要がある……」旨書かれています。
 何か変ですよね!?

 

私は、塩川氏の見解自体にも、真っ向から反対です。

先にも書きましたように、いざという時(アメリカが自国を危機にさらす可能性もある場合でも)本当に日本を守ると、塩川氏は信じているのですか?!

戦後50年以上も、アメリカに「オンブにダッコ」して貰ってきた上、未だに、「日米安保こそが日本の生きる道」といっている日本が大人の国ですか?
 斯くもアメリカべったりの日本をアジアの国々の人は好きになれるでしょうか?
日頃、アジアの同胞に目もくれない日本がアメリカに邪険にされた際、アジアの人達は日本にどう接してくれるのでしょうか?
“可哀相だったね!アメリカに今まで駄目されていて、これからはアジアの私達が面倒を見てあげるよ”と云って、アジアの人達が優しく受け入れてくれると塩川氏も、岡崎氏も子供のように期待し、信じているのでしょうか?
 それよりも日本は「アジアの鼻つまみ者」になるのではありませんか?


 

 拙文《ドイツはEUの一員として生きる、しかし日本は?》に引用させて頂いておりますが、ドイツの元首相シュミット氏は、次のように語っております。

 

ドイツは19495052年に、今はEUと呼ばれる体制を発足させた6ヶ国の1つだ。……

アメリカとの同盟関係に対するドイツの依存度は、ますます小さくなり、EUに頼るようになっている

遅くとも今世紀の半ばにはEUは完全に機能するようになる

……

ドイツの将来はEUの将来によって決まる

日本の将来を予測するのはより難しい。

……

1945年に日本は敗北し、以来、日本は和解を求めているが、それには謝罪することが必要だ。

だが、今のところ謝罪していない。それが事を難しくしている

日本の指導者たちは間違っていた。

1つ、2つの例外を除いて、国民全体を納得させていない。

従って、アメリカに頼っているが、それは健全ではないし、日本の利益にならない

 

 ドイツは日本と違って独自の道を切り開いているではありませんか!?

日本は、理想をバカにして、その日その日の現実主義(アメリカ大事、アメリカ大事)で、全てアメリカに頼ってきた子供の国ではありませんか?

 

 当日のサンデープロジェクトに同じく出席していた金子勝氏(慶応大学教授)は、次のように塩川氏に反論しました。

 ブッシュと心中したら、食って行けなくなりますよ。
アメリカは今双子の赤字でドルが暴落しているのに、日本だけがドルを買い支えている。
こんなにアメリカ国債買っていて、それが暴落したらどうするのですか!?

リスクを分散する事が正しい道、それが大人です。

 

 しかし、塩川氏は、「それは学者の意見だ」と云って無視しました。

発言者の意見を、発言者の肩書きで、分類評価するのは大人ですか?
そして、私がどんなに意見を述べてもそれは素人の言う事!と片付けるお積りですか??

 

 どうも、塩川氏は、「大人」とは、一日一日を要領よく生き延びて年を重ねた人物であると信じているように私には思えるのです。

そのような「大人」の典型が、塩川氏ご自身?

 

因みに、金子勝氏は、中村敦夫議員との対談(「日本をこんなダメな国にしたのは、一体誰なんだ!?」(『通販生活』2004春号))で、次のように怒っています。

 

金子 最近、「日本は教育がダメになつた。教育基本法を改正すべきだ」なんて言う奴がいるけど「
前がいるからダメなんだ!」と言いたくなる

子どもはみんな大人を見て真似するわけですよ。
会社の中でも、「まずお前が会社を辞めろ!」と言いたくなるような上司が部下を査定している。
犯人が裁判官をやっているようなもので、もう無茶苦茶。

中村 私は最大の教育というのは、子どもが親の真似をするということだと思うんですね。

金子 だから大人が模範を示していないのに、子どもだけ立派になれっていうのは無理。

 だいたい国自体が何もかもごまかす「粉飾国家」だということが大問題。……


 本当に、我が国は、他国の評判がどうあろうと、自国の憲法をも蔑ろにして、自国の安全と経済的繁栄のみにうつつを抜かす国でよいのでしょうか?。

 更に、私が心配なのは、松下政経塾の顧問として岡崎久彦氏のお名前が記載されている事です。
なにしろ、これからの日本の政治を支えて行くであろう自民党、民主党の若手議員の多くは松下政経塾の出身者なのです。
そして、彼等若手の発言を、テレビ等での聞いていると、彼等が十二分に岡崎氏の御薫陶を受けているの事が判るのです。


 

(『週間金曜日(2004.1.9)』に於ける梶村太一郎氏の記述からの抜粋文)

 

 ドイツの憲法(基本法)は国連憲章にある侵略戦争の禁止条項を背景に四九年に成立した。そこには「国際法は一般法律に優先する」や「侵略戦争の遂行を準備する行為は違憲であり、罰せられる」などの条項がある。刑法では「侵略戦争の準備をした者は無期または一〇年以上の懲役刑」とされ、軍人法では「罪を犯す命令には従ってはならない」と具体的である。

 九九年、アメリカに強要されて、国連決議なしにNATO軍によるコソボ空爆が行なわれた。

……シユレーダー首相には、最高検察の政治判断で侵略戦争準備罪での起訴をかろうじて免れた苦い体験がある。ブッシュが何を言おうと頑としてルビコン川を渡らない根拠はここにある。参戦に踏み切れば、世界と自国の秩序が根底から崩れることをよく認識しているのだ。……

 



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