目次へ戻る

中村修二教授と報奨金
並びに政治家

20141027

宇佐美 保

 東京新聞(20141025日)の「こちら特報部」に次の記述を見ました。

 

 

 政府は、企業の社員の発明で得た特許権を「社員のもの」から「企業のもの」とするよう特許法を改正する方針だ。産業界の要請に沿ったものだが、社員の「やる気」をそくことにならないか。社員の発明は誰のものなのか。あらためて考えた。

……

 「サラリーマンはかわいそうだ」。ノーベル物理学賞の受賞が決まった米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授は共同通信の取材に、特許権を「会社のもの」とする特許法改正案に強く反対した。

中村教授が、青色発光ダイオード(LED)を開発したのは、社員の時。日亜化学工業から当初もらった報奨金はたった二万円だった

……

現行法が定める「相当の対価」を根拠に、企業が訴えられる例は後を絶たなかった。中村教授が〇一年、日亜化学工業に対価を求めた訴訟は〇四年、東京地裁が会社側に二百億円の巨額支払いを命じる判決を言い渡した。この訴訟は最終的に八億四千万円で和解が成立 た。これ以外でも、大手食品会社「味の素」で人工甘味料の製造法を開発した元社員が起こした訴訟は〇四年、会社側が一億五千万円を元社員に支払うことで和 解。大手電機メーカー「日立製作所」の光ディスクの読み取り装置に関する訴訟は〇六年、日立側が一億六千三百万円を開発者に支払う判決が確定した。

……

 今回の改正は、産業界の要望に沿ったものだ。経団連は二〇〇〇年代後半から、特許権の法人帰属化を求めており、現行制度を「訴訟が起きた場合、支払う対価の金額の算定が裁判所に任されるため、企業は長期にわたりリスクを抱える」 「国際競争上不利な制度」と問題視してきた。……

 

 私は中村氏が受け取った八億四千万円を知るや、直ちに、芸能人たちの年収を思い浮かべました。

そこで、「芸能人年収」のサイトを見て驚きました。

(勿論他部門の芸能人の年収にも驚かされます)

http://geinoupro.web.fc2.com/guarantee.html

 

なんと、中村氏が得た報酬以上の年収を手にした芸人が3人もいるのです。

それ以外の方々の年収の多さに驚愕します。

(ランキングはご参考に文末の「補足」に掲げます)

 

中村氏の業績は、世界中でも何年に一度出るかどうかです。

(この件に関しては、先の拙文≪中村教授と日亜化学の悲劇≫もご参照ください)

だからこそ、今回ノーベル賞を授与されたわけです。

ところが、芸人たちは、毎年、驚くべき収入を手にしているのです。

彼らがテレビ等に出演して、それなりの社会的貢献をしているのなら兎も角です。

それどころか、彼らの役割は、テレビに出演して、日本人の思考能力をゼロにする為と思うほどです。

若しや、国営放送等から情報を日本人が鵜呑みにして、ある勢力の想いのままに日本人を操る為に尽力しているのかしら?

 

 でも、彼らの報酬は、(CIAの秘密資金ではなく)企業の広告費で賄われている筈です。

そこで、「企業広告費」のサイトを訪ね,その一部を抜書きしますと、次のようです。(単位、百万円)

http://www.nikkei-koken.gr.jp/research/research.php?research=0&recno=616

 

 ソニー 354.981 トヨタ自動車 330.870 本田技研工業 254.016   日産自動車 229.067

 

 これらの広告費を、芸人、芸能人たちに支払うことなく(ホンの一部は彼らに支払う事としても)、特許等で、会社に貢献された方々に支払い、その貢献情報を広告に使用した方が、企業の信頼度も、日本人の質も向上するのではありませんか!?

 

 そのような判断を下すべき、企業の社長たちの年収を検索して、「大手企業225社役員の報酬ランキング(2013)を見て、又、びっくりです。

http://kyuuryou.com/w2869-2013.html

中村氏の獲得額以上(或いはほぼ同等)の報酬を1年間で手にされた方が6名も居られます。

(ランキングの一部を「補足」に掲げます)

 そして、いつも思うのですが、このように多額の報酬を手にされて居られる方々がそれ相応の企業への貢献、社会への貢献を果たしておられるのでしょうか!?

このランキングに掲げられた年俸が1億円以上の222名の方々の中には、福島原発事故を引き起こした東電の方々のお名前が記載されておりませんが、彼らとて多額の報酬を手にしていた筈です。

そして、その報酬に見合う仕事をされたとはとても思えません。

 更に、東京新聞(20141024 夕刊)には、“中村修二さん「日本でも認められ、うれしい」” (文化勲章受章に際して)の記事の一部を引用させて頂きます。

 

  受章を一番に伝えたいのは、開発のきっかけをくれた日亜化学工業(徳島県)創業者で会長だった故小川信雄氏だ。
「クビ覚悟で会長に青色LEDの開発をしたいと話したら『いいよ』って。やらざるを得なくなった」と笑う。
「今の自分があるのは会長のおかげ」。機会があれば墓参りするつもりだ。

 

 このような発明者と社長さんの関係なら、特許の報奨金に関して裁判沙汰にはならないと存じます。

 

 尤も、多くの方々がご存知のように、感謝もされず、報酬に見合うだけの仕事をされて居られない方々は、政治家?

 

 次に掲げました『日刊ゲンダイ(2014年10月26日)』WEBサイトをご覧頂くと、このような方々を何故、ネット右翼と言われる方々がご支持されるのかが、不思議に思えてなりません。

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/154429/1

 

“SM大臣”が霞む…安倍首相&麻生大臣「政治資金」放蕩三昧

 …… 安倍首相の資金管理団体「晋和会」の10〜12年分の収支報告書をみると、「行事費」という名目で多額の飲食代を計上。その規模は3年間で3000万円近い

 支払先は銀座の老舗ワインバー「アムールズ」、恵比寿の3つ星フレンチ「ジョエル・ロブション」、四谷の予約困難店「オテル・ドゥ・ミクニ」、都内有数の高級ふぐ店「博多い津み 赤坂」など、1人当たり2万円を超える名店ばかり。

 12年9月10日には銀座の一流すし店「久兵衛」をはじめ、1日で計10店、総額約80万円を支出。安倍首相が同月の自民党総裁選への出馬を正式表明し たのは2日後のこと。5年ぶりに総裁に返り咲いた直後、安倍首相自身が支部長を務める「党山口県第4選挙区支部」の怪しい支出が発覚した。

 

「09〜11年の3年間にキャバク ラやクラブなど女性の接客を売りにする店に計59件、総額127万円を政治資金から支出していたのです。下戸の首相本人は一度も参加せず秘書らが通ってい たようですが、安倍サイドはメディアの指摘を受け、慌てて報告書から支出を削除。秘書らに全額返納させました」(地元政界関係者)
……
「元愛人」に1805万円

 安倍首相をはるかにしのぐのが、麻生大臣のデタラメ支出だ。資金管理団体「素淮会」の10〜12年分の収支報告書によると、
「交際費」名目で消えた飲食代は12年分だけで3000万円を突破。3年間の総額はナント、1億円近くに上る。

 

 常連店は銀座の3つ星すし店「すきやばし次郎」など美食三昧も安倍首相に負けず劣らず。1日の支払先が10店オーバー、1店20万円を超える高額出費は日常茶飯事。12年2月10日には 神楽坂の高級料亭「幸本」に54万円をポンと弾んだほか、銀座の高級クラブなど計15店に総額230万円もの大金を落としたほど。

 気になるのは、居並ぶ高級店に交じって「オフィス雀部」という六本木の有限会社への支出を3年間で計22回、総額1805万5000円も計上していることだ。

「六本木の会員制サロンを経営する会社で、麻生大臣はその店の“太い客”。経営者の女性は麻生大臣と過去に愛人関係にあったことを認めた、と6年前に週刊誌で書かれたこともある。ちなみに安倍首相も店の常連です」(自民党関係者)

 1万8230円の支出で批判されているSM大臣が、ちっぽけに思えてくる。

 
 こんなにも多額の金額を食費につぎ込まれては「消費税の増額」は、政治家たちの「消費」の為の増額と思えてなりません。

更に、次のサイトをお訪ね下されば、驚きは何倍にも膨れ上がってしまします。

 

安倍晋三氏の「政治資金」に関しては、次のサイト他をご参照ください。

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/121130/1212300059.pdf

 

麻生太郎氏の「政治資金」に関しては、以下のサイトの34頁以降をご覧ください。

http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/121130/1313200062.pdf


 上掲の写真はその一例です。
(備考欄があるのですから、如何なる会合で出席者は誰かも備考欄に書くべきでしょう。
それが秘密の会合なら、列記されている人目に付く有名料理店等でなく、官邸とか議員会館などで会合すべきでしょう)

 勿論、総理、副総理がこの様なら、他は推して知るべしです。

『週刊ポスト2012217日号』WEBは次のようです。

http://news.livedoor.com/article/detail/6260198/

201228 70

 この国では、「格差社会」の頂点に国会議員がいる。

国会議員の歳費(給与)の高さは世界一で、月給・ ボーナス合わせて年間2106万円。これとは別に、歳費振り込みの個人口座には、毎月100万円の「文書通信交通滞在費」が振り込まれる。非課税で使途の 報告も必要ない「つかみガネ」だ。年間1200万円だから歳費と合わせて年収3306万円、課税収入に換算するとざっと4500万円相当になる。1部上場 企業の社長の平均給与、約4708万円(賃金管理研究所調べ)に肉薄する。

「うちの先生は文書通信交通滞在費でマンションのローンを払っていました。みんなやってますよ」……

 

 更には、政党助成金が、総額「約355億」の使い道はどうなっているのでしょうか?

赤旗の「政党助成354億円使う」のサイトをご参照ください。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-09-27/2014092701_04_1.html

 

 政治家たちが「科学立国日本」の旗を掲げるなら、政治家たちに支払われるお金は、中村氏らに支払われた方が有意義と存じます。

 

「補足」


    芸人部門ランキング 
 芸名 推定年収  芸名 推定年収 
 ビートたけし  172,000万円  矢部浩之  37,000万円
 明石家さんま  115,000万円  志村けん  37,000万円
 タモリ  99,000万円  石橋貴明  32,000万円
 田中裕二  82,000万円  宮迫博之  32,000万円
 太田光  72,000万円  蛍原徹  32,000万円
 上田晋也  62,000万円  岡村隆史  29,000万円
 有田哲平  53,000万円  木梨憲武  23,000万円
 浜田雅功  44,000万円  設楽統  15,000万円
 笑福亭鶴瓶  43,000万円  有吉弘行  15,000万円
 松本人志  42,000万円  千原ジュニア  12,000万円
 加藤浩次  38,000万円  ……  ……

 

 

社長の年収

 

順位

会社名

氏名

報酬額

従業員
年収

1

カシオ計算機

樫尾 和雄

123300万円

799万円

2

キヤノン

御手洗 冨士夫

110500万円

756万円

3

カシオ計算機

樫尾 幸雄

108300万円

799万円

4

武田薬品工業

フランク モリッヒ

101600万円

944万円

5

日産自動車

カルロス ゴーン

99500万円

767万円

6

武田薬品工業

山田 忠孝

83800万円

944万円

7

信越化学工業

金川 千尋

50600万円

823万円

8

電通

ティモシー・アンドレー

43200万円

1,192万円

8

ファナック

稲葉 善治

43200万円

981万円

10

ファーストリテイリング

柳井 正

40000万円

709万円

11

富士フイルムホールディングス

古森 重

39000万円

1,070万円

12

キヤノン

田中 稔三

36400万円

756万円

13

中外製薬

永山 治

35700万円

928万円

14

ソニー

平井 一夫

34800万円

885万円

15

資生堂

カーステン・フィッシャー

33000万円

692万円

16

ソフトバンク

ロナルド・フィッシャー

32300万円

1,146万円

17

武田薬品工業

長谷川 閑史

30500万円

944万円

18

野村ホールディングス

永井 浩二

29800万円

1,488万円

19

大日本印刷

北島 義俊

29700万円

677万円

20

コナミ

上月 景正

29600万円

733万円

……
(更なる補足)

DIGITAL朝日新聞(2014112)には、「役員報酬どう決める? 上場企業、赤字で1億円超16人」との記事が掲載されていました。

 

 会社が赤字で、1億円超の報酬を得た役員は2013年度、国内の上場企業で16人に上る。……上場企業は10年3月期決算から、1億円以上の役員報酬の公表が義務づけられている。信用調査会社の東京商工リサーチが約3千社を調べたところ、13年度は前年度より71人多い445人と過去最多だった。

 

 最高額は基板メーカー・キョウデンの橋本浩最高顧問の12億9200万円で、カシオ計算機の樫尾和雄社長の12億3300万円が続いた。上位5人は退職慰労金が大半を占め、基本報酬は日産自動車のカルロス・ゴーン社長が9億9500万円でトップだった。 

 一方、赤字で1億円超の報酬を支払ったのは11社。1283億円の赤字だったソニーの平井一夫社長は3億5900万円。同社広報・CSR部は「エレクトロニクス企業だけでなく、国際的なエンターテインメント企業などの経営者の報酬水準も勘案し、第三者機関による調査に基づき適切な額を設定した」と説明する。……

 
目次へ戻る