操り人形と化した菅直人氏(2)
2011年6月7日
宇佐美 保
先の拙文《操り人形と化した菅直人氏(1)》を続けさせて頂きます。
多くの非難攻撃も恐れず、自ら、福島に飛び、手動でのベント作業を第一原発の吉田所長に口頭で依頼、指示し、格納容器の爆発を防ぎ、本来なら「救世主」として讃えられるべき菅首相は私の英雄でもあります。
(その後、吉田所長が東電本社の命令を無視して、海水を注入し続けたのも、最初の菅首相との出会いがあった為と私は解釈しています。
私が吉田所長の立場だったら、“一度直接言葉を交わした菅さんなら自分の行動を(弁護してくれる事は期待せずとも)理解してくれる”と思って行動するでしょう)
そして、このような記述に関して、“勘違いもいい加減にしろ!”との声も飛んで来ましょうが)
しかし、私の英雄である菅首相も、英雄らしく振る舞ったのはこの時だけのように見えるのが大変悲しい事です。
なにしろ菅首相には、「腑に落ちない言動(操り人形的の言動)」が多いのですから!
菅氏を操っているのは誰?
直接操っているか否かは私には分かりませんが、(糸で操られているのか、風に靡いているのか?中曽根康弘氏は「政界の風見鶏」と呼ばれました)米国オバマ大統領が「原発推進」を打ち出している最中の「原発事故」ですから、(悲しい事ですが、)今までの日米の関係から推測すれば、この事故が、米国の「原発推進政策」を妨害する事を極力避けなければなりません。
このような自発的(?)配慮は、『週刊ポスト(2011.5.20):菅官邸を牛耳る「オバマGHQ」の密使』の記述からも感じます。
その一部を引用させて頂きます。
…… 菅首相や枝野幸男・官房長官、各首相補佐官らの執務室が並ぶ官邸の4、5階は記者の立ち入りが禁止されているが、そこでは細野蒙志・首相補佐官、福山哲郎・官房副長官らがある部屋に頻繁に出入りしていた。 部屋の主は、米国政府から派遣された「アドバイザー」で、名前も身分も一切明らかにされていない。 官邸の事務方スタッフは、その素性と役割についてこう説明する。 「その人物は米原子力規制委員会(NRC)のスタッフとされ、官邸に専用の部屋が与えられ、細野補佐官とともに原発事故対応の日米連絡調整会議の立ち上げ作業にあたった。常駐していたのは原発対応のために横田基地で待機していた米海兵隊の特殊兵器対処部隊(CBIRF)が帰国した4月20日頃までだが、その後も官邸に顔を出している。 福島第一原発の水素爆発を防ぐために実行された窒素封入や、格納容器の水棺作戦などは、そのアドバイザーとの協議を経て方針が決められた」 原発事故対策統合本部長を務める菅首相に代わって、決裁権″を握っていたというのだ。 官邸へのアドバイザー派遣は、菅政権の原発事故発生直後にオバマ政権が強く要求したものだった。当初、菅首相や枝野長官は難色を示したが、ルース駐日大使は福島第一原発から80`圏内に居住する米国人に退避勧告を出し、横田基地から政府チャーター機で米国人を避難させるなどして、受け入れなければ日本を見捨てる≠ニ暗に圧力をかけた。 菅首相は3月19日、ルース大使との会談で要求を呑んだとされる。 外国の政府関係者を官邸に入れてその指示を受けるなど、国家の主権を放棄したも同然であり、GHQ占領下と変わらない。 しかも、その人物は「ただの原子力の専門家」ではなかったと見られている。 …… 一方で、新聞・テレビは国民のための権力監視という役割をかなぐり捨てた。 本誌が前号でスクープした「菅官邸が隠した『被曝データ6.500枚』」で報じた問題では、政府の責任逸れに手を貸している。 政府は震災発生当日から、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEED1)で福島第一原発からの放射性物質の拡散予測を6500枚も試算していたが、国民に公表せずに隠蔽した。 …… |
このような「週刊ポスト」の指摘は、原発を推進して行く米国オバマ政権の強力な圧力を日本政府が感じている結果なのでしょう。
ですから、悲しい事に菅首相も正面切って「原発の即時全面停止」を打ち出すことは出来ず、又、福島原発の被害を出来るだけ小さく印象付けようと日本に、ひいては世界に発信しようと画策したのかもしれません。
それでも、民主党が自分たちの政治を本気でやり遂げる思いがあったなら、民主党側から菅首相を「日本の救世主」として祭り上げ、(“神輿は軽い方がよい”とどなたかがおっしゃったようですが)世論をがっちり民主党政権に引き付けたならば、米国国民も日本の行動(菅政権、民主党政権独自の政策)を支持してくれたかもしれません。
でも、民主党内にも米国と思いを同じくする「原発推進派」(原発利権派?)が大勢を占めているのでしょう。
そして、更に悲しい事に、何もこのような米国の支配下に置かれている状態が菅政権だけに発生しているのでない事が、次に一部抜粋させて頂く『週刊ポスト(2011.5.27号):ウィキリークスが暴いた普天間問題の裏切り者』の記事からも見えてきます。
…… 「普天間飛行場の移設先は最低でも沖縄県外」と宣言して政権交代を成し遂げた鳩山由紀夫・首相は、実は政権発足当初から、獅子身中の虫を抱えていた。 政権発足直後の09年10月12日に行なわれた、キャンベル米国務次官補と長島昭久・防衛政務官(当時)、外務・防衛高官との会談内容をまとめた公電には、驚くべきことに鳩山首相の方針を次々と否定する高官たちの姿が記録されている。 (長島副大臣は、普天間移設についての防衛省の分析は、米国政府が導いた結論に近いと説明した。北沢防衛相については、移設問題の再検討に関わっている閣僚の中では、現行案を最も強く支持している「現実的な人間」だとも付け加えた。) 長島氏は、前原誠司・沖縄担当相(当時)らとともに、民主党内では親米タカ派として知られる。安倍晋三氏ら自民党のタカ派議員も親密だ。アメリカのネオコン派が嫌う「県外移設」を推進することは望み難い人物だったのである。 防衛省幹部にいたっては、米側に「日本の県外移設派を説得し、辺野古沖に移転する現行案がいいといってくれ」と懇厳している。 (高見沢将林防衛政策局長は、米国が日本政府の高官や政治家に、今なお現行案が有効性を保っていることを説明する際には、米軍の軍事能力や戦争計画、緊密化している米軍と自衛隊との連携(中略)も織り込んでほしいと提案した。彼はまた、日本国民に対して再編関連の問題を説明する際に、米国政府が日本政府と協力してほしいとも促した。) 一体、この人物はどの国の公僕で、どの国の国益を担っているのか。さらには(高見沢は、民主党政権が気に入るような形に再編案の「パッケージ」を修正することについて、米国側は拙速に柔軟な態度を示してしまわないよう警告した。)ともあり、なんと交渉相手に「妥協しないでほしい」とお願いしているのだ。 さらに同席した外務省高官は、閣内にいる隠れ親米派≠フ名を伝え、政権分断のヒントを与えていた。…… |
更には、このような事情は、中曽根康弘氏と共、日本への原発導入を推し進めた読売新聞社の経営者、プロ野球の父、テレビ放送の父、原子力の父とも呼ばれる正力松太郎氏にも遡ることになります。
この件に関しては、別文にて述べさせていただきます。
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