目次へ戻る

 

水素爆発の責任は、菅首相ではなく東電

201161

宇佐美 保

 

私は不思議でなりません。

福島原発の水素爆発などの諸問題に於いて、何故東電が、真っ先に、非難のやり玉に挙がらず、菅首相ばかりが吊るし上げられているのでしょうか?!

 

 先の拙文≪菅直人氏は私達の恩人では≫にて、福島原発の圧力容器、格納容器の水素爆発を救ったのは菅さんの功績が大と書きましたが、原発建屋が水素爆発ですっ飛んだのは菅首相の勝手な原発訪問が原因である云々と盛んにマスコミや国会で菅批判の罵声が飛び交っています。

 

 でも、下記に引用掲載させて頂きます『週刊金曜日(2011.5.27号)』の記事を読みますと、菅首相が(勿論、福島原発の吉田所長らの決死の努力と共に)折角、格納容器の水素爆発を防いだのに、「非常時に建屋内の圧力が高まった際、圧力を逃がすため自動的にパカッ″と開く「ブローアウト・パネル」」の東電による設計ミスの為(それよりも、地震の影響と私は考えるのですが)「パネルは開かず、水素爆発にいたった」との結論を得るのです。

 

 ここで私は“「ブローアウト・パネル」」の東電による設計ミス”と書きましたが、記事の中では“東京電力によると、第一原発一〜三号横のいずれにもブローアウト・パネルは付いていたものの、パネルが開くほど圧力が上昇しないまま水素が充満し、地震の揺れでもパネルは開かず、水素爆発にいたったという。

 

 ここでの「東京電力によると……パネルが開くほど圧力が上昇しないまま水素が充満し、……パネルは開かず、水素爆発にいたった」は、「ブローアウト・パネル」」の設計不良と追及されて然るべきです。

 

 それよりも、「東北電力女川原子力発電所……地震の揺れで、タービン建屋の(圧力を調整する)ブローアウト・パネルが開いてしまった」が、福島原発では女川原発の逆に「地震の揺れでブローアウト・パネル開かなくなってしまった為、建屋が水素爆発した」と推測するのが妥当と存じます。

 

 東電は、今回の福島原発事故の原因を、全て想定外の津波に押し付けて、地震による被害をひた隠しているように思えてなりません。

何故、マスコミはこのような事実を(ベントの際には、フィルターを通してベントする対策が葬られていた点も含めて)問題視しないのでしょうか?

(まだマスコミは、東電からの莫大なCM料金を期待している(否!貰い続けている)のでしょうか?)

 

 週刊金曜日は、広告費に頼らずに出版されている週刊誌です。

この種の雑誌を私は応援したく存じます。

 

 では、問題の『週刊金曜日(2011.5.27号)』の記事を次に掲げさせて頂きます。

 

福島原発でブローアウト・パネル機能せず

 

 五月上旬、東日本大震災で被災した東北電力女川原子力発電所(宮城県女川町)を訪れると、二号機と三号磯のタービン建屋の外壁に、鉄骨の足場が組まれていた。

また、原発の岸壁では重油タンクが横倒しになっていた。

 女川原発近くに建つ民家は徹底的に破壊され、津波の激しさを物語っている。

 地震と津波被害について東北電力に確認すると、横倒しになった重油タンクは「暖房用の重油タンク」で、非常用電源とは直接関係ない施設。一方、三号機タービン建屋外壁の足場は、「地震の揺れで、タービン建屋の(圧力を調整する)ブローアウト・パネルが開いてしまった」ため、それを閉めた上で足場を組んでいるという。

 ブローアウト・パネルは、非常時に建屋内の圧力が高まった際、圧力を逃がすため自動的にパカッ″と開くのだが、今回は地震の揺れで開いてしまったそうだ。同様の設備は、タービン建屋のほか、原子炉建屋にも装備されている。

 放射性物質が大気中に放出されたとしても、建屋が爆発することで大量の放射性物

質が放出されるよりはましだという発想で設置されている。

 なお二号機の足場は、地震の揺れで壁にヒビが入り、それを補修するために設置しているとの回答。

「ヒビの深さは壁を貫通するほどではない」と、東北電力では説明する。

 女川原発三号機は二〇〇二年一月、同原発二号機は一九九五年七月に稼働を開始している。原発の型は、東京電力・福島第一原発と同じ沸騰水型(BWR) である。

 そこで、ブローアウト・パネルが福島第一原発にも装備されていれば水素爆発は避けられたのか、昭和の時代に作られた原発は古すぎて装備されていなかったのか、などを東京電力に確認した。

 東京電力によると、第一原発一〜三号横のいずれにもブローアウト・パネルは付いていたものの、パネルが開くほど圧力が上昇しないまま水素が充満し、地震の揺れでもパネルは開かず、水素爆発にいたったという。ボタン一つでで開くような仕組みもなかった。

 ではなぜ、二号機は爆発しなかったのだろうか。東京電力では、三号機の水素爆発の爆風で、二号機のブローアウト・パネルが開き、水素が大気中に放出されたため、爆発を免れたとみているのだという。

 放射性物質を閉じこめなくてはならない建屋に、圧力上昇時には放射性物質を含むガスを逃す設備を設置しなくてはならないこと自体が矛盾だ。しかも、福島第一原発事故では役に立たなかった。

  明石昇二郎・ルポライター

週刊金曜日 2011527848号)

 

目次へ戻る