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真実だとしたらとても怖い話

2009722

宇佐美 保

麻生首相は21日、自民党両院議員懇談会で、“私の発言が、「ぶれている」と捉えられる事によって・・・”旨の不思議な謝罪(?)をされました。

 

「ぶれていると捉えられた」の表現では、麻生氏ご自身は「ぶれ」ていないのに、勝手にマスメディアが「ぶれている」と報道したと、ご自身の「ぶれ」をマスメディアに責任転嫁しているのは、いかにも麻生氏らしいと思いました。

 

 麻生氏は、「郵政民営化」に対して「ぶれた態度」を取っていませんでしたか?!

“郵政民営化に反対だった”、“否!賛成だった!”と、ご自身が自主的な見解なく政治活動していることを露呈されていましたが?

 

 このような麻生氏は、日本郵政による「かんぽの宿等の70施設」をオリックス不動産に一括、たたき売り大安売りに対してストップをかけた鳩山邦夫総務大臣に対して、日本郵政の六月の株主総会で西川社長を含む取締役を一新するよう指示しながら、この指示がなかったかのごとく、鳩山氏を更迭して、西川社長を再任しました。

では、この場合、自主的な見解を持たない麻生氏を如何なる力が操ったのでしょうか?

 

 

小泉純一郎氏(当時首相)は、野党やマスコミから
郵政民営化は、毎年、米国から日本側への「年次改革要望書」に強制されての事ではないか!”
と攻撃される度に、
“私は、首相の座に就く前からの郵政民営化論者であって、
米国に強制されているのではない”旨を、
やけに胸を張って答弁していました。

 

 でも、へそ曲がりな私は、

米国側が、郵政民営化を主張していた小泉氏を適任者と看做し
小泉氏を日本の首相の椅子に座らせたのではないか?”

と疑っておりました。

(そして、たった一人で、自民党に立ち向かって行き、多勢の自民党員を押さえ込む小泉氏の力はどこから湧いてくるのかと不思議でなりませんでした)

 

 そんな私の目に、ある雑誌の次のような記述が飛び込んで来ましたので、パタパタと膝を打ったのでした。

 

 

 田原総一朗氏(ジャーナリスト)と、田勢康弘氏(元日本経済新聞)が、
小泉純一郎氏を食事に招き、総裁選への立候補を促した

 

 

 といった内容でした。

なにしろ田原氏は、その頃では“『アメリカの虎の尾を踏んだ田中角栄』(「中央公論」(一九七六年七月号)の田原氏の記事)を覆す米国の公文書が発見された”とか言って、自説を否定され、どちらかと言うと米国側に傾いておられるたのです。

 

『アメリカの虎の尾を踏んだ田中角栄』の記事に関しては、『日本の真実 副島隆彦 編著:成甲書房』から引用させて頂きます。

 

 

ロッキード事件は、発覚の直後から、「田中角栄がロッキード事件に絡んで訴追されたのはアメリカの謀略が背後にあったからだ」という議論が多くなされている。これについては、(1)田中角栄が「日中国交正常化」をアメリカに先駆けて七二年九月に行った、(2)アメリカの石油メジャーを通さない独自の資源外交を角栄が目指していた、これらの点を中心に説明されている。

 

 この議論を呼び起こすことになった直接のきっかけとなったのは、元テレビ東京プロデューサーで現在は「サンデー・プロジェクト」(テレビ朝日系)の司会者として有名な田原総一朗氏が「中央公論」(一九七六年七月号)に書いた一本の記事だった。この『アメリカの虎の尾を踏んだ田中角栄』という記事の中で田原氏は、「田中角栄は一九七三年夏頃から、世界中を巡って、アメリカのいわゆる『石油メジャー』のような大資本からの原油供給に依存しないための日本の資源外交の基礎をつくろうとしていたその行動が原因でアメリカのロックフェラーを中心とする財界に疎まれて失脚させられたのだ」という説を展開している。

 

 

もう一方の田勢氏は、小泉氏登場後にテレビ朝日の「報道ステーション」のコメンテーターとして「小泉擁護発言」を展開したりしていましたから、私は、“成る程!成る程!この3人の会食の裏では米国の某筋が糸を引いているのだな”と、独り合点しました。

 

 この件を私のホームページに披露しようとしていたのですが、この独り合点を他に裏付ける資料を見つける事が出来ませんでした。

 

そうこうしている内に、この雑誌が我が家の中で行方不明となってしまったのです。

(もう、何年も(?)何ヶ月も家中引っ掻き回しているのですが、未だ見つかりません)

 

 

 それでも、『週刊金曜日(2008103日号)』には、ニューヨーク市立大学教授の霍見芳浩氏は、次のように書かれておられます。

 

・・・これまでに判明していることがある。米国政府がとくに、一九五一年のサンフランシスコ講和条約直前にA級戦犯を解かれた岸信介の要求を入れて、岸の政界復帰のためにCIAの対外工作機密費から毎年、資金と政治的援助を開始して以来、自民党の代々の首相や派閥のボスたちは、「米国の日本探偵(エージェント)」として、CIAの機密費を受け取ってきた。このために国務省とCIAは協力して、自民党の首相や派閥ボスたちについて、詳細な「人物と信用調査ファイル」を作成している。

 〇一年一月、ブッシュは小泉より一足先に米大統領になり、四月の日本の自民党総裁選挙では裏から小泉支持に回った。「ブッシュのポチ」としてしつけやすいと見抜いたからだった私の聞くところでは(ブッシュにごく近い筋から)、小泉ファイルを土台にした心理分析で、ブッシュと似た性格で、おだてと脅しの使い分けで自由に操作できるとの人物八卦だった。万一の場合、脅しの種としていくつかのメニューがあったとされる。私がCIA筋から開いた話では、小泉が慶應義塾大学四年生の春に起こしたデートについての不行跡、そしてロンドンヘ逃避(留学名目)した事情がある。

 

 

(この霍見氏の記述を目にした時点でも残念ながら、先の雑誌は行方不明のままなので、「私の独り合点」は私の胸の奥に仕舞い込んでおきました)

 

 更には、霍見氏は、次のようにも記述されておられました。

 

 米国民の関心から日本が消えて久しい。二月四日の大統領選挙へ向けて、オバマ候補(民主党)とマケイン候補(共和党)は、「私こそ、米国の内外の難問を解く大統領にふさわしい」との売り込みに懸命である。・・・

 それでも、オバマとマケインの両陣営の中には、来年一月の大統領就任を手中にするのを予定して、米国の対東アジア政策の一つとして、これまでのブッシュの対日姿勢を続けるべきかを考えている者もいる。彼らにとっては、九月一日の福田辞任表明も別に驚きでもなかった。麻生が公明党のボスと組んで「福田おろし」に暗躍していたのを知っていたからだ。

・・・・・・
 麻生太郎の極秘ファイルに
は、これまでの政治歴と腹黒い寝技が記されているのは間違いない。そして、秋葉原オタク好みの本人の浅慮と無教養。これは歴代の自民党首相の特徴だから別に驚くに値しない。
・・・

 もちろん、CIAは英国のMI6諜報機関と協力して麻生太郎の英国留学中の言動に加えて、太平洋戦争中の麻生炭坑での英、米、加、オーストラリア兵端虜や中国人・朝鮮人連行の強制虐待労働の実態も調べ上げている。また、麻生自身がアフリカのザンビアのダイヤモンド採掘の監督人として麻生鉱山から一年半派遣されており、この間に不法ダイヤモンドをめぐるザンビア人虐待の血なまぐさい話もある

 

 

 この霍見氏の見解から、冒頭に記述しました「郵政民営化」に対する麻生氏の「ぶれ」の背景が私なりに推測できるのです。

 

 

 しかし、先の拙文《ノーブレス・オブリージと日本人》に於いても書かせていただきましたが、大学教授として米国に身を置きながら、臆せず米国批判をも展開する霍見氏を私は尊敬します。

 

 

 

 なにしろ、『売国者たちの末路(副島隆彦 植草一秀 対談本 (祥伝社2171日 10日第2刷))』の203ページには、次の副島氏の発言もあるのですから。

 

 

 

政治評論家の森田実さんはテレビから追放処分を受けました。森田さんは、フジテレビの「めざましテレビ」にレギュラー出演していたのですが、突然、出られなくなりました。その理由は、郵政民営化の裏側の真実を森田さんが暴いたからです。

 5社・5社に合計で5000億円が流れた。郵政民営化法(200510月成立)のために日本国民を煽動する。その宣伝広告費として、アメリカが日本のメディアに5000億円を投入した。テレビを使って日本国民洗脳をやったと森田さんが書いて、それでテレビに出演できなくなりました。森田さんから私は直接、聞きました。

 テレビ局の社長が、森田さんにはつきり言ったそうです。「電通の意向があって、森田先生はわが社ではもう使えない」と。こういう恐ろしい事実があるのです。森田実さんの言葉を拝借すれば、今の日本のテレビはまさに国民に向けられた刃物になつている。

 

 

 そして、このような発言をされる副島氏ご自身も「監視されている」と次のように話されておられます。

 

 

 私も最近は、普通の電車には極力乗りません。なるべく新幹線を使い、都内では主にタクシーです。これは自分を守る基本です。

 私自身の経験で言えば、この何年か、都心のホテルや喫茶店で私が人に会いますと、必ず変なのが寄ってくる。わざと隣の席に座って、盗み聞きしている。もうかなりの回数です。しかも、私が「あっちへ行ってください」と言っても聞こえないふりをする。私が「なぜこんなに私に寄ってくるのか。いったい何者ですか」と尋ねても、黙ってじっと身構えて知らん顔する。普通の人が、隣の席の人からそう言われたら「何ですか、失礼な」とか答えるでしょう。でも彼らは何も答えない。

 先日も、ホテルのティー・ラウンジで出版社の編集者と話をしていたら、変な男が公然と私に寄ってきて後ろ向きに座る。空いている席がたくさんあるのに、わざと私たちの隣に座って、コンピュータをパテパテ叩くふりをしながら、一生懸命こちらの話に聞き耳を立てている。このように私も監視されているのだと思います。話の内容を聞いて、それを組織の上のほうに報告するのでしょう。

 携帯電話の電源を入れておくと、その持ち主の居場所が分かるようです。GPS機能で分かってしまう。そして通話内容までパケットを開いて盗聴していたら、それは憲法21条が定める「通信の秘密」を侵していることになる。だから重大な犯罪です。

 ただ、おもしろいのは、彼らは5時で帰る(笑)。だから公務員だと思います。私がこうなのですから、植草さんは確実にマークされている。

 

 

 

 このような副島氏ですから、私などと違って、もっと確信があって話しておられると思うのですが、前述した私の独り合点以上に、“そんな恐ろしい事が実際に行われたのだろうか?”と疑うほどの具体的な推論(?)を、同じ本の7273ページに披露されておられます。

ただ、霍見氏の記述(私の聞くところでは(ブッシュにごく近い筋から)、或いは、私がCIA筋から開いた話云々)のような具体的な証拠が提示されておられないので、ここでの引用は控えさせて頂きますが、是非とも『売国者たちの末路副島隆彦 植草一秀 対談本)』を御覧頂きたく存じます。

 

 

 そして、この副島氏の記述の尻馬に乗って、私の独り合点をここに載せさせて頂いた訳であります。

そして、そして、副島氏の推理が、「真実だとしたら、とてもとても本当に怖い怖い話」であります。

 

 

(補足)

 

 経済アナリストの森永卓郎氏のホームページ(「かんぽの宿売却問題は大疑獄事件の一端である2009302日)から、一部を抜粋させて頂きます。

 

森永卓郎氏のホームページから「簡保の宿の問題点の抜粋
1

 かんぽの宿売却問題は、見れば見るほど不可解なことばかりである。

 最大のポイントは、宮内氏(筆者注:オリックスグループのトップ)は誰がどうみても小泉・竹中改革の同志であるという点にある。つまり、仲間うちで取引しているのではないかということが一番の疑惑なのだ。

2

小泉・竹中構造改革の同志である奥谷禮子氏の場合だ。

 

 奥谷氏といえば、厚生労働省の労働条件分科会委員という立場で、「過労死は自己管理の問題」と発言して物議を醸した人物である。

 

 今から約2年前になるが、彼女が代表取締役社長を務める人材派遣会社ザ・アールが、20032007年の4年間に、郵政公社時代から研修の仕事を7億円近く受注していたことが「しんぶん赤旗」(2007年3月18日付)で報じられた。日本共産党の吉井英勝衆院議員の資料要求に対して、日本郵政公社が明らかにしたものだ。「マナー向上プログラム」「営業スペシャリスト要請研修」「電話応対スキル向上研修」といった研修に対して、郵政公社から年間1億数千万円の巨費が支払われていたのである。

 

 もちろん、ザ・アールは入札を経てこの仕事を獲得している。だが、誰もが疑問に思うだろう。なぜこうも改革の仲間たちばかりが、うまい仕事にありついているのか。

 

 しかも現在、奥谷禮子氏は日本郵政株式会社の社外取締役なのである。これでは仲間うちの取引だと疑念を持たれても仕方がないのではないか。

3 郵政公社では業務の効率化を図るとして「トヨタ方式」を導入したことが知られているが、その際に20022007年度の5年間に3億円近くのコンサルティング委託費用を、トヨタ自動車に支払っていることが、やはり同紙で指摘されている。そしてまた、トヨタ自動車取締役相談役の奥田碩氏も小泉・竹中改革の同志であり、日本郵政株式会社の社外取締役なのである。
4

西川社長を外してかんぽの宿問題を徹底追及すべし

 まだまだおかしなことがある。かんぽの宿売却の際に、最終的には全額は払われなかったものの、メリルリンチに対して成功報酬を含めて6億円以上のコンサルティング費を支払う予定になっていたという。

 

 

以上は森永氏の掲げた疑問点を箇条書きで抜粋させて頂きました。

 

 

 それにしましても、

改革の為の痛みを暫く我慢して欲しい”との小泉氏の宣言を私達は真に受けて、
彼を容認して、苦しみを耐えてきました。

そして、その苦しみは一層酷いものとなって行きます。

 ところが、小泉氏の御仲間だけが、こんなにも甘い汁を吸い続けていて良いのでしょうか!?

 

 そして、霍見氏の「〇一年一月、ブッシュは小泉より一足先に米大統領になり、四月の日本の自民党総裁選挙では裏から小泉支持に回った」の記述が事実ではないと、小泉純一郎氏が反論されるなら、小泉氏は引退し息子を自民党から立候補させる愚行を断念し、日本の建て直しに、再度、たった一人で立ち上がっては如何でしょうか!?


(補足:2009年9月14日

 

霍見氏が紹介された、麻生氏の福田氏降ろしへの暗躍ぶりは、小沢一郎氏の親友(心友)であり、政治面でのバックボーンである平野貞夫氏の著作『わが友・小沢一郎 株式会社 幻冬社 200955日発行』にも暴露されています。

 

 

福田首相は秋の臨時国会に向けて、82日、内閣改造に踏み切る。……

 しかし、福田首相のこの改造には誤算があった。それは自民党幹事長に前年の総裁選で戦った麻生太郎氏を起用したことだ。もともと自民党内には、福田内閣の支持率が低迷していたことから「福田首相では総選挙を戦えない」と首相交代を望む声が強まっていた。そこで行われたのが麻生氏による「クーデター」である

 私が関係者から聞いたところによると、麻生氏は就任直後の8月下旬、創価学会の幹部と会談し、「自分が首相になれば、公明党が主張する定額減税を実施する」と約束を交わしたという。

財政再建を目指す福田首相は、この定額減税には消極的で、公明党との関係はぎくしやくしていた。そこにつけ込んで、麻生氏は公明党の支持母体である創価学会に「公明党の主張を実現するから、自分を首相にしてほしい」と要請したわけだ。

この情報は福田首相のもとにも入った。秋の臨時国会が民主党との対決で極めて厳しい状況になることが確実な中、自分を支えるはずの幹事長が、連立相手の公明党と手を組んで、「福田降ろし」に動いたのである。これでは政権がもたないことは明らかだ。そして、福田首相は91日、安倍前首相に続き、任期1年足らずで、突然辞任を表明することとなった。「私はあなたと違うんです。客観的に自分を見ることができるんです」という辞任の記者会見での言葉は、「福田降ろし」に動いた人たちへの痛烈な皮肉だったに違いない。

福田首相の辞任表明を受けて、自民党では922日に総裁選が行われ、麻生氏が選出された。……



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