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電気は電子の流れではありません

2013年5月2日 宇佐美 保

 朝日新聞(2013年4月27日付け)の「ののちゃんのDO科学」の解説の中で、「ののちゃん」と「先生」の対話形式で、次のように“電気は電子の流れ”と説明されていました。


ののちゃん 電気が「流れる」って、よく聞くよね。水が流れるのは目に見えるけど、電気はいったい何が流れているの
藤原先生 電気の正体は「電子」とい一つとても小さい粒よ。……
のの それで明かりがつくのは?
先生 銅線でつないだ乾電池と豆電球を考えてみましょうか。
豆電球で光を出すフィラメントの中には、電子の流れをじゃまするとても小さな障害物がたくさんあるの。
電子はあちこちにぶつかりながら
1秒にlaくらいのスピードで流れ、そのせいでフィラメントが熱くなるの。……

 

 悲しいことに、現在では、このように“電気は電子の流れ”と誰もが信じ込んでいます。

 

このような解釈は、

電気の世界では、「開放端:いわばスイッチを切った状態」では、完全反射現象が発生する

現象を蔑ろにしているのです。

この現象に関する次の「図:1」による実験結果をご覧ください。

  

 (尚、下図の2本の同軸ケーブル長は、両者とも1bで、右側のケーブル末端は、開放端:いわばスイッチを切った状態です。

1:同軸ケーブルはテレビアンテナ用の断面が円形形状のケーブルと同等のケーブルです

2:図の差動プローブの端子は、テスターの端子に、ほぼ相当します)


 

 この「図:1」の状態では、

“右側ケーブルの末端(差動プローブ(3)の測定地点)が、スイッチを切った状態(断線状態)ですから、電流は流れない”

と言うのが一般的な常識ですが、

「電気の世界」では「電流の反射現象」が存在します

 従って、電源(パルスジェネレータ)から、右端まで行った電流は、「完全反射」され、電源へ戻ります。

 

この現象は、電源から電流が流れ続ける間、常に発生します。

この件を確認する為に、パルスジェネレータから、発信時間が500ナノ秒、即ち、周波数1MHz1ボルト)の1パルスのクロック信号(方形波信号)をケーブルに排出し、「図:1」の各プローブでの検出電圧変化として、次の「測定結果:1」が得られます。

 

  

 このように、「結果1-1」のように電源から電気信号が出力されている間は、常に、断線状態であるケーブルの末端へも、「結果:1-3」に見ます様に電流は流れ続けているのです。

そして、そこで電流は完全反射され電源へと戻って行きます。

(∵ 各測定電圧は、出力電圧が1Vに加えて反射電圧の1Vが加算されて、2Vが観測されています。

但し、テスター(内部抵抗にかかる電圧を測定)では、1Vが観測されるでしょう)

 

 この反射現象の測定結果から、

先ず、従来の一般常識の一角“金属に電圧をかけると「電子」が「プラスの電極」に引かれて加速されて動きだすので電流が流れる”が崩壊します。

何故なら、「マイナス電極」とプラスの電極は、「図:1」の右端で(スイッチが切られた状態で)分断されているのですから、「電子」が「マイナス電極」からプラスの電極へと引き付けられもしないでしょうし、更には、マイナス電荷の電子」が「マイナス電極」へ戻って行くには、どのような力で引き付けられるのでしょうか?

 

 この反射現象の結果は、「結果1-2」の「抵抗間電圧の測定結果」からも明らかです。

即ち、先ず、電源の「マイナス電極」から出力されてくる「マイナス電流」が、「図:1」の差動プローブの端子の当たり状況から「マイナス電圧」が観測されますが、その後、末端から反射され戻ってくる「マイナス電流」は、先の差動プローブの端子の当たり状況の関係から、「プラス電圧」と観測される為に、出力波と反射波が相殺し合い「電圧ゼロボルト区間」が発生します。

 その後、抵抗まで流れて来る出力電流が途絶えた後は、それ以前に抵抗を通過した電流の右端の開放端からの反射波のみが「プラス電圧」として観測されています

 従って、

電圧ゼロボルト区間」は、全く電流が流れていないのではなく、往きと帰りの電流が相殺し合った結果、ゼロボルトと観測されるのです。

 以上の測定結果、考察から、冒頭に掲げた従来説“電子の流れをじゃまするとても小さな障害物がたくさんあるの。電子はあちこちにぶつかり……そのせいでフィラメントが熱くなるの……”も崩壊します。

 

 この件を、更に次の「図:2」で再確認します。

従来理論では、電灯、懐中電灯などのスイッチ(「図:2」のように)を切っても電灯は点灯したままになるでしょう。

なにしろ、従来説の「電流は電子の流れ」であるなら乾電池からでた「電子」は、(先に示しました「電圧ゼロボルト区間」)でも、電球の抵抗体を行き来することになります。

 

 

 

このような状態では、「電子」は、電球の抵抗体内の「障害物」に往きで衝突、帰りで衝突し、
スイッチを入れた状態より
2倍の頻度で衝突を繰り返すのですから、
スイッチを切った方が、電球は
2倍の明るさで輝くことになってしまいます。

 しかし、現実は、スイッチをオフにすれば、電球は点灯しません。

 

 以上の結果、考察から、 電流は電子の流れ、且つ、電気抵抗は、電子と障害物との衝突」である”との従来説は崩壊するのです。



(補足)

 

 “電気は電子の流れではありません”との上記の考察をより明確にするために、拙著『コロンブスの電磁気学』(新装改訂カラー版 第1巻)2章 第1節 TEMでのクロストーク」の一部を(「注」を加えながら)下記に掲載いたします。

 2章 第1節 TEMでのクロストーク

 

 本来は、「電話の漏話」通りに、序の「図:1」に於いて、「閉回路Aに流れると同形の電流が「閉回路Bに流れるのです

 

この実証実験を、次のように、銅の平板(幅:10mm、厚さ:2mm、長さ:1m)の4枚を用いて、「図:1-2」(「写真:1」)、「図:1-3」(「写真:2」)、「図:1-5」(「写真:3」)の3種類の伝送路系(銅板間のスペース:1mm)を組み立てました。


(注:「伝送路」とは「図:1」に於ける「同軸ケーブル」のように「電気」を運ぶ2本の導体(電線))
 

 そして、これらの、「図:1-1、-2、-3、-4、-5」は、「図:1-1」の入力伝送路(閉回路A)から、「図:1-5」の隣接伝送路(閉回路B)への移り変わりを示しています。

 

 

そこで、入力伝送路(閉回路A)である最上部と最下部の銅板のみを電源につなぎ、そこへ500MHz1ボルト)の1パルスのクロック信号(いわば、「直流」を「手動スイッチ」の代わりに、トランジスタでオン/オフした信号)を入力して、この上下の伝送路と、その間に挿入した2枚の銅板が形成する伝送路に対して、入口部から、0255075100cm(末端部)の位置で電圧波形変化を差動プローブで測定して、次の「測定結果:1」を得ました。

 

尚、直接入力される図の上下2枚の銅板(入力伝送路)で観測される波形は「入力波」、入力されていない2枚の銅板間で観測される波形を「非入力波」と表示しました。

(「非入力波」一般的な用語では、「クロストーク」となります。

縦軸は電圧、横軸は時間経過です)

但し、ここで閉回路ABと称していますが、実際は両回路の末端はオープン状態です
注:「図:1」に於ける「同軸ケーブル」の末端がショート状態、あるいは抵抗で結ばれている場合は、「閉回路」と称されますが、今回は、その状態ではないのでオープン状態

 

  

 この測定結果に於いて、特に「写真:3」(「図:1-5」)の場合(即ち、2枚の銅板よりなる入力伝送路(閉回路A)に、隣接して設置された隣接伝送路(閉回路B)の測定結果から、入力伝送路を入力波が進行すると共に、同形のクロストーク波形(ここでは「非入力波」と表示)が、隣接伝送路(閉回路B)を進行している様子が判ります。

(注:更には、「入力伝送路」並びに「隣接伝送路」共々、その末端は、冒頭の「図:1」の同軸ケーブルの場合同様に、オープン状態:開放端:いわばスイッチを切った状態」ですから、その末端からの「入力波」と同型の「反射波」が観測されています

(ここで、「従来のクロストーク論」の退場が決定づけられます)

では何故ファラデーは誤解したのでしょうか?・・・・・・・・・


 この続きは拙著『コロンブスの電磁気学』(新装改訂カラー版第一巻)をご高覧ください。

 

 この測定結果に見ます様に、電源からいわゆる「プラス電荷」も「マイナス電荷(電子」の直接的な補給が考えられない非入力側にもその末端まで電流が流れていることが判ります。

 

 

以上の実験結果から、従来の“電流は電子の流れ説”が完全に払拭されるのです。

(尚、従来認識されている電線の接続は、「直列接続」「並列接続」とも、いわゆる「電荷の直接的補給」が可能な状態ですが、その他に、「図:3&4」のように、いわゆる「電荷の直接的補給」が不可能な状態での接続方法の存在を発見し「図:1」接続の形状から縦列接続と私が勝手に命名しました)

 このように、

「非入力側(隣接側)」の伝送路にも、「入力側」の伝送路と、同じ電気信号が流れていることが確認されるのですから、


なんと《ファラデーの電磁誘導の法則》が否定されるのです。


《ファラデーの電磁誘導の法則》が否定されるということは、

《マクスウェルの方程式》も否定されざるを得ないのです。

 では、電流とは何なのでしょうか?

この件に関しては、拙著『コロンブスの電磁気学』(新装改訂カラー版 第1巻)の『第3章 縦列接続の発見』の内の特に「第5節 電流は、導体を堤防とする電磁子集団の流れ」をご参照ください。

 

 又、抵抗の件は、前著『コロンブスの電磁気学』(新装版第一巻)の『第3章第9節 抵抗に関する私見』にても記述しました。

更には、「電気の世界での反射現象」は理解しにくい現象ですが、拙著『コロンブスの電磁気学』(新装改訂カラー版 第1巻)の『第6章第2節第3項 伝送路での反射現象』をご参照ください。


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