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イチロー選手は凄いけど松井選手はより凄い(改)

2004年10月3日&7日

宇佐美

 マリナーズのイチロー選手は、大リーグの年間安打数(1920年にジョージ・シスラーが樹立した最高安打記録:257安打)を2本上回る259安打の新記録を、1日(日本時間2日)に樹立しました。

大リーグに移って4年目にして、大リーグに於いて長年打ち破れなかったこの記録を打ち破ってしまったイチロー選手は確かに偉大な打者です。

 

 そして、朝日新聞(10月3日)には次のような記事もありました。

 

 外国人に記録を破られる時。日本では、王貞治ダイエー監督(64)の持つ1シーズン55本塁打の日本記録が、85年阪神のバース選手に、01年近鉄のローズ選手に破られかけたが、投手の敬遠などが続いた

 01年当時、ダイエーのコーチだった若菜嘉晴さん(50)は「記録を持つ大ヒーローである王さんがベンチにいた。目の前で破られたくない、という気持ちはチーム全員が強く持っていた」。イチローの記録達成を見て「今思えば、内向きな発想だったかもしれない」と振り返った。

 

 ですから、下種の私は、相手投手が、ボール臭い球ばかりで責めてきたり、デッド・ボールが増えたりするので、イチロー選手は新記録を樹立出来ないのかもしれない?との懸念を抱いていました。

 

 でも、この点は、大リーグは実にフェアーでした。

 

そして、このイチロー選手の偉業に対して、ヤンキース・松井秀喜選手の談話が、「nikkansports.com」(http://www.nikkansports.com/ns/baseball/mlb/p-bb-tp2-041003-0012.htmlに次のように紹介されていました。

 ヤンキース松井秀喜外野手(30)はイチローの快挙達成に気の利いたコメントが思い浮かばなかった。「すごい。すごいの一言しかない」。イチローが4年連続200安打を達成した際には「自分にはあり得ない数字」と話していた。そこからさらに59本も上積みしたのだから、松井には別世界の出来事にしか考えられないのだろう。……

 

 しかし、ここで、松井選手が同点ホームランを打ち、又、9回裏に四球で出塁した後、ウィリアムズのサヨナラホームランで、ヤンキースが地区優勝を決めた時のsanspo.com の記事を参照させて頂きたいのです。

http://www.sanspo.com/mlb/top/mt200410/mt2004100201.html

 

 先ずは、トーリ監督の談話です。

 ◆ヤ軍のジョー・トーリ監督(64) 「もちろん、同点ホームランも大きかったが、きょうのマツイの打席で一番大きかったのは、九回の四球だ。あれが試合の中で最も重要だった。……

 

(このトーリ監督の発言の趣旨を、他の記事などを色々、つなぎ合わせて補足しますと、

「“2死無走者だったら”本塁打は出なかった。1死一塁だから出た。」と言うのは、「2死無走者だったら、ウィリアムズはホームラン狙いの打撃となり、結局は凡退してしまったろう、しかし、“1死一塁だから”こそ、ウィリアムズは「つなぐ野球」を心懸け、ヒット狙いの打撃を行い、それが結果的には、ホームランとなった」との事になるのです。

 

 更に、次の記事も掲載されています、

 

 2年目の真価は9月に問われた。レッドソックスの猛追で、最大ゲーム差「10・5」から「2・0」まで迫られた。松井秀も首から左肩にかけてを痛め、自己ワーストの18打席連続無安打と、どん底…。そんな窮地で迎えた9月6日のデビルレイズ戦。トーリ監督から、今季3度目の4番に指名された。

……

 以後23戦中、20戦で4番に座り、20戦中15勝。今季通算では22試合で打率・345、6本塁打、17打点と堂々たる数字。キャンプ前、地元紙の予想打順は8番だった。今では辛口の地元メディアもチームメートも「4番はヒデキ」と口を揃える。「皆、ヒデキによく聞いて、ならえ」。15日のロイヤルズ戦の前にも、トーリ監督が号令を出していたほどだ。

 指揮官が求める「チームの勝利を優先する打者」。その理想の4番像こそ、2年目の進化でつかんだ一番の勲章だった。 ……

 

 何故、松井選手が、トーリ監督を初め、チームメートや地元メディアからの信頼が厚いのでしょうか?

それは、松井選手が、この記事にある「チームの勝利を優先する打者」だからなのでしょう。

 

 確かに、松井選手は、ヒットを打った後、故意に、1〜2塁間で挟殺されて、2塁走者のホームへの突入をバックアップする等の走塁面に於けるチームプレーも有名です。

 

 更には、ヤンキースが松井選手の同点ホームランと、ウィリアムズのサヨナラホームランで、ヤンキースが地区優勝を決めた時のトーリ監督の次の談話を思い起こして欲しいのです。

(「MAJOR. JP」(10月1日)のホームページ(http://www.major.jp/news/news.php?id=2004100139)より)

 

 特別な選手(ウィリアムズ)が特別なことをしてくれた。マツイは同点本塁打も大きいが、9回の四球が大きい。2死無走者だったら本塁打は出なかった。1死一塁だから出た。

 

 この様に、トーリ監督は、奪四球の多さも含めて常々松井選手のチームへの貢献度を評価されています。
 

 次に、この「チームへの貢献度」を、今シーズンの打撃成績(10月3日時点での)を、見比べながら、松井選手とイチロー選手の働きぶりを比較してみましょう。

 

次の表は、nikkansports.com major.jp.com 等から引用し、足りない欄は私が計算し補足しました。

 

選手名

打率

















出塁率

長打率

イチロー

.372

161

762

704

101

262

24

5

8

320

60

63

49

4

2

3

36

11

.413

.455

松井秀喜

.298

162

680

584

109

174

34

2

31

305

108

103

88

3

0

5

3

0

.390

.522

 

 

 プロ野球は、勝つことを目的に戦われます。

その為に、打者は、得点を上げることに全力を傾注しなくてはなりません。

そして、その得点を上げるには、打者としては、少なくとも2次の点を心懸けなくてはなりません。

 

1.              自分が塁に出て、ホームに帰ってくる。

2.              塁に出ている、他人を、自分の打撃で(塁を進めたり)ホームに帰ってくるようにする。

 

 先ずは、第1項目の「自分が塁に出て、ホームに帰ってくる」の成果を現す指標の一つは、「得点」です。

 

そして、この「得点」では、松井選手は109得点と、イチロー選手の101得点を、凌駕しています。

 

 しかし、この得点に関しては、いかに自分が数多く塁に出ても後続のバッターが凡退を繰り返してしまっては、その数字は低迷してしまいます。

 

ア・リーグ西地区の最下位チームのマリナーズに所属するイチロー選手と、東地区首位のヤンキースに所属する松井選手ではこの点で、イチロー選手にハンデがあるかもしれません。

 

そこで、打者自身が如何に出塁するかの目安は、一般的には、安打数であり、打率であります。

この「安打数」「打率」では、「262&.372」のイチロー選手が、174&.298」の松井選手を大幅に上回っています

 

しかしこの、安打数、打率には、先のトーリ監督談話にあった「四球」の効用が、盛り込まれていません。

そして、この四球(更に、死球も)を安打数に加えて評価する「出塁率」が計算されています。

(この時、注意する点は、打率を求める際の分母は、「打数」であり、出塁率を求める際は「打席数」(=打数+(四球+死球+犠打+犠飛)数)です。)

 

この「出塁率」でも、イチロー選手は「.413」と、松井選手の「.390」を上回っています

 

 しかし、この評価方法でも、不十分です。

なにしろ、安打数をカウントする際は、単打(1塁打)も、2塁打、3塁打、本塁打も皆同じ、1本として評価されます。

(例えば、同じ安打数が、100本の選手でも、単打だけで100本の選手よりも、(こんな事はまあありませんが)本塁打だけで100本の選手の方が、断然打者としての価値がある訳です。)

 

 この点を考慮して、一般的には「長打率」が計上されます。

(即ち、同じ安打でも、単打は1,2塁打は2,3塁打は3,本塁打は4との係数を掛けて、「安打数」の代わりに、「塁打数」を計算して、この塁打数を、打数で割ったのが「長打率」です。)

 

 この「長打率」では、松井選手は、「.522」と、イチロー選手の「.455」を大幅に上回っています

 

 それでも、残念なことに、この「長打率」には、松井選手が評価される四球数などが考慮されていません。

 

そこで私は独自に、塁打数と四球数(含死球数)を考慮した、「獲得塁数」を計算してみました

(即ち、「獲得塁数」=「塁打数」+「四球数」+「死球数」)

 

この「獲得塁数」の計算結果は、「399」の松井選手が、373」のイチロー選手を凌駕します

 

 

 次に、「獲得塁率」として「獲得塁数」を打席数で割って求めます。

当然、打席数の少ない松井選手は「.587」と.490」のイチロー選手を遙かに凌駕します

 

 しかし、イチロー選手は、36個の盗塁をしているのに対して、松井選手の盗塁数は、僅かに3個です。

 

 そこで、獲得塁数を考えるには、この盗塁数も加える必要があるでしょう。

但し、イチロー選手は、36個の盗塁を成功させていますが、11個も盗塁で塁を失っていますから、この分を盗塁数から差し引かなくてはなりません。

ですから、イチロー選手の盗塁効果は、25(=3611)個となります。

松井選手は盗塁死ゼロですから、松井選手の盗塁効果は3そのものです。

 

 そこで個の盗塁効果を、先の「獲得塁数」、に加えて(いわば、獲得塁(含む盗塁数)数)を再計算しました。

この「獲得塁数(含む盗塁効果)」に於いても、松井選手は「402」個で398」個のイチロー選手の上となります

 

 「獲得塁率(含む盗塁効果)」に直せば、尚更、松井選手は「.591」で.522」のイチロー選手の遙か上となります

 
 従って、この結果から、松井選手が、「得点」に於いて、「109と、イチロー選手の「101を上回っている原因が、彼の属するヤンキースが強力な打線を有しているからだけではないことが判ります。

なにしろ、松井選手の獲得した塁の全数は、イチロー選手のそれより、4(=402―398)と若干多い上に、ホームラン数は23(=31―8)も多いのですから、松井選手の得点数がイチロー選手の得点数を上回って当然なのです

 

(又、この意味からも、大リーグでは、打点と共に得点が重要視されることが判ります。)

 

更には、松井選手の今シーズンの打順は、殆ど、5番以下であって、ヤンキースの1番から3番のジーター、A.ロドリゲス、シェフィールドという強打者のバックアップを殆ど受けることがなかったのです。

それにも拘わらず松井選手が高得点を上げた裏にはこういう数字的な裏付けがあったのです。

 

今季の松井秀の打順別成績表

打順

試合数

打数

安打数

打率

本塁打

打点

 6

 24

 4

.167

 1

 3

22

 84

29

.345

 6

17

33

119

35

.294

 5

26

52

189

58

.307

12

41

46

 16

47

.288

 7

21


(上の表は、sanspo.comより抜粋しました)

http://www.sanspo.com/mlb/top/mt200410/mt2004100202.html

 

 その上、頭書に掲げた打者としての重要条件の第2項である「塁に出ている、他人を、自分の打撃で(塁を進めたり)ホームに帰ってくるようにする」を評価する最も一般的な数値としての「打点」に関しても、松井選手は「108」を上げて60」のイチロー選手に大差を付けているのです。

 

 そこで、以上の、イチロー選手と松井選手のチームの勝利への貢献度に関する数字を、次表に改めて纏めてみました。
赤数字はイチロー選手の勝ち青数字は松井選手の勝ちを表わしています。)


得点 安打数 打率 出塁率 長打率

獲得

塁数

獲得

塁率

獲得塁数

含盗塁効果

獲得塁率

含盗塁効果

本塁打 打点
イチロー 101 262 .372 .413 .455 373 .490 398 .522 8 60
松井 109 174 .298 .390 .522 399 .587 402 .591 31 108


 この様にして、打者としてのチームの勝利への貢献度を基準にして、イチロー選手と松井選手の成績を見比べてみれば、松井選手が如何に「チームの勝利を優先する打者」であるかを納得出来ると思います。

(その上、今シーズンも松井選手は全試合出場の記録を継続しています。)

 

 ですから、次のような松井選手のチームメート達の賞賛の声に納得するのです。

(上表と同じくsanspo.comより抜粋しました)

 

 ★ヤンキース戦士ゴジラ称賛の声

 ◆ヤ軍主将のデレク・ジーター内野手(30) 「だれも今季の活躍には驚かない。昨季以上の本塁打を打つとみんな予想していた。1年目も素晴らしかったけど、2年目でチームに欠かせない重要な選手になった。よく野球を知っていて、ウチに必要な細かいことができるのも大きい」

 ◆バーニー・ウィリアムズ外野手(36) 「最も大きな違いは自信だ。昨季は大リーグの投手に慣れるのに少し時間がかかり、当てるだけの打撃が目立ったが、今季は自信をもってバットを振っている。相手の特徴や攻め方を覚えて戸惑わなくなったのが、本塁打が増えた理由だろう」

 ◆アレックス・ロドリゲス内野手(29) 「淡々と自分の仕事をこなす素晴らしいチームメートだ。チームのだれもが敬意を抱いているよ。彼のプレーだけでなく、自己管理や報道陣に対する姿勢に対してね。このチームにふさわしい選手だ。それにみんなが思っている以上に面白い奴で、英語も分かっている。何度も笑わされているよ」

 ◆ゲリー・シェフィールド外野手(35) 「チームメートとしてパーフェクトだ。ベストでハードなプレーを毎日続ける。個人的なことは全く知らないけど、プレーや報道陣への対応などを見ていると、グラウンドの内外で若手にもベテランにも模範にされる選手だと思う。二死で走者が得点圏にいるときの勝負強さには感心させられる」

 ◆ドン・マッティングリー打撃コーチ 「松井を指導するのに『よし』『だめ』『素晴らしい』という日本語を覚えたんだけど、一番多く使ったのは『素晴らしい』だった。打席での忍耐強い姿勢、安定した打撃にはシーズンを通して感心させられた。チームメートからも信頼されていて、4番にも異論はない。1、2試合打てなくても、きっと松井は打つはずと信じられているんだ」

 

 この様な点から、下種の私は、「イチロー選手は凄いけど松井選手はより凄い」と感じ入っているのです。

 

 そして、更に、李啓充氏が週刊文春(2004.9.30)に書かれた「大リーグファン養成コラム「イチロー自分勝手」の批判」に納得するのです。

(全文を引用させて頂きたいのですが、一部をカットして引用させて頂きます。)

 

ESPNマガジン』最新号に、元ニューヨークタイムズのヤンキース番記者だったバスター・オルニーが、面白い記事を書いていた。

 オルニーによると、80年代に低迷したヤンキースが90年代に入って強くなったのは、チームワークを重視したチーム編成をしたからだという。特に、92年に監督に就任したバック・ショワルター(現レンジャース監督)は、「チームプレーヤーであるか否か」を基準に、残すべき選手と放出すべき選手を選別した。……

 かくしてショワルターの眼鏡にかなったのが、ジーター、ポサダ、ウィリアムズ、リベラ、今もチームの「核」として活躍している選手達だ。……

……2001年以降にヤンキースに加わった選手の中で、「ふさわしい」と認定されたのは、シェフィールド、ゴードン、松井の三人だけという厳しい査定だった。

 オルニーは、松井について、闘志溢れるプレーで人気があったポール・オニール(01年引退)を彷彿させると褒めちぎったが、松井に続いて、99日には、セントルイスの地元紙が、「究極のチームプレーヤー」と田口を激賞した。

 と、松井・田口が褒められたのは嬉しい限りなのだが、悲しいことに「チームのことを考えていない」と、厳しく批判されたのがイチローだ。よりによって、ジョージ・シスラーのシーズン最多安打記録挑戦中のイチローが、なぜ「自分勝手」と非難されるようになったのだろうか?

 そのきっかけは、989日と、2試合続けて2死二塁の場面でセイフティ・バントを試みたことにあった。2回とも結果はアウトだったが、「バントが成功しても点は入らない。打率1位とヒットで走者を返す確率の一番高い選手が、なぜバントなのか?」と、批判が噴出したのである。

 イチローは、「守備側はバントを警戒していないから、打ちにいってヒットになる確率よりもバントが成功する確率の方がはるかに高い。2死一、三塁とチャンスが広がる上に中軸につながる」とバントの理由を説明したが、残念ながらイチローの説明に納得する向きは少ない。仮にイチローが言うようにバント成功の確率が6割と高率であったとしても、「バントが成功した上に次打者のウイン(打率286厘)がヒットを打って点が入る確率」は、0.6×0.286172と、イチローが普通に打ちにいって点が入る確率(=打率)378と比べるとはるかに小さいからである。

 アメリカのファンには、イチローのユニークなバント「美学」をロジックとして受け入れることはむずかしい。イチローが記録を破ることを応援しているだけに、「守備側が警戒しない場面でバント安打を決めたいのか。チームの勝利よりも記録が大切なのか」と結論づけて、ガッカリしているのである。

 (1死二塁の場合ならイチロー選手の主張は正当化されましょうが、実際は2死でしたから、一人でもアウトになれば得点ははいらないのですから、李啓充氏の確率に基づく見解に私は同意します)

 この記事の内容を裏付けるイチロー選手の発言を嘗てテレビで耳にしました。

それは、イチロー選手が、所属するマリナーズの、ア・リーグ(西地区)で最下位からの脱出策を質問された際、

“チーム・メートが各々自分達の持ち味を発揮するようにすれば良い”

と答えていました。

 

 なんだか、このコメントは、毎年パ・リーグの下位を低迷していたオリックス時代のイチロー選手のコメントのようにも感じました。
(
ジーター選手を筆頭に選手達が互いを盛り上げようとしているヤンキースベンチ風景と、淡々としているマリナーズベンチ風景には大きな差を、テレビを見ながら私は感じています。)

 

 更に、セ・リーグで優勝を決めた中日ドラゴンズに関して、朝日新聞の記事(102日)には次のようにも書かれていました。

 

 落合監督の持論は「今は4番の一振りで勝負を決める時代じゃない」。代わりに掲げたのが「つなぐ野球」。立浪は「効率的に、どう1点を取るか。みんなが、それを考えていた」。チーム本塁打106本はリーグ最低だが、97犠打、32犠飛と犠打飛の合計は最多だ。

 

 この立浪選手の発言からも、先に掲げた、イチロー選手のバントに対するアメリカのファンの非難に納得するのです。

 

 この落合監督の発言は、先に掲げたトーリ監督の発言と類似していると私は感じます。
更に、トーリ監督の言葉を受けての松井選手の発言が、週間文春「松井秀喜独占インタビュー」(
2004.1014)に掲載されていました。
そして、ここでの松井選手の発言は、立浪選手の発言に大変類似していると私は思いました。

 

―― 九回の四球はトーリ監督が「ホームランより価値があった」と絶賛していました。

「そうですね(笑)。あのシチュエーション(九回一死無走者)では、まず塁に出ることですから。前にも言いましたけど、打順には関係なく、その打席の状況に応じたバッティングができたということで、監督からも評価してもらえたんだと思います。決してホームランを打ったりヒットを打つことだけでなく、ああいうフォアボールや守備、走塁ということもちゃんと監督が見てくれているというのは前から感じていることですから.選手として嬉しいですね

 

(トーリ監督の下でプレー出来る松井選手は幸せ者だと、私は常々思っています。
そして、その幸せを引き寄せたのも松井選手自身の力だとも思っています。)

 

 更には、次の言葉もあります。

 

数字に縛られると、野球を楽しくできなくなっちゃいますから!! だから僕は数字は追わない。あくまで結果として捕らえているので、一喜一憂もしませんね。

 やっぱり勝つということにどれ抱く執着できるかだと思うし、そのために何ができるか何ができたかということの方が、断然大きいと思いますよ。

 

 松井選手のヤンキースは、ア・リーグ東地区の覇者です。

イチロー選手の所属するマリナーズは、首位から29ゲームも離された西地区のダントツのビリ・チームです。

 

チーム 勝ち数 負け数 勝率
ヤンキース 101 61 .623
マリナーズ 63 99 .389


 ヤンキースとマリナーズの、勝ち数負け数が、ほぼ逆転しています。

そして、不思議なことに、

シーズンの後半、このダントツ最下位のマリナーズを解雇されて、ヤンキースに拾われたオルルッド1塁手は、攻守好打でヤンキースの優勝に貢献しました。


更に、

シーズン半ば迄、マリナーズで勝ち星がさっぱり挙がらなかったガルシア投手は、ホワイトソックスにトレードへ出されて、最終的には今期の防御率は0.381と、リーグ第7位の好成績(1311負)を収めました。

また、 

 シーズン前に、タイガースへトレードに出された、ギーエン内野手は、ア・リーグの打撃成績では、打率:0.318と第6位(その上、得点打点共に、97)の好成績を上げています。

ギーエン選手は、ガルシア投手がトレードに出される際、「良かったね……」との電話を掛けたとの記事?(テレビ解説者の話?)を以前見た?(聞いた?)ことがあります。

マリナーズというチームが、何処か、おかしいのではありませんか?

 

 イチローの年間262安打の大リーグ新記録は立派な記録です。

でも、ヤンキースの強打者で、イチローと共にア・リーグのMVPを争っているゲリー・シェフィールド外野手の談話が東京中日スポーツのホームページに載っていました。

http://tochu.tokyo-np.co.jp/00/ichiro/20041006/spon____ichiro__000.shtml

 

 スポイラ誌のインタビュー記事の中で、シェフィールドはイチローについて「200本のシングルヒット? おいおい、そんなのはグレートな打者とは言えないぜ」と切り出し、いきなりいちゃもんをつけた。そして「もし、オレがボールをハードに打ってスタンドに入れることを考えなければ、毎日でも単打を打つことができるね。ほかの打者だって、そういうふうに打席に立てば、単打くらい打てるさ」と言い放った。……

 

 (尚、シェフィールド選手は、先の李啓充氏の記述2001年以降にヤンキースに加わった選手の中で、「ふさわしい」と認定されたのは、シェフィールド、ゴードン、松井の三人だけ」の内の一人です。

そして、余談ですが、彼の奥様は、ヤンキースタジアムで、地区シリーズ開催前に、米国国歌を素晴らしい声で歌え上げておられました。
私はシェフィールド選手が大好きです。)

 

 確かに、イチロー選手は忘れ去られていた走塁等の野球の楽しみを思い起こさせてくれた偉大な選手です。

そして、その記録は大記録です。

(でも、今回の私の考察では、「ギネスブック的な記録」とも感じられます。)

 

イチロー選手は「飛び抜けて立派な野球少年」です。

しかし、松井選手は、ヤンキースのチームメートからも尊敬されている「立派な野球選手」です。

 

 

 嘗て、イチロー選手と松井選手の対談がテレビから流されました。

その際は、イチロー選手は、

一年先輩であるイチロー選手に、松井選手はもっと敬意を払え

と主張していました。

 

 アメリカに渡って活躍している今でも「先輩、後輩」等と日本的な拘りを持つイチロー選手から、とても奇異な印象を受けました。

 

 更に、昨年の大リーグのテレビ放送の中で、イチロー選手は、チームメートに

“松井選手は、コンタクト・ヒッターだ”

と語っていました。

(コンタクト・ヒッター:ボールに上手くバットを当てることに優れている打者で、長距離打者ではない。)

 

 でも、松井選手は、今年、31本のホームランを放っています。

更に、二年連続で100打点以上を稼いでいます。

(大打者(長距離打者)の証明である、100打点、30ホームラン、3割以上をあわやマークする勢いでした。)

 

 イチロー選手は、大記録を達成した今、(松井選手の優れた点をも取り入れて)

とてつもなく立派な野球少年」から
とてつもなく立派な野球選手」に


脱皮して戴きたいと、下種の私は願っているのです。

 

 

(補足)

 朝日新聞(10月2日)には、次の記事が載っていました。

 

小泉首相は2日昼、米大リーグ・マリナーズのイチロー外野手が年間最多安打の大リーグ新記録を達成したことについて、「もうすごいの一語に尽きるね。これだけの偉大な選手はもう当分出ないんじゃないかな。天賦の才能に加えて、人一倍の努力。偉大だね。どんな称賛の言葉を言っても、言い過ぎることはない」と述べ、祝福した。

 国民栄誉賞を授与するかどうかについては、「あげてもあげなくても、すばらしい。偉大だ」と語った。東京・東五反田の仮公邸で記者団の質問に答えた。

 

 小泉首相は、どの程度、イチロー選手の成績の内容を理解しているのでしょうか?

小泉首相は、全ての物事を上辺だけでしか捉えることが出来ないように、私は感じます。

こんな人物が、いつまでもこの国のトップを担い続けて居て良いのでしょうか?!

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