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亀井静香氏よ静かにしてくれ

2002年8月24日

宇佐美 保

 8月21日朝日新聞には、“前自民党政調会長・亀井静香氏 強者の論理は認めない”との古い自民党を象徴する見解を披露していました。

しかし、紙面では、亀井静香氏の時代遅れの見解をそのまま記載するだけで何も反論をしていません。

そこで、私は彼の見解を一件づつ反論したいと思います。

 (以下の抜粋文の下線は私が施しました)

 ――景気低迷の中で、「結果平等主義」が活力をそいでいるとの批判が強まっています。

 「強者の論理を私は絶対に認めない。戦後の日本は経済の平準化を目指し、成功した。一部の勝者が富を握りしめ、悲惨な敗残者を生む競争は一見、社会の活力を感じさせるかもしれない。しかし、国全体として果たして幸せなのだろうか」

 「私は経済効率は落ちても北海道から沖縄まで皆が住み着き、親兄弟と暮らすことを認める。都会の人の論理は、過疎地の人に交通網の発達した都市への引っ越しを強いるも同然だ。地方の道路など非効率だからこそ政治がやるべきことがある。東京以外に生まれても均等な機会を提供しなければならない。自民党の9割は私と同じ考えだ。『古い』と言われるのが嫌で、みんな黙っている」

 日本人誰でも「経済効率は落ちても北海道から沖縄まで皆が住み着き、親兄弟と暮らすことを認める」との気持ちを持っていますよ。

特に、狭い住居、排気ガスの中で暮らし、満員電車で通勤する都会人は、尚更の事、綺麗な空気と美しい自然の中で暮らす事を夢見ているのです。

 

しかし、日本人の収入の30分の一の中国国民が、今の彼らの生活水準が落ちても良いからのんびりと暮らしたい等と我々同様な思いだとは、亀井氏ご自身も考えていないでしょう。

そして、日本人の多くは、このまま日本の経済効率が落ちて行き、やがては、日本国民の収入と中国国民との収入が逆転する日の到来を心配しているのです。

 

バブルが弾けたとはいえ、何故、資源に乏しい日本がアジアやアフリカのどの国よりも豊かな生活が出来ているのでしょうか?

亀井氏は、「神の国日本は何も努力をしなくても豊かな生活が出来るように神様が守っている」と思っているのでしょうか?

お金が天から降ってくるとでも?

亀井氏の「自民党の9割は私と同じ考えだ」との見解は、以前NHKテレビで、90歳でも矍鑠とされているP・F・ドラッガー氏が現在の日本の問題点として「都市部に80%の人口が集中しているのに、農村部の人口が依然として70%と認識しているかの如き政治家達」を指摘していた事を思い起こさせられます。

亀井氏は、卵(お金)を産む鶏(都市部)への配慮をお忘れのようです。

 

 

 ――従来の支持者に基盤を置いた政策は、自民党離れを加速させませんか。

 「日本に絶対的な貧困はなくなった。自民党が社会政策を手厚くやってきた成果だ。しかし、利害対立の調整を政治が放棄すれば必ず、敗者からの反撃が起きる。組織的な革命の時代ではないが、犯罪という形で敗者の反逆が起きる。そうならないために敗者復活の機会を作り、皆がそれなりの人生を送るための税制や福祉サービスなどの財政措置が必要という主張は共感を得られるはずだ。失業者に金を配るより、働く機会を用意する方が人間の尊厳が得られるやり方ではないか」

 

 「日本に絶対的な貧困はなくなった。自民党が社会政策を手厚くやってきた成果だ」こんな思いあがった発言する亀井氏は、勤勉な国民を舐め切っているのでしょう。

多くの日本人は、日本を食いつくす族議員たちを信頼できないから、「日本に絶対的な貧困はなくなった」とは信じることが出来ないのです。

そして、自衛のために預金に励んでしまうのです。

「失業者に金を配るより、働く機会を用意する方が人間の尊厳が得られるやり方ではないか」との亀井氏をはじめとする族議員は、公共投資の約30%を道路に、そして、10%を下水道整備に振り向けていますが、同じ公共投資をするにも、このような単に働く機会を与えるだけでない、より発展性のある事業を掘り起こす努力をすべきではありませんか?

 ――高速道路や整備新幹線の建設促進など公共事業「積極派」ですね。

 「道路公団を民営化してしまえば、採算性を気にして新線が造れなくなると言うが、国家の大動脈の整備まで民間に任せて良いのか。そんなことを言う都会の人は、警察を民営化してガードマンを雇えばいい。日本は官と民との混合経済でうまくやってきた」

 「私が政調会長の時、無駄な公共事業233カ所をばっさり切った。しかし、公共事業すべてが無駄であるはずがない。東京にあまたある開かずの踏切を解消する公共事業が無駄だろうか。本当の無駄を知りつつ、政治家や役所の先輩を気にして惰性で事業を継続させている官僚はたくさんいる。官僚にうまく知恵を出させて、最後は政治家が判断すれば良い」

 

民間の宅配便が発達する前は、小包を郵便局が一手に支配して、“小包には十文字に紐をかけろ”とか、文句ばかり言われた上に、肝心の配達日数は1週間近く掛かっていたのをお忘れですか?

ところが今、民間による宅配便で、ほぼ翌日には全国どこへでも配達してくれます。

民間の宅配便は、いまや、国民の大動脈も毛細血管の役目も果たしてくれています。

 

 警察に関しては、警察関係出身の亀井氏は最もよくご存知と思いますが、相次ぐ不祥事などを抱える警察の将来をどう考えているのですか?

民間には(主に警察関係のOBなどが運営しているのでしょうが)警備会社がどんどん出来ています。

そして、民間人も、その警備会社に身の安全、家族の安全を託しています。

いっその事、一日中、町を(配達で)巡回している宅配便の車に、パトロールをも依頼したらどうでしょうか?

そして、24時間営業しているコンビニに交番の役目も果たして貰ってはどうでしょうか?

いまや語り草になりつつある日本の治安の良さは、警察が築き上げたのですか?

 戦後まもなく、小学校の先生の、“デンマークなどでは、公園に鞄を置き忘れても、鞄は誰にも盗まれず、翌日その場所へ行けば、何事も無かったように又鞄を持ち帰ることが出来る。”との話に吃驚したものです。

でも、つい最近には、日本は世界一安全な国になったのです。

それは警察の力ですか?

いいえ、日本が豊かになったからです。

 

 更には、亀井氏は、「日本は官と民との混合経済でうまくやってきた」と宣いますが、「官と民が癒着」して、更には族議員も癒着して、エイズ問題、狂牛病問題、そして、高速道路の大幅赤字問題を引き起こしてきたのではないですか!?

東京にあまたある開かずの踏切を解消する公共事業が無駄だろうか。」とおっしゃるなら、何故“都市計画道路”を整備しないのですか?何故“地方の高速道路”ばかりに拘泥するのですか?

 ――国債の大量発行をまだ続けるのですか。

 「子孫には借金だけでなく、社会資本も残す。国債残高は確かにでかすぎるが、外国から借りていない。基本的には日本国民から政府へ財産が移動しているだけ。暴落はない。格下げを恐れて国債発行を絞るより、景気刺激による経済活性化で税収の上昇を狙う方が的確だ。政府の借金で国民が不安になって消費しないというのはインチキ。国民は終身雇用制、可能な限りの経済平等主義や家族のきずなとか、日本的な良き生活パターンが崩れていることが不安で、自己防衛に走っている」

 借金で、社会資本(高速道路、下水道など)を子孫に残すとおっしゃるれども、社会資本は築いてしまえば、それで終わりではないのです。

その後には、保守管理が不可欠なのです。

ソ連時代に築いた今のロシアの社会資本は、国の財政がガタガタの今、その保守が出来ずにガタガタと崩れかかっているではありませんか。

日本もその保守のために更に借金を続けるのですか?

 

日本国民から政府へ財産が移動しているだけ」とは、まるで泥棒ではありませんか!?

日本国民の誰がこんな事に、賛成しているのですか!?

腐り切った政治家(族議員)たちが、好き勝手に国民の税金を撒き散らし、その尻拭いに「国債」を乱発して、その「国債」を郵貯、銀行に買わせ、その郵貯、銀行の金はどこから?と言うと、国民が郵便局銀行へ預け入れたお金なのです。

毎年、国家財政の半分も国債発行で賄っていたら、何時その国債の金が国民に償還されるのですか?

(どこの家庭だって、毎年年収の半分も借金していたら、返済不可能に決まっています。

2001年度末の国債残高は389兆円(当初予算ベース)、国と地方の長期債務残高は合計666兆円、そして、預金等の個人金融資産が約1400兆円ですから未だ当分余裕があるとでも思っているのですか?

これでは、国民の預金が、経営に苦しむ中小企業(或いは大企業)に、向けられる筈はありません。

こんな馬鹿げた話はありません。とても世界に誇れる話ではありません。世界中の笑い者になってしまいます。

 それに、亀井氏は「政府の借金で国民が不安になって消費しないというのはインチキ。国民は終身雇用制、可能な限りの経済平等主義や家族のきずなとか、日本的な良き生活パターンが崩れていることが不安で、自己防衛に走っている」との説ですが、国民が預金しているのは、終身雇用制などが崩れる前からです。

その国民の蓄積で今、政府は何とか生き延びているのではないですか?

 

数ヶ月(?)前、テレビ東京の番組「WBS」中で、ニューヨーク市立大教授の霍見氏は、番組出演中の亀井氏に、直接この言葉“腐り切った政治家”を叩き付けました。しかし、その後不思議なこと?いや当然な事に?霍見氏を、テレビ画面でお目にかかる事が出来なくなりました。

 

――小泉改革をどう評価しますか。

 「改革の名にも値しない。改革の前提となる経済が破滅的な方向に進んでいる。青木建設がつぶれて『構造改革』とはあぜんとする。私が党政調会長代理の時、郵貯や公的年金などの運用資金を証券市場につっこみ、PKO(株価維持)をやった。経済はトレンドだ。一時的にでも上向きに持っていかなければならない時がある。経済が縮小している今、会社や予算を切りきざむのは悪循環だ。アクセルを踏むべきところでブレーキを踏むという簡単な間違いを犯している」

 

 「経済はトレンドだ」とほざく亀井氏は、まるで頓珍漢ではありませんか!

戦後の復旧、田中角栄の列島改革に、そして、バブルに踊って箱物を作りまくった時代に、増殖し増大した建築関係の会社は、その数をそして規模を縮小するのが当然ではありませんか!

「郵貯や公的年金などの運用資金を証券市場につっこみ、PKO(株価維持)をやった」などとは全くの罪悪ではありませんか。

なぜ株価維持が必要なのですか?

「株価は市場に任せろ」が経済の常識ではありませんか!

現状の株の値下がりは、株価の正当な価格への回帰現象ではありませんか。

(この件に関しては、文芸春秋2001年5月号に神谷秀樹氏(ロバーツ・ミタニLLC会長 フランス国立ボンゼジョセ大学客員教授)は「それでも日本の株価は高すぎる」の中で、“株式相場の見方がちがうのは唯一日本人だけ……株の世界には株価の値ごろ感をはかる、一つの基準があります。 それが株価収益率(PER)です。”と書かれています。

その記事を補って私は、“出鱈目な経済評論家(200228日)”を書きました。)

 

日本での株価維持の必要性が云々されるのは、無責任な銀行(企業)等の幹部たちが、「ババ抜き同様の株や土地のバブル」の音頭取りをして、会社の資金をババに注ぎ込んで、会社の屋台骨を傾かせてしまったからではありませんか。

彼等はなんら責任も取らず多額な退職金までネコババしているのに、何故彼らの穴埋めを「郵貯や公的年金などの運用資金」で行うのですか。

 こんな腐りきった政治家に国民の金である「郵貯」などを勝手に使わせないためにも、小泉首相の方針通りに、郵便貯金も民営化すべきでしょう。

 

かって、私の友人は、“中曽根首相(関係筋?)が仕掛けた株の仕手戦に誘われて、一口乗せて貰ったけど、売り時を間違って利益を得られなかった。”とぼやいていました。

政治家は、株に手を染めてはいけないのです。

 

 私は、亀井氏のような日本の政治をガタガタにした腐り切った政治家、族議員たちの一掃こそが構造改革と存じます。

 

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