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戦後、新聞は、どのような人達を育て上げたのか?

199955

宇佐美 保

 

 私は、殆ど朝日新聞だけを購読してきました。

それに、朝日ジャーナル、週刊朝日をも信奉し続けていました。

私の友人知人達も、同じように朝日新聞を購読し続けています。

でも、随分前から、朝日新聞には失望しています。

 どうも、朝日新聞と共に育ってきた仲間の多くは、“自己の権利”は、実に御立派に主張しますが、“義務の遂行”は口先だけでさっぱりです

 空き巣泥棒(補足を御参照下さい)の追跡中に、お一方以外に、自発的に参加してくれなかった事実はこの良い例だと思います。

 私は、常々、今回の泥棒の追跡中“大通りの通行中の男性達”の無関心の行動の基調の、“君子、危うきに近寄らず。”の風潮を作り上げてしまったのは、朝日新聞だと思っています。

(私の記憶では、随分以前でしたが、朝日新聞は、この“君子、危うきに近寄らず。” の風潮を煽る記事を、書いていたのでした。)

 

 つい最近の朝日新聞の紙面に、『一般市民が、携帯電話で、警察に連絡を取りながら犯人を逮捕』と云った見出しを、目にした時は、「やっと、“君子、危うきに近寄らず。”の風潮が払拭されて行くのだなあ。」と嬉しく思いました。

でも、がっかりしました、記事の最後には、警察のコメントとして、

一般市民が、犯人を追うのは、危険なので控えて欲しい。

旨を書き添えていました

 

 この警察のコメントは、あくまでも建前のコメントであったはずです。

ですから、朝日新聞は、この“携帯電話を使っての市民協力”と言う今迄全く考えられなかった素敵な方法を、もっと世の中にアッピールし、構築して行くべきなのに、彼等は、まるで自分達が築き上げてしまった“君子、危うきに近寄らず。”の風潮を正当化すべきコメントで、“新しい市民協力の方法”を育てる義務を怠ってしまったのです。

 

 警察の「建前のコメント」に従って、今回私達が犯人を追跡しなかったら、今回の犯人は、「この7年間、逮捕暦無し」の実績通りに逃げおおせた事でしょう。

なにしろ犯人自身が、『こんなに追いかけられたのは初めてだ。』と漏らしたのですから。

 

 そして、朝日新聞が、オピニオン・リーダーとしての役割を全うし、

“携帯電話による、新しい市民協力”

をもっとアッピールしてくれていたら、二人の男の子達は、携帯電話にて(知人へではなく)警察へ連絡を取りながら、私のずっと後方から、(安全な位置を保ちながら)、付いて来てくれたでしょう。

そして、最後の、犯人確保の通報もしてくれたでしょう。

(若し、犯人を見失ったり、犯人が凶器を持っていたりして、取り逃がしても、最新情報が警察へ通報されていたでしょう。)

 

 そして、“君子、危うきに近寄らず。”の風潮が無くなり、他の人達も、例え遠巻きでも良いのです、参加してくれれば、犯人へのプレッシャーになるのです。

 そして、決して、犯人に近付く必要はないのです。

犯人を、皆で包囲してしまえば良いのです。

 

(このような、市民協力方法のあり方を、何故あの『一般市民が、携帯電話で、警察に連絡を取りながら犯人を逮捕』の記事の中で、或いはその後でも、キャンペーンしてくれなかったのでしょう。

 

 

(補足)

空き巣泥棒の逮捕

 

 1.)空き巣泥棒発見の経緯(隣様からの伝聞)

 

 空き巣泥棒の発見者は、ご被害に遭われた被害者様の隣人の隣様でした。

 

 1-1.)前日に、隣人の被害者様宅が留守になることを聞いていた。

 1-2.)当日ご自宅の三階の窓から、被害者様のインターホンを鳴らしている男を発見

 1-3.)その、30分後、又同じ男が、インターホンを鳴らしているのを発見。(その間も、その男は、被害者様宅周辺をうろついていた。)

 1-4.)不審な物音を、被害者様宅から聞く。

 1-5.)隣様、私の家に相談に来られる。

 

2.)泥棒追跡の経緯

 2-1.)隣様が訪ねて来られて、『被害者様のお宅に泥棒が入っているみたいなのですがどうしましょう。』

   「先ずは、様子を見に行きましょう。」

   (最近、“コンビニに押し入った泥棒を、木刀でもって取り押さえた”と言う新聞記事を思い出し、何か棒切れでも持って行こうと思いましたが、適当な物が身近にありませんでしたので、手ぶらで、それに履物は、スリッパでした。)

 2-2.)被害者様宅に着ますと、お留守のはずなのに、1階の、窓が開き直ぐ閉りました

   これで中に泥棒がいることが明らかになりました。

   そこで、「警察には、電話しましたか?」

   『未だです、Aさんにでも頼みましょうか?』

   A様の玄関のブザーを押しましたが、でも「お留守かな?」と思っていると、隣様が、大声で『逃げた!逃げた!』と叫びました。

 

 2-3.)直ぐに、隣様の後を追い大通りの方向に走りました。

    隣様の先を、駐車場の方へ曲がって逃げる、黒っぽいスーツで痩せ型の犯人を目撃しました。

 2-4.)隣様は、『泥棒!泥棒!』と大声で叫びながら、スニーカを脱ぎ捨て、靴下のままで、駐車場南面の、塀に勢いよく飛びつきました。

 2-5.)そこで、私も「泥棒!泥棒!」と叫びながら、犯人を挟み撃ちにしようと思い、大通り側から廻り、駐車場南面側の路地に走りました。

 2-6.)でも、犯人はその路地には現れませんでしたので、大通りに戻りましたら、高校生風の二人の男の子(一人は徒歩、一人は自転車)が、『犯人は、向こうの方へ逃げていったよ。』と指差してくれました。

 2-7.)そこで、私は「一緒に来てくれ!」と頼みましたら、『えっっ!』と言いながらも一緒に付いて来てくれました。

 2-8.)又、「泥棒!泥棒!」と叫びながら、大通りを走りました。

 2-9.)小柄な白髪の男性一人だけが、一緒に『泥棒泥棒!』と叫びながら追跡に参加してくれましたが、

他の道行く人達は、全くの知らん顔でした。(「一緒に追ってくれたら、とても心強いな。」と思われる、ビニールの買い物袋を持った男性も、全くの無関心でした。)

   途中から、この男性も追跡を諦めようとしましたので、「未だ一緒に追って下さい!」と叫びましたら、又、一緒に『泥棒泥棒!』と叫びながら追跡を続けてくれました。(隣様は、私とはぐれてしまっていました。)

 2-10.)私が、ある建物の角を左に曲がろうとしたら、先の二人の男の子が、『もう一本向こうの道だと思う。』と教えてくれました。

 2-11.)そこで、次の道を、曲がった途端、その奥の方で、犬がさかんに吼えているのが聞こえました。(確かに、犯人は、この近くにいると確信しました。)二人は、彼等の知人に、『今、泥棒を追っているんだ。』と携帯電話を掛けながら、付いて来てくれました。

 2-12.)そして、その路地の右手の畑に面した一番奥のお宅の庭先を、上着を脱ぎ腕に抱え込み、逃げて行く犯人を発見しました。

 2-13.)そこで、犯人を追い詰め、犯人を確保しました。(この時は私独りになっていました。)

 2-14.)犯人確保の際は、「犯人が武器を持っていたら嫌だな。」と思いましたが、「まあ、その時はその時だ。」と思って、「もう逃げるなよ!」と云って犯人の肩に手を掛けましたら、犯人は、『もう疲れたから、逃げないよ。こんなに追い駆けられたのは初めてだよ。』と言って観念しました。

 2-15.)その後は、犯人と肩を並べて、B様宅前まで来ましたところ、犯人が、右の畑の方へ行きましたので、又、畑の中へ逃げ込まれては大変と思い、犯人の身体を掴み、再度「逃げるなよ!」と言ったところ、又、『もう疲れたから逃げないよ。』と言いながら、B様宅の前に置かれていた、資源回収のカゴの上にへたり込み(勿論、カゴは、グンニャリしてしまいました)『冷たいジュースが欲しい。』と言いました。

 2-16.)その頃には、廻りに人が集まってきましたので、その人達に「“犯人を確保した”と、警察に電話して下さい。」と頼みましたら、一人の奥様が、大通りの方へ20〜30メートル走り、右側のどなたかの家に入り、暫らくして戻って来られました。そして、

事情が判らないので、電話出来ないと断られてしまいました。』

と言われました。勿論、その声は犯人にも聞こえますから、「“未だ、警察へ連絡が取れてないのか。”と言った安心感を犯人に与えて、犯人が暴れだしたり、又、逃げ出したりしたら困るなあ。」と思いました。

 2-17.)そこで、B様宅のブザーを押して、B様に、警察への連絡を取って頂きました。

 2-18.)パトカーが来るまでに、犯人に、「何故こんな泥棒したのよ。」と問いましたら、『競輪でスッテしまったから。』と答えました。

 2-30.)犯人は、パトカーに乗せられ、私は別のパトカーで、調書の作成の為に、警察へ連れて行かれました。

 

3.)警察での調書並びに逮捕状の作成

 この調書の作成は、刑事さんと私とがテーブルを挟んで、一対一で行われました。

それに、刑事さんが、カーボン紙を用いてその場で書き取りながら、作成するのでとても時間が掛かります。

 調書の最後は、別室で取り調べられている犯人の面通しを行い、調書の確認を行い指印を押して完了でした。

 それから、逮捕状の作成を待ちました。

 (逮捕状は、完成したばかりの調書を参考にしながら、私達の別室で、刑事さん達?が作成してました。)

 一度完成して、指印を押しましたが、この逮捕状を別の方がチェックして、作り直しとなりました。……

 

 

4.)今回の事件で思う事

 

 4-1.)玄関先のインターホン、ブザー

   犯人は侵入前に、インターホンで不在を確認しているのですから、留守の際は、外部でインターホンのボタンを押しても、

押した人物に、内部でインターホンが鳴っているのかどうか判らないようにしておいた方が良い

のでしょう。

   (長い間留守にする際は、インターホンのスイッチを切っておくとか?インターホンのボタンに“故障”の札も貼っておくとか)

 4-2.)大声を出して犯人の追跡

   先ず始めに隣様が大声を出して犯人を追い、私もそれに習って「泥棒!泥棒!」と叫びながら犯人を追いました。

  その結果、自発的には、白髪の男性一人しか、犯人追跡に参加してくれませんでした。(勿論、ゴキンジョ様の息子さんも参加してくれましたが、)

   ですから、友人が、

最近は、“泥棒!”って叫んだら、みんな関わるのを嫌がって誰も出てきてくれないんだよ。そう言う時は、“火事だ!”と叫んだ方が良いんだよ。

と言ってくれました。

   でも、私は、「泥棒!」「泥棒!」で良かったのだと思います。なにしろ、一人の方は自発的に参加して下さったのですから。それに、「泥棒!」「泥棒!」の声が犯人に届きますから、犯人には相当のプレッシャーを与える事が出来たと思います。

 

 

5.)「警視総監賞」を授かる

 今回の空き巣事件にて、私と隣様とは、警視総監賞を授かりました。

 この警視総監賞は、一般人ではなかなか手にする事は出来ないと警察署署長さんはおっしゃいました。

其処で、私達がその賞を頂くに至った理由を後日でも結構ですからお教え下さいと依頼したのですが、署長さんの快諾にもかかわらず、その後警察からは音沙汰がありません。

 

 そこで、私が想像致しますには、今回の犯人が、とんでもない犯人(変な言葉とは存じますが、所謂、その道での大物)であったことが、多分大きな理由ではなかろうかと存じます。

 

 この大物(?)ぶりに関しては、「感謝状」を授与される前、控室で、警察の広報の方が、雑談的にお話下さいましたので、

 

今回の犯人は、窃盗で逮捕され7年前に出所した前科が有る。

この7年間の、300軒ほどの犯行を認めており、そのうち100軒程の現場検証が終了した

当日は、何10kmも離れた、2つの都市でも数軒で犯行を繰り返した上、私の近所では、被害者様宅の他に、我が家から数10m離れた家にも忍び込んでいました

 

 
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