イラクに日本と同じ民主主義をという欺瞞
2003年4月5日
宇佐美 保
アメリカ高官は、“今回のイラク攻撃を、先の大戦によって日本に民主主義をもたらしたと同様な手段である。”ともほざいていました。
確かに当時の日本と今のイラクの立場はよく似ています。
ある意味では、日本はアメリカの策略によって負けると判っている戦争へと導かれて行きました。
イラクの場合も同じです。
イラクは直接アメリカには戦争を仕掛けませんでしたが、日本同様に、アメリカの策略によってクウェートへ心ならずも侵攻せざる様に仕向けられてしまいます。
(この際の事情は、拙文「暴君はフセインですか?アメリカではありませんか!」にも引用させて頂きましたが、ラムぜー・クラーク氏(1961〜68:米国法務省次官、長官)の著した『湾岸戦争』(地湧社発行)に実によく描き出されています)
その後は、国連をも巻き込む制裁を受け、今は強引なアメリカと英国による攻撃を受けています。
そして、いずれの日にかは、日本同様に敗戦の憂き目を見る事になるでしょう。
しかし、その後のイラクは、日本とは全く異なる道を歩むと私は思います。
何しろ日本は、外国の文化を進んで取り入れて発展してきた国です。
仏教にしても儒教にしてもキリスト教にしても、皆取り入れてきました。
しかし、イラクは四大文明の一つメソポタミア文明の発祥地です。
イスラム教の国です。
アラブの国です。
更に、アラブの国々は長年欧米列強に翻弄され続けてきた上、肥沃なパレスチナの土地をイスラエルへと分譲されてきた国々なのです。
そして、先の『湾岸戦争』の中で、クラーク氏は次のように書かれています。
イスラエルは1967年以来、国連決議を無視してヨルダン川西岸、東エルサレム、ガザ地区を占領しているが、これに対する安全保障理事会の非難決議は、米国の反対で採決されずにいる。イスラエルとの国内と占領地のパレスチナ人に対する苛烈な弾圧、レバノン南部に対する進行と継続占領、レバノン全域の難民キャンプに対する攻撃は、国際法と国連決議を無視したものだが、米国はイスラエルに経済援助を行っており、この援助額はイスラエル国民一人あたり年間千ドルにのぼる。
なのに、アメリカは、イラクが国連の査察を受け入れ、国連は査察の続行を主張しているのに、イラクに対して一方的な攻撃を仕掛けています。
こんなアメリカの民主主義をイラクが受け入れるとあまりかは本気で思っているとは私は信じられません。
万一、本気で思っているなら、アメリカがメソポタミアの土地に新たなるバベルの塔を打ち立てているとしか考えられません。
それよりも、アメリカは、イラクの石油を横取りしたり、イラクの復興事業に対して世界各国からお金を拠出させアメリカ高官達の関連会社へ発注して、戦費以上の収益を上げようと企んでいると私は感じます。
こんな欺瞞に日本は付き合っていて良いのでしょうか!?
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